【編集長の目っ!】心に潤いを与えてくれる、中孝介の歌

こんな時代だからこそ必要な、中孝介の歌、そして声

 “08年台湾で最も売れた日本人男性シンガー”といえば?……日本の文化、とりわけ音楽が好意的に受け入れられている台湾には日本のビッグアーティストが次々と進出しているが、その中でも昨年最も売れた日本人シンガーは、中孝介(あたり・こうすけ)だ。

 中は昨年8月、台湾で公開された映画『海角七号』(サミュエル・ウェイ監督)に本人役で出演、その挿入歌に彼のデビュー曲「それぞれに」が起用された。映画は4ヶ月に渡るロングランとなる大ヒットを記録。さらに昨年11月の時点で、あの『ジュラシック・パーク』を抜き台湾の歴代映画興行ランキング2位、その後、香港やシンガポールでも公開され軒並みメガヒットを記録している(日本でも今年公開予定)。

 では、そもそもなぜ中が台湾映画に出演するに至ったのか? それは彼が06年のデビューから、中国、台湾、香港などの中華圏を丁寧にプロモーションで回り、イベントなどにも出演し、それぞれの地域で彼の音楽が受け入れられてきたからだ。そして06年12月に台湾でのイベントに出演、歌う中を見て、ウェイ監督から本人役での映画出演のオファーを受け、実現した。

 昨年10月にリリースしたアルバム『絆歌』は、中華圏でも発売され、やはり台湾では圧倒的な支持を得て、台湾国内のナショナルチャートで9位にランクインした。今月13日には、台北インターナショナル・コンベンションセンターでの単独公演に3000人を動員して成功させている。

 一方、日本国内での中の状況を見てみると、シングルはこれまでに6枚リリースし、07年4月にリリースした「花」が約5.8万枚とスマッシュヒット。アルバムは3枚リリースし、07年7月にリリースした『ユライ花』が最高位7位、約10万枚とこちらもヒット。まだ大ブレイクとはいかないがライブの動員は着実に増えており、彼の声に感動し、涙を流すファンが増えている。若いファンだけではなく、老若男女、世代を越えて支持されている。それは台湾でも同じ状況だ。

 奄美大島出身の彼が歌う作品には“島唄”とポップスとが融合した、絶妙の“リズム”と心地よさがある。悲しさやせつなさを漂わせながら、ゆるやかな空気を運んでくれる。時には熱い風を感じさせ、目を閉じれば海や山、自然の風景がスッと浮かんでくる。よく考えてみれば、日本も台湾も四方を海に囲まれた島国だ。奄美大島と台湾も遠くない。きっとココロの原風景は似ているのではないだろうか。

 同じアジア人として、そこをくすぐられるとどうしようもなく涙が出てきたり、たまらない気持ちになる“琴線”も同じなのかもしれない。言葉云々ではなく“何か”を感じさせてくれる歌声、聴く人のココロに“何かを届けるパワー”を中は持っている。

 今月24日にはNTV系の人気番組『誰も知らない泣ける歌』に出演し、改めてデビュー曲「それぞれに」を披露。戦争によって引き裂かれた永遠の愛、そんな映画のテーマと同じ忘れられない体験を持つ人が「自分の気持ちを歌っているようだ」と涙した。彼の声は、思い出から時間を取り除き、まるで昨日のことのように、思い出をココロの中に映像として映してくれるのだと思う。

 そんな中のニューシングル「恋」が3月25日にリリースされる。この作品は昨年12月に行われた台湾でのイベントで3万人の観衆の前ですでに披露されており、またもや大きな反響を呼びそうだ。もちろん国内でも期待感は高い。やはり国内でCDでのヒットをしっかり作り、そしてライブに足を運んでもらい“地上で、最も優しい歌声”を一人でも多くの人に聴いてもらいたい。

 百年に一度の不況といわれ、日々飛び込んでくるニュースは耳を覆うばかりの内容、そんな殺伐とした空気が漂う今、中の歌、歌声は確実に心に潤いを与えてくれる。


 中孝介

中孝介、台湾で3000人動員の快挙(09年02月16日)

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