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中高年のアイドル綾小路きみまろ人気の秘密

3作共にロングセールスを記録
綾小路きみまろ『爆笑スーパーライブ』集


 大人向けの商品が模索される中、綾小路きみまろの3枚のアルバムが好調な推移を示している。なぜ、彼の笑いは長きにわたって愛されるのか、その秘密を探る。

 綾小路きみまろがリリースしている『爆笑スーパーライブ』集が長期にわたって支持され続けている。02年9月30日に発売された『爆笑スーパーライブ第1集!中高年に愛をこめて…』(以下・第1集)が登場週数250週を数え、06年1月25日に発売された『爆笑スーパーライブ第2集!ガンバッテいただきたいの…』(以下・第2集)が同じく102週、そして今年1月20日に発売された『爆笑スーパーライブ第3集!〜知らない人に笑われ続けて35年〜』(以下・第3集)も登場から12週連続でTOP100以内をキープし続けている。すなわち、6年にわたって発表された3作品が揃ってランクインしているということだ(4/14付)。

 
『爆笑スーパーライブ第1集!中高年に愛をこめて…』(TECE-25350)02.9.30発売

『爆笑スーパーライブ第2集!ガンバッテいただきたいの…』
(TECE-25632)06.1.25発売

『爆笑スーパーライブ第3集!〜知らない人に笑われ続けて35年〜』
(TECE-28747)08.1.20発売

『爆笑スーパーライブ』第3集週間セールス推移
青-第一集   赤-第二集   黄-第三集


 ここ数年、「お笑い」に関するブームが続いている。とは言え、その生存競争は苛酷で厳しい。笑いを多く集めた方が生き残るという図式は、単純だからこそ時として残酷な結果をもたらす。そして、そんな“下剋上”を狙って、何千、何万という“スター候補生”が常に牙を研いでいるのが実情だ。

 にもかかわらず、そんなムーブメントに影響されることなく、綾小路きみまろが長きにわたり安定したファン層を保ち続けていることを上記のランキング・データは示している。

 第1集がランキングを駆け上がった当初、その存在がクローズ・アップされ、様々なメディアが彼を取り上げた。苦労の連続だった下積み時代から、中高年のアイドルと呼ばれるようになった成功までの道のりを追跡し紹介した。結果、毒舌漫談と呼ばれる芸風は誰もが知るところとなり、きみまろは一躍“時の人”となった。メディアというものは熱しやすく冷めやすいもの。通常のタレントならば、この時点で“消費”され、再びゼロからのスタートへと逆戻りしてしまったかもしれない。

 だが、きみまろの芸には“普遍性”があった。客席をいじることで笑いの渦を広げていくスタイルだが、その内容は誰もが共通認識として思わず納得してしまうものであり、ブラックユーモアが全編を貫いてはいても、それに負けないくらいの“お客様への愛”がふんだんにちりばめられている。

 きみまろは売れた後も、このスタイルから“背伸び”しようとはしなかった。客が求める笑いに的確に応えながらも、第2集、第3集と笑いのバリエーションを拡大させていった。だからこそ、ファンは彼の芸に“安心感”を覚え、第2集・第3集とリピーターになっていったのだろう。店頭に並んだだけで、ファンが自然に集まってくる秘密はそこにある。

 さらに、ここにきてエルダー・マーケットが一層クローズ・アップされるなど、世の中の“高齢化”が確実に進行している状況も生まれた。それはすなわち、きみまろの“笑い”にリアリティを感じてくる世代が拡大していることを意味する。第3集が発売されたことで、第2集はもちろん、第1週のセールス・アップにも結びついているのがその証拠だ。お笑いに“旬”というものが存在するのなら、綾小路きみまろの笑いには“旬”以上の“熟成の味”が存在するのだろう。食に対する不安が囁かれる昨今だが、彼の作品には“賞味期限”など必要ないようだ。


 

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