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小田和正、音楽と仲間と真正面から向き合った『クリスマスの約束』初期3年分を映像化

 小田和正がホストを務め、「アーティスト同士がお互いを認め、称えあう」というコンセプトのもとに誕生し、のちに“国民的音楽特番”と呼ばれた『クリスマスの約束』。その初期3作品となる2001年、2002年、2003年の映像が、12月24日にBlu-rayとして発売された。昨年、番組は開始から20回目という節目を迎え、惜しまれつつその歴史に幕を下ろしたため、今年は心に穴がぽっかりと開いたクリスマスを過ごすことになりそうだと思っていた人もいるだろう。そんな“クリ約”ファンへのスペシャルなクリスマスプレゼントとなりそうだ。

音楽特番『クリスマスの約束』初期3作品のBDをリリースした小田和正

音楽特番『クリスマスの約束』初期3作品のBDをリリースした小田和正

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■手紙を出したが誰も来なかった2001年から始まった 小田和正の“約束”という名の挑戦

 2001年秋、小田和正は7組のアーティストに次の内容を記した直筆の手紙を出していた。

「前略
突然、勝手な手紙を出す無礼を許してください。TBSから、現在あるものとは質の違う「音楽番組」をやれないか、という打診があって考えました。もし自分が作るならどんな番組だろう。あの手この手を駆使、演出して自分の歌を歌えばファンの人たちは喜ぶだろうけど、それは目指すものではなさそうだ。音楽を聴いている人たちはどんなことが起こったら嬉しいんだろう。きっとそれは自分にとっても嬉しいことに違いない。

さらに考えました。この国で僕らのような音楽をやって来た者にとって、まぁ僕にとってだけかも知れないけれど今大切な事は一体何だろう。で思ったのです。それは同じ時代を生きて音楽を創ってきた人達を認め、愛し、尊敬することなのではないだろうかと。
それをこの番組で楽しく表現出来ないだろうか。それが出来るなら引き受けてみよう。

 これは取りあえず僕の主観でやろうとしている音楽番組です。
偏見を承知で、批難を覚悟の上で、無数にある名曲から一方的に7曲を選びました。
時代を作ってきたステキな音楽たちです。で、あなたの曲をその一曲に選ばせてもらいました。

随分と前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。この曲を一緒に演奏してもらえないだろうか?というお願いの手紙だったのです。これは「アイツがダメだったらコイツ」という企画ではないし、それではこんな手紙を大そうに出すことも失礼と考えたのでもし残念ながら、あなたの不参加が決まったら、自分ひとりで演奏するつもりで望んでいます。
勿論出演を断られたとしても、あなたに対する尊敬の気持ちはいささかも変わることはありません。
秋も深まるばかり
風邪をひかぬようますます充実した活動を続けてください。
−2001.10.5 小田和正」

 小田が手紙を出したのは、彼と同じ時代を生きてきた桑田佳祐松任谷由実山下達郎、そして当時のヒットランキングの上位に入っていたSMAP福山雅治宇多田ヒカルMr.Children櫻井和寿という7組。その結果、誰も来なかったのだが、それでも小田はひとりでステージに立ち、「言葉にできない」や「さよなら」といった自身の曲と、「夜空ノムコウ」(SMAP)や「桜坂」(福山雅治)、「勝手にシンドバット」(サザンオールスターズ)、「ひこうき雲」(松任谷由実)、「Automatic」(宇多田ヒカル)、「Tomorrow never knows」(Mr.Children)、そして「クリスマス・イブ」(山下達郎)などのカバー曲を交えて全15曲を披露した。

『クリスマスの約束2001…きっと君は来ない』

『クリスマスの約束2001…きっと君は来ない』

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 7組のアーティストがどんな思いで楽曲を創り、歌ったのかということを真摯に考え抜き、真正面から丁寧に新旧の音楽と向きあい、時に悪戦苦闘した小田。ひたむきな彼の姿、そしてステージでの共演は叶わなかったが『クリスマスの約束』のために小田が書き下ろした「この日のこと」を岡本真夜Kiroroコブクロ財津和夫坂崎幸之助THE ALFEE)、鈴木雅之、スターダスト☆レビュー、CHAGE and ASKA山本潤子らと歌ったVTR、さらに“犬猿の仲”と噂された山下達郎からの直筆の返事などは大きな話題となった。

『クリスマスの約束2001…きっと君は来ない』より

『クリスマスの約束2001…きっと君は来ない』より

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 一度きりで終わるはずだった番組の放送後に、小田の背中を押す1通の手紙が届いた。日付は2001年の放送翌日、差出人はMr.Childrenの櫻井だ。その手紙には、彼らの曲を小田が選んだことに対する感謝の言葉とともに出演辞退となった経緯、さらに番組での共演は叶わなかったが小田の音楽とMr.Childrenの音楽はもうつながっているという言葉が書かれていたという。

 2001年に放送した番組の手応えとともにこの手紙に勇気づけられた小田は、2002年も『クリスマスの約束』のステージに立った。この年も彼はひとりでプログラムを引っ張っていったのだが、これは前年に小田の書いた手紙がアーティストの負担になっていたことを知ったからだ。

『クリスマスの約束2002』より

『クリスマスの約束2002』より

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 はなからひとりでステージに臨もうと考えた小田は、番組のテーマ曲のように思っているという山下達郎の「クリスマス・イブ」をはじめ、一度歌ってやめようと思ったけれどやっぱり歌ってみることにしたという椎名林檎の「ギブス」、小田の地元・横浜にあるレストランが舞台となっている松任谷由実の「海を見ていた午後」、まっすぐな言葉と音楽が若者と小田の心をつかんだMONGOL800の「小さな恋のうた」、盟友・吉田拓郎の「今日までそして明日から」、そしてMr.Childrenの「HERO」など9曲のカバー曲を披露。さらに、忌野清志郎が「この曲が好きだ」とハガキで知らせてきたという「僕の贈り物」、ユーミンの「海を見ていた午後」に触発されて作った「秋の気配」、そして前年の『クリスマスの約束』に挑んだことがきっかけで作ったという「キラキラ」など、自身の曲も11曲を歌い上げた。

『クリスマスの約束2002』

『クリスマスの約束2002』

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 そして、3度目の正直となった2003年。『クリスマスの約束』にはついに4組のゲストが登場した。1組目は、小田と2回り以上の年齢の差があるゆずのふたり。彼らのヒット曲「夏色」をギター3本でパフォーマンスした3人は、続けて3人で試行錯誤しながら作った楽曲「クリスマスの約束」も披露した。2組目は、小田と同時代を生きてきた財津和夫。チューリップの大ヒットナンバー「青春の影」は、小田がアーティスト仲間に「好きな曲を挙げてほしい」というアンケートをとったところ、最も得票数が多かったという歌だ。3組目は、後年『クリスマスの約束』での共演をきっかけに結成された“委員会バンド”のメンバーになる根本要(スターダスト☆レビュー)。歌ったのは熊本の音楽イベントで聴いて小田が惚れたという「木蘭の涙」だ。さらに4組目は、『クリスマスの約束』のスタート時からラブコールを送っていた櫻井和寿(Mr.Children)。櫻井とは小田の「言葉にできない」からMr.Childrenの「タガタメ」「HERO」につなげるというアレンジで披露された。真摯に音楽に向き合う小田と櫻井が音楽を通して互いを認め尊敬しあう、かけがえのない瞬間を目撃できる。

 そのほか、「もらい泣き」(一青窈)、「チェリー」(スピッツ)、「SOMEDAY」(佐野元春)などのカバー曲や、「キラキラ」、そして「この日のこと」など自身の曲も歌った小田。3回目の『クリスマスの約束』は、全15曲が披露された。

 今回発売されたBlu-rayには、この初期3年分が収められている。小田をはじめ、日本の音楽シーンをけん引してきたトップアーティストが、考え、もがき、作りあげた上質な音楽番組の創成期ともいうべき3作品だ。

 また、小田サンタは来春にもプレゼントを用意している。4月22日には『クリスマスの約束2005』『クリスマスの約束2006』『クリスマスの約束2007』の発売を予定しているとのこと。さらなるリリースの続報にも期待したい。

『クリスマスの約束2003』

『クリスマスの約束2003』

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■小田と仲間が真摯に向き合って紡いだ音楽とアーティストの素顔を覗くことができる音楽ドキュメンタリー

 21世紀になった2001年から約四半世紀をかけて、毎年クリスマスに放送されてきた『クリスマスの約束』。当番組を引っ張ってきた小田和正は『クリスマスの約束』を通して、同時代を生きるアーティストを尊敬し、彼らの作る楽曲に対する考察を深めることで、新たな発見や驚きがあったと語り、羨望や悔しさ、嫉妬心などをあらわにしている。

 そんな彼が楽曲に真摯に向き合い、言葉のひとつひとつ、そして音符の1音1音を大切にしながら紡いでいった音楽だからこそ、聴く者は体の隅々まで染みわたっていくような感覚を抱くのだろう。そして、普段何気なく耳にしている音楽も、作り手が感性をとことんまで研ぎ澄ませて、社会の動きや人々の心模様を見つめて生みだされたからこそ、聴いていて楽しい気持ちになったり、悲しさに寄り添ってもらっているような気持ちになったり、憤りを感じたり、さまざまな感情があふれるのだと気づかせてくれる。

 さらに、小田をはじめアーティストの素顔が垣間見ることができる音楽ドキュメンタリーの要素を持ち合わせている点も『クリスマスの約束』の醍醐味。世代を超えて仲間と交流しながら互いを認め合い、新しいことに挑戦しつつ、困難があっても乗り越えていくことが人を成長させてくれるのだと感じるはずだ。

 番組が昨年一区切りをつけたことは音楽ファンにとって残念だが、始まりがあれば必ず終わりはある。そんな物事の条理も『クリスマスの約束』は教えてくれる。一方で、Blu-rayによって小田和正とアーティスト仲間、そして音楽ファンとの“約束”は永久に映像として残ることになった。そんなうれしいプレゼントを、ぜひクリスマス・イブに、大切な人、そして自分に送ってみてはいかがだろう。

文:森中要子

<作品情報>
『クリスマスの約束2001…きっと君は来ない』
品番:BVXL-144/価格:6,600円(税込)
■収録曲
01. 言葉にできない
02. 夜空ノムコウ
03. 桜坂
04. 勝手にシンドバッド
05. 真夏の果実
06. ひこうき雲
07. 春夏秋冬
08. さよなら
09. Automatic
10. Tomorrow never knows
11. クリスマス・イブ
12. Yes-No
13. ラブ・ストーリーは突然に
14. 君住む街へ
15. この日のこと
(C)TBS『クリスマスの約束2001…きっと君は来ない』 

『クリスマスの約束2002』
品番:BVXL-145/価格:6,600円(税込)
■収録曲
01. この日のこと
02. クリスマス・イブ
03. 愛を止めないで
04. 僕の贈り物
05. ギブス
06. 化粧
07. Blowin’ in the wind〜風に吹かれて〜
08. 海を見ていた午後
09. 秋の気配
10. First Love
11. 小さな恋のうた
12. 今日までそして明日から
13. さよなら
14. HERO
15. YES-YES-YES
16. ラブ・ストーリーは突然に
17. 伝えたいことがあるんだ
18. キラキラ
19. woh woh
20. Yes-No
(C)TBS『クリスマスの約束2002』

『クリスマスの約束2003』
品番:BVXL-146/価格:6,600円(税込)
ゲスト:財津和夫・櫻井和寿(Mr. Children)・根本要(スターダスト☆レビュー)・ゆず
■収録曲
01. 世界に一つだけの花
02. もらい泣き
03. 言葉にできない
04. クリスマス・イブ
05. 恋
06. 夏色
07. クリスマスの約束
08. 中央線
09. 青春の影
10. 木蘭の涙
11. チェリー
12. 言葉にできない〜タガタメ〜HERO
13. SOMEDAY
14. キラキラ
15.この日のこと
(C)TBS / FAR EAST CLUB INC.『クリスマスの約束2003』
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関連写真

  • 音楽特番『クリスマスの約束』初期3作品のBDをリリースした小田和正
  • 『クリスマスの約束2001…きっと君は来ない』
  • 『クリスマスの約束2002』
  • 『クリスマスの約束2003』
  • 『クリスマスの約束2001…きっと君は来ない』より
  • 『クリスマスの約束2002』より

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