演歌・歌謡曲新世代の活躍――前回に続いて今回は女性アーティストに焦点を当ててお届けする。女性歌手たちに特徴的なのは、「トップアイドルからの演歌歌手への転身」「グラビアもできる演歌歌手」「流しと歌手の二刀流」「昭和の演歌から令和の最新ヒット曲まで歌いこなすオールラウンダー」などなど、これまでの演歌・歌謡曲界の常識を打ち破った活躍を見せる“エンターテイナー”が多いこと。皆、演歌・歌謡愛は持ちつつも、“自らの価値観を大切にし、己の道を突き進む”ニュージェネレーションらしい活躍ぶりを見せる。二刀流という自分の価値観を尊重し続けて、球界最高の選手に上り詰めた大谷翔平選手のように、ここから歴史に残る大スターが生まれるかもしれない。
2012年2月1日に秋元康プロデュースのシングル「無人駅」で演歌歌手デビューを果たした岩佐美咲は、人気アイドルグループAKB48出身だ。小学1年の頃からダンスを習い、歌って踊れる人になるのが夢で、中学時代、雑誌で見かけたAKBのオーディションに応募、アイドルとして歩み始めた。そんな岩佐が演歌歌手へと転身したのは、10年10月に開催された「AKB48東京秋祭り」でのカラオケ大会がきっかけ。他のメンバーがポップスを歌うなか、祖父母の影響で子どもの頃から親しんでいた演歌を選択し、「津軽海峡・冬景色を熱唱、優勝したことから、AKB初の演歌歌手としてソロデビューした。アイドルと演歌歌手の二刀流で活動し、14年にリリースした3rdシングル「鞆の浦慕情」では2014/1/20付オリコン週間シングルランキングで初登場1位を獲得。以降、22年リリースの10thシングル「アキラ」で、デビューから10作連続でオリコン週間演歌・歌謡シングルランキングで初登場1位を獲得している。
16年にAKB48を卒業した後は、演歌の道一筋で精進。総合プロデューサーの秋元康に言われた「演歌歌手は息が長い」という言葉を胸に、着実にキャリアを積み重ねている。今年8月28日には、3年ぶりとなる待望の新曲「マッチ」をリリース。スナックを舞台にした昭和演歌、大人の女性としての妖艶な魅力も見せている。
2013年5月22日に「三味線わたり鳥」でデビューし、『第55回日本レコード大賞新人賞』を受賞した杜このみは、少女時代から民謡歌手として名を馳せた逸材。テレビで民謡番組を見て、「カッコイイ!」とときめいたことがきっかけで、4歳から民謡を習い始め、小学6年の時には『江差追分全国大会少年の部』で当時史上最年少優勝を獲得。その後も、数々の大会で優勝を重ねてきた。「民謡が大好きで、民謡の先生になることが夢だった」という杜が演歌歌手として歩み始めたのは、07年、高校3年生のときに出演したNHKの公開収録番組がきっかけ。番組を見ていた民謡の名取でもある演歌界の大御所・細川たかしに見出され、師事。11年には「小路(こうじ)流民謡道」で師範にもなり、師匠の細川と同じく、「クラシックである民謡と、流行歌である演歌の二刀流」をコンセプトに活動してきた。
プライベートでは、20年に大相撲力士の高安と結婚。2度の出産を経て、デビュー10周年となる昨年、3年ぶりに新曲「葦風峠」で本格復帰。今年7月29日には、10枚目となるシングル「夕霧港」をリリース。「葦風峠」に続き、あえて民謡色を打ち出さず、本格演歌で、別れを決意した切ない女ごころを歌い上げ、7月24日付有線演歌歌謡曲リクエスト1位を獲得した。8月28日には自身によるピアノ弾き語りバージョンの「天城越え」も収録した待望のカバーアルバム『KONOMI cover songs』をリリースした。
“どんと響く!直球ボイス!”をキャッチフレーズに、2015年2月25日、故郷の福島をテーマにした「会津・山の神」でデビューした津吹みゆ。12年、高校2年生のときに地元・福島で開催された『NHKのど自慢』に出場したことをきっかけにスカウトを受け、高校卒業とともに上京。幼い頃から音楽療法士だった母親や祖父母の影響で演歌好きになった一方で、上京後は大の宝塚歌劇団ファンとなり、ミュージカルや舞台鑑賞も趣味となった。自身も17年に神戸で開催された『第4回震災復興チャリティー歌謡ショー』で初めてミニ芝居に挑戦して以来、芝居に力を入れるようになり、今年5月には銀座・博品館劇場で上演の『大正ロマネスク「セブンスヒーロー」』に出演。自らの公演でも、コメディ芝居を披露するなど、舞台でも活躍できる歌い手として成長を続けている。
18年からは、工藤あやの、羽山みずきと組んだ東北出身の女性演歌歌手によるミュージカルユニット「みちのく娘!」のメンバーとしても活動し、19年5月の「春ッコわらし/北国の春」を皮切りに、これまで3枚のシングルを発表。ソロでは、今年1月に、デビュー曲「会津・山の神」以来となる地元・福島をテーマにした本格演歌「会津なみだ橋」をリリース。会津と新潟を結ぶ越後街道の湯川にかかる通称・涙橋で別れを惜しんだ相手を待ち続ける切ない女ごころを歌い上げている。
高校卒業後に出身地・山形の出羽三山神社に巫女として勤めていた羽山みずき。『2015年日本クラウン新人オーディション』に応募し、グランプリを獲得したことをきっかけに、6年間の巫女生活に区切りをつけ、16年4月6日「紅花慕情」でデビュー。心の奥まで染みわたる涼やかな歌声と天性の柔らかい節回しで、その年の「第58回日本レコード大賞新人賞」を受賞した。その経歴と真っすぐな人柄から「開運演歌女子」のニックネームで癒し系キャラとしても人気を集め、18年からは工藤あやの、津吹みゆと「歌謡ミュージカル」をコンセプトにした東北出身の女性演歌歌手ユニット「みちのく娘!」としても活動をスタート。さらに今年は、ピアノ、ギター、ベース、ドラム、ヴァイオリン、二胡などをプレイする5人編成のバンド「ザ・デッテマンズ」も結成。羽山が命名したバンド名は庄内弁で「まったくもう」の意味で、2月には、演歌歌手としては異色のライブレストランを舞台に、自身初のバンドスタイルでの単独公演を行い、演歌からJ-POPまで多彩な表現を披露した。
新曲では、今年1月17日には、移ろう季節や恋の儚さを胡弓の調べに乗せて歌った10thシングル「恋春花」を、さらに5月8日には、“癒される流行歌の名曲”10曲をカバーしたアルバム『みずきの愛唱歌〜山形生まれの癒しのコブシ〜』をリリース。天性の柔らかい節回しが堪能できる1枚となっている。
“令和の歌謡歌姫(ディーヴァ)”として、2018年7月4日に「東京ルージュ」でデビューした藤井香愛は、高校時代に渋谷でスカウトされ、ファッション誌のモデルを経験。20歳のときには、東京ヤクルトスワローズ公認パフォーマンス・アーティスト「DDS」に参加し、公認サポーターソングを歌うユニット「DAD’S」ではメインボーカルを担当したという演歌・歌謡曲界にはかつて存在しなかった個性派。歌手を夢見て小学校2年生からボイストレーニングをスタート。デビュー前には第一興商のカラオケDAMのガイドボーカルとして100曲超を担当してきた経験も持つ。デビューのきっかけは、徳間ジャパンのオーディションを受け、合格したこと。29歳でデビューした遅咲きながら、確かな歌唱力とビジュアルで、「昭和歌謡の伝統を受け継いで、“歌謡曲女子”を流行らせること」を目標に、これまでシングル6枚、映像を4作リリースしてきた。
今年4月にリリースした及川眠子(作詞)と幸耕平(作曲)の強力タッグによる6枚目のシングル「純情レボリューション」では、髪を短くし、肌の露出の多い大胆な衣装を披露するなど、イメージを一新。6月に発表された『日本作曲家協会音楽祭・2024』で、ベストパフォーマンス賞を受賞するなど、歌唱力だけでなく、ビジュアル面でも人気を呼んでいる。
2021年、テレビ番組『THEカラオケ★バトル』に演歌歌手として初出場、最強女子ボーカリストとして初優勝を飾り、その実力を広く知らしめた門松みゆき。「2歳の頃には演歌に目覚めていた」という“演歌歌謡の申し子”で、当時観た北島三郎の劇場公演が歌手を目指すきっかけになったという。16歳の時に、作曲家の藤竜之介の内弟子となり、演歌・歌謡曲からポップスまで幅広くレッスン。約10年の修業時代を経て、19年2月27日、“歌う門には福来る”のキャッチフレーズで、「みちのく望郷歌」でデビュー。2019/3/11付オリコン週間演歌・歌謡シングルランキングで初登場7位を獲得し、演歌界の大型新人として注目を集めた。
これまで直球の演歌作品を発表してきたが、デビュー5周年を迎えた昨年リリースした5枚目のシングル「愛・DA・LI・DA」では、「ねぇ」のヒットで知られるシンガーソングライターの国安修二の作曲による都会的な雰囲気のフォークサウンドで新境地を開拓。今年7月24日リリースの「今もヨコハマ」もその路線を引き継ぎ、ミドルテンポのサウンドで、大人の女性としての新たな可能性を見せている。デビュー前はカラオケガイドボーカルとして150曲以上を担当。ジャズダンスやHip-hopも得意で、多彩な才能も秘めている。
カーペンターズや安全地帯、早川義夫に影響を受けたというのが、2020年4月15日「私の花」でデビューしたゆあさみちる。4歳からピアノを習い始め、小学校では吹奏楽でトランペット、中学からは声楽でイタリア歌曲を習う一方、日本語の歌にも興味を持ち、ポップスも歌い始めたという経歴の持ち主だ。作詞作曲も始めた高校時代、『NHKのど自慢』に出演し、グランドチャンピオン大会で優秀賞を受賞。高校卒業後にデビューを目指して上京し、GLAYのアルバムにコーラスとして参加、「パナソニック プライベートビエラ」のテレビCMを歌唱するなど、音楽活動をスタートさせるも、当時は「どんなジャンルが歌いたいのか」答えが見つからず、悩みながら歌う日々が続いたという。
そんななか、秋元順子の大ヒット作「愛のままで…」の作曲を手がけた花岡優平に自分の曲を書いてもらいたいという目標のもと、門を叩き師事。以降、「ジャンルにこだわらなくていい。ゆあさみちるの歌は、ゆあさみちるの歌だ。自分の思いを信じて、自分の歌人生を歩んできたい」と心に決め、邁進。「私の花」でデビューを果たして以降、23年からは、2ヶ月に1回のペースで配信シングル5作品をリリースするなど精力的に活動を続けてきた。今年5月15日には、CDシングル「遅咲きのHERO」をリリース。“変幻自在、エキゾチック、アバンギャルド”といった、ゆあさみちるの魅力あふれる作品となっている。
コロナ禍をきっかけに、2023年、演歌業界で初めてTikTokライブを毎日開催し、開始2週間で急上昇ランキング1位を獲得。その後も、演歌を中心に、視聴者からのリクエスト曲も歌い、人気LIVEランキング1位を獲得するなど、エンターテイナーぶりを発揮している滝さゆり。大ヒット曲「女のみち」のぴんからトリオのボーカル・宮史郎のマネージャー兼演歌歌手だった父の影響で歌手を目指し、13歳で大阪の音楽事務所からスカウトを受けて契約。“天才演歌少女”として名を馳せ、関西を中心に数多くのイベントやテレビに出演してきた経歴の持ち主だ。しかし、その後、18歳で歌手活動を一時休止。19年に石上さゆり名義で歌手活動を再開した後、21年、滝さゆりと改名し、因幡晃のヒット曲「忍冬」でメジャーデビューを果たした。
今年5月22日には徳間ジャパン移籍第1弾シングルとして「女ひとり雨」をリリース。失恋した女性の未練心を描きながらも、その悲しみを吹き飛ばすような明るく爽快感のあるメロディに乗せた滝独特の張りのある伸びやかな歌声が印象的な本格演歌となっている。これまでJ-POPからロック、ボカロ、歌謡曲など幅広く歌ってきた滝だが、再デビューを果たした今、「これからも王道演歌を歌うとともに、オリコン演歌・歌謡シングルランキングでも1位を目指せるよう頑張ります」と意欲を見せている。
2021年11月10日「孤独の歌姫」でデビューを飾り、2021/11/22付オリコン週間演歌・歌謡シングルランキングで初登場2位を記録、翌年の「第64回日本レコード大賞最優秀新人賞」を受賞した田中あいみ。ソウルフルな歌声とレコード大賞のステージでも度肝を抜いた超ロングネイル、デビュー記者会見にハーレーダビットソンに乗って登場するなど、豪放磊落なキャラで“演歌界のギャル”として新風を巻き起こしている実力派だ。実家がカラオケ喫茶だったことから幼少の頃から歌謡曲に興味を持ち、大学在学中に『2019年日本クラウン演歌・歌謡曲新人歌手オーディション』に出場し、グランプリを受賞。その後、細川たかしに才能を見出され、弟子入り。細川の愛弟子としても脚光を浴びている。
今年7月24日には5枚目のシングル「TATSUYA」をリリース。独特のソウルフルボイスで、母になる女性の苦悩と葛藤、命の尊さを歌い上げ、2024/8/5付オリコン週間演歌・歌謡シングルランキングで初登場1位を獲得した。8月10日には木梨憲武がプロデュース、ボーカルとしても参加している「ドアを開けてみたwith木梨憲武」、24日には所ジョージが作詞作曲、ボーカルとしても参加している「仁川エアポートwith所ジョージ」を配信。あけすけな明るいキャラクターで、音楽番組だけでなく、テレビやラジオのバラエティ番組への出演も多い。今年8月1日に舞乃空、梅谷心愛と期間限定ユニット結成を発表。現在、ユニット名を募集している。
平成生まれ、令和育ちのZ世代の舞乃空は、昭和歌謡から令和の最新ヒット曲まで歌いこなす19歳。小学生の頃から歌ウマキッズとして『関ジャニの仕分け∞』や『歌唱王』『THEカラオケ★バトル』などに出演。NHKホールで行われた『NHKのど自慢 グランドチャンピオン大会』への出演をきっかけにスカウトされ、高校進学と同時に大阪より上京。23年「うたかた」でデビューを飾った。“オールジャンル歌手”というジャンルの確立を目指し、自身の公式YouTube「あのまのあチャンネル」内の人気コーナー【歌ってみた】でも幅広い楽曲をカバー。今年7月14日に放送されたテレビ番組『オールスター合唱バトル』では、adoの『唱』に苦戦する居並ぶ先輩歌手にダメ出しを連発。他の歌手からマネージャーと呼ばれていたという逸話も持つ。
今年9月11日には、3枚目のシングル「とまり木」をリリース。人気女性デュオ・花*花の書き下ろしによる「巣立ち」をテーマにした作品で、パステルボイスと称される舞乃空ののびやかな透き通る歌声に酔いしれられる楽曲となっている。なお、8月1日には、同じくZ世代の演歌・歌謡界の期待の新人、田中あいみ・梅谷心愛と3人で期間限定ユニット結成を発表。現在、ユニット名を募集している。
舞乃空と同様、『歌唱王』や『THEカラオケ★バトル』などの歌番組で話題になったZ世代の歌うまシンガーが、2023年7月5日「磐越西線ひとり」でデビューした梅谷心愛、16歳。美空ひばりを尊敬しており、『THEカラオケ★バトル』では、「人生一路」を歌唱し、番組史上最年少の12歳で100点を獲得。さらに、テレビ番組『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』では、“美空ひばり博士”として出演しており、昭和歌謡の豊富な知識で“令和の昭和歌謡少女”のキャッチフレーズもついている。美空ひばりに憧れるようになったのは曾祖母の影響で、3歳の頃からカラオケに連れて行ってもらい、美空ひばりの歌を口ずさむようになり、小学生時代は九州全土のカラオケ大会で何度も優勝。小学5年生の時には、「プロの歌手になる」と心に決めたという。
デビュー2年目となる今年4月17日には収録c/w曲を変更したデビュー曲の新装盤「磐越西線ひとり(青春盤)」をリリースし、9月25日には自身が敬愛するアーティストの名曲をカバーしたアルバム『心愛のうた〜昭和歌謡名曲セレクション〜』をリリースする。9月26日には初となるワンマンコンサート『梅谷心愛ファーストコンサート 2024』をかめありリリオホールで開催する予定だ。
最後は、今年デビューを飾る里野鈴妹(さとのすずめ)、23歳。『2023年日本クラウン新人オーディション』で準グランプリを獲得し、“あなたの心に届けたい〜スマイル演歌!”をキャッチフレーズに、9月4日「バカ酒場」でデビュー。水森英夫作曲、菅麻貴子作詞によるこの歌は、相手を思えばこそ、本当に好きなのに身を引く自分を“バカ”と表現した本格演歌で、中高音の抜けの良い声と情緒感のある節回しといった里野の魅力が存分に表現された1曲となっている。カップリングの「北吹雪」は3連の哀愁艶歌。失恋した相手の面影を探す傷心の旅で、「今さら何もかも遅い」と嘆く切ない女心を歌っている。
好きな音楽は「演歌」とキッパリ。趣味は「食べること」で、好きな言葉は「おかわり」、目標は「腹八分目に留めること」と「世界中の人を笑顔にすること」。明るく牧歌的なキャラクターで今後の活躍が大いに期待される大型新人だ。
文・河上いつ子
2012年2月1日に秋元康プロデュースのシングル「無人駅」で演歌歌手デビューを果たした岩佐美咲は、人気アイドルグループAKB48出身だ。小学1年の頃からダンスを習い、歌って踊れる人になるのが夢で、中学時代、雑誌で見かけたAKBのオーディションに応募、アイドルとして歩み始めた。そんな岩佐が演歌歌手へと転身したのは、10年10月に開催された「AKB48東京秋祭り」でのカラオケ大会がきっかけ。他のメンバーがポップスを歌うなか、祖父母の影響で子どもの頃から親しんでいた演歌を選択し、「津軽海峡・冬景色を熱唱、優勝したことから、AKB初の演歌歌手としてソロデビューした。アイドルと演歌歌手の二刀流で活動し、14年にリリースした3rdシングル「鞆の浦慕情」では2014/1/20付オリコン週間シングルランキングで初登場1位を獲得。以降、22年リリースの10thシングル「アキラ」で、デビューから10作連続でオリコン週間演歌・歌謡シングルランキングで初登場1位を獲得している。
16年にAKB48を卒業した後は、演歌の道一筋で精進。総合プロデューサーの秋元康に言われた「演歌歌手は息が長い」という言葉を胸に、着実にキャリアを積み重ねている。今年8月28日には、3年ぶりとなる待望の新曲「マッチ」をリリース。スナックを舞台にした昭和演歌、大人の女性としての妖艶な魅力も見せている。
プライベートでは、20年に大相撲力士の高安と結婚。2度の出産を経て、デビュー10周年となる昨年、3年ぶりに新曲「葦風峠」で本格復帰。今年7月29日には、10枚目となるシングル「夕霧港」をリリース。「葦風峠」に続き、あえて民謡色を打ち出さず、本格演歌で、別れを決意した切ない女ごころを歌い上げ、7月24日付有線演歌歌謡曲リクエスト1位を獲得した。8月28日には自身によるピアノ弾き語りバージョンの「天城越え」も収録した待望のカバーアルバム『KONOMI cover songs』をリリースした。
“どんと響く!直球ボイス!”をキャッチフレーズに、2015年2月25日、故郷の福島をテーマにした「会津・山の神」でデビューした津吹みゆ。12年、高校2年生のときに地元・福島で開催された『NHKのど自慢』に出場したことをきっかけにスカウトを受け、高校卒業とともに上京。幼い頃から音楽療法士だった母親や祖父母の影響で演歌好きになった一方で、上京後は大の宝塚歌劇団ファンとなり、ミュージカルや舞台鑑賞も趣味となった。自身も17年に神戸で開催された『第4回震災復興チャリティー歌謡ショー』で初めてミニ芝居に挑戦して以来、芝居に力を入れるようになり、今年5月には銀座・博品館劇場で上演の『大正ロマネスク「セブンスヒーロー」』に出演。自らの公演でも、コメディ芝居を披露するなど、舞台でも活躍できる歌い手として成長を続けている。
18年からは、工藤あやの、羽山みずきと組んだ東北出身の女性演歌歌手によるミュージカルユニット「みちのく娘!」のメンバーとしても活動し、19年5月の「春ッコわらし/北国の春」を皮切りに、これまで3枚のシングルを発表。ソロでは、今年1月に、デビュー曲「会津・山の神」以来となる地元・福島をテーマにした本格演歌「会津なみだ橋」をリリース。会津と新潟を結ぶ越後街道の湯川にかかる通称・涙橋で別れを惜しんだ相手を待ち続ける切ない女ごころを歌い上げている。
高校卒業後に出身地・山形の出羽三山神社に巫女として勤めていた羽山みずき。『2015年日本クラウン新人オーディション』に応募し、グランプリを獲得したことをきっかけに、6年間の巫女生活に区切りをつけ、16年4月6日「紅花慕情」でデビュー。心の奥まで染みわたる涼やかな歌声と天性の柔らかい節回しで、その年の「第58回日本レコード大賞新人賞」を受賞した。その経歴と真っすぐな人柄から「開運演歌女子」のニックネームで癒し系キャラとしても人気を集め、18年からは工藤あやの、津吹みゆと「歌謡ミュージカル」をコンセプトにした東北出身の女性演歌歌手ユニット「みちのく娘!」としても活動をスタート。さらに今年は、ピアノ、ギター、ベース、ドラム、ヴァイオリン、二胡などをプレイする5人編成のバンド「ザ・デッテマンズ」も結成。羽山が命名したバンド名は庄内弁で「まったくもう」の意味で、2月には、演歌歌手としては異色のライブレストランを舞台に、自身初のバンドスタイルでの単独公演を行い、演歌からJ-POPまで多彩な表現を披露した。
新曲では、今年1月17日には、移ろう季節や恋の儚さを胡弓の調べに乗せて歌った10thシングル「恋春花」を、さらに5月8日には、“癒される流行歌の名曲”10曲をカバーしたアルバム『みずきの愛唱歌〜山形生まれの癒しのコブシ〜』をリリース。天性の柔らかい節回しが堪能できる1枚となっている。
“令和の歌謡歌姫(ディーヴァ)”として、2018年7月4日に「東京ルージュ」でデビューした藤井香愛は、高校時代に渋谷でスカウトされ、ファッション誌のモデルを経験。20歳のときには、東京ヤクルトスワローズ公認パフォーマンス・アーティスト「DDS」に参加し、公認サポーターソングを歌うユニット「DAD’S」ではメインボーカルを担当したという演歌・歌謡曲界にはかつて存在しなかった個性派。歌手を夢見て小学校2年生からボイストレーニングをスタート。デビュー前には第一興商のカラオケDAMのガイドボーカルとして100曲超を担当してきた経験も持つ。デビューのきっかけは、徳間ジャパンのオーディションを受け、合格したこと。29歳でデビューした遅咲きながら、確かな歌唱力とビジュアルで、「昭和歌謡の伝統を受け継いで、“歌謡曲女子”を流行らせること」を目標に、これまでシングル6枚、映像を4作リリースしてきた。
今年4月にリリースした及川眠子(作詞)と幸耕平(作曲)の強力タッグによる6枚目のシングル「純情レボリューション」では、髪を短くし、肌の露出の多い大胆な衣装を披露するなど、イメージを一新。6月に発表された『日本作曲家協会音楽祭・2024』で、ベストパフォーマンス賞を受賞するなど、歌唱力だけでなく、ビジュアル面でも人気を呼んでいる。
2021年、テレビ番組『THEカラオケ★バトル』に演歌歌手として初出場、最強女子ボーカリストとして初優勝を飾り、その実力を広く知らしめた門松みゆき。「2歳の頃には演歌に目覚めていた」という“演歌歌謡の申し子”で、当時観た北島三郎の劇場公演が歌手を目指すきっかけになったという。16歳の時に、作曲家の藤竜之介の内弟子となり、演歌・歌謡曲からポップスまで幅広くレッスン。約10年の修業時代を経て、19年2月27日、“歌う門には福来る”のキャッチフレーズで、「みちのく望郷歌」でデビュー。2019/3/11付オリコン週間演歌・歌謡シングルランキングで初登場7位を獲得し、演歌界の大型新人として注目を集めた。
これまで直球の演歌作品を発表してきたが、デビュー5周年を迎えた昨年リリースした5枚目のシングル「愛・DA・LI・DA」では、「ねぇ」のヒットで知られるシンガーソングライターの国安修二の作曲による都会的な雰囲気のフォークサウンドで新境地を開拓。今年7月24日リリースの「今もヨコハマ」もその路線を引き継ぎ、ミドルテンポのサウンドで、大人の女性としての新たな可能性を見せている。デビュー前はカラオケガイドボーカルとして150曲以上を担当。ジャズダンスやHip-hopも得意で、多彩な才能も秘めている。
カーペンターズや安全地帯、早川義夫に影響を受けたというのが、2020年4月15日「私の花」でデビューしたゆあさみちる。4歳からピアノを習い始め、小学校では吹奏楽でトランペット、中学からは声楽でイタリア歌曲を習う一方、日本語の歌にも興味を持ち、ポップスも歌い始めたという経歴の持ち主だ。作詞作曲も始めた高校時代、『NHKのど自慢』に出演し、グランドチャンピオン大会で優秀賞を受賞。高校卒業後にデビューを目指して上京し、GLAYのアルバムにコーラスとして参加、「パナソニック プライベートビエラ」のテレビCMを歌唱するなど、音楽活動をスタートさせるも、当時は「どんなジャンルが歌いたいのか」答えが見つからず、悩みながら歌う日々が続いたという。
そんななか、秋元順子の大ヒット作「愛のままで…」の作曲を手がけた花岡優平に自分の曲を書いてもらいたいという目標のもと、門を叩き師事。以降、「ジャンルにこだわらなくていい。ゆあさみちるの歌は、ゆあさみちるの歌だ。自分の思いを信じて、自分の歌人生を歩んできたい」と心に決め、邁進。「私の花」でデビューを果たして以降、23年からは、2ヶ月に1回のペースで配信シングル5作品をリリースするなど精力的に活動を続けてきた。今年5月15日には、CDシングル「遅咲きのHERO」をリリース。“変幻自在、エキゾチック、アバンギャルド”といった、ゆあさみちるの魅力あふれる作品となっている。
コロナ禍をきっかけに、2023年、演歌業界で初めてTikTokライブを毎日開催し、開始2週間で急上昇ランキング1位を獲得。その後も、演歌を中心に、視聴者からのリクエスト曲も歌い、人気LIVEランキング1位を獲得するなど、エンターテイナーぶりを発揮している滝さゆり。大ヒット曲「女のみち」のぴんからトリオのボーカル・宮史郎のマネージャー兼演歌歌手だった父の影響で歌手を目指し、13歳で大阪の音楽事務所からスカウトを受けて契約。“天才演歌少女”として名を馳せ、関西を中心に数多くのイベントやテレビに出演してきた経歴の持ち主だ。しかし、その後、18歳で歌手活動を一時休止。19年に石上さゆり名義で歌手活動を再開した後、21年、滝さゆりと改名し、因幡晃のヒット曲「忍冬」でメジャーデビューを果たした。
今年5月22日には徳間ジャパン移籍第1弾シングルとして「女ひとり雨」をリリース。失恋した女性の未練心を描きながらも、その悲しみを吹き飛ばすような明るく爽快感のあるメロディに乗せた滝独特の張りのある伸びやかな歌声が印象的な本格演歌となっている。これまでJ-POPからロック、ボカロ、歌謡曲など幅広く歌ってきた滝だが、再デビューを果たした今、「これからも王道演歌を歌うとともに、オリコン演歌・歌謡シングルランキングでも1位を目指せるよう頑張ります」と意欲を見せている。
2021年11月10日「孤独の歌姫」でデビューを飾り、2021/11/22付オリコン週間演歌・歌謡シングルランキングで初登場2位を記録、翌年の「第64回日本レコード大賞最優秀新人賞」を受賞した田中あいみ。ソウルフルな歌声とレコード大賞のステージでも度肝を抜いた超ロングネイル、デビュー記者会見にハーレーダビットソンに乗って登場するなど、豪放磊落なキャラで“演歌界のギャル”として新風を巻き起こしている実力派だ。実家がカラオケ喫茶だったことから幼少の頃から歌謡曲に興味を持ち、大学在学中に『2019年日本クラウン演歌・歌謡曲新人歌手オーディション』に出場し、グランプリを受賞。その後、細川たかしに才能を見出され、弟子入り。細川の愛弟子としても脚光を浴びている。
今年7月24日には5枚目のシングル「TATSUYA」をリリース。独特のソウルフルボイスで、母になる女性の苦悩と葛藤、命の尊さを歌い上げ、2024/8/5付オリコン週間演歌・歌謡シングルランキングで初登場1位を獲得した。8月10日には木梨憲武がプロデュース、ボーカルとしても参加している「ドアを開けてみたwith木梨憲武」、24日には所ジョージが作詞作曲、ボーカルとしても参加している「仁川エアポートwith所ジョージ」を配信。あけすけな明るいキャラクターで、音楽番組だけでなく、テレビやラジオのバラエティ番組への出演も多い。今年8月1日に舞乃空、梅谷心愛と期間限定ユニット結成を発表。現在、ユニット名を募集している。
平成生まれ、令和育ちのZ世代の舞乃空は、昭和歌謡から令和の最新ヒット曲まで歌いこなす19歳。小学生の頃から歌ウマキッズとして『関ジャニの仕分け∞』や『歌唱王』『THEカラオケ★バトル』などに出演。NHKホールで行われた『NHKのど自慢 グランドチャンピオン大会』への出演をきっかけにスカウトされ、高校進学と同時に大阪より上京。23年「うたかた」でデビューを飾った。“オールジャンル歌手”というジャンルの確立を目指し、自身の公式YouTube「あのまのあチャンネル」内の人気コーナー【歌ってみた】でも幅広い楽曲をカバー。今年7月14日に放送されたテレビ番組『オールスター合唱バトル』では、adoの『唱』に苦戦する居並ぶ先輩歌手にダメ出しを連発。他の歌手からマネージャーと呼ばれていたという逸話も持つ。
今年9月11日には、3枚目のシングル「とまり木」をリリース。人気女性デュオ・花*花の書き下ろしによる「巣立ち」をテーマにした作品で、パステルボイスと称される舞乃空ののびやかな透き通る歌声に酔いしれられる楽曲となっている。なお、8月1日には、同じくZ世代の演歌・歌謡界の期待の新人、田中あいみ・梅谷心愛と3人で期間限定ユニット結成を発表。現在、ユニット名を募集している。
舞乃空と同様、『歌唱王』や『THEカラオケ★バトル』などの歌番組で話題になったZ世代の歌うまシンガーが、2023年7月5日「磐越西線ひとり」でデビューした梅谷心愛、16歳。美空ひばりを尊敬しており、『THEカラオケ★バトル』では、「人生一路」を歌唱し、番組史上最年少の12歳で100点を獲得。さらに、テレビ番組『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』では、“美空ひばり博士”として出演しており、昭和歌謡の豊富な知識で“令和の昭和歌謡少女”のキャッチフレーズもついている。美空ひばりに憧れるようになったのは曾祖母の影響で、3歳の頃からカラオケに連れて行ってもらい、美空ひばりの歌を口ずさむようになり、小学生時代は九州全土のカラオケ大会で何度も優勝。小学5年生の時には、「プロの歌手になる」と心に決めたという。
デビュー2年目となる今年4月17日には収録c/w曲を変更したデビュー曲の新装盤「磐越西線ひとり(青春盤)」をリリースし、9月25日には自身が敬愛するアーティストの名曲をカバーしたアルバム『心愛のうた〜昭和歌謡名曲セレクション〜』をリリースする。9月26日には初となるワンマンコンサート『梅谷心愛ファーストコンサート 2024』をかめありリリオホールで開催する予定だ。
最後は、今年デビューを飾る里野鈴妹(さとのすずめ)、23歳。『2023年日本クラウン新人オーディション』で準グランプリを獲得し、“あなたの心に届けたい〜スマイル演歌!”をキャッチフレーズに、9月4日「バカ酒場」でデビュー。水森英夫作曲、菅麻貴子作詞によるこの歌は、相手を思えばこそ、本当に好きなのに身を引く自分を“バカ”と表現した本格演歌で、中高音の抜けの良い声と情緒感のある節回しといった里野の魅力が存分に表現された1曲となっている。カップリングの「北吹雪」は3連の哀愁艶歌。失恋した相手の面影を探す傷心の旅で、「今さら何もかも遅い」と嘆く切ない女心を歌っている。
好きな音楽は「演歌」とキッパリ。趣味は「食べること」で、好きな言葉は「おかわり」、目標は「腹八分目に留めること」と「世界中の人を笑顔にすること」。明るく牧歌的なキャラクターで今後の活躍が大いに期待される大型新人だ。
文・河上いつ子
2024/08/28




