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NHK『紅白』 “ボーダレス”な音楽の力で、最高で最幸なエンターテインメントをお届けしたい

 コロナ禍での制限の数々を乗り切り、昨年、3年ぶりにNHKホールで有観客での開催を実現させた『NHK紅白歌合戦』。新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行した今年は、コール&レスポンスや大人数による応援合戦など、これまで以上に「生放送」「有観客」ならではの盛り上がりが期待されている。今年のテーマは、“ボーダレス−超えてつながる大みそか−”。「注目は出場歌手44組」と胸を張る制作統括の大塚信広氏に、テーマに込めた思いや意気込みを聞いた。

『第74回NHK紅白歌合戦』キービジュアル

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■出場歌手44組を若者から高齢者まで興味を引く形でプレゼンしたい

『第74回紅白歌合戦』の制作統括を務める大塚信広氏は、1999年のNHK入局以来、主に歌番組の制作を担当し、近年は紅白にも総合演出やチーフ・プロデューサーとして携わってきた。大塚氏が今年のテーマに選んだ“ボーダレス−超えてつながる大みそか−”には、彼が感じていた2つの世情があった。

「1つは、コロナが5類になって、街には多くの外国人観光客が訪れていますし、どこに行っても活気づいていて、人の往来が戻って来たと感じたこと。もう1つは、音楽の聴かれ方の変化でした。最近、昭和や平成の人気曲や洋楽が若者の間でリバイバルヒットしています。その理由は、音楽が昔のようにレコードやカセットテープ、CDを買わなければ聴けなかった時代から、スマホで聴くのが当たり前になって、どんな音楽も手軽に聴けるようになったことにあると思います。つまり人の往来も、音楽の聴かれ方も、年代や国を超えてボーダレス、シームレスになってきた。そんな今を表現した紅白を、いろいろなものを1つにつなげることができる音楽の力で作りたいと考えました」(チーフ・プロデューサー 大塚信広氏/以下同)

 そのこだわりを最も表しているのは、大塚氏が「今年の注目は44組の出場歌手」と断言するバラエティーに富んだ出場者の顔ぶれだ。

「僕ら世代が懐かしいと思っている曲が今の若者たちには新しいと思えるということが起こっている現在、往年の名曲の数々を若者に知ってもらいたいですし、逆に、今、ヒットチャートを賑わしている初出場のみなさんの歌を年配の方々に知ってもらいたい。音楽はまさに“ボーダレス”でいろいろなものを超えていける力を持っていると思います。ですから、なぜ、この人たちが今、人気なのか、この曲がなぜ、今、皆の心に届いているのかを、興味を引く形でしっかりプレゼンしたいと思っています」

NHKチーフ・プロデューサー 大塚信広氏

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 大塚氏は、入局して以来、音楽番組を担当。その後、さまざまなジャンルのアーティストをジャム(いっしょに混ぜる)することをコンセプトにした『ポップジャム』や『MUSIC JAPAN』、SNSとの融合を目指してスタートした若者向けの音楽番組『シブヤノオト』、さらに昨年4月からは紅白でも使用される101スタジオから若い世代をターゲットに熱量の高いライブを届けるとともに、視聴者と繋がるべくSNSをフル活用した企画を盛り込んだ『Venue101』、1000人の18歳世代とアーティストが一度限りのステージを一緒に作る『18祭(フェス)』などを担当。常に音楽番組の新たな楽しみ方を模索、提示してきた経緯がある。

「音楽番組の制作にあたっては、さまざまな方に取材でお話をうかがっていますが、紅白について話題が及んだとき、年配の方が『私は新進気鋭のロックバンドが好き』とおっしゃったんです。若い頃から洋楽が好きだったそうなのですが、それを聞いて、今の新しいアーティストたちのことを若い人しか知らないと思ってはいけないと確信しましたし、知らない方には納得いただけるような見せ方で、音楽をプレゼンするべきだろうと思いました」

『第74回NHK紅白歌合戦』テーマロゴ

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■覚悟をもって臨む みんながつながる紅白に

 しかし、見せ方については、頭を悩ませる問題もあった。紅組、白組に分けての歌合戦という形をどうするか、だ。

「“ボーダレス”というテーマを掲げるわけですから、当然、そこは指摘されるだろうと思いました。ただ、第1回の1951年以来、変わることなく愛されてきた形ですし、エンタメとして魅力的な形でもあると思うので、やはり継続したいと考えました」

 そのうえで、「突っ込まれるのが紅白だし、そのことをプラスに捉えようと思っている」と大塚氏は笑みを浮かべる。

「いろいろな世代の人がさまざまなことを言い合えるのが紅白の良さでもあると思っていますので、僕らの子どもの頃のように、お孫さんからおじいちゃんおばあちゃんまで一緒にお茶の間で観るということは難しくても、スマホで観る人、テレビで観る人、いろいろな人たちがさまざまな意見を言い合って、どこかでつながってくれればいいなと思います。その意味では、X(旧Twitter)もうまく活用していきたいと思っていますし、何より、『面白かったね』と言ってもらえるよう、“ボーダレス”をテーマに、みんなで盛り上がれる紅白にするべく、さまざまな演出を考えています」

■有吉、橋本、浜辺 3人のコンビネーションに期待

 今年の司会は、有吉弘行橋本環奈浜辺美波高瀬耕造アナウンサーの4人が担当する。月曜〜日曜の全曜日にわたり、NHK、民放含め、ゴールデン帯やプライム帯で冠番組を持ち、「令和のテレビ王」と称される有吉に、大塚氏はこんな期待をかける。

NHK紅白の初司会を務める有吉弘行(ありよしひろいき)

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「有吉さんがすごいと思うのは、ピリッとしたことは言うけれど、前後の空気感が絶妙で誰も傷つけたり嫌な思いをさせたりしないことです。そういう有吉さんの魅力をなるべく活かしたいと思いますし、久しぶりに芸人さんが司会を務めるという楽しみも、観るモチベーションにしていただけたらと期待しています」

昨年に続き2回目の司会となる橋本環奈(はしもとかんな)

昨年に続き2回目の司会となる橋本環奈(はしもとかんな)

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 橋本環奈は、昨年、初めて紅白の司会を務めたところ、放送中からその進行の巧みさを絶賛する声がネットで拡散。そんな橋本と、連続テレビ小説『らんまん』のヒロインとして、今年、NHKの朝の顔となった浜辺はプライベートでも仲良しの間柄。2人の醸し出す空気感にも大塚氏は期待する。

NHK紅白の司会を務めるのは初となる浜辺美波(はまべみなみ)

NHK紅白の司会を務めるのは初となる浜辺美波(はまべみなみ)

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「打ち合わせの段階でも、仲良しの2人の話に有吉さんが突っ込みを入れるなど、3人のコンビネーションがとても良いので、本番でも面白くなると思います。3人とも明るくて華やかな感じになるのではないかと期待しています」

司会を務めるNHKの高瀬耕造(たかせこうぞう)アナウンサー

司会を務めるNHKの高瀬耕造(たかせこうぞう)アナウンサー

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 先日、日本でも幅広い世代から支持を集めるクイーンアダム・ランバートが特別企画に出演することが発表となり、SNSに歓喜の声が溢れたが、今後も、新たな出演者や特別企画について、「ぎりぎりまで交渉を続ける可能性はあります」と大塚氏は語る。

「今は、74回続いている紅白を視聴者の皆さんにきちんとお届けしなければいけないという重圧でいっぱいというのが本音です(笑)。今年は制作統括という立場で、紅白歌合戦というものが世の中にどういうふうに捉えられていて、どういうところを皆さんに届けるべきなのかをしっかり見極めなくてはいけない。その中で、世代や国を超えて、人と人とをつなげ、感動を共有できる、最高で最幸なライブエンターテインメントを1年の最後にお届けできるよう、1つひとつのシーンを全力で作り上げたいと思っています」

 旧ジャニーズ組がいないことが話題となっている紅白だが、ヒットチャートを賑わすアーティストから往年のアイドル、実力派シンガーに世界的人気アーティストなどなど、国、言語、世代はもちろん、リアルとネットをもまたいで、多彩なスターが揃った今年、視聴者にどんなプレゼン方法で音楽の力を見せてくれるのか、期待したい。

『第74回NHK紅白歌合戦』ロゴ

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文・河上いつ子

■第74回NHK紅白歌合戦:https://www.nhk.or.jp/kouhaku/
■Instagram:@nhk_kouhaku
https://www.instagram.com/nhk_kouhaku/
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