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SUPER BEAVER、『東リベ』主題歌2作で見せた“寄り添う”姿勢 作品ストーリー、ファンの心情、バンドの意思をつなぐ言葉と音

 4人組ロックバンド・SUPER BEAVERが28日、最新シングル「儚くない」をリリースした。本インタビューでは、映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』(6月30日公開)の主題歌に抜てきされた同曲について、渋谷龍太(Vo)、柳沢亮太(Gt)、上杉研太(Ba)、藤原“35才”広明(Dr)に話を聞く。

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 SUPER BEAVERと同映画シリーズのタッグは、1作目(21年7月公開)の主題歌「名前を呼ぶよ」、そして2作目前編(23年4月公開)の主題歌「グラデーション」に続き、今回で3作目となる。アニメやCM、ドラマなど、数々のタイアップ楽曲で作品に寄り添ってきた彼らは、今作をどのように作り上げていったのだろうか?

SUPER BEAVER「グラデーション」ジャケット

SUPER BEAVER「グラデーション」ジャケット

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■バンドの意思との共通点 映像作品に“寄り添う”ための読解力

――映画の主題歌となると、作詞作曲に対するモードや思考などは大きく変わるものですか?

【柳沢】「作品に寄り添いたい」というところで、多少の変化はあると思います。主題歌の場合、まず脚本を読ませていただいて、そこから自分が感じたことや映画作品が表現しようとしていること、我々が今歌いたいことでリンクする部分はなんだろうなって探すんですよ。そういった点は、メンバーだけで作るときと違いますね。

――どちらの楽曲も2022年春頃から制作を始めたとのことですが、どのように楽曲のテーマを見つけていったんですか?

【柳沢】「グラデーション」に関しては、『東京リベンジャーズ』自体もそうなんですけど、敵対したり食い違う部分がありつつも、実はそれぞれの立ち位置から同じものを見ているんじゃないかって思ったんです。人や立場が違うと見方も感じ方も違うから、それによって価値観みたいなものはすれ違っていく。だけど同時に、自分の中で1つの意思があったとしても、自分の中にある考えはその1つだけじゃないということにも気づく、と。そんな白か黒かでは言い表せない微妙な気持ちみたいなものが、映画作品とも今歌いたいことともリンクして、“グラデーション”という言葉で表わしています。

SUPER BEAVER・柳沢亮太(Gt)

SUPER BEAVER・柳沢亮太(Gt)

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――人の気持ちもいろいろな事柄で常に変わるものですから。

【柳沢】そうですよね。「グラデーション」のサビでは<ごめんねに込めた ありがとう>とか<ありがとうに込めた ごめんね>という歌詞を書いているんですけど、その<ごめんね>って言葉の中に、ときには“ありがとう”って気持ちが含まれていたりもするじゃないですか。

――少しクダけた質問になりますけど、最近「ごめんね」と思わず言ってしまった出来事はありますか?

【上杉】直近で言ったら、さっき藤原の足を踏んじゃったときかな(笑)。そう考えたら、毎日なにかしらポロッと「ごめん」って言っていますね。

【柳沢】最近はずっとツアーを廻っているので、集合時間が決まっているんですよ。で、ちょっと遅れそうなときは、先に「ごめん」って連絡します。言い訳っぽく聞こえちゃうけど、ホテルのエレベーターがなかなか来ないことが多くて…。

【上杉】完全にただの言い訳じゃねぇか(笑)。

【渋谷】先日『ミュージックステーション』に、スピッツに関するコメントで出させていただいたんですけど、そのときに「バニーガール」という曲についてお話させていただいて。でも実は、収録だと3曲分しゃべったんです。で、放送後にSNSで「もっとしゃべってください」ってコメントをいただいたので、「実は収録では3曲分しゃべりました。さて、この中から僕が選んだ3曲はどれでしょう?」って問題を出したんですよ。

【柳沢】あぁ、そのやりとりは見たよ。

【渋谷】でも、いまだに正解を投稿していません(笑)。今、ごめんねって気持ちでいっぱいです。

――このインタビューで答えを明かすつもりもないわけですね?

【渋谷】まだセレクト中で…ごめん(笑)。

SUPER BEAVER・渋谷龍太(Vo)

SUPER BEAVER・渋谷龍太(Vo)

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■初となる外部プロデューサー起用で得た発見

――もう1曲の「儚くない」の構想はいつ頃から?

【柳沢】そもそも今回の映画の主題歌のお話をいただいたとき、後編の主題歌まで決定していたわけじゃなかったんですよ。「楽曲を聴いてから、きちんと判断したい」と。あと、そのときに「前編の終わりで流れる楽曲ではなくて、後編で大団円を迎えたい」という話も聞いて。なので、そのときからなんとなく、なにかを包み込めるような…ゆったりしたテンポの壮大な楽曲にしたいとは考えていましたね。

――どういうふうにテーマを決め込んでいったのでしょうか?

【柳沢】今回の映画作品の根底にあるのは、「この人とともに生きる未来に辿り着きたい」ということだと感じたので、“生きること”とか“命”みたいなところに、自分の中でフォーカスを当てていきました。それに、コロナ禍以降で命に対して思ったことを、今一度ちゃんと歌にできたらいいなとも思っていたんです。

――というと?

【柳沢】これまで何度も「人生は儚い」という言葉を耳にしてきたけど、意味することは分かるものの、その一言だけでは片づけられないからこそ人生は楽しいし、苦しいわけで。そういうすごくイビツなものなんじゃないか、だからこそ美しいと言えるんじゃないか、そういうことを歌にしたいって気持ちがすごくあったんです。今回の映画が、そういった気持ちを歌にしてくれるきっかけになったというか。ここまで正面からじっくりと命や死生観について歌ったのは初めてだと思います。

――「グラデーション」では、バンドサウンドの熱さやエネルギッシュな部分が楽しめますが、ライブ感そのままというより、とても考えられたアプローチが織りなすアンサンブルになっています。

【柳沢】「グラデーション」はアレンジを詰める過程でいろいろな変化が起こりました。この曲は1番のサビで転調して、最後のサビでまた転調するんですけど、それが決まったのも、メンバー4人で音を出しながらアレンジ作業を詰めていく最中で。渋谷が歌ったとき、「AメロとBメロはこの高さでいいけど、サビはもうちょっとこういうキーのほうがいいんじゃないか」ってメンバー同士で話したんです。

――ストリングスの存在感も重要な要素になっていますね。

【柳沢】ストリングスも最初の構想では入っていなかったんです。でもアレンジを進めるうちに、「サビの画角をもうちょっと広げるためにストリングスの力を借りてみたら、もっといいものになるんじゃないか」という会話もあって。ストリングスのフレーズを考えながらサビのコード感についても相談したし、「グラデーション」では実際に音を鳴らしながら会話をして、どんどん進化させていく瞬間が多かった気がします。

SUPER BEAVER・上杉研太(Ba)

SUPER BEAVER・上杉研太(Ba)

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【上杉】ベース的には「グラデーション」も「儚くない」もめちゃくちゃ考えたんですけど、壁にぶち当たった感じは特になくて。スタジオで録りながらアレンジの細部を考えていったとき、やっぱり会話の中から発想が生まれていった感覚でした。アンサンブルや音色をこうしたほうがいいって、どんどん連鎖していったんですよね。あと、「儚くない」では初めてサウンドプロデューサーを起用させていただいたこともあって、2曲ともすごく充実感がありました。

――サウンドプロデューサーの河野圭さんとは、具体的にどんなやり取りが?

【柳沢】事前にデモをやりとりするというより、スタジオで一緒にセッションしながらブラッシュアップしていった感じです。大もとのアレンジをごっそり変えるんじゃなくて、フレーズやブレイクの仕方など、各セクションの細かい部分を一緒に精査してもらったんです。

【藤原】「儚くない」のドラムを作る上では、河野さんとご一緒できたことが大きかったです。自分で基本的なアレンジをした上で、「+アルファでアイデアはないですか?」と相談させていただいたんですけど、いいことしかなかったし、新しい発見もあったし。何より純粋に楽しめて、すごくいい時間でした。

SUPER BEAVER・藤原“35才”広明(Dr)

SUPER BEAVER・藤原“35才”広明(Dr)

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――新しい発見というと?

【藤原】河野さんは実際にドラムも叩きながら提案もしてくれて。ハイハットのニュアンスにしても叩き方のバリエーションや叩く順番、ハットの開き方といったいろいろなニュアンスの出し方を教えてくれましたし、「1サビにはこれで、間奏はこれ、ラストはどうする?」とすごく細かいところまで綿密に一緒に作ってくれたんですよ。「グラデーション」に関してはタイトルに引っかけて、ハット、キック、スネアとかのバランスがグラデーションしていくように、音数もちょっとずつ増やしていって、気づいたらサビに突入している感じにしています。

――ドラムのアプローチにちゃんとストーリーがあるんですよね。

【藤原】そうです。ギターやベースやドラムがどの順番でどういう音から入って、どんな感じで増えていくのがカッコいいのか…とか、すごく細かくアレンジしていきました。全員で、いい意味で回り道をしながら作ったなって印象があります。

SUPER BEAVER「儚くない」ジャケット

SUPER BEAVER「儚くない」ジャケット

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■シンガーとしての向き合い方 聴き手に届く瞬間の喜びと驚き

――「儚くない」は重いテーマも根底にある曲ですから、シンガーとしては身構えるような部分もあったのでは?

【渋谷】曲によって構え方は変わるので、ことさら「儚くない」だけが構える曲ということでもなかったんです。ただ、そもそも楽曲が持っているテーマの広さ、聴いてくださった方に楽曲が浸透していったときにどう変わるのかなど、今までの楽曲よりも度合いが大きい曲になるだろうなと思いました。自分たちの思いやパーソナルなことを落とし込んだとしても、聴いてくださった方によって相当変化する楽曲だろうなと。なので、聴いたときの伸びしろのデカさはかなり意識しながら歌っていますね。聴いてくださった方が自分の人生のなにかを投影できるほうがいいと思っていました。

――「グラデーション」をライブで披露した際、聴きながら涙している方や、この曲によって気持ちを救われた方も多いです。生み出した楽曲が聴き手のものになった瞬間、メンバーはどんな気持ちになるものですか?

【渋谷】驚くことが多いです。「ちゃんと届いていてうれしい」というのが最初の気持ちなんですけど、その次に来るのが「あっ、そうなんだ!?」ってことも意外と多いです。自分たちの持ち寄った気持ちがしっかり届いて、その方の人生や考え方とリンクした結果の感情だと思っているんですけど、思ってもみない形で現われることも多かったりするので。こんなふうに届くんだって、教えてもらっている感じがするんです。それが自分たちの感情を向けるべきベクトルや、伝え方の方向性を考え直すきっかけにもなりますね。

――ライブでファンと一緒に呼吸させていったことで、意外な方向に成長した曲はありましたか?

【渋谷】「グラデーション」はまさにそんな感じです。当初は腰を据えて、青い炎的に力強く歌うものだと思っていたんです。ところが実際は、案外赤い炎寄りだったというか。この曲を受け取ってくれた方も、そういう感じだったんだなと。自分たちでも「グラデーション」の新しい側面を、フロアの反応から教えてもらった感じがします。

――7月22日と23日には、富士急ハイランド・コニファーフォレストで『SUPER BEAVER 都会のラクダ SP〜真夏のフジQ、ラクダにっぽんいち〜』が開催されます。

【渋谷】自分たちの基本は“ライブ1本勝負”だし、ステージにすべてを懸けるというスタイルは今回も変わりません。でも、せっかく野外でやらせていただくので、会場全体を楽しんでいただけるようにいろいろな施策を考えています。ただ…今はまだ別のツアーの真っ最中で(笑)。

――「お楽しみに」ということですね。最後に、これからSUPER BEAVERに出会う方に向けてメッセージをください。

【渋谷】ライブに来たら絶対に損はさせません。本当に1本1本全身全霊を込めてやっているので、なにかを持って帰っていただけるようなステージをしっかり見せられると思います。行ってみようかなと迷っているなら絶対に来てください。このインタビューで初めて俺らを知ったという方も、絶対に観に来てほしいです。

――「心が震えるライブとはこういうものだ」と分かるライブですからね。

【渋谷】それ、太字で書いておいてください(笑)。

■「儚くない」レコーディング&ライブ使用機材
・Fender Jaguar 1965

柳沢’s Fender Jaguar 1965

柳沢’s Fender Jaguar 1965

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「ピアノやストリングスが入っているので、レコーディングはJaguarのシングルコイルを活かしました。ただ、ライブではGibsonのES-335で演奏しようかなと考えています。シーケンス音源を走らせずにバンドだけでやる場合、温かさとある程度の音域の広さがほしいんです。そう予想していたので、ミュージックビデオでも335を使っていますね(笑)」(柳沢)

柳沢’s Fender Jaguar 1965

柳沢’s Fender Jaguar 1965

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・Aozax Guitar Garage Manolete 5st for LEADER #2

上杉’s Aozax Guitar Garage Manolete 5st for LEADER #2

上杉’s Aozax Guitar Garage Manolete 5st for LEADER #2

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「レコーディングでは普段から使っているFender Jazz Bassで録ったんですけど、ライブでは『儚くない』もアクティブの5弦ベース(同モデルの#1)で弾こうと思っていたんです。ただ、5月末に完成したこの2本目は、ピックアップがJPJという特殊な配列になっているから、ジャズベの中にプレベのパワーを足すことができるし、どちらかの性質に寄らせることもできるんですね。なので、この#2でジャズベっぽい質感を出せればと考えています」(上杉)

上杉’s Aozax Guitar Garage Manolete 5st for LEADER #2

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文:長谷川幸信

関連写真

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  • SUPER BEAVER・渋谷龍太(Vo)
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  • 柳沢’s Fender Jaguar 1965
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  • 柳沢’s Gibson Les Paul Custom 1989
  • 柳沢’s Gibson Les Paul Custom 1989
  • 上杉’s Aozax Guitar Garage Manolete 5st for LEADER #2
  • 上杉’s Aozax Guitar Garage Manolete 5st for LEADER #2
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