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【リリース】高橋真梨子、“最後の全国コンサートツアー”を音源化 アニバーサリー作品に込めた50年の軌跡

 ペドロ&カプリシャスの2代目ボーカリストとしてデビューしてから50年、歌手・高橋真梨子が2023年3月8日に、ライブアルバム『Last Tour LIVE! Our Days』をリリースする。22年1月27日よりスタートした“最後の全国コンサートツアー"(42公演)の模様をMCとともに音源化したもので、11月9日・10日の2日間、東京国際フォーラムホールAで行われた公演を収録。また、同日にはベストアルバム『高橋開店50周年』もリリース。13年リリースの『高橋40年』、20年の『高橋千秋楽』に続く、“高橋三部作”の最終作に位置付けられている本作は、ライブとともに歩んできた高橋ならではの企画となっており、これまでステージで歌ってきた数多くの名曲の中から、歌唱回数が多い上位15曲を収録した内容になっている。

3月10日にレコードデビュー50周年を迎えた高橋 真梨子

3月10日にレコードデビュー50周年を迎えた高橋 真梨子

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■歌の世界に漂う 外国人同士の恋愛ドラマのような香り

 高橋真梨子といえば、ライブ活動にその主軸を置き、長い年月、数多くの公演を行ってきたことでも知られる。これまでに行われたコンサートの回数は、ソロとしてツアー2805本、海外などのスペシャル・ライブ19本、ディナーショーは313回というとてつもない記録を残している。この中には、アメリカのカーネギー大ホールでの3回の公演も含まれており、同ホールで複数回の公演を成功させたのは、日本人では高橋のみである。

 福岡県博多の出身である高橋は、ジャズ・プレイヤーだった父の影響で、14歳でジャズの勉強を始め、16歳で上京してジャズ・ピアニスト柴田泰に師事して、歌のレッスンを続ける。高校卒業後にいったん博多へ戻り、ライブハウスで活動していたところを、ペドロ&カプリシャスのリーダー、ペドロ梅村に誘われて再び上京。同グループの2代目ボーカリストとして、1973年に「ジョニィへの伝言」でレコード・デビューする。この頃は「高橋まり」を名乗っていた。

 ペドロ&カプリシャスはもともとラテン音楽をベースに、ジャズやロックも演奏するコンボ・バンドであった。当初はヨーロッパ系のポピュラー・ソングのカバーで大ヒットを飛ばしていたが、高橋を2代目のボーカリストに迎えたことで、楽曲の傾向が大きく変化した。「ジョニィへの伝言」に続く「五番街のマリーへ」は、当時の歌謡界のヒットメーカー、阿久悠都倉俊一のコンビによる作品で、アメリカ映画のワンシーンを思わせるような、日本人離れしたスケールの大きな作品となっている。

 ヨーロピアン路線からの大きな転換は、間違いなく高橋のボーカルの質感による変化であろう。彼女のやや低めな、アルトの乾いた声質は、アメリカ西海岸サウンドと相性がよく、歌の世界も外国人同士の恋愛ドラマのような香りを漂わせていた。ジョニィやマリーといった外国人の名前の出てくる歌から広がるイメージはまさに、アメリカの風景なのだが、そういう世界を日本語で歌って説得力を持たせられるのは、高橋のボーカル力があってのもの。実際、ペドロ&カプリシャスのアルバム収録曲も、「雪が降る」などのヨーロッパ系作品のカバーから、カーペンターズスティーヴィー・ワンダーサンタナといったアメリカン・ポップスやラテン・ロック、R&Bのカバーが増えており、高橋はそのどれをも見事に歌いこなしている。

■大人の女性をもうならせる 映画のワンシーンのような抜群の説得力

 その後も「陽かげりの街」「愛をつくろうメキシコで」などの秀作を発表したのち、1978年にグループを離れ、本名の高橋真梨子としてソロ活動を開始した。この時のソロ・デビュー作は尾崎亜美が提供した「あなたの空を翔びたい」(78年)。女性から別れを告げたものの、それを後悔し再び寄りを戻したいと願う女性の心情を歌ったポップスは、当時はまだ数少なく、スケールの大きなメロディーと、日本的なウェットさを排した高橋の乾いたボーカルの質感がマッチし、豊かな情感を生み出している。

 1982年には、発表時から現在に至るまで、ライブの定番曲として愛され続けている「for you…」を発表。長い年月、友人関係を続けた男性への、真の愛に気づいた主人公が「あなたのすべてが欲しい」と訴えかける曲で、その切々とした感情は、彼女と同世代である女性ファンの心を鷲づかみにした。自立した大人の女性がふと見せる、恋心や切ない思いを歌うと、抜群の説得力を見せるのだ。

 そんなボーカルの質感に、新たな色合いが加わったのは「桃色吐息」(84年)だろう。作詞の康珍化が描く男女のロマンスは、ヨーロッパの香りを漂わせつつ独特の艶をまとった佐藤隆のメロディーと、高橋の落ち着いたアルトの歌声によって、色香が立ち上る大人の愛の情景を描いたナンバーに昇華した。CMソングとして流された効果もあり、オリコン週間シングルランキングで4位まで上昇、ソロとなって初の大ヒットとなっている。

 「はがゆい唇」(92年)もまた、大人のロマンティックな恋愛感情を歌い、多くの人々に親しまれるナンバーとなった。阿木燿子の描く男女のラブ・アフェアの濃密かつ濃厚な世界観は、高橋の歌唱によって抜群の説得力をもたらし、聴くものを唸らせた。大人の女性がうっとりとその世界に入り込める、まるでフランス映画の濃厚なワンシーンが、5分弱の短い歌の中に凝縮されているのだ。

 そして、96年にリリースした「ごめんね…」では、その個性をさらに多くの人に知らしめることになった。同曲は、「火サス」の愛称で親しまれた人気2時間ドラマ『火曜サスペンス劇場』(日本テレビ系)の主題歌に起用された。高橋本人が作詞を手がけ、過去の過ちを後悔する女性の心情を切々と包容力たっぷりに歌い、長らくランキングTOP30内を定位置とした。高橋の代表作の多くはロングセラー化するケースが多く、トレンドが常に変化し、浮き沈みの激しい音楽シーンにおいて、稀有な輝きを放っている。まさしく彼女でなければ歌うことのできない世界観があったからに他ならない。

■「引退ではないので安心してほしい」 コンサートの女王ならではの一区切り

 このように国内でも類を見ない特性を持つシンガー高橋真梨子の魅力は、ライブでこそ発揮される。ソロ・デビューしてから40年以上に渡って、通算で2800本を超えるライブを行ったと前述したが、女性シンガーでこれだけ長い年月、ステージで歌い続けてきたことは特筆に値する。そして、その活動を後押ししてきたのは大人の女性層だ。それはひとえに、彼女の歌の世界が、多くの成熟した女性たちに共感を与えるものであるからに他ならない。言い換えるなら、常に若いフレッシュなシンガーが台頭する日本の音楽シーンにあって、高橋が大人の歌を歌って説得力をもたせることのできる、ワン・アンド・オンリーの歌手であることの証明でもあると言えよう。

 50年間、走り続けてきた高橋真梨子は、今回のライブアルバムとベスト・アルバムの発表をもって、自身のコンサート活動に一区切りをつけたが、ツアーラストを飾った地元福岡での凱旋ファイナル公演(23年1月27日)のステージで「引退ではないので安心してほしい」「また歌うかもしれない」とコメントを残している。その日が来るまでは、この2枚のアルバムを聴いて、再会を心待ちにしたい。
※高橋の「高」は、「はしごだか」

文:馬飼野 元宏

ライブ・アルバム『Last Tour LIVE! our Days』(2023年3月8日発売)

ライブ・アルバム『Last Tour LIVE! our Days』

ライブ・アルバム『Last Tour LIVE! our Days』

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CD 2枚組/VICL65765〜65766/3850(税込)
ライブの模様をMCと共に音源化(11月9日・10日 東京国際フォーラムホールA公演より)

<収録曲>
【DISC-1】
01. ありがとう
02. 遥かな人へ
03. MC 1
04. ジョニィへの伝言
05. 五番街のマリーへ
06. 陽かげりの街
07. 桃色吐息
08. ごめんね・・・
09. OLD TIME JAZZ
10. Unforgettable
11. EVERYTIME I FEEL YOUR HEART -君と生きたい-

【DISC-2】
01. You don't know what love is
02. やさしい夢
03. はがゆい唇
04. フレンズ
05. オレンヂ
06. この気分が好きよ
07. アナタの横顔
08. for you...
09. 海色の風〜君住む場所へ〜
10. グランパ
11. MC 2
12. The Road〜エンディング
13. 別れの朝

『「高橋」開店50周年』(2023年3月8日発売)

『「高橋」開店50周年』【初回限定盤】

『「高橋」開店50周年』【初回限定盤】

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【初回限定盤】CD+DVD/VIZL-2150/5500(税込)
DVD:2020年収録、21年にWOWOWで放送されたスタジオライブ8曲と、ヘンリーバンドとの座談会の模様を収録したDVD付

『「高橋」開店50周年』【通常盤】

『「高橋」開店50周年』【通常盤】

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【通常盤】CD/VICL-65850/3300円(税込)

<CD収録曲/共通>
01. 桃色吐息
02. for you...
03. グランパ
04. はがゆい唇
05. ごめんね・・・
06. あなたの空を翔びたい
07. 五番街のマリーへ
08. ジョニィへの伝言
09. 遥かな人へ
10. フレンズ
11. 陽かげりの街
12. 流れる・・・
13. ハッピーエンドは金庫の中
14. 蜃気楼
15. ランナー

<初回特典DVD「高橋真梨子STUDIO LIVE 2020 'THE FIRST'」>
01. 桃色吐息
02. はがゆい唇
03. ジョニィへの伝言
04. 五番街のマリーへ
05. 高橋真梨子とヘンリーバンドの座談会
06. ごめんね・・・
07. for you...
08. やさしい夢
09. フレンズ
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