4人組ロックバンド・a flood of circleが、10曲入りのニューアルバム『花降る空に不滅の歌を』を2月15日にリリースした。
前作『伝説の夜を君と』から約1年2ヶ月ぶり、12枚目のフルアルバムとなる今作は、昨年10月20日のフリーライブ『I'M FREE 2022』のステージ上で告知され、ファンを沸かせた。ギタリスト・アオキテツの正式加入から5年、さまざまなスペシャル企画を展開した結成15周年なども経て、4人が今作で提示するサウンドとは?
そんなアルバムの詳細を掘り下げるべく、このほどORICON NEWSは、制作を終えたばかりの佐々木亮介(Vo&Gt)、アオキテツ(Gt)、HISAYO(Ba)、渡邊一丘(Dr)へのインタビューを敢行。本作に込めた思いやサウンドアプローチについて聞いた。
■短期間の制作で込められた“現在のモード”「必要な曲はなんとなくイメージできていた」
――今作『花降る空に不滅の歌を』の制作をスタートさせた当初、どんな作品像をイメージしていたのでしょうか?
【佐々木】自分的に、前のアルバムまでの3作(2019年3月発売『CENTER OF THE EARTH』、2020年10月発売『2020』、2021年12月発売『伝説の夜を君と』)は、テツが加入してからの“第一章”のような感覚で作っていたんです。いろいろと手広くやるっていうよりも、バンドの土台を固めるためのもの。メンバー全員で曲や詞を書いたミニアルバム『HEART』(2019年11月発売)とかも作って、みんながどんなふうにバンドと関わっていくのか探ってきた5年間だったかなって。そういう期間を経て、今回は一度、俺が全部作るという方向に舵を切ったんです。
――アルバムを制作する中で、キーポイントになった出来事はありましたか?
【佐々木】前回のツアーファイナルだったLINE CUBE SHIBUYA公演(昨年7月8日開催)と、代々木公園のフリーライブがデカかったかな。それこそ「花火を見に行こう」は、LINE CUBE SHIBUYAに向けてツアーの終盤に作った曲で。そこから4ヶ月間でアルバムの曲を書いていったので、制作期間は今までで一番短かったんじゃないかな。今回はストックから曲を引っ張り出すことも一切やらなかったし。
――ストックを使わなかったのは、現在のモードの曲だけを収録したかったから?
【佐々木】そこまで深くは考えていなかったけど、振り返ってみるとそうなのかな。今の自分たちに必要な曲は何となくイメージできていたんです。
――フリーライブから受けた影響は?
【佐々木】俺らはもともとワンマンライブをやることが多いし、コロナ禍になって今まで以上に対バンが少なくなったんです。そうなると、もう俺らのことを知っている人以外に観てもらう機会がないじゃないですか。だから、わかりやすくフリーライブをやることにして。そうやってフリーライブに向かっていく時期と、アルバムの制作が同時進行していたんで、自然と自分たちのモードとか気持ちもそうなっていった感じがあったかな。
■制作法の変化が気づかせたバンド力「数え切れないくらい曲を作ってきたからこそ」
――佐々木さんがデモを作り込むという定番の制作スタイルは、今作も変わらず?
【佐々木】いや、メンバーには申し訳なかったんですけど、今回は俺自身も「できたものが答え」っていう感じで作っていったんですよ。ギリギリまで自分を追いつめて、もっとよくしていこうと思っていたから、自分でも最終型が見えていない状態でデモを送っていて。
――制作法の変化にともない、曲調にも変化を感じましたか?
【HISAYO】その“決め込まない”っていうのが一番の変化だと思います。こっちも正解がわからないんですよ(笑)。だから、どんな歌が乗っても良いように土台を作るようにして…。でもこれは、今まで数え切れないくらい曲を作ってきた経験があるからこそできたことだなとも思うんです。
【渡邊】俺も姐さん(HISAYO)が言った通りだと思う。あと、テツが加入する前までに自然とでき上がっていた“しきたり”みたいなものが、ようやく今回なくなったかなって。さっき亮介が言っていたように、前作までの3作で新しい“しきたり”を作れた気がしていて、その感覚があるから「ここはこう来るんじゃないか…?」って予想しながら、フレーズを決めていけたんですよね。
――アオキさんは今回の制作にどう向き合いましたか?
【アオキ】今回はスタジオで作っているときに「ああしたい、こうしたい」って話すことが多かったんで、セッション感があって楽しかったッスね。
――佐々木さんの中で印象的だった曲は?
【佐々木】エピソード的な面で言うと、「花降る空に不滅の歌を」はいいなと思っています。この曲は<ベイビー>っていう対象を立てて物語を作っているんですけど、アルバムを録り終えた直後に奈良(美智)さんからCDジャケットの絵が届いて。そのとき、「あ、俺はこの子のことを歌っていたんだ」って思えたんです。
――今作は画家・奈良美智氏の絵がCDジャケットに使用されたことでも話題となりましたが、その絵と歌がリンクした感覚でしたか?
【佐々木】もともと奈良さんの作品が好きでジャケットをお願いしたわけなんで、意識のどこかにいつも奈良さんの絵があったと思うし、そこに感情移入していくのは当然なんだけど。ただ、俺から「こういう絵にしてほしい」と伝えたわけじゃないし、奈良さんにも当時できていた数曲しか送れていなかったんですよ。だから、なおさらハマった感じがありましたね。そういう目に見えない縁とかが歌にも入ったと思う。
■「3人を信頼しているからこそ、甘えている」――自身を追い込んだ結果、見出された“俺”へのフォーカス
――歌詞は最後に乗せられたとのことですが、作詞の面で一番苦労した楽曲は?
【佐々木】やっぱり1曲目に何を歌うのかが、今の自分にとっては大事で。丁寧に書けばいいってことでもなく、逆に勢いがあればいいってことでもなくて、みんなに気を遣えばいいわけでもないというか。自分にブレーキをかけずにさらけ出したものじゃないと、メンバーに失礼だなって考えるようになったんです。
――“失礼”とは?
【佐々木】俺はこの3人を信頼しているからこそ、甘えているんですよ。「必ず良い演奏をしてくれるに決まっている」って。だったら、「お前は死ぬ気でいい歌を書きなさいよ」と。ここで俺が乗り越えられなきゃ先はない…そういうプレッシャーを自分にかけて、突き抜けられるのかどうか悩みながら、ギリギリまで追い込んでいたんです。
――1曲目「月夜の道を俺が行く」の歌詞には、初めてご自身の名前も登場します。
【佐々木】俺は面白さも大事だなと思っているんです。本気で悩んでいることであれ、本気で楽しもうと思っていることであれ、笑いなのか興味深さなのか…そこには何かしらの面白さが存在する。逆にそれがないのはダメだなって。だから、俺らが自然に鳴らしているサウンドで、かつ一番面白いものがいいなと思ったんです。その上で、ステージで爆発していることが想像できるもの。結果、<くたばれ>とか<佐々木亮介>って歌っちゃうという(笑)。
――そういった思考になったキッカケはありましたか?
【佐々木】ソロの活動で、ラップカルチャーとかを意識していた影響もあると思います。ラップにはメロディーがないから、自然とストレートに自分をさらけ出すことになるじゃないですか。その結果、今回のアルバムは今までで一番面白くて、一番さらけ出していると思う。正直「まだまだだな、もっと行けるな」とも思っているけど、とにかくどこかでかっこつけたり、安易に聴こえのいい言葉を使わないように意識していました。
――みなさんは完成した歌詞を聴いてどんな印象を受けましたか?
【渡邊】いつもと比べて色を使っているなっていう印象でした。これまでは2色刷りみたいなアルバムが多かったし、俺ら…というかロックってそういうものだとも思うんだけど、そこをぶっ壊す感じで、カラフルなアルバムになってよかったんじゃないかなと思います。
【HISAYO】私は、“俺”が多いアルバムだと思ったんです。しかも、曲の大事なところに“俺”を持ってくることが多いなって(笑)。ここまで自分のことを歌う曲って、今まではアルバムの中で1曲くらいだったんだけど、何曲もあるってことはよっぽどなんだなと。
【アオキ】俺は「月夜の道を俺が行く」の<終身刑 俺>っていう言葉が結構好きで。結局何者にもなれない俺、みたいな感じがいいんスよね。あと、今回は10曲全部、佐々木くんが見て感じたものをそのまま物語として作った感じがするのもいいなって思う。
【佐々木】前回のアルバム『伝説の夜を君と』は、タイトルの通り “相手”を意識した部分が強かった気もするんです。それは過去の曲の美点でもあるんだけど、あるとき「なんか嫌われないようにしてんのかな?」って感じたんですよね。暑苦しさを何かで緩和しようとしているというか。でも、「それが嫌なら聴かなくていい」って言えるくらいのパワーがなきゃ次に行けないと思ったんです。
――今作はマインドの面でも大きくアプローチを変えたアルバムになっていますが、前作がなければ今作の心象描写も生まれなかったのではないかと思います。
【佐々木】 “第一章”って言ったけど、結局はグラデーションなんですよ。今回のアルバムタイトルが日本語なのも、『伝説の夜を君と』を姐さんが褒めてくれたからだし(笑)、ヘヴィな音にしないっていうのも前作からの流れ。その中で今回ハッキリと一歩踏み込んだ部分があるとすれば、“俺”っていうところになるのかな。
――そんな同作を引っ提げた全国ツアー『Tour 花降る空に不滅の歌を』への意気込みは?
【HISAYO】このアルバム自体、決めきらずに作った作品なので、曲たちがツアーで進化しそうだなと思っています。ツアーの序盤と終盤では印象が変わっているかもしれないから、そこをお客さんも見てほしいなと思うし、私も楽しみにしています。
【渡邊】とにかく長いツアーなので…とりあえず健康で、怪我なくがんばりたいなと(笑)。姐さんが言ったみたいに曲たちもどうなっていくかわからないし、俺たち自身の演奏もどう変わっていくのかわからない。そういう不確定要素をいい確定事項に変えていけたらいいなって思います。
【アオキ】もうスタジオで練習を始めているんですけど、すでに音源と印象が変わってきている曲もあるんで、そこを楽しみにしてもらえたら。まぁ何より、北海道に行くのが寒い時期じゃなくて良かった(笑)。
【佐々木】もう俺らの音楽を好きだって言ってくれている人に対しては、テツが言った通りかな。前まではライブを意識して録るようにしていたけど、今回のアルバムは4人だけの音じゃ絶対に表現しきれないようなこともいっぱいやっていて。でも、ギリギリまで悩んで録ったわけだから、音源は音源としてベストな状態だと思う。だから、それをライブのためにもう1回カバーするくらいの気持ちでいいかなと。アルバムを好きになってくれたら、ライブではさらに派手に力強く演奏できると思うんで、楽しみにしていてほしいですね。
――今作で新たにa flood of circleの音楽に触れた人に対して伝えたいことは?
【佐々木】アルバムを作る中で「わり切った自分」とか「これが答えだ」って言えるものが、どんどんなくなっていったんです。ただ、めちゃくちゃ正直に言うと、「それでも生きて行くんだ」ってほど力強くもなくて。その“正直”って部分を今回は大事にしたというか。「生きづらい」とか簡単な言葉では言いきれないくらい、本当にいろいろな感情を行ったり来たりしたんで、そう感じている人がライブを観てくれたら、何か渡せるものがあるんじゃないかと思っています。
■アルバム『花降る空に不滅の歌を』収録曲
01. 月夜の道を俺が行く
02. バードヘッドブルース
03. くたばれマイダーリン
04. 如何様師のバラード
05. 本気で生きているのなら
06. カメラソング
07. 花降る空に不滅の歌を
08. GOOD LUCK MY FRIEND
09. Party Monster Bop
10. 花火を見に行こう
■全国ツアー『Tour 花降る空に不滅の歌を』日程
2月23日 千葉・千葉LOOK
2月24日 千葉・千葉LOOK
3月2日 静岡・静岡UMBER
3月3日 愛知・名古屋CLUB UPSET
3月10日 神奈川・横浜F.A.D
3月15日 岡山・岡山PEPPERLAND
3月16日 岡山・岡山PEPPERLAND
3月18日 京都・京都磔磔
3月22日 東京・新代田FEVER
3月23日 東京・新代田FEVER
3月28日 神戸・神戸太陽と虎
3月30日 岐阜・岐阜ants
4月1日 石川・金沢vanvanV4
4月2日 長野・長野J
4月7日 高松・高松DIME
4月9日 大阪・堺FANDANGO
4月14日 北海道・札幌PENNY LANE24
4月15日 北海道・旭川CASINO DRIVE
4月22日 福島・郡山HIPSHOT JAPAN
4月23日 新潟・新潟CLUB RIVERST
5月18日 茨城・水戸LIGHT HOUSE
5月20日 岩手・盛岡CLUB CHANGE WAVE
5月21日 宮城・仙台CLUB JUNK BOX
5月25日 大分・大分Club SPOT
5月27日 鹿児島・鹿児島SR HALL
5月28日 福岡・福岡CB
5月30日 広島・広島SECOND CRUTCH
6月1日 愛知・名古屋CLUB QUATTRO
6月2日 大阪・umeda TRAD
6月16日 東京・Zepp Shinjuku
前作『伝説の夜を君と』から約1年2ヶ月ぶり、12枚目のフルアルバムとなる今作は、昨年10月20日のフリーライブ『I'M FREE 2022』のステージ上で告知され、ファンを沸かせた。ギタリスト・アオキテツの正式加入から5年、さまざまなスペシャル企画を展開した結成15周年なども経て、4人が今作で提示するサウンドとは?
そんなアルバムの詳細を掘り下げるべく、このほどORICON NEWSは、制作を終えたばかりの佐々木亮介(Vo&Gt)、アオキテツ(Gt)、HISAYO(Ba)、渡邊一丘(Dr)へのインタビューを敢行。本作に込めた思いやサウンドアプローチについて聞いた。
■短期間の制作で込められた“現在のモード”「必要な曲はなんとなくイメージできていた」
【佐々木】自分的に、前のアルバムまでの3作(2019年3月発売『CENTER OF THE EARTH』、2020年10月発売『2020』、2021年12月発売『伝説の夜を君と』)は、テツが加入してからの“第一章”のような感覚で作っていたんです。いろいろと手広くやるっていうよりも、バンドの土台を固めるためのもの。メンバー全員で曲や詞を書いたミニアルバム『HEART』(2019年11月発売)とかも作って、みんながどんなふうにバンドと関わっていくのか探ってきた5年間だったかなって。そういう期間を経て、今回は一度、俺が全部作るという方向に舵を切ったんです。
――アルバムを制作する中で、キーポイントになった出来事はありましたか?
【佐々木】前回のツアーファイナルだったLINE CUBE SHIBUYA公演(昨年7月8日開催)と、代々木公園のフリーライブがデカかったかな。それこそ「花火を見に行こう」は、LINE CUBE SHIBUYAに向けてツアーの終盤に作った曲で。そこから4ヶ月間でアルバムの曲を書いていったので、制作期間は今までで一番短かったんじゃないかな。今回はストックから曲を引っ張り出すことも一切やらなかったし。
――ストックを使わなかったのは、現在のモードの曲だけを収録したかったから?
【佐々木】そこまで深くは考えていなかったけど、振り返ってみるとそうなのかな。今の自分たちに必要な曲は何となくイメージできていたんです。
――フリーライブから受けた影響は?
【佐々木】俺らはもともとワンマンライブをやることが多いし、コロナ禍になって今まで以上に対バンが少なくなったんです。そうなると、もう俺らのことを知っている人以外に観てもらう機会がないじゃないですか。だから、わかりやすくフリーライブをやることにして。そうやってフリーライブに向かっていく時期と、アルバムの制作が同時進行していたんで、自然と自分たちのモードとか気持ちもそうなっていった感じがあったかな。
■制作法の変化が気づかせたバンド力「数え切れないくらい曲を作ってきたからこそ」
――佐々木さんがデモを作り込むという定番の制作スタイルは、今作も変わらず?
【佐々木】いや、メンバーには申し訳なかったんですけど、今回は俺自身も「できたものが答え」っていう感じで作っていったんですよ。ギリギリまで自分を追いつめて、もっとよくしていこうと思っていたから、自分でも最終型が見えていない状態でデモを送っていて。
――制作法の変化にともない、曲調にも変化を感じましたか?
【HISAYO】その“決め込まない”っていうのが一番の変化だと思います。こっちも正解がわからないんですよ(笑)。だから、どんな歌が乗っても良いように土台を作るようにして…。でもこれは、今まで数え切れないくらい曲を作ってきた経験があるからこそできたことだなとも思うんです。
【渡邊】俺も姐さん(HISAYO)が言った通りだと思う。あと、テツが加入する前までに自然とでき上がっていた“しきたり”みたいなものが、ようやく今回なくなったかなって。さっき亮介が言っていたように、前作までの3作で新しい“しきたり”を作れた気がしていて、その感覚があるから「ここはこう来るんじゃないか…?」って予想しながら、フレーズを決めていけたんですよね。
――アオキさんは今回の制作にどう向き合いましたか?
【アオキ】今回はスタジオで作っているときに「ああしたい、こうしたい」って話すことが多かったんで、セッション感があって楽しかったッスね。
――佐々木さんの中で印象的だった曲は?
【佐々木】エピソード的な面で言うと、「花降る空に不滅の歌を」はいいなと思っています。この曲は<ベイビー>っていう対象を立てて物語を作っているんですけど、アルバムを録り終えた直後に奈良(美智)さんからCDジャケットの絵が届いて。そのとき、「あ、俺はこの子のことを歌っていたんだ」って思えたんです。
――今作は画家・奈良美智氏の絵がCDジャケットに使用されたことでも話題となりましたが、その絵と歌がリンクした感覚でしたか?
【佐々木】もともと奈良さんの作品が好きでジャケットをお願いしたわけなんで、意識のどこかにいつも奈良さんの絵があったと思うし、そこに感情移入していくのは当然なんだけど。ただ、俺から「こういう絵にしてほしい」と伝えたわけじゃないし、奈良さんにも当時できていた数曲しか送れていなかったんですよ。だから、なおさらハマった感じがありましたね。そういう目に見えない縁とかが歌にも入ったと思う。
■「3人を信頼しているからこそ、甘えている」――自身を追い込んだ結果、見出された“俺”へのフォーカス
――歌詞は最後に乗せられたとのことですが、作詞の面で一番苦労した楽曲は?
【佐々木】やっぱり1曲目に何を歌うのかが、今の自分にとっては大事で。丁寧に書けばいいってことでもなく、逆に勢いがあればいいってことでもなくて、みんなに気を遣えばいいわけでもないというか。自分にブレーキをかけずにさらけ出したものじゃないと、メンバーに失礼だなって考えるようになったんです。
――“失礼”とは?
【佐々木】俺はこの3人を信頼しているからこそ、甘えているんですよ。「必ず良い演奏をしてくれるに決まっている」って。だったら、「お前は死ぬ気でいい歌を書きなさいよ」と。ここで俺が乗り越えられなきゃ先はない…そういうプレッシャーを自分にかけて、突き抜けられるのかどうか悩みながら、ギリギリまで追い込んでいたんです。
――1曲目「月夜の道を俺が行く」の歌詞には、初めてご自身の名前も登場します。
【佐々木】俺は面白さも大事だなと思っているんです。本気で悩んでいることであれ、本気で楽しもうと思っていることであれ、笑いなのか興味深さなのか…そこには何かしらの面白さが存在する。逆にそれがないのはダメだなって。だから、俺らが自然に鳴らしているサウンドで、かつ一番面白いものがいいなと思ったんです。その上で、ステージで爆発していることが想像できるもの。結果、<くたばれ>とか<佐々木亮介>って歌っちゃうという(笑)。
――そういった思考になったキッカケはありましたか?
【佐々木】ソロの活動で、ラップカルチャーとかを意識していた影響もあると思います。ラップにはメロディーがないから、自然とストレートに自分をさらけ出すことになるじゃないですか。その結果、今回のアルバムは今までで一番面白くて、一番さらけ出していると思う。正直「まだまだだな、もっと行けるな」とも思っているけど、とにかくどこかでかっこつけたり、安易に聴こえのいい言葉を使わないように意識していました。
――みなさんは完成した歌詞を聴いてどんな印象を受けましたか?
【渡邊】いつもと比べて色を使っているなっていう印象でした。これまでは2色刷りみたいなアルバムが多かったし、俺ら…というかロックってそういうものだとも思うんだけど、そこをぶっ壊す感じで、カラフルなアルバムになってよかったんじゃないかなと思います。
【HISAYO】私は、“俺”が多いアルバムだと思ったんです。しかも、曲の大事なところに“俺”を持ってくることが多いなって(笑)。ここまで自分のことを歌う曲って、今まではアルバムの中で1曲くらいだったんだけど、何曲もあるってことはよっぽどなんだなと。
【アオキ】俺は「月夜の道を俺が行く」の<終身刑 俺>っていう言葉が結構好きで。結局何者にもなれない俺、みたいな感じがいいんスよね。あと、今回は10曲全部、佐々木くんが見て感じたものをそのまま物語として作った感じがするのもいいなって思う。
【佐々木】前回のアルバム『伝説の夜を君と』は、タイトルの通り “相手”を意識した部分が強かった気もするんです。それは過去の曲の美点でもあるんだけど、あるとき「なんか嫌われないようにしてんのかな?」って感じたんですよね。暑苦しさを何かで緩和しようとしているというか。でも、「それが嫌なら聴かなくていい」って言えるくらいのパワーがなきゃ次に行けないと思ったんです。
――今作はマインドの面でも大きくアプローチを変えたアルバムになっていますが、前作がなければ今作の心象描写も生まれなかったのではないかと思います。
【佐々木】 “第一章”って言ったけど、結局はグラデーションなんですよ。今回のアルバムタイトルが日本語なのも、『伝説の夜を君と』を姐さんが褒めてくれたからだし(笑)、ヘヴィな音にしないっていうのも前作からの流れ。その中で今回ハッキリと一歩踏み込んだ部分があるとすれば、“俺”っていうところになるのかな。
――そんな同作を引っ提げた全国ツアー『Tour 花降る空に不滅の歌を』への意気込みは?
【HISAYO】このアルバム自体、決めきらずに作った作品なので、曲たちがツアーで進化しそうだなと思っています。ツアーの序盤と終盤では印象が変わっているかもしれないから、そこをお客さんも見てほしいなと思うし、私も楽しみにしています。
【渡邊】とにかく長いツアーなので…とりあえず健康で、怪我なくがんばりたいなと(笑)。姐さんが言ったみたいに曲たちもどうなっていくかわからないし、俺たち自身の演奏もどう変わっていくのかわからない。そういう不確定要素をいい確定事項に変えていけたらいいなって思います。
【アオキ】もうスタジオで練習を始めているんですけど、すでに音源と印象が変わってきている曲もあるんで、そこを楽しみにしてもらえたら。まぁ何より、北海道に行くのが寒い時期じゃなくて良かった(笑)。
【佐々木】もう俺らの音楽を好きだって言ってくれている人に対しては、テツが言った通りかな。前まではライブを意識して録るようにしていたけど、今回のアルバムは4人だけの音じゃ絶対に表現しきれないようなこともいっぱいやっていて。でも、ギリギリまで悩んで録ったわけだから、音源は音源としてベストな状態だと思う。だから、それをライブのためにもう1回カバーするくらいの気持ちでいいかなと。アルバムを好きになってくれたら、ライブではさらに派手に力強く演奏できると思うんで、楽しみにしていてほしいですね。
――今作で新たにa flood of circleの音楽に触れた人に対して伝えたいことは?
【佐々木】アルバムを作る中で「わり切った自分」とか「これが答えだ」って言えるものが、どんどんなくなっていったんです。ただ、めちゃくちゃ正直に言うと、「それでも生きて行くんだ」ってほど力強くもなくて。その“正直”って部分を今回は大事にしたというか。「生きづらい」とか簡単な言葉では言いきれないくらい、本当にいろいろな感情を行ったり来たりしたんで、そう感じている人がライブを観てくれたら、何か渡せるものがあるんじゃないかと思っています。
■アルバム『花降る空に不滅の歌を』収録曲
01. 月夜の道を俺が行く
02. バードヘッドブルース
03. くたばれマイダーリン
04. 如何様師のバラード
05. 本気で生きているのなら
06. カメラソング
07. 花降る空に不滅の歌を
08. GOOD LUCK MY FRIEND
09. Party Monster Bop
10. 花火を見に行こう
■全国ツアー『Tour 花降る空に不滅の歌を』日程
2月23日 千葉・千葉LOOK
2月24日 千葉・千葉LOOK
3月2日 静岡・静岡UMBER
3月3日 愛知・名古屋CLUB UPSET
3月10日 神奈川・横浜F.A.D
3月15日 岡山・岡山PEPPERLAND
3月16日 岡山・岡山PEPPERLAND
3月18日 京都・京都磔磔
3月22日 東京・新代田FEVER
3月23日 東京・新代田FEVER
3月28日 神戸・神戸太陽と虎
3月30日 岐阜・岐阜ants
4月1日 石川・金沢vanvanV4
4月2日 長野・長野J
4月7日 高松・高松DIME
4月9日 大阪・堺FANDANGO
4月14日 北海道・札幌PENNY LANE24
4月15日 北海道・旭川CASINO DRIVE
4月22日 福島・郡山HIPSHOT JAPAN
4月23日 新潟・新潟CLUB RIVERST
5月18日 茨城・水戸LIGHT HOUSE
5月20日 岩手・盛岡CLUB CHANGE WAVE
5月21日 宮城・仙台CLUB JUNK BOX
5月25日 大分・大分Club SPOT
5月27日 鹿児島・鹿児島SR HALL
5月28日 福岡・福岡CB
5月30日 広島・広島SECOND CRUTCH
6月1日 愛知・名古屋CLUB QUATTRO
6月2日 大阪・umeda TRAD
6月16日 東京・Zepp Shinjuku
2023/02/17




