2022年にデビュー10周年を迎えた家入レオが、約4年ぶりとなるニューアルバム『Naked』(23年2月15日発売)をリリースする。年始に放送されたテレビ朝日・TELASA スペシャルドラマ『正しい恋の始め方』主題歌の「かわいい人」では、溢れんばかりの優しさを描いているのに対して、WOWOWオリジナルアニメ『火狩りの王』オープニングテーマ「嘘つき」では、計り知れない絶望感が内包された楽曲になっている。このような振れ幅のある全12曲が収録された本作の制作時に、家入は“幸福の低迷期”の真っただ中にいたという。その状況からどうやって抜け出したのか、そしてたどり着いた今の心境を、楽曲に込めた思いと共に聞いた。
■不安と葛藤の日々 アルバム『Naked』制作で取り戻した自信
──本アルバム収録の「かわいい人」の、全人類に寄り添っているような包容力に感動しました。28歳になった家入レオはこんな歌も歌えるシンガーになったんだなと、感慨深い思いです。
家入 ありがとうございます。実はこの曲はことさらに誰かに寄り添おうと思って作ったわけではなくて、日々をちゃんと生きて感じたことを素直に音楽に落とし込めばきっと誰かの心に届く。そんな確信がようやく持てた頃にできた曲だったんです。だからこそ、そう受け取っていただけたことがとても嬉しいです。
──聴き手に意識して寄り添おうとしたわけではないと。なにか心境の変化があったのですか。
家入 デビューから数年経った頃というのは、聴いてくれる方に寄り添う歌を届けよう、期待に応えようという気持ちが強くて。そうやって真剣に向き合えば向き合うほど、どんどん音楽活動をすることが不安になっていって。17歳でデビューして、好きだった音楽でお仕事できるようになって、いろんな経験をして実力不足も感じたり、気負いもあったりして…。多くの選択肢があるからこそ人生に迷ってしまったというか。「ああ、私は本当に音楽に向いてないな」って、このアルバムに着手した前後はそんな“幸福の低迷期”の真っ只中にいました。
──その鬱屈はもしかしたら2曲目の「悩みたいだけ」に表れているのかも。アップダウンする展開が刺激的な楽曲です。
家入 “好きで悩んでいるのかも”って気づいた瞬間、曲にしようと思いましたね。もともと自分は何のために生きているんだろうとか、答えのないようなことを延々と考えるのが好きなほうなので。でも、そういう思考ゲームみたいな悩みとは違って本当に苦しかった。その闇に一筋の光が差すまでの期間がこのアルバムに閉じ込められているので、1曲1曲すべてが充実しているし、豊潤だし、ある意味で重いと言えるかもしれません。
──その“幸福の低迷期”からはどのようなきっかけで抜け出すことができたのでしょうか。
家入 コロナ禍になる少し前、2019年だったかな。保育士さんのお手伝いをさせていただいたことがありました。10代でデビューしたので、同世代の方たちに比べて圧倒的に経験に乏しいというコンプレックスをずっと持ち続けていました。表現に関わる方たちに囲まれていることもあり、焦りみたいなものがあったのかもしれません。もっといろんな世界を見て、広い視点を持ちたいという思いが高まって、「お手伝いさせてください」と保育園に電話したんです。私が担当したのは2歳児クラスでした。ある時、教室を汚さないようにブルーシートを広げたことがありました。そうしたら子どもたちがワーッと目を輝かせながら「先生、海が広がってるよ」って言ったんです!
──なんてピュアな感想!
家入 その言葉にとても胸を打たれると同時に、ハッと気づかされたんですね。人の心に響くのは、自分の心の奥底から湧き上がってくる正直な想いなのではないか。そして、それを言葉にして、自分をさらけ出すことが、もしかしたら誰かの声を代弁することになるかもしれない…。だから私は音楽をやってきたんだし、やっぱり、私にはこれしかないんだという感覚が、そういった体験を経て、再びよみがえってきたんです。
■どんな生き方も自分が納得していれば最高 「音楽をやっていて楽しい!」そう思える今が幸せ
──それでもやはり家入さんの言葉のチョイスは独特です。普段、どのようにインプットされているのでしょうか。
家 生活の中から生まれてきますね。例えば「奇跡が足りない」はSNSについて歌ってるんです。ちょっと湿度のあるダンスチューンにこのテーマがハマりそうだなと思って。朝コーヒーを入れて、すごくおいしいなと思いながらSNSを見ていたら、どこかの女の子がお洒落なカフェで1杯1000円のコーヒーを飲んでいる写真が目に飛び込んできた。その途端、今飲んでいるコーヒーが冷めてしまうような感覚があって。同じような経験をしたことがある方って、今の時代いっぱいいるんじゃないかと思うんですよ。
──歌詞だけだとけっこうディープな恋愛の終わりが歌われているのかと思いました。
家入 もちろん正解は聴いてくださった方の中にあるので、どんな解釈でも嬉しいです。ただSNSが存在する以上、手に入れられそうで手に入れられない渇望感はずっと続くんだろうなと。この先、もしも私が親になったとして、その子は生まれたときからそういう世界の中で生きるんだなとか、そんなことも考えながら作っていましたね。
──「いつか母になる」ことをどうイメージされていますか。
家入 うーん、それは分からないですね。人生何が起こるかわからないですし、誰かの期待や社会に押されるのではなく、自分が納得して生きる、ということだけは決めています。私に限らずだと思うのですが、女性って結婚や出産などのライフイベントで、どこか世間の声がダイレクトに届きすぎることがあると思っていて。例えば、「彼氏いるの?」「結婚してるの?」と聞かれて、「いいえ」と答えると、質問した相手がちょっと困った顔をするのがどうも理解できなくて(笑)。
──「I don’t like you」は、家入レオの原点を感じさせるようなギターロック。“自分は恋愛がすべてではなくて、むしろ新曲を書いていたい”と歌っているのが爽快でした。
家入 もちろん恋愛は楽しいです。誰かを思ってドキドキしたりする感情っていいですよね。でも、それだけが人生じゃないですし、幸せはその人自身が決めること。どんな生き方も自分が納得していれば最高だって思うんです。そして私の今の幸せは東京でぐちゃぐちゃになりながら音楽をやっていることなんだなと、このアルバムを作りながら改めて感じてました。
── バラエティに富んだこのアルバムに結実したのなら、“幸福の低迷期”も無駄ではなかったと言えそうですね。
家入 この数年は、スタッフに「いい曲だと思う」と言われても、自分が書いたものに自信が持てないというか、どこか納得できない自分がいるというジレンマを抱えていて。だからアルバムも約4年ぶりのリリースになってしまったんですが、いったんそこを抜け出したら、伝えたいことがどんどん溢れてきました。それと、誰かに「頑張ってるね」と言われることも素敵なことだけれど、自分に「頑張ってるね」と言ってあげられることが一番大事なんだということに気づかされました。生きていれば、きっとまた心の闇を抱えてしまうこともあるだろうけど、今は音楽をやっていて楽しい!という、この希望を胸いっぱいに吸い込んでいたいですね。
文・児玉澄子
ニューアルバム『Naked』(2023年2月15日発売)
【初回限定盤A】CD+DVD/VIZL-2146/5500円(税込)
DVD:「Billboard Live 〜10th Anniversary〜」完全収録
【初回限定盤B】CD+DVD/VIZL-2147/4620円(税込)
DVD:Music Video 集
【通常盤】CD/VICL-65773/3300円(税込)
【ビクターオンラインストア限定盤】CD+GOODS/NZS-905/4180円(税込)※10インチ紙ジャケット仕様/「Naked」オリジナルカレンダーポスター(720mm×480mm サイズ)
【CD】全形態共通
01. Winter
02. 悩みたいだけ
03. レモンソーダ
04. I don’ t like you
05. 奇跡が足りない
06. 嘘つき(WOWOW オリジナルアニメ『火狩りの王』オープニングテーマ)
07. Pain
08. Hikari
09. 愛は鎖じゃない
10. 君に未練はないけど、恋に未練がある
11. かわいい人(テレビ朝日・TELASA スペシャルドラマ『正しい恋の始めかた』主題歌)
12. Boyfriend
『家入レオ TOUR 2023 〜NOT ALONE〜』
5月19日(金)千葉・柏PALOOZA
5月25日(木)静岡・Live House 浜松窓枠
5月27日(土)香川・高松オリーブホール
5月29日(月)京都・磔磔
6月7日(水)宮城・仙台 darwin
6月9日(金)北海道・cube garden
6月17日(土)福岡・DRUM LOGOS
6月18日(日)広島・広島 CLUB QUATTRO
6月22日(木)大阪・梅田 CLUB QUATTRO
6月23日(金)愛知・名古屋 CLUB QUATTRO
6月30日(金)東京・Shibuya WWW X
『家入レオ TOUR 2023 〜NAKED〜』
10月7日(土)大阪・Zepp Namba(OSAKA)
10月8日(日)愛知・Zepp Nagoya
10月12日(木)福岡・Zepp Fukuoka
10月21日(土)宮城・仙台GIGS
10月27日(金)東京・Zepp Haneda(TOKYO)
11月3日(金・祝)香川・高松 festhalle
11月4日(土)広島・BLUE LIVE 広島
11月11日(土)神奈川・KT Zepp Yokohama
11月18日(土)北海道・サッポロファクトリーホール
■不安と葛藤の日々 アルバム『Naked』制作で取り戻した自信
──本アルバム収録の「かわいい人」の、全人類に寄り添っているような包容力に感動しました。28歳になった家入レオはこんな歌も歌えるシンガーになったんだなと、感慨深い思いです。
家入 ありがとうございます。実はこの曲はことさらに誰かに寄り添おうと思って作ったわけではなくて、日々をちゃんと生きて感じたことを素直に音楽に落とし込めばきっと誰かの心に届く。そんな確信がようやく持てた頃にできた曲だったんです。だからこそ、そう受け取っていただけたことがとても嬉しいです。
──聴き手に意識して寄り添おうとしたわけではないと。なにか心境の変化があったのですか。
家入 デビューから数年経った頃というのは、聴いてくれる方に寄り添う歌を届けよう、期待に応えようという気持ちが強くて。そうやって真剣に向き合えば向き合うほど、どんどん音楽活動をすることが不安になっていって。17歳でデビューして、好きだった音楽でお仕事できるようになって、いろんな経験をして実力不足も感じたり、気負いもあったりして…。多くの選択肢があるからこそ人生に迷ってしまったというか。「ああ、私は本当に音楽に向いてないな」って、このアルバムに着手した前後はそんな“幸福の低迷期”の真っ只中にいました。
──その鬱屈はもしかしたら2曲目の「悩みたいだけ」に表れているのかも。アップダウンする展開が刺激的な楽曲です。
家入 “好きで悩んでいるのかも”って気づいた瞬間、曲にしようと思いましたね。もともと自分は何のために生きているんだろうとか、答えのないようなことを延々と考えるのが好きなほうなので。でも、そういう思考ゲームみたいな悩みとは違って本当に苦しかった。その闇に一筋の光が差すまでの期間がこのアルバムに閉じ込められているので、1曲1曲すべてが充実しているし、豊潤だし、ある意味で重いと言えるかもしれません。
──その“幸福の低迷期”からはどのようなきっかけで抜け出すことができたのでしょうか。
家入 コロナ禍になる少し前、2019年だったかな。保育士さんのお手伝いをさせていただいたことがありました。10代でデビューしたので、同世代の方たちに比べて圧倒的に経験に乏しいというコンプレックスをずっと持ち続けていました。表現に関わる方たちに囲まれていることもあり、焦りみたいなものがあったのかもしれません。もっといろんな世界を見て、広い視点を持ちたいという思いが高まって、「お手伝いさせてください」と保育園に電話したんです。私が担当したのは2歳児クラスでした。ある時、教室を汚さないようにブルーシートを広げたことがありました。そうしたら子どもたちがワーッと目を輝かせながら「先生、海が広がってるよ」って言ったんです!
──なんてピュアな感想!
家入 その言葉にとても胸を打たれると同時に、ハッと気づかされたんですね。人の心に響くのは、自分の心の奥底から湧き上がってくる正直な想いなのではないか。そして、それを言葉にして、自分をさらけ出すことが、もしかしたら誰かの声を代弁することになるかもしれない…。だから私は音楽をやってきたんだし、やっぱり、私にはこれしかないんだという感覚が、そういった体験を経て、再びよみがえってきたんです。
■どんな生き方も自分が納得していれば最高 「音楽をやっていて楽しい!」そう思える今が幸せ
──それでもやはり家入さんの言葉のチョイスは独特です。普段、どのようにインプットされているのでしょうか。
家 生活の中から生まれてきますね。例えば「奇跡が足りない」はSNSについて歌ってるんです。ちょっと湿度のあるダンスチューンにこのテーマがハマりそうだなと思って。朝コーヒーを入れて、すごくおいしいなと思いながらSNSを見ていたら、どこかの女の子がお洒落なカフェで1杯1000円のコーヒーを飲んでいる写真が目に飛び込んできた。その途端、今飲んでいるコーヒーが冷めてしまうような感覚があって。同じような経験をしたことがある方って、今の時代いっぱいいるんじゃないかと思うんですよ。
──歌詞だけだとけっこうディープな恋愛の終わりが歌われているのかと思いました。
家入 もちろん正解は聴いてくださった方の中にあるので、どんな解釈でも嬉しいです。ただSNSが存在する以上、手に入れられそうで手に入れられない渇望感はずっと続くんだろうなと。この先、もしも私が親になったとして、その子は生まれたときからそういう世界の中で生きるんだなとか、そんなことも考えながら作っていましたね。
──「いつか母になる」ことをどうイメージされていますか。
家入 うーん、それは分からないですね。人生何が起こるかわからないですし、誰かの期待や社会に押されるのではなく、自分が納得して生きる、ということだけは決めています。私に限らずだと思うのですが、女性って結婚や出産などのライフイベントで、どこか世間の声がダイレクトに届きすぎることがあると思っていて。例えば、「彼氏いるの?」「結婚してるの?」と聞かれて、「いいえ」と答えると、質問した相手がちょっと困った顔をするのがどうも理解できなくて(笑)。
──「I don’t like you」は、家入レオの原点を感じさせるようなギターロック。“自分は恋愛がすべてではなくて、むしろ新曲を書いていたい”と歌っているのが爽快でした。
家入 もちろん恋愛は楽しいです。誰かを思ってドキドキしたりする感情っていいですよね。でも、それだけが人生じゃないですし、幸せはその人自身が決めること。どんな生き方も自分が納得していれば最高だって思うんです。そして私の今の幸せは東京でぐちゃぐちゃになりながら音楽をやっていることなんだなと、このアルバムを作りながら改めて感じてました。
── バラエティに富んだこのアルバムに結実したのなら、“幸福の低迷期”も無駄ではなかったと言えそうですね。
家入 この数年は、スタッフに「いい曲だと思う」と言われても、自分が書いたものに自信が持てないというか、どこか納得できない自分がいるというジレンマを抱えていて。だからアルバムも約4年ぶりのリリースになってしまったんですが、いったんそこを抜け出したら、伝えたいことがどんどん溢れてきました。それと、誰かに「頑張ってるね」と言われることも素敵なことだけれど、自分に「頑張ってるね」と言ってあげられることが一番大事なんだということに気づかされました。生きていれば、きっとまた心の闇を抱えてしまうこともあるだろうけど、今は音楽をやっていて楽しい!という、この希望を胸いっぱいに吸い込んでいたいですね。
文・児玉澄子
ニューアルバム『Naked』(2023年2月15日発売)
DVD:「Billboard Live 〜10th Anniversary〜」完全収録
【初回限定盤B】CD+DVD/VIZL-2147/4620円(税込)
DVD:Music Video 集
【通常盤】CD/VICL-65773/3300円(税込)
【ビクターオンラインストア限定盤】CD+GOODS/NZS-905/4180円(税込)※10インチ紙ジャケット仕様/「Naked」オリジナルカレンダーポスター(720mm×480mm サイズ)
【CD】全形態共通
01. Winter
02. 悩みたいだけ
03. レモンソーダ
04. I don’ t like you
05. 奇跡が足りない
06. 嘘つき(WOWOW オリジナルアニメ『火狩りの王』オープニングテーマ)
07. Pain
08. Hikari
09. 愛は鎖じゃない
10. 君に未練はないけど、恋に未練がある
11. かわいい人(テレビ朝日・TELASA スペシャルドラマ『正しい恋の始めかた』主題歌)
12. Boyfriend
『家入レオ TOUR 2023 〜NOT ALONE〜』
5月19日(金)千葉・柏PALOOZA
5月25日(木)静岡・Live House 浜松窓枠
5月27日(土)香川・高松オリーブホール
5月29日(月)京都・磔磔
6月7日(水)宮城・仙台 darwin
6月9日(金)北海道・cube garden
6月17日(土)福岡・DRUM LOGOS
6月18日(日)広島・広島 CLUB QUATTRO
6月22日(木)大阪・梅田 CLUB QUATTRO
6月23日(金)愛知・名古屋 CLUB QUATTRO
6月30日(金)東京・Shibuya WWW X
『家入レオ TOUR 2023 〜NAKED〜』
10月7日(土)大阪・Zepp Namba(OSAKA)
10月8日(日)愛知・Zepp Nagoya
10月12日(木)福岡・Zepp Fukuoka
10月21日(土)宮城・仙台GIGS
10月27日(金)東京・Zepp Haneda(TOKYO)
11月3日(金・祝)香川・高松 festhalle
11月4日(土)広島・BLUE LIVE 広島
11月11日(土)神奈川・KT Zepp Yokohama
11月18日(土)北海道・サッポロファクトリーホール
2023/02/10



