俳優・岸谷五朗の呼びかけで、1993年から2018年まで開催されていたエイズ啓発ライブイベント『Act Against AIDS』。そして、極上のエンターテイメントショーの中にチャリティーを根づかせるという同イベントの意思を受け継ぎ、2020年からスタートしたのが『Act Against Anything』で、来たる11月26日に2年ぶりとなる『Act Against Anything VOL.2「THE VARIETY 28」』が開催される。
ORICON STYLEではこのほど、岸谷と盟友・寺脇康文の2人にインタビューを敢行。後編となる本インタビューでは、約30年間にわたるイベントを振り返りながら、続けることの秘けつや今後のついて語ってもらう。
――約30年の間で、ご自身の中でイベントへの考え方が変わってきた部分はあるのでしょうか?
【岸谷】変わってきた部分はいろいろあるかもしれませんが、我々がお客様の前に立てる能力を神様から授けられたとするなら、その力を1年に1回、泣いている子どもたちのためにフルで活用しなければいけないという考え方はずっと変わりません。
――約30年にわたってイベントを続けてきたことについては、今どのように受け止めていますか?
【岸谷】たった1日のイベントですけど、当然ながら作り上げるまではすごく大変なんです。出演者の方々もそうですが、スタッフの方たちも普段の仕事をこなしながら力を貸してくれている。チャリティーなので、言ってしまえばビジネスではないんです。にもかかわらず、みんなが同じものを目指してがんばってくれて、しかもそれを約30年間も続けられているという。どんなに大きなイベントでも何とか1〜3回くらいはできると思うんですね。でも、それを4年、5年…10年、11年…と、こうやって口で数えるだけでも長くなってしまうほどの年月続けられているのは本当にありがたいですし、誇らしいことですよ。
――続ける中で、壁にぶつかってしまうようなこともありましたか?
【岸谷】5〜6年目あたりはつらかったこともありました。というのも、“目に見えるチャリティー”を目指した結果、イベントの運営面でものすごく節約していたんです。それこそ出演者やスタッフにお弁当すら用意できないくらい切り詰めていました。当然ながらライブ後の打ち上げもなかったんですけど、打ち上げって唯一僕らが関係者のみなさんにちゃんと「ありがとう」と言える場なんですよ。僕らの考えに賛同して忙しい中で協力してくれている人たちに、不便や負担をかけてしまっていることが申し訳なくて…。だから、せめて感謝は伝えなくてはと、自腹で打ち上げを開いたこともありましたね。まだ20代でお金も全然持っていなかったので…正直きつかったです(笑)。
――確かに、それは心が折れてしまいそうですね…(笑)。
【岸谷】打ち上げ代については置いといたとしても(笑)、人間って何か「きついな」と思うことがあると、「来年はやりたくない」という思いが出てきちゃうんですね。それで、これはいけないと思い、イベントを継続していくために運営のシステムもしっかり整えなければいけないなと考えるようになりました。だから、イベント自体が進化してきているんですよね。今はお弁当もちゃんと用意していますから(笑)。
――このイベントは、俳優として活躍されているみなさんが生バンドと共演して歌を届けることも重要なファクターだと思うのですが、ステージに上がるときはやはり“ボーカリスト”としての心持ちに変わりますか?
【寺脇】いや…ボーカリストという意識で立ったことはないかも(笑)。
【岸谷】“にぎやかし”だよね(笑)。あくまでも楽しいショーの中にチャリティーがあるべきだと思っていて、その楽しさの部分を担当するのが我々かなと。
【寺脇】本格派の音楽は、プロの方たちにお任せしています(笑)。
【岸谷】だから、ミュージカルで披露する歌とかともまた違う感覚なんですよね。ただ、そんな我々をサポートしてくださっているバンド隊のみなさんにはいつも無理を言ってしまっているなと…。
【寺脇】リハーサルの時間があまり用意できないことも申し訳ないなと思っています。本当はもっと突き詰めたい部分だってあると思うんですね。でも、いつも「大丈夫、これで行けます!」って心強く言ってくれて。そういう面でも助けてもらっています。
■イベント以外でも実践する“継続の秘訣”は「イヤになってしまうと続かない」
――継続の難しさについても語っていただきましたが、お2人は日々続けている習慣やルーティーンなどはありますか?
【岸谷】これはもう…ねぇ?
【寺脇】2人同時に言っても合うでしょ?せーの…。
【岸谷】ランニング。
【寺脇】半身浴。
――違うじゃないですか(笑)。
【岸谷】合わなかった(笑)。半身浴もそうだね。僕が言ったランニングは寺脇さんもやっていることですけど、舞台に立つための身体作りです。走って、ストレッチして、筋トレ。これは毎日必ずやります。
【寺脇】起きたらまず半身浴で代謝を上げて、筋肉をゆるめてからランニングやストレッチをするという。半身浴もストレッチも、やらないとダメ。やらずに撮影に行くと動けない感じがしてしまって。
【岸谷】地方で撮影が入ったりするとき、僕から必ずお願いすることが1つだけあって。それは「どんなに小さくても良いから、湯船がある宿にしてください」ということなんです。それこそ足をギュッと曲げないと入れないような大きさだったこともあるんですけど、それでも良いんです(笑)。
【寺脇】半分入れば良いわけだからね(笑)。
――その習慣はいつ頃から?
【岸谷】役者を始めた頃からなので、それこそ30年くらいですね。
【寺脇】俺は五朗ちゃんにやった方がいいよって教えてもらってからだから…その半分、15年くらいですかね。
――そういったことを続けられているのも、イベントを継続して開催することと似た部分が?
【寺脇】さっき五朗ちゃんが言ったことでもありますけど、イヤになってしまうと続かないというところは同じですよね。たとえば、ジムに行って追い込むようなレベルのトレーニングだと続けられないかもしれませんけど、ランニングやストレッチくらいならラクに続けられますから。やっぱり芝居をするときにすぐ身体が動かせるようにしておきたいって気持ちが一番です。料理人が包丁を研ぐのと同じで、僕らの場合は身体が商売道具だからいつでも切れるようにしておかなきゃなと。
■「僕らも勉強させていただいてる」学びの姿勢が導き出す今後のイベント像
――“30にして立つ”という古語がありますが、今後イベントをもっとこうしていきたいというような理想像についても聞かせていただけますか?
【岸谷】僕の理想を言えば、協力してくださる方々に苦労をかけず、しっかりと寄付もできて、何よりお客様が心の底から楽しめるイベントが作りたい。ただ、これを完全に実現するのは本当に難しいことで。いろいろな方がチャリティーイベントを開催していますが、全員やり方が違いますから、僕らも勉強させていただいてる感じですね。あと、難民や少数民族の問題など、まだまだ僕らが知らないことも本当に多くて。それをちょっとずつ勉強しながら、「何が一番良い支援になるんだろう?」といつも考えています。運営の仕方についても、世界で起きている問題についても勉強しながら、そうやってコツコツやるしかないなと思っています。まぁ、コツコツやってきたから30年近く続けてこられたんだとも思いますし、継続するためにはそれが一番大切なことだと考えているんです。
【寺脇】まず、今後も長く続けていきたいと思っています。無理やり続けるのではなく、「1年に1回、子どもたちを笑顔にするために」という思いを強く持ち、必要な支援を必要なときに、できる範囲で届けることができるように活動していきたいですね。
――最後に、『Act Against Anything VOL.2「THE VARIETY 28」』へ参加されるお客さんへのメッセージをいただけますか?
【岸谷】来てくださるお客様にも、出演者の方々やスタッフのみなさんにも、感謝しかないです。この大変な道のりを一緒に歩んでくれている。出演者の方について言うと時間がなかなか合わなくて、立ち位置や演奏を映像で送り合いながら、本番直前に一度だけリハーサルをするということもあるんですよ。みんな本当はしっかり稽古したものを見せたいはずですけど、それでも忙しいスケジュールの合間を縫って協力してくれる。そこにはもう、感謝しかないですよ。だからこそ僕ら主催者は、協力してくれるみんなが少しでも気持ち良くパフォーマンスできるように全力を尽くさせていただきます。
【寺脇】このメンバーでステージに立つ日は一生に一度きりなので。何度も出演してくれている方もたくさんいますが、今回のメンバーがそろう日は他にないと思う。そういった特別な1日を観てくださる方にも楽しんでいただきたいですし、一緒に分かち合いたいですね。
ORICON STYLEではこのほど、岸谷と盟友・寺脇康文の2人にインタビューを敢行。後編となる本インタビューでは、約30年間にわたるイベントを振り返りながら、続けることの秘けつや今後のついて語ってもらう。
――約30年の間で、ご自身の中でイベントへの考え方が変わってきた部分はあるのでしょうか?
【岸谷】変わってきた部分はいろいろあるかもしれませんが、我々がお客様の前に立てる能力を神様から授けられたとするなら、その力を1年に1回、泣いている子どもたちのためにフルで活用しなければいけないという考え方はずっと変わりません。
――約30年にわたってイベントを続けてきたことについては、今どのように受け止めていますか?
【岸谷】たった1日のイベントですけど、当然ながら作り上げるまではすごく大変なんです。出演者の方々もそうですが、スタッフの方たちも普段の仕事をこなしながら力を貸してくれている。チャリティーなので、言ってしまえばビジネスではないんです。にもかかわらず、みんなが同じものを目指してがんばってくれて、しかもそれを約30年間も続けられているという。どんなに大きなイベントでも何とか1〜3回くらいはできると思うんですね。でも、それを4年、5年…10年、11年…と、こうやって口で数えるだけでも長くなってしまうほどの年月続けられているのは本当にありがたいですし、誇らしいことですよ。
――続ける中で、壁にぶつかってしまうようなこともありましたか?
【岸谷】5〜6年目あたりはつらかったこともありました。というのも、“目に見えるチャリティー”を目指した結果、イベントの運営面でものすごく節約していたんです。それこそ出演者やスタッフにお弁当すら用意できないくらい切り詰めていました。当然ながらライブ後の打ち上げもなかったんですけど、打ち上げって唯一僕らが関係者のみなさんにちゃんと「ありがとう」と言える場なんですよ。僕らの考えに賛同して忙しい中で協力してくれている人たちに、不便や負担をかけてしまっていることが申し訳なくて…。だから、せめて感謝は伝えなくてはと、自腹で打ち上げを開いたこともありましたね。まだ20代でお金も全然持っていなかったので…正直きつかったです(笑)。
――確かに、それは心が折れてしまいそうですね…(笑)。
【岸谷】打ち上げ代については置いといたとしても(笑)、人間って何か「きついな」と思うことがあると、「来年はやりたくない」という思いが出てきちゃうんですね。それで、これはいけないと思い、イベントを継続していくために運営のシステムもしっかり整えなければいけないなと考えるようになりました。だから、イベント自体が進化してきているんですよね。今はお弁当もちゃんと用意していますから(笑)。
――このイベントは、俳優として活躍されているみなさんが生バンドと共演して歌を届けることも重要なファクターだと思うのですが、ステージに上がるときはやはり“ボーカリスト”としての心持ちに変わりますか?
【寺脇】いや…ボーカリストという意識で立ったことはないかも(笑)。
【岸谷】“にぎやかし”だよね(笑)。あくまでも楽しいショーの中にチャリティーがあるべきだと思っていて、その楽しさの部分を担当するのが我々かなと。
【寺脇】本格派の音楽は、プロの方たちにお任せしています(笑)。
【岸谷】だから、ミュージカルで披露する歌とかともまた違う感覚なんですよね。ただ、そんな我々をサポートしてくださっているバンド隊のみなさんにはいつも無理を言ってしまっているなと…。
【寺脇】リハーサルの時間があまり用意できないことも申し訳ないなと思っています。本当はもっと突き詰めたい部分だってあると思うんですね。でも、いつも「大丈夫、これで行けます!」って心強く言ってくれて。そういう面でも助けてもらっています。
■イベント以外でも実践する“継続の秘訣”は「イヤになってしまうと続かない」
――継続の難しさについても語っていただきましたが、お2人は日々続けている習慣やルーティーンなどはありますか?
【岸谷】これはもう…ねぇ?
【寺脇】2人同時に言っても合うでしょ?せーの…。
【岸谷】ランニング。
【寺脇】半身浴。
――違うじゃないですか(笑)。
【岸谷】合わなかった(笑)。半身浴もそうだね。僕が言ったランニングは寺脇さんもやっていることですけど、舞台に立つための身体作りです。走って、ストレッチして、筋トレ。これは毎日必ずやります。
【寺脇】起きたらまず半身浴で代謝を上げて、筋肉をゆるめてからランニングやストレッチをするという。半身浴もストレッチも、やらないとダメ。やらずに撮影に行くと動けない感じがしてしまって。
【岸谷】地方で撮影が入ったりするとき、僕から必ずお願いすることが1つだけあって。それは「どんなに小さくても良いから、湯船がある宿にしてください」ということなんです。それこそ足をギュッと曲げないと入れないような大きさだったこともあるんですけど、それでも良いんです(笑)。
【寺脇】半分入れば良いわけだからね(笑)。
――その習慣はいつ頃から?
【岸谷】役者を始めた頃からなので、それこそ30年くらいですね。
【寺脇】俺は五朗ちゃんにやった方がいいよって教えてもらってからだから…その半分、15年くらいですかね。
――そういったことを続けられているのも、イベントを継続して開催することと似た部分が?
【寺脇】さっき五朗ちゃんが言ったことでもありますけど、イヤになってしまうと続かないというところは同じですよね。たとえば、ジムに行って追い込むようなレベルのトレーニングだと続けられないかもしれませんけど、ランニングやストレッチくらいならラクに続けられますから。やっぱり芝居をするときにすぐ身体が動かせるようにしておきたいって気持ちが一番です。料理人が包丁を研ぐのと同じで、僕らの場合は身体が商売道具だからいつでも切れるようにしておかなきゃなと。
■「僕らも勉強させていただいてる」学びの姿勢が導き出す今後のイベント像
――“30にして立つ”という古語がありますが、今後イベントをもっとこうしていきたいというような理想像についても聞かせていただけますか?
【岸谷】僕の理想を言えば、協力してくださる方々に苦労をかけず、しっかりと寄付もできて、何よりお客様が心の底から楽しめるイベントが作りたい。ただ、これを完全に実現するのは本当に難しいことで。いろいろな方がチャリティーイベントを開催していますが、全員やり方が違いますから、僕らも勉強させていただいてる感じですね。あと、難民や少数民族の問題など、まだまだ僕らが知らないことも本当に多くて。それをちょっとずつ勉強しながら、「何が一番良い支援になるんだろう?」といつも考えています。運営の仕方についても、世界で起きている問題についても勉強しながら、そうやってコツコツやるしかないなと思っています。まぁ、コツコツやってきたから30年近く続けてこられたんだとも思いますし、継続するためにはそれが一番大切なことだと考えているんです。
【寺脇】まず、今後も長く続けていきたいと思っています。無理やり続けるのではなく、「1年に1回、子どもたちを笑顔にするために」という思いを強く持ち、必要な支援を必要なときに、できる範囲で届けることができるように活動していきたいですね。
――最後に、『Act Against Anything VOL.2「THE VARIETY 28」』へ参加されるお客さんへのメッセージをいただけますか?
【岸谷】来てくださるお客様にも、出演者の方々やスタッフのみなさんにも、感謝しかないです。この大変な道のりを一緒に歩んでくれている。出演者の方について言うと時間がなかなか合わなくて、立ち位置や演奏を映像で送り合いながら、本番直前に一度だけリハーサルをするということもあるんですよ。みんな本当はしっかり稽古したものを見せたいはずですけど、それでも忙しいスケジュールの合間を縫って協力してくれる。そこにはもう、感謝しかないですよ。だからこそ僕ら主催者は、協力してくれるみんなが少しでも気持ち良くパフォーマンスできるように全力を尽くさせていただきます。
【寺脇】このメンバーでステージに立つ日は一生に一度きりなので。何度も出演してくれている方もたくさんいますが、今回のメンバーがそろう日は他にないと思う。そういった特別な1日を観てくださる方にも楽しんでいただきたいですし、一緒に分かち合いたいですね。
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2022/11/18