歌手の一青窈が19日、東京・紀伊國屋書店新宿本店で行われたバイリンガル絵本『ハナミズキ A Hundred Years』の出版を記念したミニトーク＆サイン会に参加した。

【写真】その他の写真を見る

　一青は、同書の英訳を務めた詩人のアーサー・ビナード氏とともに登壇し、トークセッションをスタートさせた。はじめに、一青は同楽曲のリリースから18年の月日が経つ中で、「何度も英訳にトライしたけど、納得のいく英訳が作れなかった」としつつ、「アーサーさんの著書を読んで、絶対にこの人が良いと思った」と、自らラブコールを送ったことを明かした。

　一青からのオファーに対し、アーサー氏は約1年間後に返答したそうで、一青は「ある日、公衆電話から突然かかってきて、出てみたらアーサーさんだった」と当時を振り返った。さらに、「アーサーさんに『分かりました』と言ってもらってから3年後くらい経って、急に『できました』って言われたんです」「思わず、何が!?って聞いちゃいました（笑）」と、同書の製作エピソードを説明した。

　仕上がった歌詞について、一青は「直訳ではないけど、人と人の幸せを祈るという気持ちをそのまま英語にしてくれたので、変えてほしいところはなかった」と満足げな表情。「しかも、実際に英詞で歌ってくれたんです」と、一青が完成時のやりとりを明かすと、アーサー氏は「歌えない『ハナミズキ』は『ハナミズキ』じゃない。言葉と音楽が同じタイミングで生まれたようなものでなければ」と力強く語った。

　作画を担当したねっこかなこ氏も一青自身による人選だそうで、一青は「直接会った方が早いと思って、ねっこさんのお家に家族で遊びに行かせていただいた」と、同書の製作にかけた熱量の高さを垣間見せた。

　そんな道のりを経た同書について、一青は「よく歌詞の意味を聞かれるんです。だから、いい本ができたなと。これからは『この本を読んでください』って言える。絵がこんなに世界観を説明してくれるものだとは思わなかった」と、完成度に自信を見せた。

　『ハナミズキ A Hundred Years』の一般発売は10月20日。同書の発売を記念し、紀伊国屋書店新宿本店では10月8日から11月2日にかけて先行発売＆出版記念ブックフェアが行われており、国立市のアートスペース＆ティーわとわでは11月2日から9日まで原画展やサイン会なども予定されている。