ORICON NEWS

上白石萌音、最新アルバムに隠れた『カムカム』との縁 行き詰まったときの救いは「本当に心強い妹」の存在

 俳優として躍進する一方、アーティストとしても精力的に活動を続ける上白石萌音。3作目となるオリジナルアルバム『name』には、彼女の出演作と縁のあるラインナップが並ぶ。俳優業とアーティスト活動のつながりや、パブリックイメージに感じるギャップとは? 透明感だけでない彼女の裏奥にある、本当の思いに迫った。

オリジナルアルバム『name』をリリースする上白石萌音 (C)ORICON NewS inc.

オリジナルアルバム『name』をリリースする上白石萌音 (C)ORICON NewS inc.

写真ページを見る

【写真】その他の写真を見る


■「ジャズが歌いたい」パブリックイメージを超えた“しっくり感”

――3rdアルバム『name』はどんな1枚になりましたか?

【上白石萌音】自分の好きな音楽を歌わせていただきました。挑戦もたくさんしましたし、発見と再確認の両側面がある1枚になったと思います。今回挑戦したジャズやスカは、自分でやりたいとお願いしたジャンルでもありました。

――ジャズは朝ドラ『カムカムエヴリバディ』でも重要な要素でしたが、その影響もありましたか?

【上白石萌音】そうですね。もともと好きだったのですが、最後の一押しになりました。

――今回は、『カムカムエヴリバディ』の音楽を担当した金子隆博さんともご一緒されていますよね。

【上白石萌音】そうなんです。作品で流れる金子さんの音楽を聞いたのはオンエアのタイミングだったのですが、劇伴の豊かさとともに、初めて聞く曲なのに心が落ち着く感じがあって、なんて素敵なんだろうと思っていました。だから、今回ご一緒させていただけることになって、とてもうれしかったです。

――今回アルバムの曲をお願いするにあたって、金子さんとはどのようなお話をされたのでしょうか?

【上白石萌音】「大人な感じで、昔からあるようなカッコいいジャズが歌いたいんです」とお願いしたら、力強くうなずいてくださって。ドラマでもさまざまなシーンに合わせて曲を作られたと思いますが、それと同じように、お願いしたものに対して150%のものを作ってくださって、「さすがプロ!」と感激しました。

――実際に、金子さんの作られた「ジェリーフィッシュ」を歌われてみていかがでしたか?

【上白石萌音】今まで歌ってきた曲と比べると大人な感じで、意外だと感じる方もいらっしゃるかと思いますが、私自身はそういう曲を好んで聞いてきたので、一番準備がいらなかったかもしれないです。1回目からしっくりきて、金子さんも「その感じで大丈夫」と言ってくださったので、とても自信になりました。

――確かに、今まで歌われてきた曲とは違う、新たな一面が垣間見えた気がします。

【上白石萌音】これまでは明るくて瑞々しい曲が多かったんですけど、私自身は意外とそうじゃないので(笑)。もちろんパブリックイメージはすごくありがたいと思いながらも、なんとなくギャップみたいなものを感じることもあって。今回「ジェリーフィッシュ」を歌えたことで、自分の心と心地よく合致して、ホッとできた部分もありました。

――上白石さんは透明感あふれるクリーンなイメージですよね。

【上白石萌音】もちろんクリーンではいたいですし、いろいろな役に染まるためにも白でいたいという気持ちはあります。でも、そのままが素の私かと言うと、そうでもないんですよね。見せていないものもありますし。そのギャップが苦しかった時期もありましたけど、今は大丈夫です。身近にいる大切な人たちが本当の私を知っていてくれたらそれでいいと思っています。

■コロナ禍で、歌を届けられる喜びを再確認 ツアーでは“特別な場所”となった岡山へも

オリジナルアルバム『name』をリリースする上白石萌音 (C)ORICON NewS inc.

オリジナルアルバム『name』をリリースする上白石萌音 (C)ORICON NewS inc.

写真ページを見る

稔さんとの思い出の曲に込めた思い「安子が思い描いていた未来を想像できる1曲です」

――今回初挑戦となったスカですが、東京スカパラダイスオーケストラの川上つよしさんと谷中敦さんに楽曲をお願いされたのは、『カムカムエヴリバディ』つながりの偶然だと伺いました。

【上白石萌音】そうなんです。音楽番組でご一緒した時に、スタッフさんからメンバーのみなさんがドラマを観てくださっていることを教えていただいたたんです。まず認識されていることがうれしかったですね(笑)。それで、今回アルバムを作る時に、ダメもとでお願いしたら、快く受けてくださったんです。

――そして、今回挑戦されたジャズの名曲「Tea for Two」は、『カムカムエヴリバディ』で演じていた安子が、後に夫となる稔と過ごすシーンで使われていた楽曲でもあります。

【上白石萌音】2人が初めて喫茶店に行ってコーヒーを飲むシーンで、本当にさりげなく流れていたんですよね。なんて品があって、粋な演出なんだろうと感動したのを覚えています。「Tea for Two」の後に流れたのが、「On The Sunny Side of the Street」でした。

――実際にご自身で歌われてみていかがでしたか?

【上白石萌音】英語で歌うのも好きなので、とても楽しかったです。歌い継がれてきた名曲ですが、歌い手さんによって、バラードやポップなど…いろいろな表現があるんですよね。改めて、ジャズの幅広さを感じることもできました。

――今回も、オリジナルのアレンジになりますよね?

【上白石萌音】思った以上に素敵すぎて、私は本当にただ歌えばいいんだなって思いました。

――歌いながら、安子の気持ちを思い出したりもしました?

【上白石萌音】きっと安子もこういう未来を思い描いていたんだろうなと感じました。たぶん、すべての女の子にリンクする曲なのではないかなと思いますね。

――『スピン』では作詞もされていますが、どのようなメッセージを込められたのでしょうか?

【上白石萌音】昨年エッセーを出版した時に作った曲で、今、自分が思っていることをつづった歌詞になりました。先にできていた音にのせて自分の思いを書けた気がしますし、エッセーを書くにあたって自分と向き合った集大成でもあります。

――作詞される時は、イメージが湧いてくるタイプですか? それとも、机に向かって「さぁやるぞ!」というタイプですか?

【上白石萌音】「さぁ、締切だ!」と自分を奮い立たせ、頭を抱えて、膝を抱えながら…ですね(笑)。歌詞を書くたびに、「もう二度とやらない」と思うんですけど、誰かひとりにでも「いいね」と言っていただけると、ついまたやってしまうんですよね(笑)。自分でつくってみて、作ることの大変さを知ったからこそ、1曲1曲を大事に歌わないと! と、気づくことができていると思います。

――このアルバムを引っさげて、ツアーも行うそうですね。

【上白石萌音】去年もツアーをやらせていただいて、久々にお客さまの前で歌ったことで本当に力をいただいて、やっぱり歌は誰かに向けて歌うものなんだなって実感したんです。だから今回もまた、いろいろな土地に行って歌を届けられることをうれしく思います。

――もしかして、岡山が入っているのは…!?

【上白石萌音】そうなんです。『カムカムエヴリバディ』で舞台となっていた岡山は、今年のうちにご挨拶に行きたいと思っていました。今でも岡山と聞くだけで胸がギュッとなる特別な場所なので、その地で歌えるのが今から楽しみです。

■心配性でネガティブだけど…家族の愛が日々の救いに

オリジナルアルバム『name』をリリースする上白石萌音 (C)ORICON NewS inc.

オリジナルアルバム『name』をリリースする上白石萌音 (C)ORICON NewS inc.

写真ページを見る

――俳優として第一線で活躍しながら、歌手としても精力的に活動されていますが、それぞれにつながりは感じますか?

【上白石萌音】求められる力も、しなければいけない準備や鍛錬も全然違うんですけど、直結していると思います。私の場合は、歌でもお芝居でも、誰かが生みだしてくださった言葉を伝える媒介的な役目なんですよね。どうやって伝えるかをすごくよく考えるので、そういう意味でも相互作用があると思います。

――両立する難しさを感じることもありますか?

【上白石萌音】シンプルに、時間が足りないと思うことは多いですね。でも切羽詰まっているからこそ出る“火事場の馬鹿力”的なこともあると思うので。私は特に根が怠惰で、お尻を叩かれないとがんばれないタイプなので、自分には合った環境かもしれないです(笑)。

――息抜きする間はありますか?

【上白石萌音】お芝居に行き詰まったら音楽のことを考えたり、その逆もあったり、スイッチを切り替えることが息抜きになっています。もちろんワーッとなる時もありますけど、いろいろなことを同時にやるのは性に合っている気もします。

――ちなみに、ワーッとなった時はどうするんですか?

【上白石萌音】私には本当に心強い妹(上白石萌歌)がいるので、いろいろなことを聞いてもらったりしています。妹もどんどん大人になって、アドバイスもくれるし、励ましてくれます。すごく頼りにしていますね。

――素敵な関係ですね。

【上白石萌音】そうですね。想像しやすい環境にいてくれるのがありがたいです。それと、母親がとにかくポジティブで、悩んでいることを前向きに変換してくれるんです。1回受け止めた上で、「でもこういう考え方もできるよね?」って言ってくれるので、全部いい勉強だと考えられるようになりました。私はネガティブなので、母の言葉は胸に響きます。

――ネガティブなのは意外です!

【上白石萌音】ネガティブだし、心配性です(笑)。でもだからこそ、ポジティブに方向転換してきた回数も多いんですよね。私とは違った答えをくれる妹がいて、ポジティブな言葉をくれる母がいて、無条件に愛をくれる父がいて…本当にいい家族に恵まれたので、どん底まで落ちることはないですね。

――最後に、今後目指す姿や夢を教えてください。

【上白石萌音】中学生からお仕事をしているので、周りのみんなが通ってきたもので、経験できていないものがたくさんある気がするんです。楽しいことだけじゃなくて、受験や就職活動だったり…。でも、そういうことにも共感できるのがいい表現者だと思うので、芸を磨くのと同時に、人として豊かになれたらと思います。そのためにはもっと学びたいし、留学もしたいし。もしいまの事務所をクビになっても(笑)きちんと社会人として会社勤めできる人でありたいですね。

上白石萌音3rdアルバム『name』 2022年7月13日発売 上白石萌音 OFFICIAL SITE https://kamishiraishimone.com/ 衣装クレジット:ノースリーブドレス 41,800円(エスロー/エンケル) 中に着たブラウス 46,200円(ケイコ ニシヤマ) イヤリング 3,080円(トゥラン/コトモノマルシェ東急ハンズ新宿店) パンプス スタイリスト私物 ※全て税込金額 問い合わせ先:・エンケル03-6812-9897 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-6-14第2神宮前ビル201 ・ケイコ ニシヤマ03-5357-8292 〒168-0065 東京都杉並区浜田山3-34-17 ・コトモノマルシェ東急ハンズ新宿店 070-3229-6807 〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-24-2東急ハンズ3F 取材・文/辻内史佳 写真/MitsuruYamazaki スタイリスト/嶋岡隆、北村梓(Office Shimarl) ヘアメイク/冨永朋子(allure)  

関連写真

  • オリジナルアルバム『name』をリリースする上白石萌音 (C)ORICON NewS inc.
  • オリジナルアルバム『name』をリリースする上白石萌音 (C)ORICON NewS inc.
  • オリジナルアルバム『name』をリリースする上白石萌音 (C)ORICON NewS inc.

オリコントピックス

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索