歌手のクミコ(67)が、デビュー40周年記念シングル「愛しかない時」を8月10日に発売する。27歳のときに初めて日本語詞をつけて歌唱した自身の原点ともいえるシャンソンの名曲を新録音したもので、CDに先駆けて6月22日から配信をスタートさせる。
ジャック・ブレルが作詞作曲した世界的反戦歌にクミコが日本語詞をつけた「愛しかない時」。レコーディングを目前に控えた2月末、ロシアのウクライナ侵攻が始まり、ドキュメンタリー番組取材で2016年にウクライナを2度訪問したことがあるクミコは、この反戦歌とどう向き合うべきか悩み、一時は歌えない状況になったという。
ウクライナ訪問当時、通訳を務めてくれたキーウ近郊在住のジガルコ・ヴィタリーさんとは、帰国後も交流を続けていた。国内の西側へ逃げる車の中で、クミコが広島平和記念公園にある原爆の子の像・佐々木禎子の生涯をつづった「INORI〜祈り〜」を聴いているという連絡を受けた。クミコはヴィタリーさんに向けて「愛しかない時」をアカペラで歌った動画メッセージを送ると、「歌を聴いて涙があふれました。その涙と共に悲しみが少し体の外へ出ていきました」との返信を受け取った。
また、NHKの番組企画では歌手・加藤登紀子と対談。加藤から「悲しみにはことばを与えよ ことばには音楽を与えよ そうすれば悲しみがいつか喜びに変わる」という内容の詩を教えられた。
クミコは「何の力になるかはわからないし、今は無力に感じるけれど、平和を願い、歌い続けること、それが歌い手が唯一できることなのではないか」と思い直し、これからも「愛しかない時」を歌い続けていくことを決意した。
カップリング曲「今日でお別れ」は、先輩歌手・菅原洋一(88)が1970年に日本レコード大賞を受賞した代表曲をデュエット曲にアレンジし、菅原とデュエットした。レコーディングでは、戦争体験者の菅原から「自分の歌を誰かが喜んでくれる。希望が持てることが大事」という話を聞き、改めて、迷いの中でも「愛しかない時」を歌い続けていきたいと思えるようなったという。
クミコは8月13日の大阪公演を皮切りに、40周年記念コンサートをスタート。また、7月6日から全国各地で開催される日本最大のシャンソンの祭典『パリ祭』の東京、名古屋、岡山公演に出演し「愛しかない時」を披露する予定。
■クミコ コメント全文
シャンソンの右も左もわからぬまま、私は40年前「銀巴里」(1951年〜1990年まで東京・銀座7丁目にあった日本初のシャンソン喫茶。2012年9月12日に閉店)で歌い始めました。そんな私が、初めて自分の言葉で唄いたいと思ったのが「愛しかない時」でした。当時、来日していたアンナ・プリュクナルという女性のコンサートに出かけたのがきっかけです。
ナチスからの迫害の歴史を持つポーランドに生まれ、自身の父親もまたナチスによって殺されたアンナの歌には、どれもが理不尽への怒りと悲しみに満ちていました。
その時唄われたのが「愛しかない時」。
胸元に歌の切っ先が突きつけられたようでした。
私も唄いたい、唄わなければと思いました。愛ってなんだ、愛に何ができる。
今年初め、この歌を新たにリリースすることにしました。
自分の歌の原点の一つでもあるこの歌を、今の歌として残したいと思ったからです。
ところが、突然ロシアのウクライナ侵攻が始まりました。現実が歌を飛び越えてしまったのです。
ウクライナに知人を持つ私に、もうそれまでの平穏はなくなりました。
歌などに何の意味がある、愛ってなんだ。
こうして、この歌はまた40年前の振り出しに戻りました。
でも、録音された歌は、確かに今の私の歌でした。
今私が見ている世界と、愛についての歌になっていました。
今回、私が敬愛し尊敬する菅原洋一さんと、デュエットをさせていただきました。
名曲「今日でお別れ」です。
人はどんなふうに歌を唄い、人生を歩いていくのか、いけるのか。
歌い手の根元を、歌声で指し示してくださる菅原さんとご一緒できたことが、無力感にさいなまれる私の大きな救いになりました。
この二曲を、今録音できたことには、きっと意味があるのでしょう。
今ははっきりとはわからなくても、これからの時間がそれを明らかにしてくれるはずです。
愛ってなんだ、歌ってなんだ、人間ってなんだというその答えを。
■菅原洋一コメント全文
40周年おめでとうございます。
あなたの歌には強さがあります。あなたの歌にはやさしさがあります。そして祈りがあります。
先日、あなたの40周年記念のシングルに、一緒に「今日でお別れ」を歌わせてもらい、とてもうれしくいい記念になりました。そしてあなたの歌の強さ、やさしさ、祈りを改めて感じとりました。
私も8月で89才です。以前はいい声が出るから、その声を張り上げて遠くまで届くようにと思って歌っていました。けれど年齢を重ねるにつれ、だんだん声も出にくくなってゆくものです。声だけ張り上げるのではなく歌を届けるにはどうすればいいのだろうか? と考えてきました。たどり着いたのが、ひとことひとこと言葉を大切に心を込めて歌ってみようということでした。それが今の私の歌です。
クミコさん、あなたはその術(すべ)を知っている人です。
きっとこれから、より深くより細やかなあなたの歌は完成度を増してゆくでしょう。
とても楽しみです。まだまだ40年は通過点…なのです。
「今日でお別れ」なんて言わないで、これからも一緒に歌う機会が多くなったらうれしいです。おめでとう。
ジャック・ブレルが作詞作曲した世界的反戦歌にクミコが日本語詞をつけた「愛しかない時」。レコーディングを目前に控えた2月末、ロシアのウクライナ侵攻が始まり、ドキュメンタリー番組取材で2016年にウクライナを2度訪問したことがあるクミコは、この反戦歌とどう向き合うべきか悩み、一時は歌えない状況になったという。
また、NHKの番組企画では歌手・加藤登紀子と対談。加藤から「悲しみにはことばを与えよ ことばには音楽を与えよ そうすれば悲しみがいつか喜びに変わる」という内容の詩を教えられた。
クミコは「何の力になるかはわからないし、今は無力に感じるけれど、平和を願い、歌い続けること、それが歌い手が唯一できることなのではないか」と思い直し、これからも「愛しかない時」を歌い続けていくことを決意した。
カップリング曲「今日でお別れ」は、先輩歌手・菅原洋一(88)が1970年に日本レコード大賞を受賞した代表曲をデュエット曲にアレンジし、菅原とデュエットした。レコーディングでは、戦争体験者の菅原から「自分の歌を誰かが喜んでくれる。希望が持てることが大事」という話を聞き、改めて、迷いの中でも「愛しかない時」を歌い続けていきたいと思えるようなったという。
クミコは8月13日の大阪公演を皮切りに、40周年記念コンサートをスタート。また、7月6日から全国各地で開催される日本最大のシャンソンの祭典『パリ祭』の東京、名古屋、岡山公演に出演し「愛しかない時」を披露する予定。
■クミコ コメント全文
シャンソンの右も左もわからぬまま、私は40年前「銀巴里」(1951年〜1990年まで東京・銀座7丁目にあった日本初のシャンソン喫茶。2012年9月12日に閉店)で歌い始めました。そんな私が、初めて自分の言葉で唄いたいと思ったのが「愛しかない時」でした。当時、来日していたアンナ・プリュクナルという女性のコンサートに出かけたのがきっかけです。
ナチスからの迫害の歴史を持つポーランドに生まれ、自身の父親もまたナチスによって殺されたアンナの歌には、どれもが理不尽への怒りと悲しみに満ちていました。
その時唄われたのが「愛しかない時」。
胸元に歌の切っ先が突きつけられたようでした。
私も唄いたい、唄わなければと思いました。愛ってなんだ、愛に何ができる。
今年初め、この歌を新たにリリースすることにしました。
自分の歌の原点の一つでもあるこの歌を、今の歌として残したいと思ったからです。
ところが、突然ロシアのウクライナ侵攻が始まりました。現実が歌を飛び越えてしまったのです。
ウクライナに知人を持つ私に、もうそれまでの平穏はなくなりました。
歌などに何の意味がある、愛ってなんだ。
こうして、この歌はまた40年前の振り出しに戻りました。
でも、録音された歌は、確かに今の私の歌でした。
今私が見ている世界と、愛についての歌になっていました。
今回、私が敬愛し尊敬する菅原洋一さんと、デュエットをさせていただきました。
名曲「今日でお別れ」です。
人はどんなふうに歌を唄い、人生を歩いていくのか、いけるのか。
歌い手の根元を、歌声で指し示してくださる菅原さんとご一緒できたことが、無力感にさいなまれる私の大きな救いになりました。
この二曲を、今録音できたことには、きっと意味があるのでしょう。
今ははっきりとはわからなくても、これからの時間がそれを明らかにしてくれるはずです。
愛ってなんだ、歌ってなんだ、人間ってなんだというその答えを。
■菅原洋一コメント全文
40周年おめでとうございます。
あなたの歌には強さがあります。あなたの歌にはやさしさがあります。そして祈りがあります。
先日、あなたの40周年記念のシングルに、一緒に「今日でお別れ」を歌わせてもらい、とてもうれしくいい記念になりました。そしてあなたの歌の強さ、やさしさ、祈りを改めて感じとりました。
私も8月で89才です。以前はいい声が出るから、その声を張り上げて遠くまで届くようにと思って歌っていました。けれど年齢を重ねるにつれ、だんだん声も出にくくなってゆくものです。声だけ張り上げるのではなく歌を届けるにはどうすればいいのだろうか? と考えてきました。たどり着いたのが、ひとことひとこと言葉を大切に心を込めて歌ってみようということでした。それが今の私の歌です。
クミコさん、あなたはその術(すべ)を知っている人です。
きっとこれから、より深くより細やかなあなたの歌は完成度を増してゆくでしょう。
とても楽しみです。まだまだ40年は通過点…なのです。
「今日でお別れ」なんて言わないで、これからも一緒に歌う機会が多くなったらうれしいです。おめでとう。
2022/05/19




