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ユプシロン、新曲「フォージェリィ」について語る

 歌い手で、ボカロPで、バーチャルシンガー。次世代の音楽の形とも言える活動を見せるユプシロンが、新曲「フォージェリィ」をした。SNS世代の承認欲求を歌った新曲の制作秘話とともに、濃厚だった2021年の活動、今後の抱負についてインタビューを行った。

ユプシロンの新曲「フォージェリィ」のジャケット写真

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―― 昨年2021年は、ボカロPデビューやクラウドファンディングが成功して3D化など、盛り沢山な一年間だったと思いますが、改めて振り返ってみていかがでしたか?

 まさに「特盛!」な一年間でした(笑)。応援してくれたリスナーのみんなや、協力してくれたクリエイターさん・企業様に支えられた一年間でもありました。やってみたいことに手あたり次第挑戦して、ジェットコースターのような・・・。2021年は毎月違うことをやっていたと思います。

―― 毎月違うことは凄いですね!活動が続いてくるとルーティーンになりがちですが、そうではなかったということでしょうか。

 はい。デビュー一年目はわりとルーティーンというか、定期的に歌ってみた動画を出して、週一配信して、みたいな活動だったのですが、二年目はそれをやめてやってみたいことを片っ端からトライしました。と言っても、わざとルーティーンを止めたわけではなく、ルーティーンの中で新しいチャレンジもできたら一番良かったんだと思いますが、そのキャパシティーがないので・・・(笑)。オリジナル曲の制作や歌に向き合う時間を作って、成長の一年間になったかなと思います。リスナーのこに、歌上手くなったねって言われます(笑)。

―― 歌も変わったと。3D化では映画館でお披露目イベントも開催し、生ライブもされたとのことですがいかがでしたか?

 3Dボディの準備も3Dのお披露目イベントも準備がかなり大変でした・・・!僕は個人活動者でスタッフやお手伝いの方もいないので、映画館の方にはすごく助けられました。生ライブは、歌はもちろんのこと、3Dで全身動けるようになったのでステージングもすごくリハーサルをして・・・お披露目会だったので歌ったのは3曲だけだったのですが、全身で曲を表現したら、翌日全身筋肉痛でした(笑)。いつかフルでライブをできる日のことを考えたら、いろいろ鍛えていかなきゃなと思いました。

―― 凄くクオリティの高い3Dモデルとイベント演出で、あっという間の時間でした。いつかライブも楽しみにしています!さて、今回リリースの「フォージェリィ」は、今までのユプシロンらしい繊細なメロディでありながら、今までとは違うテイストがプラスされた楽曲という印象を受けました。これは、去年ボカロPとして活動し出した影響があるのでしようか?

 まさに、ボカロで曲を作りだした影響はモロに出ている一曲だと思います(笑)。自分でも歌っているのになぜボカロで曲を投稿しようと思ったのか、というのはよく聞かれるんですが、自分で歌うイメージで曲を作るのと、そうじゃないのは、全然違うんですよ。うまく言えないんですが、歌う責任まで考えずに自由に曲を作れるというか(笑)。どんなに難しい曲でも初音ミクちゃんは歌いこなしてくれるので。ボカロで楽曲を投稿して、作り手としてすごく幅が広がったと思います。解き放たれたというか。今回のフォージェリィは、そんな解き放たれた状態で書きました。なので、さっきの意気込みと矛盾してしまうのですが、ライブのことも全く考えずに、めちゃくちゃ歌うのが大変な曲になりました(笑)。

―― かなりツメツメの、攻めたメロディと歌詞のパートがありますよね。聴き所のひとつとして、この、18.9秒で156文字を発する高速リリックのパートがありますが、この箇所のレコーディングはいかがでしたか?

 このメロディにこの歌詞を付けた過去の自分を呪いたくなるくらい難しかったですね(笑)。たった2分20秒の曲なんですけど、今までで一番レコーディングに時間がかかったと思います。でも、たぶん活動開始したあたりの自分では歌えなかったと思うので、成長を感じる曲でもありました。聴かせたい声の感じや、エッジボイスの表現がイメージ通りにできたので、結果的に満足しています。

―― 2分20秒の短さでも、かなり満足度の高い一曲かと思います!今作の楽曲制作はどのように行ったのでしょうか?

 ありがとうございます!今作も作編曲をsachiさんにお願いしました。sachiさんとは去年ボカロ曲を2曲共作してもらってボカコレ(niconico動画のボカロ楽曲投稿のイベント)にも参加したので、その制作で音楽の引き出しを一緒に増やしていって、今作ができた気がします。

―― 他の方のボカロ曲にも触れながら、引き出しを増やしていったという感じでしょうか。

 そうですね、影響はいろんなクリエイターさんから少しずつ受けていると思います。sachiさんは以前組んでいたバンドでボカロ曲をアレンジカバーしていたので、もともと僕よりも引き出しは多いと思いますが(笑)。今回の曲作りは、ABメロはメロディーから、サビはオケからできてそこにメロディーを乗せました。メロディー作りは躓かずにサクサクいったのですが、全体的な音作りに時間がかかって。こんなのはどうでしょう、とリファレンスをたくさん出しながら、全体の質感というか「どの音が聴こえたいのか」という作業を丁寧にしました。

―― 音が飛び込んできて展開が早いんだけど、満足感は高くて、何度もループして聴きたくなる曲だなと思いました。音作りにもこだわったからかもしれませんね。

 そう言っていただけてよかったです!エンジニアの渡辺さんがいたからできたことでもあると思います。ごちゃごちゃせず、全部の音がしっかり聴こえるけど、胃もたれしないというか(笑)。

―― 重すぎず軽すぎず、何度も食べたくなる味、ですね(笑)。今回の歌詞のテーマは、SNS世代の承認欲求ですが、このようなテーマをあげた理由は?

 身近な友達が自撮りを加工しまくってるのを見てたり、僕が活動を始めてからtwitterとかで見るようになった光景を受けて書いた歌詞です。他人事のように見てたけど、僕も一緒だなって。カラコン付けてるだけで「それはスッピンじゃない」って言われるし、歌も、無加工って言っても、カラオケだってエフェクトかかってんじゃんって。自撮りも、ツイート文も、アップする歌も、偽造(Forgery)なのかもしれない。それでも、自分だけで留めておくんじゃなくて、SNSに載せたくなってしまう・・・。

―― たくさんの人がSNSで表現をする時代ですもんね。そこに、心無いコメントも飛び交っていたりしますよね・・・。

 そうですね、僕も活動をしだしてもうすぐ二年なので、言われて嫌なコメントをもらったこともあります。でも、一度活動を始めるとやめられないんですよね。何と言われようが、アウトプットしたいし、そこに付随して認められたいって欲もあります。そして承認欲求って、単純に認められたい!っていう気持ちだけじゃなく、寂しさや痛みも伴うなって思ったんです。続けないと、自分が消えてしまうんじゃないか、みたいな孤独感もあって。

―― SNSに何かをアウトプットしている人たちには、寂しさや痛みがあると?

 はい。100%愛されてて認められている人は、加工した自撮りをSNSにあげません(笑)。芸能人が仕事でやるのは別だと思いますが。僕自身もなんで音楽を作ってるかっていうと、友達には話せないようなグチャグチャした感情を音楽にのせて、誰か共感してくれる人やわかってくれる人に出会いたいから、SNSに投稿するんだと思います。誰かの反応があると、自分が存在している安心感があって、生きてるなって思えるんです。そんな自己分析もしつつ、自分と向き合いつつ、この曲を書きました。

―― 確かに、令和という時代の浮世絵はSNSに溢れていますね。それが人々の存在証明になっていると。

 そうです。それを音楽にしてみたかったし、SNSを利用したことがあるすべての人を代弁するような、代弁することで寄り添えるような歌詞にしたかったんです。なので歌詞を書いているときは「なんで?どうしてそんなことするの?」って、自分自身に何度も語りかけて向き合いました。自分の弱さがボロボロ出てきて、歌詞を書いているときは結構追い込まれました。

―― 今までの楽曲も、感情をむき出しにした哲学的な歌詞が多かったですが、それとはまた違った部分で自分と向き合ったということでしょうか。

 はい、また自分の哲学の違う部分を掘り下げられたかなと思います。活動者の方もそうでない方も、何か感じてもらえたら嬉しいです。

―― MVは、どのような作品になりましたか?

 今回のMVは、僕のキャラクターデザインも手掛けてくださったイラストレーターさくしゃ2さんにお願いしました。ちょうど二年前の今頃に「ステレオタイプ」のデモをお送りして僕のキャラデザを作っていただいたのですが、今回も「フォージェリィ」のデモをお送りして描いてもらいました。

―― 今作のイラストも、楽曲を聴きながら描いてもらったんですね。

 たぶんそうです(笑)。「自分のやってることで自分が苦しくなって、でも辞められない、みたいなイメージです」と伝えて描いてもらいました。ネタバレになっちゃうんですが、最初は強気な顔に見えるかと思うのですが、ラストでは泣いてしまうんです。

―― 自分の存在意義を探し、欲求を追い求め、泣いてしまうと。

 そうです。MVの映像は、僕のオリジナル曲を何曲も作ってくれているあめまるさんにお願いしたのですが、イラストのカッコよさを前面に出しつつ、パワーのある歌詞を引き立てるリリックモーションを付けてくれました。疾走感とカッコよさ重視でありながら、ユプシロンが消えてしまうところの演出などがエモいんです・・・!表情の変化も細かい演出があるので、ぜひ注意して見てもらえたら嬉しいです。

―― 最後に、今後の活動の意気込みを教えてください。

 自分としては、この「フォージェリィ」が、活動第二章の幕開けの曲なんです。今年の4月に二周年になるので、この二年間で得た武器を持って、新しい旅に向かいたいと思っています。今まで以上にオリジナル楽曲も歌も出していきたいと思っているので、楽しみにしてください!

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  • ユプシロンの新曲「フォージェリィ」のジャケット写真
  • ジャケット、MVを担当したイラストレーター、さくしゃ2

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