人気アーティスト・PALU(パル)の新曲「Limit(Korean.ver)」が、韓国で話題の映画『特殊要員:コードネームP-69』の挿入歌に決定。日本人歌手のオリジナル楽曲が韓国国内で上映される映画で挿入歌として起用されるのは初。同作は、韓国で大ヒットを記録した映画『メモリーズ 追憶の剣』などで知られるシン・ジェミョン監督による最新作。元々、日本語のオリジナル詞をPALU自身が書いていたのだが、今回はそれを韓国語に訳して歌声を披露することになった。韓国語での歌はアーティスト活動を長年続けてきたPALUにとっても初めてのチャレンジだ。日本人として初の快挙に燃えるPALUに今の心境を語ってもらった。
■最初のレコーディングは屈辱感といってもいいほどの大変さ。
まさかの韓国映画挿入歌決定にはPALU自身も相当驚いたという。
「最初は本当に、私でいいの?という気持ちでした。信頼しているボイス・トレーナーさんに、韓国語でしっかり伝わるように歌うなんて私に可能でしょうか? って、確認させていただいたほどです。韓国映画やドラマのいちファンとして楽しんでいるくらいでは到底正しい発音や意味をマスターできるものではありませんからね。大きなチャンスを頂いた嬉しさと同時に、本当にゼロからやらなければと身震いがする思いでした」
今回の楽曲「Limit(Korean ver.)」は、もともと今年11月に発売予定のアルバムに収録するためPALU自身が作詞をしたもの。とはいえ、初の韓国語チャレンジは様々な苦労があったことは容易に想像できる。
「韓国語バージョンに関して2回収録したのですが、最初の収録までの練習時間は、まさかの1日半でした(笑)! その1回目の収録はあまりに大変で…、もう屈辱感とでもいいたいほどの悲しい気持ちになってしまいました。レコーディングに立会ってくださった韓国のプロデューサーさんからも、もう少しネイティブな発音をと求められるのですが、実際ネイティブではない私にとっては正確なイントネーションを掴むのも一苦労、という状態だったんです。以前、英語が話せない私が英語曲を歌った時、ボイストレーナーさんに「発音が良い、耳が良いね」と言われたことがあります。それはとても良いことだとも力説してもらい、嬉しく思うと同時に自信にも繋がったのですが、そんな自信は一瞬にして消えていきました」
そして、2回目の収録に挑んだのだが、そこで学んだことが大きいという。
「2回目の収録までの期間は必死で歌い込みました。まずは韓国語で朗読する、という基礎の練習からスタートして、よりネイティブなイントネーションを学びました。一番難しかったのは、韓国語そのものが、どこか“歌”であるような表現があること。いざメロディにのせると、朗読だけでは感じることのなかった、その言葉の新たな表情が見えてくるんです。今までの取り組みが無になるような絶望を感じながらも、そこでまたゼロポイントに戻って試行錯誤し、歌い続ける。母国語ではない発音での歌唱表現の感覚を捉えることの難しさを実感しつつ、よりシリアスな表現に近づけるよう必死でした。でも、私が『Limit』で描いた世界は、絶望の中で見出すことのできる一筋の光。希望のような願いなのですが、言語は違えど、その部分では自分の思いをしっかりと乗せることができたように思います」
■恋愛を歌った詞だけれど、映画のテーマ“家族愛”にも共通するものがある
映画の舞台となるのは、南北朝鮮の歴史的な邂逅の日。全世界が息を殺して南北首脳会談を見守っていた板門店を舞台に、俳優イ・ジュユン演じる主人公が娘のために北朝鮮に潜入し、科学者救出のために命を懸けるという内容だ。韓国映画ならではのアクション演技と深みのある感情表現、主人公の娘を想う気持ちが交錯する感動的な救出劇である。
「『Limit』では恋愛関係における思いを描いていますが、相手を思う切実な気持ち、幸せのため一縷の望みにかける、という部分では、この映画で描かれる“家族への思い”にも共通するものです。この歌は、絶望や悲しみを歌っているように感じる方も多いかと思うのですが、 “希望”を描いたものでもあります。どんな最悪の事態に陥っても、一筋の光を探し求めずにはいられない人間の性。どん底に落ちた人だけが向き合うことができる前向きな希望の歌でもあるんです。そのあたりの思いを映画をご覧になる方にも感じていただけたら、と思っています」
PALU自身が、十代の頃から韓国ドラマや映画に親しんできたこともあり、その世界観に大きな憧れも抱いていたという。そんな彼女にとって、韓国発のクリエイティブの魅力とは、どんなものなのだろうか。
「物語それぞれの世界観があると思いますが、例えば恋愛ストーリーで描かれる優しさや繊細さ、ヒューマンドラマで描かれる細かい心の揺れ動きやその描写が、感情にずしっと響くところがとても素晴らしいと思っています。今回挿入歌を歌わせて頂いた映画は、俳優イ・ユジュンさんの復帰作ともなる作品とのことで大変話題になっている映画でもあり、昨年世界的な話題となった南北首脳会談の日に起きた出来事を描いた作品です。こうした史実が織り交ぜられたタイムリーな映画に参加できたことは、本当に大きな出来事であり、私にとっては大変だったエピソードも山ほどありますが(笑)、その分得たものも大きかったです」
■PALU自身にとって、大きな飛躍の年に。変わらず感じるものを表現したい。
PALUは、この韓国映画での挿入歌「Limit(Korean Ver.)」を5月に発売、6月には「Limit(日本語オリジナル版)」を発売、また11月には「Limit」を含む全12曲収録予定のニューアルバムをリリース予定。2020年はPALUにとっても、大きな物語が紡がれていくこととなるが、この作品への楽曲提供を通じて生まれた新たな夢や、方向性などについても聞いてみた。
「自分自身にとっても大きな分岐点となる体験させていただきましたが、変わらず、自分の中に生まれてくるもの、感じるものを表現し続けていきたいと思っています。生きていくという意味において、あまり器用とはいえない私にとっては、日常の中で自分自身を表現することはとても難しいことでもあります。それでも唯一、暗闇の中で魂の奥底から吐き出すことができる歌詞の中には、私自身のすべてが詰まっています。そこに共感してくださる方や、想いをリンクさせてくださる方がいてくださるなら、本当に嬉しく思います」
PALUは、日本人初の韓国映画挿入歌歌手として、その歌声や音楽性も大きな話題となるはずだ。アーティストにとって大きなタイアップへの抜擢は栄えあるものには違いないが、彼女には、それだけでは終わらない未知数のポテンシャルがある。新たな転換を迎える時代と音楽シーンの中で、大きく羽ばたいていくことになるであろうミステリアスな歌姫、PALUにはこれからぜひ注目したい。
■最初のレコーディングは屈辱感といってもいいほどの大変さ。
まさかの韓国映画挿入歌決定にはPALU自身も相当驚いたという。
「最初は本当に、私でいいの?という気持ちでした。信頼しているボイス・トレーナーさんに、韓国語でしっかり伝わるように歌うなんて私に可能でしょうか? って、確認させていただいたほどです。韓国映画やドラマのいちファンとして楽しんでいるくらいでは到底正しい発音や意味をマスターできるものではありませんからね。大きなチャンスを頂いた嬉しさと同時に、本当にゼロからやらなければと身震いがする思いでした」
「韓国語バージョンに関して2回収録したのですが、最初の収録までの練習時間は、まさかの1日半でした(笑)! その1回目の収録はあまりに大変で…、もう屈辱感とでもいいたいほどの悲しい気持ちになってしまいました。レコーディングに立会ってくださった韓国のプロデューサーさんからも、もう少しネイティブな発音をと求められるのですが、実際ネイティブではない私にとっては正確なイントネーションを掴むのも一苦労、という状態だったんです。以前、英語が話せない私が英語曲を歌った時、ボイストレーナーさんに「発音が良い、耳が良いね」と言われたことがあります。それはとても良いことだとも力説してもらい、嬉しく思うと同時に自信にも繋がったのですが、そんな自信は一瞬にして消えていきました」
そして、2回目の収録に挑んだのだが、そこで学んだことが大きいという。
「2回目の収録までの期間は必死で歌い込みました。まずは韓国語で朗読する、という基礎の練習からスタートして、よりネイティブなイントネーションを学びました。一番難しかったのは、韓国語そのものが、どこか“歌”であるような表現があること。いざメロディにのせると、朗読だけでは感じることのなかった、その言葉の新たな表情が見えてくるんです。今までの取り組みが無になるような絶望を感じながらも、そこでまたゼロポイントに戻って試行錯誤し、歌い続ける。母国語ではない発音での歌唱表現の感覚を捉えることの難しさを実感しつつ、よりシリアスな表現に近づけるよう必死でした。でも、私が『Limit』で描いた世界は、絶望の中で見出すことのできる一筋の光。希望のような願いなのですが、言語は違えど、その部分では自分の思いをしっかりと乗せることができたように思います」
■恋愛を歌った詞だけれど、映画のテーマ“家族愛”にも共通するものがある
映画の舞台となるのは、南北朝鮮の歴史的な邂逅の日。全世界が息を殺して南北首脳会談を見守っていた板門店を舞台に、俳優イ・ジュユン演じる主人公が娘のために北朝鮮に潜入し、科学者救出のために命を懸けるという内容だ。韓国映画ならではのアクション演技と深みのある感情表現、主人公の娘を想う気持ちが交錯する感動的な救出劇である。
「『Limit』では恋愛関係における思いを描いていますが、相手を思う切実な気持ち、幸せのため一縷の望みにかける、という部分では、この映画で描かれる“家族への思い”にも共通するものです。この歌は、絶望や悲しみを歌っているように感じる方も多いかと思うのですが、 “希望”を描いたものでもあります。どんな最悪の事態に陥っても、一筋の光を探し求めずにはいられない人間の性。どん底に落ちた人だけが向き合うことができる前向きな希望の歌でもあるんです。そのあたりの思いを映画をご覧になる方にも感じていただけたら、と思っています」
PALU自身が、十代の頃から韓国ドラマや映画に親しんできたこともあり、その世界観に大きな憧れも抱いていたという。そんな彼女にとって、韓国発のクリエイティブの魅力とは、どんなものなのだろうか。
「物語それぞれの世界観があると思いますが、例えば恋愛ストーリーで描かれる優しさや繊細さ、ヒューマンドラマで描かれる細かい心の揺れ動きやその描写が、感情にずしっと響くところがとても素晴らしいと思っています。今回挿入歌を歌わせて頂いた映画は、俳優イ・ユジュンさんの復帰作ともなる作品とのことで大変話題になっている映画でもあり、昨年世界的な話題となった南北首脳会談の日に起きた出来事を描いた作品です。こうした史実が織り交ぜられたタイムリーな映画に参加できたことは、本当に大きな出来事であり、私にとっては大変だったエピソードも山ほどありますが(笑)、その分得たものも大きかったです」
■PALU自身にとって、大きな飛躍の年に。変わらず感じるものを表現したい。
PALUは、この韓国映画での挿入歌「Limit(Korean Ver.)」を5月に発売、6月には「Limit(日本語オリジナル版)」を発売、また11月には「Limit」を含む全12曲収録予定のニューアルバムをリリース予定。2020年はPALUにとっても、大きな物語が紡がれていくこととなるが、この作品への楽曲提供を通じて生まれた新たな夢や、方向性などについても聞いてみた。
「自分自身にとっても大きな分岐点となる体験させていただきましたが、変わらず、自分の中に生まれてくるもの、感じるものを表現し続けていきたいと思っています。生きていくという意味において、あまり器用とはいえない私にとっては、日常の中で自分自身を表現することはとても難しいことでもあります。それでも唯一、暗闇の中で魂の奥底から吐き出すことができる歌詞の中には、私自身のすべてが詰まっています。そこに共感してくださる方や、想いをリンクさせてくださる方がいてくださるなら、本当に嬉しく思います」
PALUは、日本人初の韓国映画挿入歌歌手として、その歌声や音楽性も大きな話題となるはずだ。アーティストにとって大きなタイアップへの抜擢は栄えあるものには違いないが、彼女には、それだけでは終わらない未知数のポテンシャルがある。新たな転換を迎える時代と音楽シーンの中で、大きく羽ばたいていくことになるであろうミステリアスな歌姫、PALUにはこれからぜひ注目したい。
2020/05/28



