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KinKi Kids、ジャニーさんへの思いを込めた58回目東京D公演 デビュー前の曲も披露

 人気デュオ・KinKi Kidsが14・15日の2日間、東京ドームで『ThanKs 2 YOU KinKi Kids Concert Tour 2019−2020』の東京公演を開催した。2年ぶりの東京ドーム公演で2人は、今年7月に逝去したジャニー喜多川さん(享年87)への思いを込めたステージを披露。ヒット曲、レア曲、新曲を含めた全24曲で5万5000人の観客を魅了した。

KinKi Kidsが『ThanKs 2 YOU KinKi Kids Concert Tour 2019-2020』を開催(C)ORICON NewS inc.

KinKi Kidsが『ThanKs 2 YOU KinKi Kids Concert Tour 2019-2020』を開催(C)ORICON NewS inc.

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 ツアータイトルが記された幕が左右に開くと、そこには堂本剛堂本光一の姿があらわれ、最初の楽曲は「愛のかたまり」。剛が作詞、光一が作曲を担当した人気曲が響き渡り、会場から大きな歓声が沸き起こる。さらに剛がギターを弾き、光一が情熱的なダンスを披露した「The Red Light」、壮大なストリングスをフィーチャーした「雪白の月」などを演奏し、最初のMCへ。

 「2年ぶりの東京ドーム。今日で(累計)58回目の公演になります」とあいさつした光一は、「どこかしら常にジャニーさんを感じてもらえるような構成にしました」と今回のライブの趣旨を説明。剛も「同じ世界にはいないけど、ジャニーさんと一緒に作っているような感覚があります」と語った。

 「2年ぶりに2人がこうしてステージに立ったこと、その姿を楽しんでもらえれば」(光一)という言葉の後は、KinKi Kidsの多彩な表現力を体感できる場面が続いた。シックなダンスナンバー「Bonnie Butterfly」、珠玉のウィンターバラード「SNOW!SNOW!SNOW!」、ファンクのテイストを取り入れた「Want You」など、深みを増したボーカルを聴かせる。濃密なグルーヴをたたえた剛のボーカル、正確にメロディーを描き出す光一の歌声。まったくタイプが違う2人の声が重り、KinKi Kidsの歌になる瞬間はやはり格別だ。吉田健(Ba)、堂島孝平(G)を中心に、ストリングス、ホーンセクションを擁するバンドの演奏も素晴らしい。

 2度目のMCでは、剛の耳の状態を考慮しながらライブ構成を組み立てたことを明かし、「剛くんが選んだ曲は意外とアッパーな曲が多くて、“大丈夫?”って」(光一)、「アッパーな曲、楽しいからね。“踊る光一、ギターで吠える剛、しっとりと歌う二人”です」(剛)と息の合った掛け合いを見せた。

 ライブ中盤では、ジャニーさんの勧めにより、二人が1997年のCDデビュー前にライブで歌っていた「たよりにしてまっせ」「買い物ブギ」を新しいアレンジで演奏。さらに今回の公演のために剛が書き下した「KANZAI BOYA」も。これは「“KANZAI BOYA”は、ジャニーさんが僕らに最初に付けた名前。これを大々的に鳴らすべく作りました」(剛)というファンク・ナンバーだ。楽曲の最後は光一がジャニー氏のマネで「YOUたちにカッコいい名前を思い付いたよ。KinKi Kids」と語り、大きな拍手が沸き起こる。天国に向けて投げキスを送る剛の姿も印象的だった。また、アルバム『B album』(1998年)に収録されたレア曲「ボーダーライン」も。原曲にある大阪弁のセリフをサンプリングし、曲のなかに「とんこつ味!」などの声を挿入するユニークな演出で観客を楽しませた。

 いまや名物となった長いトークの後、ライブは後半へ。まずは最新シングル「光の気配」。坂本真綾が作詞を担当したこの曲は、音数を抑えたアレンジ、洗練されたメロディーを軸にしたバラードナンバー。決して満たされることがない心を抱えながら、かすかな希望の光を求める姿を描いたこの曲は、「今の二人だから歌える曲」(光一)というコメント通り、40代になったKinKi Kidsの豊かなボーカルを実感できる名曲だ。さらに「銀色 暗号」「恋涙」「Topaz Love」と剛、光一の共作曲をアコースティック・アレンジで披露。憂いを含んだドラマティックな光一のメロディー、叙情性と切なさが伝わる剛の歌詞が生み出す化学反応もまた、KinKi Kidsの魅力と感じさせた。

 「Kissからはじまるミステリー」からライブはクライマックスへ向かう。記念すべきデビュー曲「硝子の少年」は巨大な噴水を使った演出で盛り上げ、本編ラストの「Harmony of December」では二人の美しいハーモニーが会場全体に広がり、大きな感動が生まれた。「2年ぶりの東京ドームのライブ。ジャニーさんが亡くなって、いろんな思いがありましたが、なるべくステージからお伝えしたいと思っていました。何よりもこうして、二人が並んでいること。それがすべてだと思っています」という光一の言葉も心に残った。

 アンコールでも、ジャニー氏に対する愛情を込めたステージが続いた。「ボクの背中には羽根がある」を歌った後、光一は「ジャニーさんが僕らの背中に羽根を授けてくれた。だからこそ、今日もステージに立たせてもらえているんだと改めて感じました」とコメント。そして最後の楽曲は、剛が作詞・作曲した「YOU...〜Thanks 2 YOU〜」。ABC座『ジャニーズ伝説2019』のために制作した「YOU...」の歌詞をKinKi Kidsが歌うために変更したバージョンだ。「ジャニー氏の葬儀のときに感じたこと、そのなかで感じた僕と光一との友情をつづった」(剛)というこの曲は、“君が涙をはじめて見せてくれた”というフレーズで始まるバラードナンバー。“We’re the ones…”というサビがリフレインされるなか、ライブはエンディングを迎えた。ジャニーさんに向けられた深い思い、そして、剛と光一の絆、現在のKinKi Kidsの豊潤な音楽をじっくりと堪能できた貴重なライブだった。
(ライター森朋之)

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