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作詞家・松本隆氏が紫綬褒章受章「残りの人生が尽きるまで歌を作りたい」

 2017年秋の紫綬褒章受章者が2日に発表され、作詞家の松本隆氏(68)が選ばれた。会見を行った松本氏は喜びを語りつつ「残りの人生が尽きるまで歌を作りたい」とさらなる創作に意欲を見せた。

紫綬褒章を受章した松本隆氏(C)ORICON NewS inc.

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 芸能やスポーツの分野で功績のあった人に贈られる褒章の一つで、春と秋に発表される。松本氏は「人生の晩秋に、このような輝かしい光を当てていただきまして、深く感謝します。70年代、日本語のロックを提唱し、英米のものまねではない音楽の創作に、言葉の面から非力ながらも日々を費やしてきました。ある意味、その努力が報われた気がします」とコメント。周囲へ感謝もし「最近は西の地に居を構え、春には桜のトンネルをくぐり、秋には枯れ葉の原色が散る道を散歩しています。西行、芭蕉、良寛ら漂白の詩人の足跡をたどり、残された日々を、歌のための言葉を記しながら生きようと思います」と文書を発表した。

 また、会見も行った。受章について問われると「予想もしてなかった。大変、素晴らしい賞をいただきまして光栄に思います」と慣れない報道陣を前に気恥ずかしそうに語った。「周囲に恵まれてきょうの章がある。すごく感謝したい」と話す。そして「最近は同世代で亡くなる人が多い。大瀧詠一さんもいませんし、遠藤賢司さんも最近、亡くなった。そういう意味で残りの人生が尽きるまで歌を作っていきたいなと思います」。静かに、そして熱く決意を明かした。

 作詞へのこだわりも語った。「失恋の歌は僕以前のものは、割りと傷をなめ合うみたいな感じが多かった。そういうのではなく、失恋して心がくじけて倒れたところから、どう立ち直るかみたいな、そんな感じのことを歌いたいなと思った」。例として挙げたのがKinKi Kids「硝子の少年」だ。「失恋はするんですけど最後に雨上がりに陽が差すような」と話し「人々の折れた心をなんとか癒せればいいなと。そういう思いで作っていた」と歌詞に込めたメッセージを明かした。

 今年9月にはクミコwith風街レビュープロジェクトの第1弾アルバム『デラシネ deracine』をリリース。全て作詞したアルバムは15年ぶりとなったが「68歳の作詞家が63歳の歌手に歌を書いてフルアルバムを作るのは今までの歴史でないと思う。60歳を超えると脳は固くなる。詞とか作りにくい。僕の場合は幸いにしてフルアルバムを作れたので、まだまだ行けるかな。自信になる」と笑顔を見せた。

 松本氏は1949年に東京で生まれた。大瀧さんらと結成したロックバンド「はっぴぃえんど」でドラムを担当。独特の作風で都市に暮らす人々の心象風景を「ですます」調で描き、日本語ロック論争の発端になった。解散後に作詞家兼音楽プロデューサー業を始める。アグネス・チャンの「ポケットいっぱいの秘密」で歌謡界に進出し、太田裕美の「木綿のハンカチーフ」で地位を確立した。その後、近藤真彦「スニーカーぶる〜す」やイモ欽トリオ「ハイスクールララバイ」、寺尾聰「ルビーの指輪」、大瀧さんの大ヒット・アルバム『A LONG VACATION』などを手掛けた。さらにKinKi Kidsや中島美嘉、松たか子の作詞を担当。アニメ『マクロスF』の挿入歌「星間飛行」も作詞するなど世代を問わず、広く知れわたっている。

 最後にリポーターから、これで“はっぴぃえんど”ですかと問われると松本氏は「『はっぴぃえんど』というバンドにいただけで僕は満足しています」と笑った。

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  • 紫綬褒章を受章した松本隆氏(C)ORICON NewS inc.
  • 紫綬褒章受章会見を行った松本隆氏(C)ORICON NewS inc.
  • 紫綬褒章を受章した松本隆氏(右)(C)ORICON NewS inc.
  • 紫綬褒章受章会見を行った松本隆氏(C)ORICON NewS inc.
  • 紫綬褒章を受章した松本隆氏(C)ORICON NewS inc.

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