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洋楽シンガー・ソングライターにブームの兆し

 13年上半期の洋楽シーンは、テイラー・スウィフトカーリー・レイ・ジェプセンブルーノ・マーズといった若手のシンガー・ソングライターの活躍が目立った。そしてこの下半期も、各メーカーからシンガー・ソングライターのデビューが相次いで予定されており、このジャンルによるブームの到来が期待されている。その兆しを感じさせる3つの理由を探った。

メディア関係者からも注目を集めるUK出身のピアノマン、トム・オデール

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■ヒットの予感を感じさせる3つの理由

 まず1つ目は、昨年から今年にかけて、テイラー・スウィフトやカーリー・レイ・ジェプセン、ブルーノ・マーズといった若手シンガー・ソングライターが活躍したこと。来日時のパフォーマンスも素晴らしく、楽曲の魅力を大勢に伝えることに成功した。タワーレコード 商品本部 販売促進統括部 プロモーション企画部/高谷信夫氏は、「弾いて、歌って、みんなで音楽を楽しむことの良さにファンが立ち返った」と説明する。

 2つ目は、一昨年から昨年にかけて話題を呼んだダンスミュージック“EDM”のブームの対極として「リスナーは生声で歌う、演奏することを欲しているのでは」と前出の高谷氏。実際にダンス界の重鎮、ダフト・パンクが13年5月に発売した新作『ランダム・アクセス・メモリーズ』は、ダンスミュージックながらも生音を起用し、EDMと対極の内容でシーンの空気を一気に変えた。

 そして3つ目が、今年デビューの新人アーティストにシンガー・ソングライターが相次いでいることだ。

■求められるEDMと対極の音

 ノエル・ギャラガーストーン・ローゼスのライブでソロステージを見せたという実力派、ジェイク・バグは、モデルのような端正な顔立ちとカントリーやブルースのテイストを匂わせる鋭いサウンドで、若い女性や30代以上の大人世代の心まで掴んでいる。歯に衣着せぬ言動も話題性に富んでおり、ユニバーサルミュージックの笹野依理氏は、「音、歌詞、発言、ルックス、すべてにおいてカリスマ性がある。“遂にUKロック・シーンに救世主が現れた”といった雰囲気づくりでアピールしている」という。

 トム・オデールは、ビジュアルと楽曲のギャップが好感触と話題。イケメンのルックスとは一変した激しいピアノサウンドと情熱的なラブソングが魅力的だ。ソニー・ミュージックジャパンインターナショナルの武藤久美子氏は、「フェス好きの音楽ファンを狙いつつ、ワン・ダイレクションで築いた若い女性ファン向けの施策も仕込み中」と意気込む。メディア関係者の関心も高く、パワープレイや媒体露出を機に、一気にブレイクする可能性は高い。
 テイラー、カーリーに続く女性アーティストにも注目だ。ガブリエル・アプリンは、ケイティ・ペリーやアデルの楽曲をギター1本でカバーしてSNSに投稿。17歳でレーベルを立ち上げるなど、セルフプロデュースに長けている。「来日時のメディア露出に合わせて、女性層を狙う」とワーナーミュージック・ジャパンの大森正之氏。ビジュアル要素も十分かつ、美しい歌声と豊かな表現力は、幅広い世代のファンを獲得できそうだ。

 このように、生歌・生演奏を訴求できる素材が集まってきた。タワーレコードではすでに、これらのアーティストを小冊子「NEXT BREAKERS」で紹介。トム・オデールは「特別号」も発行した。さらに発売時のキャンペーンも計画しており、洋楽シーンの盛り上がりの一翼を担う。これから夏フェスシーズンに向けて、来日も相次ぐなど、盛り上がりは必至。期待が高まる。
(ORIGINAL CONFIDENCE 13年7月15日号掲載)

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