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【編集長の目っ!】UVERworld、さらなる高みへ

■“虎に翼”――UVERworldの充実ぶりとその勢いを感じる『THE ONE』

 “虎に翼”――現在初のアリーナツアーを敢行中のUVERworldのライブを観て、この言葉が浮かんできた。彼らはアリーナツアーの前に“Warm-Up Gig”と題して、ライブハウスで文字通りのウォーミングアップを行ったが、東京ドーム公演を成功させ、アリーナツアーも即完させる今の彼らがライブハウスでやるわけだから、本人たち、そしてファンが放つエネルギーの熱量は、ハンパじゃなかった。そのエネルギーを11月8日、渋谷duoで体感した。このライブは、当たり前だけど11月28日に発売されたニューアルバム『THE ONE』を聴いていないファンばかりで、そんなファンの前で彼らは新曲を立て続けに演奏し、その反応を楽しんでいた。「インディーズ時代は当たり前のことだった」とTAKUYA∞はこともなげに語った。さらに、ニューアルバムが完成したばかりだというのに「8枚目を早く作りたい。今どんどんイイ曲ができてるんです」と、ライブ後に自信に満ちた表情で話してくれた。いや、音楽を心から楽しんでる、という表現の方が正しいのかもしれない。

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 アーティストは新しい曲を一刻も早くファンに聴かせたい。今、自分たちが一番聴かせたい新曲を目の前のファンがどう感じるか、それを目の当たりにすることが作り手の最高の楽しみだ。ファンはそんなライブで「新しい曲が聴けて幸せ」という人と、「ノリ方がわからないから……」と戸惑う人、両方いると思う。それは仕方ない。でもライブは“予定調和”よりもそうじゃない方が楽しい。だってライブは“生”だし、逆に誰よりも早く新曲を聴ける空間にいる、ということを楽しんだ方がいい。

 このライブハウスでのライブで、メンバーはアリーナツアーという大舞台を前に初心に立ち返り、士気を奮い立たせ、そして大舞台の幕開け、代々木第一体育館2daysに臨んだ。アリーナというよりも、まるでスタジアムでライブをやるような巨大な豪華セットをバックに、彼らは前回のツアーよりも確実に進化し、心に響く素晴らしい演奏を聴かせてくれ感動的だった。ツアー中なので詳細は書けないが、とにかく歌、演奏、すべてに対して自信に満ち溢れていた。

 思うに、その“自信”はこれまで積み重ねてきた経験に裏打ちされたものかもしれないが、『THE ONE』というアルバムを完成させたことによるものなんだなと、アルバムを聴いて思った。だから“虎に翼”。今、最も勢いがあるバンドが、当然のように前作を超えた新作を作り上げ、さらにライブハウスでのTAKUYA∞の発言にあるように、そのクリエイティヴィティと“生産力”の充実、そして過去最大規模のツアーと、その勢いは誰も止めることができないほどで、気合と自信が大きなひとつの塊、エネルギーとなって客席に向かって放熱されるわけだから、聴き手はたまったものじゃない。身動きが取れないほどの大きな感動に包まれてしまうのだから。

 その『THE ONE』。彼らの引き出しの多さ、音楽性の多様さと大胆さを感じさせてくれる。彼らの演奏は、激しくそしてその疾走感と、抜群の“メリハリ”が聴き手の心を高揚させる。そして美しくどこか儚さを感じさせてくれるメロディーと、TAKUYA∞のポジティブな言葉、それらすべてがひとつになって彼らの独特の歌になる。

 この“キモ”になっている部分に、さまざまな音楽のフレーバーが彩りを加えることによって、幅広い層のファンから支持を得る作品になる。今回もヒップホップ、ファンク、ジャズ、さらにはブラックミュージックの肌触りさえ感じさせてくれる。これは、幼稚園、小学校から同じを時を過ごしている5人が、カッコイイと感じる、今表現すべき音楽が奇跡的に合致、共有できているということだろう。だから1曲1曲がこんなにも自由度が高く、そして情報量が多く、さまざまなアレンジが施された音でも、しっかり“1枚のアルバム”としてまとまり、成立しているのだと思う。

 多彩なアレンジといえば、UVERworldの音楽をより深く、印象的なものにしてくれているのがストリングス、アコースティックギター、ピアノ、サックスだと思う。これらの楽器が音をより芳醇なものにしてくれて、彼らの音楽、言葉の繊細な部分をきちんと感じさせてくれている。

 TAKUYA∞の言葉も、サウンド同様自由度が高まり、変幻自在にいろいろな言葉がむき出しになっていい意味で襲いかかってくる。でもすべて正面からメッセージとして飛び込んでくるから、伝わる。そして、まだまだ伝えたいことがたくさんあるんだという、TAKUYA∞の“想い”を感じる。

 ここで何度かUVERworldを取り上げているが、その度に書いている。こんな、何を信じていいかわからない時代に、“確かな言葉”ほど信じられるものはないと。エンターテインメントは時代が平和だからこそ成立するもの、そういう考え方もある。でも不安な時代だからこそ、その心の拠りどころになるのはエンターテインメント、音楽なのではないだろうか? 確かなものが見えない時ほど、前向きで情熱的で凛とした言葉こそが心のビタミンになり、それを感じた瞬間にまだまだ頑張れると起き上がり、そして戦う姿勢になることができ、前に進もうと思えてくるのだと思う。暗闇の中に灯るろうそくのような存在。それがUVERworldの音楽であり、TAKUYA∞が叫び続ける言葉なのではないだろうか。

 今回のアルバムも、どの曲の言葉もキラキラと輝きを放っている。光が差す方へ……そう、光が差す方へ人は吸い寄せられるのだ。改めて彼が紡ぐ言葉の強さを感じさせてくれた。

 最後に個人的なツボを。「23ワード」のサックス、特にラスト、TAKUYA∞のコーラスと絡むサックスの音色とアレンジが、まるでグローバー・ワシントンJr.(若い人は知らないと思うが……)の、切なくも凛としたサックスみたいだった。「AWAYOKUBA-斬る」の冒頭、3分にも渡るストリングスの音も素晴らしい。横浜アリーナでの感動を思い出した。そして「THE OVER」の位置。ちょうど真ん中に位置していて、まさにこのアルバムの中心になる名曲だし、全体の1本の太い芯になっていると思う。前半の感動をここで最高潮に持ってきている。さらにそこから、ストリングスが印象的な強いバラードの「此処から」への流れは感動的だ。1曲目から13曲目まで、曲順の大切さを再認識させてくれた。その良さは挙げたらキリがない、というのがツボなのかもしれない。

 デビュー8年、ここにきての『THE ONE』というタイトル。初のドキュメント映画が『THE SONG』、そしてUVERworld史上屈指の名曲は「THE OVER」。これらのタイトルは、さらに上を目指すためにはここからが勝負――そんなメンバー、スタッフがひとつになっての決意表明なのではないだろうか。

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  • UVERworld
  • 『THE ONE』(初回限定盤)
  • 『THE ONE』(通常盤)

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