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シェネル、BENI、由紀さおり〜カバーアルバム好調の背景

 昨年のシェネル『ラブ・ソングス』(累積売上32.9万枚)、BENI『COVERS』(累積売上19.9万枚)、さらには由紀さおりピンク・マルティーニによる『1969』(累積売上29.7万枚)と、11年後半から12年にかけてカバーアルバムのヒットが続いている。

シェネルの『ラブ・ソングス』

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 BENIのほか、AKB48「フライングゲット」の英語詞カバーをYouTubeに配信するなど、デビュー前から話題をさらったGILLEなど、カバーアルバムでヒットを量産するユニバーサル ミュージックの副社長兼 執行役員 邦楽統括 藤倉尚氏は「カバーアルバムは、いわゆる“企画モノ”から、現在は“ジャンル”として定着した」と解説する。

 こうした状況を生んだのは、05年から始まった徳永英明『VOCALIST』シリーズでの連続ミリオンヒットの功績が大きい。さらには、94年に発売され、ヒットシリーズとなった中森明菜『歌姫』まで遡ることができる。

 ここまでに挙げたヒット作に共通するのは、アーティスト自身が積極的にカバーに取り組んでいる点と、原曲に限りなく忠実であること。そうした真摯に「歌い継ぐ」姿勢もまた、ヒットの要因だと藤倉氏は語る。

■送り手も受け手もカバーに対する意識が変化

 中森、徳永と続いたカバーアルバムのヒットは、アーティストにとってもカバーに対する意識の変化をもたらし、歌い手としての表現手段のひとつとして考えられるようになった。BENI の場合も同様だ。彼女の原曲を大切にする気持ちは『COVERS』収録の13曲中、10曲の英語訳詞を自身で行ったことにも表れている。

 一方、リスナーもまた、カバーに対する受け止め方が変化し、原曲を知る世代は、先述のように「受け継ぐ」思いで楽曲を受け止め、原曲を知らない世代では、新曲のようにオリジナルとカバーを区別することなく楽しんでいるケースも多い。

 すでに耳馴染みのある楽曲のため、プロモーションにおいても、ゼロからスタートする必要はなく、認知拡大においても有利に働く。10月から年末にかけてカバーアルバムのリリースラッシュが続く。ヒットの続いた英語詞によるカバーのほかにも、遊助のように海外のヒット楽曲を日本語でカバーするケースも見られる。ジャンルとして定着したカバーアルバムが、どのように“成熟”していくのか、年末商戦でのヒットの行方が、今後の方向性を決めそうだ。
(※売上データは11/5付まで)(オリジナル コンフィデンスより)

関連写真

  • シェネルの『ラブ・ソングス』
  • BENI 『COVERS』の売上動向
  • 由紀さおり&ピンク・マルティーニの『1969』

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