清木場俊介が、役者デビュー!3人の男女のピュアな友情を描いた映画『天国は待ってくれる』の主役のひとりである武志を演じた清木場が、武志の心を描いた同名の主題歌を作詞・作曲。それは、キモチが透き通ってゆくミディアムスロー。アコースティックギターの音色に心洗われます。

――青空に悲しみが溶けていくような曲ですね。
【清木場】 最初は清木場俊介として書こうと思ったんですけど、なかなか書けなかったんですよ。それでもう一度、武志の役に入り込んで、宏樹(井ノ原快彦)と薫(岡本綾)に対して“ありがとう”という言葉を残したかった武志の気持ちを書いていったんです。書いていても悲しいという気持ちはなくて、切なさの中の優しさみたいなものを感じていましたね。
――自分ではない人になりきって書くというのは初めて?
【清木場】 そうですね。今までは映画を観て、自分の目から見た主人公を歌詞にすることはありましたけどね。この映画を観終わったときに、優しい気持ちで映画館を出てほしいなあと思ったんですよ。
――音的には、どんなこだわりがありましたか?
【清木場】 最初はバラードを考えていたんですけど、ミディアムになっちゃいましたね。でも、ミディアムの中でもリズムのあるバラードにしたかったんです。また、人間っぽさを描いた映画だったので、音も生のストリングスだったり、アコースティックギターだったりにこだわりました。僕自身もアコギの音は聴いていて落ち着くし、好きなんですよ。人間臭さを残しつつ、切なさを織り交ぜて。そういうアレンジでしたね。
――演技の中で“死”という体験は大きかった?
【清木場】 演技とはいえ死ぬのはやっぱり嫌ですからね。映画を作る前に“死ぬってなんだろう?”ってずっと考えてみたんですけど、やっぱりわからなくて。撮っている最中もずっと考えていましたね。だから、命の大切さをすごく学んだし、家族や友だちの大切さをもう一度思い出しましたね。得たものはすごく大きかったですよ。 ――武志自身への感情移入は自然とできましたか?
【清木場】 けっこう性格が似てるんですよ。せっかちなところだったり(笑)、何でも言っちゃうところだったり。僕の中で武志は弱さをあまり見せない強い人間で、みんなを引っ張っていくイメージなんです。その辺はすごいなと思ったし羨ましくもありましたね。武志になりたかったから。

――3人の友情に共感する部分はありましたか?
【清木場】 映画は、男2人と女1人の正三角形の物語なんですよ。その正三角形を崩さずに大人になりたいという3人の想いがあって。でも大人になると徐々に正三角形ではなくなってくるんですよね。それを自分に当てはめて考えたんですが、僕の中では男女の友情は成立しない派なんです。井ノ原くんもそうだったので、2人で“成立しねーよな”って話してたんですけどね(笑)。でも女性はあるっていうんですけど、どうですか?
――成立すると思いますけどね(笑)。
【清木場】 僕は無理だな〜。やっぱり女性として見ちゃいますからね。 ――人に対する感情移入が真っ直ぐだからこそ、かもしれないですね。
【清木場】 真っ直ぐすぎちゃって失敗します(笑)。 ――映画をキッカケに表現の場を広げられたわけですが、共通するものはありますか?
【清木場】 セリフであってもメロディーに言葉を乗せるにしても、言葉として伝えるという部分は同じだと思いました。あとは演技をやる前のライブと、演技をやった後のライブは変わりましたね。次の曲への切り替えがすぐにできるようになったんです。それと、けっこう喋るようになりました。それもきっと、自信がついたからなんだと思います。演技をやったことが、ちゃんと音楽活動に還ってきていることを感じましたし、これからも機会があればやっていきたいと思います。(文:三沢千晶)
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