Uru、最新作「願い」発売、ソングライターとしても熟成「カレーの福神漬けのような存在に」

 9月11日に待望のニューシングル「願い」をリリースしたUru。メジャーデビュー前からYouTubeチャンネルで人気を博した彼女は、2016年のメジャーデビュー後からは、シンガーとしての魅力を発揮していく一方で、近年では作詞作曲・編曲も担うケースが増え、さらにその才能を開花させている。最新シングル「願い」では、リード曲「願い」で作詞を、M2「Scenery」では作詞作曲を、さらにM3ではKing Gnuの人気曲「白日」の編曲にも携わっている。そんなUruに、シンガー・ソングライターとしての現在の心境を聞いた。

アニメを知らずにこの曲を聴いた方にも、ある種の応援歌になれば…

――リード曲「願い」は、TVアニメ『グランベルム』(MBS・TBS・BS-TBS「アニメイズム」枠にて放送中)のエンディングテーマとして書き下ろされました。作詞を手がける上でまずどんなことを考えたのですか?
Uru 脚本を読ませていただいた時に、それぞれ守りたいものや貫きたいものなど、さまざまな理由があって戦っている少女たちを、私たちが普段生活している現実世界の中に置き換えて考えてみたりしました。
  • Uru「願い」(通常盤)

    Uru「願い」(通常盤)

  • Uru「願い」(期間生産限定盤)

    Uru「願い」(期間生産限定盤)

――戦っている少女たちからはどんな心情を感じ取ったのでしょうか。
Uru アニメの中では、魔術師の頂点になって自分の望みを叶えるために戦っているけれど、その戦いのある世界は、勝ち上がるために騙したり、隠れたり罵ったりお互いに傷つけ合ったり、いつもひしめき合っていて、悲しい別れや葛藤、生き辛さのようなものを感じました。

――そんな葛藤や生き辛さを描き出しつつも、登場人物からは前を進もうとする力強さも伝わってきました。
Uru 普段の私たちの生活に魔法はないけれど、何かを目指して頑張っている人が、現実世界の厳しい波に揉まれて悔しい思いをしたり、誰かの言葉に傷ついたり、地位や名誉の為に争い合ったりなど、グランベルムに似たようなものがあったりするのかなと思いました。そこに焦点を当てて、アニメを知らずにこの曲を聴いた方にも、ある種、応援歌のようなものになったらいいなと思って作りました。

――メロディーのもつ世界観とも合致しており、聴くほどに、リアルな情景が立ち上がっていくような印象も持ちました。作曲・編曲ついてUruさんはどんな感想をお持ちですか?
Uru 最初に音源を聴いた時は、サビがすごく印象に残る曲だなと思いました。それと同時にこの部分はこんな風に歌いたいなというようなイメージも同時に浮かんできました。イントロのメロディーの音色をいくつか試したりしましたが、H.Aoba / N.Sasakiさん、佐々木望さんが素晴らしい楽曲に導いてくださいました。

「Scenery」では共に歩んできた相手だからこそ築けた信頼関係を歌った

――M2「Scenery」では作詞・作曲を手がけています。この曲も『グランベルム』の挿入歌になっていますが、この曲では、どのようなテーマで、どのようなことを描きたいと思い、制作されましたか。
Uru 「願い」で描いた2人の今を想像して書きました。あれから長い時間を経て着実に築いてきた絆のようなものが感じられたらいいなと思いました。同じ方向を向いて、時にはぶつかり合ったりもしながら、共に歩んできた相手だからこそ築けた信頼関係を歌いましたが、友情でも恋愛でも家族でも、聴いてくださった方に自由に当てはめてもらえたら嬉しいです。

――「願い」の制作で一度、向き合った2人だからこそ、その先までも想像できたんでしょうね。
Uru 作詞は、割とスッとイメージが出てきたのであまり根詰めずに書くことができました。ただ、想いの深さが感じられるように言葉を選ぶのには、いくつかのパターンを出して考えました。

――メロディーも比較的スムーズに浮かんできたのでしょうか。
Uru 曲作りは、曲のイメージを伺っていたので、それに合うような曲を練りました。挿入歌としてお話をいただいたので、どのようなシーンで流れるというところも意識して、壮大なバラードで空間的な景色が広がるような曲をイメージして制作しました。

カバー曲ではカラオケではなく、自分らしさをどうやって出すか

――King Gnu「白日」について、ご自身でカバーするにあたり、どのような部分を意識しましたか?
Uru すごくリズムが印象的な曲なので、その原曲のイメージを壊さないようにするのと、ピアノと歌のシンプルなカバーだからこそ、ピアノとの呼吸をより意識してタイミングを合わせて歌う事が難しかったです。リリースされた時から大好きな曲だったので、歌わせていただけてすごく嬉しかったですし、すごく難しかったですが、楽しんで歌えました。

――カバー音源に関してはセルフディレクションされる事も多いとお聞きしましたが、カバーの制作面で心がけている事もお聞きできますか?
Uru カバー曲を歌わせていただく際は、原曲の雰囲気をなるべく壊さないようにするというのと、歌詞をまず一回全部読んでみたり、カラオケではなく、自分らしさをどうやって出すかを考えたりします。自分らしさに自分で気付くというのがものすごく難しくて、考えているうちによくわからなくなってくるのですが、思ったように歌うと、それが結局自分らしさだったりします。

――Uruさんのカバーには原曲の良さをしっかり残しつつ、Uruさんの世界観もしっかりと共存している。今回もそんな魅力が発揮されています。歌唱についてはどんなことを心掛けているのでしょうか。
Uru この単語はこんなふうに歌おうというイメージが最初にあって、そのイメージに合うまで歌い直します。ボーカルのエディットの時には微妙なニュアンスの違いでも何度も聴き直して、良いと思ったテイクを選ぶので、細かい部分からなかなか抜け出せずに時間がかかったりします(笑)。

誰もが持っている弱さを、我慢せずに歌と一緒に自然に吐き出せるようになれば…

――歌声がこれまで注目されてきましたが、Uruさんの楽曲は、“強さと弱さ”の両面が見える内容や心の芯の部分にささる歌詞も良さだと思います。
Uru 主題歌を歌わせていただく時は、台本や原作があれば必ず何回も読んでその世界観にあった歌詞を書けるように心がけていますが、自分で自由に曲を作る時には、曲が先の場合は曲調に合わせて歌詞を考えたり、こんな歌詞の曲を作りたいという時は、書きたいことを箇条書きにしたりメモしながら書いています。普段生活をしていて、ふと気づいたことを日常的にメモしたりしているので、それを使ったりもします。

――先ほども少し触れましたが、“情景が浮かぶ歌詞”とも言えます。
Uru ありがとうございます。曲と歌詞でその情景が自然に浮かんでくるようにという事と同時に、わかりやすさも大事にしています。きっと私の歌詞は、背中を押せるような面は少ないと思うのですが、誰もが持っている弱さを、我慢せずに歌と一緒に自然に吐き出せるようなものになればいいなと思っています。

――シンガーとしてデビュー前から注目を集めましたが、近年ではソングライターとしても評価が高まっていると思います。ご自身ではアーティスト・Uruの変化のようなものを感じたりしていますか?
Uru 自分ではあまり変わっていないなというのが正直なところですが、色んな曲を聴くようになったり、歌のバックのオケを意識して聴くようになったなというのはあります。作曲は、色んな曲を作っているつもりでも、結果私らしい曲になっていると思うので、それが良さでもあるのかもしれませんが、一度確変した曲も作ってみたいです(笑)

――では、シンガー・ソングライター・Uruの強みとは?
Uru わかりませんが……自分の気持ちに素直になる1人の時間にしっとりと聴いてもらえるような曲を歌うこと……でしょうか……。

カレーの福神漬けのようなアーティストになれれば

――Uruさんの魅力と言えば、やはり歌声だと思います。ご自身の歌声についてどのように感じていますか?
Uru 自分の声についてはいつも聴いているので何とも思っていないのですが、聴いてくださった方のコメントやメッセージを見るとやはり嬉しくなります。普段、話している声についても、ハスキーだと知ったのは人に言われてからだったので、やはり自分では自分の声はよくわからないものだなと思いました。

――近年の活動の中で、歌い方や表現方法に変化はありますか?
Uru 具体的にはっきりこれというものはないのですが、デビュー当時は、技術的な面ばかり気になっていて、歌を歌う際はいつも頭でっかちになっていたのですが、自分の好きなように、あまり考え過ぎずに素直に歌おうと思えるようになってからはすごく楽にというか、変な力を抜いて歌えるようになりました。

――最後に、今後、目指していることとは? また、目指しているアーティスト像に近年変化は?
Uru 来年はライブがたくさんあるので、その先々で来てくださった方に来て良かったなと思える歌を歌えるようにということと、経験をたくさん積みたいです。目指しているアーティスト像はあまりないのですが、目の前のことを1つひとつ丁寧にやっていけたらと思います。あまり焦らず地に足をつけてゆっくりと、カレーの福神漬けのようなアーティストになれればと思います。

リリース情報

提供元: コンフィデンス

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