ORICON STYLE

2008年01月23日
BUMP OF CHICKEN LIVE REPORT
2008年1月10日 Zepp Tokyo ファン待望のツアー初日に迫る!!
ツアーでしか表現できないライブ空間
BUMP OF CHICKENの写真
BUMP OF CHICKENの写真

 BUMP OF CHICKENのライブは、同じ世代の他のアーティストとはかなり違う。例えば、ステージが割れて大きく動いたり、バンドや出演者がゴンドラに乗って搭 乗したりという仕掛けや演出はまずない。曲の世界やイメージを伝えるための最小限の照明こそあるものの全ての神経はバンドの演奏と歌に注ぎ込まれている。それだけではない、ライブは生き物であり、その日によって表情や息づかいが変わる。ツアーのスケジュールが進むにつれ少しずつ変化してゆく。

 2008年1月10日、Zepp Tokyo。ツアー『ホームシック衛星』の初日は、まさしくそんなライブとなった――。

 何よりも感動的だったのはアルバム『orbital period』はこれまでのどのアルバムよりもライブで真価を発揮する作品だという発見だった。もちろん、全てのアルバムが、その時点でのツアーでしか表現できないライブ空間を作り出してきた。でも、『orbital period』は特に、曲の中の“僕”や“君”という人称が、ステージに立っている4人と客席を埋め尽くしたオーディエンスとの間で見事に共有されていたのだ。例えば「涙のふるさと」の<会いに来たよ>でもいい。「花の名」の<会いたい人>と<待っている人>でもいい。CDを通して分かち合われていた言葉が具体的な行為として存在する。それはリアリティという以外の何ものでもなかった。

「ツアーが始まりました」藤原基央が、客席に向かったそう話しかけたのはライブが三分の一ほど経過してからだ。オープニングから全神経を集中したような演奏に聴き入っていた客席が、一瞬、くつろいだような空気に包まれる。2008年の年明け。「あけおめ」と笑顔で言ったのはチャマ、直井由文だ。藤原が苦笑したように続ける。「いや、それはちゃんと言おう。あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。何と言うんでしょうね。新しい曲をやるのは嬉しいですね」 穏やかな口調になごんだ客席からチューニングをしたり、汗を拭くそれぞれのメンバーに向かって歓声が飛ぶ。「ヒデちゃんは、今、汗を拭いているんで、話しかけなくていいから」という藤原の言葉にまた笑いが起きる。演奏は真摯で、かと言って客席との間には垣根もよそよそしさもない。客席と一緒に歌うシーンもある。

BUMP OF CHICKENの新しい旅が始まる
BUMP OF CHICKENの写真
BUMP OF CHICKENの写真
BUMP OF CHICKENの写真

 前回のツアーと明らかに変化したのはバンドの演奏だ。それぞれの楽器の表情。ずっしりと重みを増した升秀夫のドラムと、フレーズごとに絡んでゆく饒舌な直井のベース。藤原と増川弘明のツインギターが曲の奥行きを加えてゆく。頭を上下し、身体で弾いている直井とひょうひょうとした増川、1曲ごとに立ち上がる升。ギターを掲げ、マイクスタンドを抱えるように歌う藤原。4人のシルエットは一層フォトジェニックになった。

 言葉数が多いわけでも、殊更に盛り上げようとするわけでもない。詞の意味と曲のスタイル。前半・中盤・後半とメリハリの効いた構成に客席が魅了されてゆく。楽曲と演奏。等身大の存在感。ライブハウスの中でも最大級の会場を立錐の余地もないくらいに埋め尽くしたスタンディングの客席が揺れる。そんな光景はテレビでしか音楽を味わったことのない人にはカルチャーショック以外の何ものでもないだろう。

 会いたい人と待っている人が、それぞれの軌道の中で出会ってゆく。コンサートツアーというのはそういう旅だ。2008年、BUMP OF CHICKENの新しい旅が始まった。ライブハウスツアーの後には、アリーナツアー『ホームシップ衛星』が待っている。ツアー初日。約2,500人との確かな”交信”が素晴らしいツアーになると告げていた。

(文:田家秀樹)
(写真:古渓一道(KOKEI KAZUMICHI))
RELEASE

orbital period
BUMP OF CHICKEN
発売日:2007/12/19 [アルバム] 価格:\3,059(税込) 
トイズファクトリー 品番:TFCC-86245

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PROFILE

メンバーは、藤原基央(Vo&G)、増川弘明(G)、直井由文(B)、升秀夫(Dr)の4名。
全員が千葉県佐倉市出身で、幼稚園からの幼なじみ。
1994年、中3の文化祭でBUMP OF CHICKENを結成。
1999年3月18日、アルバム『FLAME VEIN』をインディーズよりリリース。その圧倒的な楽曲と演奏で大きな話題に。 2000年9月21日、シングル「ダイヤモンド」でメジャーデビュー。
2001年3月14日にリリースした名曲「天体観測」が大ヒットとなり、2002年2月20日、アルバム『jupiter』で初の首位獲得。その人気を不動のものとする。
2004年8月25日、アルバム『ユグドラシル』をリリース。1位を獲得。
2005年7月21日、シングル「プラネタリウム」をリリース。
2005年11月23日、シングル「supernova/カルマ」をリリース。
2006年9月20日、DVD『人形劇ギルド』をリリース。
2006年11月22日、シングル「涙のふるさと」をリリース。
2007年10月24日、シングル「花の名」「メーデー」を同時リリース。1位、2位を獲得。
2007年12月19日、アルバム『orbital period』をリリース。2位を獲得。

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