── アーティスト・北乃きいの誕生ですね。
【北乃】 でもドラマや映画とは全然違うことばかりで、気持ち的には日本から一番遠い知らない国に来ちゃったみたい(笑)。歌を歌うのは小さい頃からやってみたいことのひとつだったし、やるなら本格的にやりたいと思ってたんですけど、まだ慣れないことばかりです。
── 芝居の世界とはどんなところが違います?
【北乃】 まずPVのときのカメラ目線が慣れないです。お芝居のときはカメラを見ないし、意識もしちゃいけないですから。あと“役”がないから、かたつむりの殻が取れたなめくじみたいなんですよ(笑)。北乃きいのまんまになっちゃう。感情を込める部分は女優と一緒でしょって言われるけど、私の中では和食と洋食ぐらい違いますね。
── 歌うときも素のまま?
【北乃】 そうですね。特に今回の「サクラサク」は自分が実際に言ったり考えたりするような歌詞なので、北乃きいのまま歌ってます。特に印象的なのは、<夢は 誰かが決めるものじゃないよね>ってところ。私もよく人から“夢がないけどどうしたらいいですか?”って相談されるけど、“それって誰かに決めてもらうもんじゃないよね?”って思うんです。なのでそこは自分自身が語るように歌えました。
── 北乃さんの歌は1つひとつの歌詞に重みがあるというか、真っ直ぐに入ってくる。そういう言葉の響かせ方のセンスは“さすが女優!”って思いました。
【北乃】 そこは自分の中では逆にコンプレックスで。私、真っ直ぐにしか歌えなくて、カクカクしちゃうんです(笑)。あとは、とにかくすごく遠くへ語りかけるようにしたというか。ライブ会場で歌っているような意識で歌ったんですけど、表現する上でやっぱり歌ってシナリオがないから難しいですね。ドラマや映画だったら、この人は何才で何が趣味で彼氏はいてとか、そういう設定があるけど、歌は自分で役を作らなきゃいけないから大変。レコーディングのときは60点ぐらいと思っていたけど、出来上がったものを聴いたら20点に下がりました・・・。
── 低っ(笑)。ハードルが高いですねぇ。
【北乃】 お芝居では私には私のやり方があるって思えるけど、歌はまだまだそうは思えないですからね。カラオケでも歌いたいけど、人前では今は歌いたくないなぁ・・・。
── でもきっと今後は、カラオケに行ったら歌ってって言われますよ。得点が付くのとかも歌わされたりして・・・。
【北乃】 それすごイヤだ!自分の歌なのに56点とかだったどうしよう?(笑)。もっと練習しなきゃダメですね。
── でもアウェイのフィールドに挑戦したことで、自分の中の引き出しが増えたような感覚はありません?
【北乃】 ありますね。音楽の仕事はスタッフさんが多くて、マネージャーさんが増えた感じ(笑)。よくアーティストさんが、スタッフさんやファンの人をファミリーとかって言うじゃないですか。私も早くそうなって、ライブとかでお客さんと“イエ〜イ”っていう、一体感を味わってみたい。
── じゃあ、夢はライブ?
【北乃】 そうですね。舞台に立っちゃうと、それこそ殻がなくなって裸みたいなものだけど、やってみたいです。
── でもやってみたら、その裸の状態が逆に快感になるかも。
【北乃】 気持ちいい〜!みたいな?早くそんな経験をしたいですね。
(写真:片山よしお)
(文:若松正子)
