ORICON STYLE

2006年09月06日
YUKI SPECIAL INTERVIEW
大ヒットシングル5曲を収録!待望の4thアルバムをリリースしたYUKIに迫る!
4枚目となるYUKIのニューアルバム『Wave』が遂に到着!「ドラマチック」や「ふがいないや」など5枚の大ヒットシングルを含む全12曲は、優しくて素直なメロディが心地良い極上のポップソング集だ。

今は何かを信じることや祈ることは、私の中で確実なこと

YUKIの写真1――いつ頃からこのアルバムの制作が始まったんですか。
【YUKI】 前作『joy』と同時進行でシングルの「長い夢」と「ドラマチック」は作っていたんです。それと「メランコリニスタ」。その次に「夏のヒーロー」と「歓びの種」ができて。でも去年は結構ライブをやらせていただいていたので、そこから間が空くんです。9月に一通りのライブを終えて、10月は少しお休みをいただいて、それからゆっくり曲集めに入ったのかな。去年の秋冬ぐらいから“ぼちぼちやりますか”って始めたんです。

――今作のキーワードになった曲はありますか。
【YUKI】 「あおぞら」ですね。あの曲は、ジョージ秋山さんの漫画『浮浪雲』に近いものがあります。いつも風に流されて、人に説教をするわけでもなく、つらいとか苦しいとかもなく、ふわふわと浮いて、自分の哲学に基づいて生きているんです。怒ったりもしないし快楽主義者で、自分のためだけにいろいろやるんですけど、結局、すごく人に好かれていて――というキャラクターの人がいるんですけど。苦しみの世界から遠いところ、今の私、そういうところに行きたかった、みたいな感じですね(笑)。「あおぞら」はこのアルバムの中でも象徴的な曲だと思います。

――楽曲のクレジットには、これまでもYUKIさんとのタッグで次々と代表曲を生み出してきた蔦谷好位置さんらの他に、海外からの強力ミュージシャン&ソングライター陣も名を連ねていますが、どんな制作だったんですか。

【YUKI】 色々な方からデモテープをいただいて。でもそれが、誰からいただいたものなのかを知らないまま、あえて先入観無しで聴いて、歌いたいと思った曲を選んでいった感じですね。

――スキマスイッチさんとの初コラボとなった「You've got a friend」も?

【YUKI】 そうですね。この曲も彼らの曲だということを知らずにデモテープを聴かせていただいて。聴いた瞬間に“このボーカルの人、凄く上手!”と思いました。本当に素晴らしくて“これはこの人が歌ったほうがいいな”と一瞬思ったんですけど(笑)、やっぱり歌ってみたいな、いい曲だなと思ったんです。

――この曲では<小さな祈り>や<始まりの歌>という言葉が印象的ですね。

【YUKI】 そうですね。私の中で“祈る”という感覚が、今は前とは変わっていて、“祈りって身近なんだな”と思ったんです。私はこれまでずっと“確実なものって何だろう?やっぱり目に見えるものだよな”と、どこかでずっと思っていて。でも、“違うな”と思ったんです。“確実に、目に見えないものもある!”って。「あおぞら」でも歌っていますけど“青空は、今は目に見えなくても、本当はある”とか、それが今の私の祈りなんです。今は何かを信じることや祈ることは、私の中で確実なことですね。本当の意味で、目に見えるものだけではないんだということに気が付いているから。自分の中で大事にしなければいけないことがもうブレないので、その部分ですね、前と一番違うのは。自分の欲求に任せて“なんでもやりたい、こうしたい、ああしたい”という気持ちで作った『joy』とは全然違うと思います。

荒波に身を委ねたほうが楽しいんじゃないかな

YUKIの写真2――タイトルの『Wave』にはどんな想いが込められていますか。
【YUKI】 実はけっこう前から“波”という言葉には何か引っ掛かりがあって。でも最初はこのアルバムのタイトルを『ribbon』にしようと思っていたんです。というのは、今回のアルバム作りは、自分自身を結び直す作業に近かったんですね。バラバラになってしまっている自分の感覚や気持ちを取り戻したいなと思って、それを1つずつ曲で繋いでいく作業をしている感じだったんです。ある時、ファンの方から“YUKIを通して音楽の世界を知って、YUKIを通して生きる哲学というのを自分なりに考えました”というお手紙をいただいて。その時に“私って音楽を通して色々な人の結び目になっているんだな”と思ったんです。だから『ribbon』にしようと思ったんですけど、最近は私の中で“自然の中に生きたいな”という気持ちが強くなっていて。それで歌詞にも太陽とか雨とか空という言葉がたくさん出てきているんだと思います。“波”も、空と地上との結び目になっていて、そこでゆらゆらしている感じがいいなと思ったんです。あの漂う感じが女性のリズムというか、そこに繋がったんですよね。私は女性として生まれて、女性特有のリズムというものを感じていて。それがすごく“波”に象徴されるのではないかなと思って。YUKIの波、私自身の波、女性の波、それぞれがリズムになって、音楽になっているんです。だから、最終的にタイトルを『Wave』にしたんです。

――それぞれの楽曲から色んな波が押し寄せてきて、ラストの「歓びの種」に辿り着く様も感動的なんですけど。歌詞に<大きな何かに 動かされている>って書かれていますが。今のYUKIさんは何を信じて日々を過ごしながら、音楽を作っていこうと思っていますか。
【YUKI】 今は、そうですね、<大きな何か>が何なのかというのは、きっと色々なものに置き換えられると思うんですけど・・・・・・。

――それこそ、目に見えないもの?
【YUKI】 そうですね。自分自身ではどうしようもない、自分で人生をコントロールしているつもりでも、実は自分で決断していることってほとんどなくて、という風にちょうど思っていた時で。自分ですべてを決めて、自分が選んだ道でこうなっていてという、ちょっと自惚れに近いものを人は持ってしまうんですけど、でも実は――大きな周りによって生かされていて、それは人もそうだし、大自然もそうなんですけど、それを思ったらすごく楽になるんですよ。“これは私に与えられているものなんだ”ということをちゃんと受けとめられるんです。『Wave』というタイトルはここにも繋がっているんですけど、凪いでいる時もあれば、荒れている時もある。だけど、波にうまく乗れれば乗れるほど最高なんです。それが、ポキッと折れない秘訣かなと思います。やっぱり、荒波に立ち向かうことだけではなくて、そこに身を委ねることができるようになったほうが楽しいんじゃないかなと思います、今は。それは変わったところかもしれないですね。怒りや苛立ちを持つことが嫌になったんですよね。“こんなことで怒ってもなー”って(笑)。前だったら立ち向かって、逆に折れてしまって“疲れたー!”みたいなこともあったんですけど(笑)。それは自分に優しくなかったと思うし、今のほうが波の乗り方は上手にできるようになったと思います。

やっぱり音楽で救われるんです

――そういえば「歓びの種」でも<結びなおしてね>って歌われていましたよね。
【YUKI】 そうなんです!だからその部分も本当は“リボンを結びなおしてね”という気持ちがあったんです。なんか“もう歌は歌えないかもしれない”と思った時にできた歌詞だったので。“バラバラになっている自分をちゃんと結んで欲しい”という気持ちがすごくありました。私は女性として34年間生きてきて思うんです。これまでバイオリズムというものはそんなに信じていなかったんですけど、やっぱりちゃんとある。そして波に逆らわずに自然に乗っていると、不快な時も穏やかな気持ちで乗り越えられるんだと知ったんです。これまでは自分を追い込むところがあったんですけど、もっと優しくなりたいですね。今はそんな気持ちが強いです。

――YUKIさんが放つ色んな波に乗りながら、楽しさも切なさもひっくるめた生きていく上での大事な気持ちをポップに感じ取っていける、ほんとうに素晴らしい作品だと思います。

【YUKI】 ありがとうございます。“この1曲を作ったら、もうちょっと自分の気持ちも違ってくるんじゃないかな”とか、そういう気持ちで音楽を作ったのは初めてでした。だからこのアルバムを作ったことで自分でもすごく楽になれたんです。やっぱり音楽で救われるんですよね。だとしたら、この私を使ってみんなにも、もっともっと楽しい気持ちになってもらいたい。人に何かを伝えたいという気持ちが、まだまだやっぱりあるんです。この『Wave』が、聴いた人たちそれぞれの最高のダンスのきっかけになればいいなと思います。
(文:上野三樹)
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Wave
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PROFILE
1993年、JUDY AND MARYのボーカリストとしてデビュー。「Over Drive」「そばかす」「クラシック」など数々の大ヒット曲を生み出し、日本の音楽シーンに大きな影響を与える。
2001年、東京ドームでの2日間のライブを最後に、JUDY AND MARYを解散。
2002年2月6日、シングル「the end of shite」でソロ活動をスタート。
2005年2月23日、3rdアルバム『joy』をリリース。初登場1位を獲得。同年、ソロとしては初となる全国ツアーを大成功させる。
2006年8月9日、シングル「ふがいないや」をリリース。
オフィシャルサイト
【過去の特集】
■シングル「ふがいないや」インタビュー
  『インタビュー初登場!ハチクロ主題歌を語る&PVも到着!!』(2006/08/09)