――まずは今作におけるHYDEさんの手ごたえを聞かせてください。
【HYDE】 なんか年々、意味のある作品を作る傾向になってきてるなと思ってて。今までの作品ではその時々の曲のイメージから過去を発掘することが多かったけど、最近は“未来”とか“こうなって欲しい”“なるべきだろう”といったメッセージ性が強くなったかな。前はもっと抽象的な表現が多かったんだけど、最近は自分の考えを言葉にできることが喜びっていうかね。やっぱり今までのことが無かったら、こういう発想やこういう楽曲は出て来なかっただろうとは思います。いきなり今デビューして“ファースト・アルバムを作ってください”って言われても、こんなのは作れないですよ。だから今じゃないとできないし、この時代、この世界の状況じゃないと書けなかった作品だろうなと思います。
――どうしてメッセージ性を強めて、より具体的な表現をしようと思ったんですか。
【HYDE】 間違って伝わっていくのが嫌になってきたんですよね。これまでは好き勝手に想像してくださいよ、っていうスタンスだったんだけど。やっぱりWEBで書き込みをしていても、人ってすごく様々な解釈をしてる。“ちゃんと読んだらわかるじゃん”って思うことでも、人によってはひとつの単語だけにひっかかったりするし、全然意味の違う方向に捉えたりするし。普段からそれは感じてて。人って自分が上手く伝えたつもりのことでも、伝わってないことがあるんだなって。でも一人一人に弁解していくっていうのは大変な作業だし、まず無理だし。だからなるべく誤解を生みたくないなと思って。特に今回はテーマにしても、自分もちゃんとした意志がないと表現してはいけないものだと思ったから。なるべく伝わりやすいものにしていったつもりです。
――そのテーマというのは“信仰”とか“宗教”とか、そういったものですよね。
【HYDE】 そうだね。でも今にして思うと“愛と死”かな。愛っていうものは死を超えることもできるし、死を迎え入れることもできるっていうようなことを、色んな角度で言ってるんだろうなと思いますね。
――誤解を生みたくないという気持ちもありつつ、あえて難解なテーマに挑まれてると思うんですけど。
【HYDE】 でもそこが核心かな、と思うんですよね。僕は前回の作品から平和について考えるようになったんだけど。様々な争いの根源って何かなとか考えたりすると、そういうところに辿り着いたりするんです。日本にいたらあんまり感じないですけど、世界的には宗教って人々の日常の中で根強いものですし、だからこそ世の中に起こってる事件も多いし。争いとかを考えてると、そこに行っちゃいますね。
――なるほど。そしてアルバム全体を聴いてると、HYDEさんのロックに対する美学みたいなものを強く感じました。
【HYDE】 ソロをやってる以上、何もかも、自分の好みの部屋を作るような気持ちで作ってますからね。ソロって言っても、僕はL'Arc〜en〜Cielを15年やってるらしいんで、自分では数えてなかったんだけど(笑)。そこで培ったものは当然大きいですしね。
――タイトルの『FAITH』っていう言葉に信じるっていう意味があるように、HYDEさんは今、音楽の可能性をどのように信じていますか。
【HYDE】 音楽ってすごく影響力があるんだなと思ってます。だから怖いもんだなとも思うんだけど、そこで守りに入ることをしたくない。やっぱりロックって刺激的じゃないとつまんないと思うし、危険なものであることも理解しつつ、今は戦ってるって感じかな。でも音楽も信じるようになってきたけど、一番信じてるのは自分の感性なんですよ。自分を信じることができなかったら、美学も何も無くなってくるからね。自分が一番気に入った作品を作ることが、みんなの喜びであるっていうことを一番信頼しています。
――わかりました。秋まで続く長いツアーはソロ史上最長かつ最多公演数(全50公演)とのことですが。今の精力的なソロ活動の原動力って何でしょう。
【HYDE】 音楽を作る者として長年やってきたんだけど、人々に自分っていう傷を付けておきたいっていう気持ちが一番かな。そこまで深く考えて無かったけど“何で俺こんなにやるんだろうな?”って思った時に(笑)、たぶん人に自分を記憶させたいんじゃないかなって。当然、今までもやってるわけだけど、もっと、特にソロだから自分の本質的な部分でやったことを人の記憶に傷のように残したいんですよね。ソロのライブではお客さんと近い距離感でやれることが一番の演出だと思っています。






