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さかいゆう『アーティスト仲間も絶賛☆独特の音楽観と人気のヒミツに迫る!!』

デビュー以来、“アーティストに好かれるアーティスト”として話題のさかいゆう。そんな彼のニューアルバム『Coming Up Roses』から垣間見える独特の音楽観や哲学、意外な恋愛観など、人気のヒミツに迫ってみた。

僕の等身大の日常を詰め込んだアルバム

  • アルバム『Coming Up Roses』【初回生産限定盤】

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――さかいさんといえば、槇原敬之さんや山崎まさよしさんをはじめ『スッキリ!!』(日本テレビ系)で大絶賛していた玉置浩二さんなど、大物アーティストのファンが多いことでも知られていますね。
さかいゆうそれはインディーズの頃から言われていてすごく光栄です。でも、そもそも僕はその人たちの影響を受けそれぞれの要素を吸収して出来上がっている人間なので、彼らにとっては自分の血を分けた子供みたいなもの。それを可愛いと思うのは普通だと思うし、親近感も湧くだろうなと。

――でも今作でフューチャリング参加しているKREVAさんは「歌ではゆうに負ける」というコメントもしていて。一目置いていますよね。
さかいクレ(バ)さんは負けん気が強いから(笑)、そう言って自分を鼓舞して上りつめていくんです。だから前世があるなら絶対、関ヶ原とかで最後まで折れずに戦った武士だと思いますよ。一方の僕はのんびり畑を耕していたお百姓さんか、趣味に生きてる酒屋の兄ちゃんとかじゃないかな。

――好きなことに没頭して、マイペースに楽しんでいたタイプ?
さかいそうですね。音楽も自分の日記にメロディーをつけているようなもので。スタンスとしては盆栽を作っているオジさんと変わらなかったりするから(笑)。

――でも今作もR&Bからエレクトロ、ソウルまで多様なジャンルに加え、濃い目のコラボ曲も満載でかなり挑戦的。淡々と盆栽をいじるオジさんのイメージはありませんよ。
さかい同じようなものばっかり作っていたら自分も聴く人も飽きちゃいますからね。でもあえて新しい音楽をやりたいわけではなく、その時どきのスタンダードを書いたら、結果的にそれが新しくなっているっていう感じなんですよ。だって今の時代、30代で東京に住んでいたら日常で耳にする音楽のジャンルが同じってありえないでしょ?六本木に行けばテンションを上げるエレクトロなものが聴きたくなるし、公園で本でも読んでいれば鳥の声が聴こえるようなふんわりした音楽がいい。そういうアコースティックとケミカルが両方混ざっているのが、僕の等身大の日常でそれを正直にやっただけなんです。ただ今回は歩いて考えた曲が多かったから、テンポ的にはすごくアップやスローはなくて体温がちょっと上がるようなミドルな曲が多い。それは特徴として顕著に表れた作品ですね。

好きなことで稼ぐのって大変だけど、楽しいじゃ足りないぐらいの充実感がある

  • アルバム『Coming Up Roses』【通常盤】

    アルバム『Coming Up Roses』【通常盤】

――でも詞や音は振り切っていますよね。横山剣さん作詞の「EMERGENCY」とか、“どんなストーリーなんだ?!”って(笑)。
さかいコスプレですよ、この曲は(笑)。僕のことをイメージしないで剣さんが思う詞を書いてくださいってお願いしたら、こういう世界観になってました。いろいろデタラメを入れてくるんだけど、だんだんそれがまとまっていくっていう作り方が面白い。オン(音)のセンスに自信がある剣さんならではですよね。


――続くfeat.KREVAの「オトコFACE」も、タイトルから言葉が耳に叩き込まれる感じでした。
さかいこれは雑誌にクレさんが出ていて“オトコFACEだねぇ”って思ったんですよ。で、そのまま5〜6キロ歩いてスタジオに着いたら、頭の中で詞もメロディーもできていたっていう。だから、<眉間の皺には男の生き様 目尻の皺には優しさ>ってフレーズはクレさんのこと。“そのままKREVA”ってタイトルでもいいぐらい(笑)。


――さらにこの後にくる「愛するケダモノ」がまた濃い曲で。この3曲の流れを見る限り、今回のアルバムのテーマは……。
さかい男と女です。しかも、「愛するケダモノ」はロマンティックじゃない内容にしたかった。世の中のメロドラマはほとんど男が女を愛し、女が男に愛されるっていう描き方をするけど、現実はそうじゃない。女性はひとりの平民の男に望まれるよりは、お金と安心をくれる王様の妾のひとりになるほうを選ぶ人けっこういるんじゃないかな。。そういう意味で女は愛されるより、愛することを選ぶ生き物だってことをこの曲では言いたかったんです。でもそれをそのまま言ったら生々しいし、女の子のファンがいなくなるから(笑)、女性はずる賢くて可愛いっていう結論のもと、歌で表現したんです。

――秦 基博さんとのコラボ曲「ピエロチック」も、そういう女性に振り回される男性像を描いていますが。さかいさんの願望?
さかいイヤですよ、振り回されるのは(笑)。ただラブソングの幅を広げたいというか、恋愛ではなく“男と女”曲を書いてみたかった。今までそういう曲はなかったから、これも30代になった僕の等身大ですよね。でも僕の恋愛観は小学校2年生ぐらいから変わっていないから、元々あったものを出したって感じかもしれない。

――小学校2年生から、女は“ズル賢い”と思っていたんですか?
さかい根本的に男とは違うと思ってました。違う生き物だから、心が通じ合うのはムリだなって。でもこっちは守っていく立場だから、わかり合えないなかでどうやってがんばればいいんだろうって考えた結果、わかり合おうとするからぶつかるんだなと。それは30年以上生きてきて勉強しましたね(笑)。


――深いですね(笑)。ちなみにアルバムタイトルの意味は?
さかい前作が『How’s it going?』――調子はどうだい?って意味だったので、その返しで、“うまくいってるぜ”って。『Coming Up Roses』って花が開くって意味にかけて、“すべてうまくいってる”ってことを表現した慣用句なんですよ。

――それは現在の心境でもある?
さかいうまいくいってるし、花がゆっくり開いている感じですね。好きなことで稼ぐのって大変だけど、楽しいじゃ足りないぐらいの充実感があってやめられない。僕、ほっといたらノーギャラでも曲を作ってますもん(笑)。しかも音楽って基本的に僕が得したら別の誰かが損するとかとかないでしょ。誰にも迷惑かけずに自分勝手に楽しんでいられる。そういうスタンスがいいんですよ。

――好きなことに没頭していたっていう、前世の話に繋がりますね。
さかいですね。やっぱり前世は読書好きの酒屋じゃないかな(笑)。

(文:若松正子)

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