ユニバーサル ミュージックとKDDIがタッグを組み、2024年11月にYouTubeチャンネルを開設した「Re:Re:Re:TUNE（リリリチューン）」。開設から1年足らずの9月29日、チャンネル登録者数100万人を突破した。原宿・竹下通りにあるユニバーサルミュージックグループのコンセプトストア「UNIVERSAL MUSIC STORE HARAJUKU」から時代や流行を超えた名曲の数々を世界へ発信し、掛け合わせの妙で新たなリバイバルにつながっているプロジェクトの魅力に迫る。

意外な出会いがもたらす相互作用　原宿から海外にも訴求

　「Re:Re:Re:TUNE」は、昭和、平成、令和の時代や流行を超えた名曲と、出会うはずのなかったアーティスト／クリエイターのコラボレーションを通し、新たなリバイバルの形を提示する音楽コンテンツ専門YouTubeチャンネル。2024年11月11日に第1弾として配信されたのは、日本とデンマークをルーツに持つシンガー・ソングライター、ミイナ・オカベがOriginal Loveの名曲「接吻 Kiss」をカバーする映像だった。

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  月光 covered by 由薫

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  キセキ covered by さかいゆう

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  ます。covered by Rei

　以降、「月光 covered by 由薫」、「愛のうた covered by 大橋ちっぽけ」、「キセキ covered　by さかいゆう」、「ます。covered by Rei」、「壊れかけのRadio covered by KAIRYU（MAZZEL）」、「時の流れに身をまかせ covered by 佐藤竹善」、「死ぬのがいいわ covered by 清水美依紗」といった動画を週3本のペースで公開。幅広い音楽ファンから注目を集めている。

　今は、SNSやストリーミングサービスなどによって、自分に最適化された音楽が聴ける時代だが、『Re:Re:Re:TUNE』はさまざまな時代の名曲と魅力的なアーティストの掛け合わせによって、視聴者に新しい発見、新しい出会いを提供し、いわば音楽と音楽が重なる交差点のような面白さがある。

　好きなアーティストを介して知らなかった名曲を知る、または、耳なじみのある楽曲のカバーを通して、「こんなに素敵な歌手がいたんだな」という出会いを生み出す。その相互作用こそが「Re:Re:Re:TUNE」のコンセプトの柱と言えそうだ。

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  こいのうた covered by 徳永ゆうき

　ジャズシーンで注目を集めるベーシスト＆ボーカリストの石川紅奈が荒井由実の「生まれた街で」をカバーしたり、演歌歌手の徳永ゆうきがGO!GO!7188の「こいのうた」を歌うなど、組み合わせの妙も大きなポイント。また、Adoや藤井風など、海外にもファンダムを持つアーティストの楽曲を取り上げることで、海外の視聴者も取り込んでいる。カバー動画のほかにも、出演アーティストが選曲の意図や楽曲に対する思いを語るインタビュー動画も公開している。

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  満ちてゆく covered by BUS because of you i shine

　最初のコンテンツがグローバル・アーティストのミイナ・オカベのカバー動画だということもあり、国境を越えたコラボレーションによって海外の音楽ファンにも届けたいという思いが強く感じられる。9月30日にアップされたのは、タイを拠点にしているボーイズグループのBUS because of you i shineによる藤井風「満ちてゆく」のパフォーマンス映像。タイを中心に、新たな海外のユーザーへの訴求にも挑戦している。

　カバー動画の収録は基本的に、東京・原宿にあるユニバーサル ミュージック グループのコンセプトストア「UNIVERSAL MUSIC STORE HARAJUKU」で行われている。

　日本のカルチャーの中心地でもある原宿から世界に向けて発信していることも特徴的。出演アーティストにも、ライブハウスでもスタジオでもない、独特の空間で歌うことの面白さ、新鮮さが好評のようだ。

『みゆき』×「想い出がいっぱい」　アニメとのコラボも大反響

　アーティスト×名曲を軸にした「LIVE from UNIVERSAL MUSIC STORE HARAJUKU」以外にも、アニメーション×名曲をテーマにした「Re:animation」、世界的なトレンドとなって久しいシティポップとイラストを掛け合わせた「City Pop」のコンテンツも展開されている。

　あだち充『みゆき』×H2O「想い出がいっぱい」のコラボレーションMV、「愛のうた」（ストロベリー・フラワー）、「フライディ・チャイナタウン」（泰葉）のアニメカバーをはじめ、名曲とクリエイターのコラボによるコンテンツの注目度も確実に高まっている。

　今をときめくアニメーション作家たちが時代や国を超えて、名曲たちを再度楽しんでもらえる、そんなきっかけづくりににしたいという志が感じられる。

　スタートから1年を待たずしてチャンネル登録者数100万人を超えた「Re:Re:Re:TUNE」。カタログの掘り起こし、リバイバルヒットへの誘導だけではなく、幅広く日本の音楽・カルチャーを、世代や国境を越えて発信する音楽チャンネルとして、この先の展開も大いに注目されそうだ。

　好きなアーティストや楽曲を目当てに訪れた人が、チャンネルのなかを回遊することで、新たな音楽と出会う。常に新しいコンテンツや情報を更新していくことにより、その期待に応えているのであろう。将来的にはリアルの音楽イベントなど、多くのことが期待できる。

壊れかけのRadio covered by KAIRYU（MAZZEL）

　BMSG所属の8人組ボーイズグループMAZZELのKAIRYUが、徳永英明の「壊れかけのRadio」（1990年）をカバー。アコースティックギターと歌のシンプルな編成で、原曲の切なさを引き出し、シンガーとしてのポテンシャルの高さを改めてアピールしてみせた。再生数は100万回を突破（2025年10月6日時点／以下同）。「こんなに歌うまいのかこの人」「徳永英明さん　いつか　共演して歌ってほしいです」などのコメントからは、“楽曲・アーティストの出会いの交差点”という「Re:Re:Re:TUNE」のコンセプトがきちんと機能していることが感じられる。

レディメイド covered by 高塚大夢（INI）

　11人組グローバルボーイズグループ・INIのメインボーカルの1人、高塚大夢（※高＝はしごだか）が、Adoの「レディメイド」（2020年）をカバー。ピアノ1本のアレンジとともに、ジャジーな雰囲気をしっかりと感じさせつつ、起伏に富んだメロディラインとエッジが効いた歌詞をダイナミックに描き出す。再生数は56万回を突破。「壊れかけのRadio covered by KAIRYU（MAZZEL）」もそうだが、ボーイズグループのファンダムの強さが再生数に反映されるとともに、ボーカリストとしての魅力を訴求することに成功している。

接吻 Kiss covered by ミイナ・オカベ

　「Re:Re:Re:TUNE」最初のコンテンツとして配信されたカバー動画は139万再生を記録。コペンハーゲンを拠点に活動するシンガー・ソングライター、ミイナ・オカベのスモーキーで美しい歌声がOriginal Loveの代表曲「接吻 Kiss」と見事にマッチし、時代を越えた名曲とアーティストのコラボというこの音楽チャンネルの軸をしっかりと打ち出してみせた。指弾きのギターによるジャジーな響き、心地よいグルーヴとリラックスしたムードもきわめて魅力的だ。

生まれた街で covered by 石川紅奈

　名門ヴァ―ヴ・レーベルからメジャーデビューを果たしたベーシスト＆ボーカリストの石川紅奈による「生まれた街で」（荒井由実／1974年）のカバー。石川のコントラバスと歌、さらにエレキギター、パーカッションを加えて、まるでジャズクラブのような雰囲気に。イントロのフレーズをはじめ、原曲に対するリスペクトを感じさせつつ、現代的なジャズ・ミュージシャンとしての個性もしっかりと感じ取れる、理想的なコラボレーションと言えそうだ。

愛のうた covered by 大橋ちっぽけ

　ストロベリー・フラワーによる原曲は、任天堂ゲーム『ピクミン』CMソングとして2001年に話題を集めたヒット曲。〈引っこ抜かれて　あなただけについて行く〉という冒頭の歌詞に象徴される、この曲の独特の切なさに改めて気づいた大橋ちっぽけが、アコギの弾き語りで切々と歌い上げるカバーは幅広い層のリスナーに支持され、111万回を超す再生数を記録。平成の名曲の魅力に再び注目が集まる大きなきっかけとなった。

愛のうた / ストロベリー・フラワー｜アニメカバー

　大橋ちっぽけのカバーでも話題を集めた「愛のうた」（ストロベリー・フラワー）は再生数138万回を突破。監督を務めたのは、カートゥーン調のキャラクターやポップなエフェクトを得意とし、MV を中心に広告も手掛けているハノ。カートゥーン調のキュートな女の子が夜の街を歩き、複雑な思いと向き合う姿を描いた映像は、令和に解釈された「愛のうた」の世界観を際立たせると同時に、新たな魅力を引き出している。

あだち充『みゆき』×H2O「想い出がいっぱい」コラボレーションMV

　TVアニメ『みゆき』の主題歌として大ヒットを記録したH2Oの「想い出がいっぱい」（1983年）。40年以上の時を経て、あだち充による原作漫画と楽曲のコラボレーションが「Re:Re:Re:TUNE」で実現した。優柔不断な主人公・若松真人と二人の“みゆき”（若松みゆき、鹿島みゆき）を描いた『みゆき』のエッセンスを注いだアニメーションと切ない青春の恋愛を映し出す「想い出がいっぱい」の再会は、往年のファンはもちろん、今まで曲を知らなかった層にもしっかりと届いているようだ。

フライディ・チャイナタウン／泰葉｜アニメカバー

　1981年にリリースされた泰葉のデビュー曲「フライディ・チャイナタウン」は、2000年前後から始まったシティポップのムーブメントを代表する楽曲のひとつ。ポップでダイナミックなメロディ、きらびやかで切ないサウンド、叙情性と力強さを併せ持ったボーカルによって、世界中にファンを持つこの曲のアニメカバーは、N.C ANIMATIONが担当。再生数は259万回を突破している。ネオン輝く夜の都会を自由に飛び回る女性を主人公に据え、シックな絵柄ながらもカラフルな映像によって楽曲を彩っている。

文／森 朋之

YouTubeチャンネル「Re:Re:Re:TUNE」

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x.com/ReReRe_TUNE（外部サイト）
www.instagram.com/rereretune/（外部サイト）

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