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【インタビュー】日韓混合バンド・CROWN HEAD、「鬼灯」MV制作の舞台裏 伊澤彩織とのコラボで実現した“音楽とアクションの融合”

 強烈な個性を持った4人が集結し、今年3月にデビューした日韓混合バンド・CROWN HEAD。第2弾シングル「鬼灯」は現在放送中のテレビアニメ『転生宗主の覇道譚 〜すべてを呑み込むサカナと這い上がる〜』(フジテレビ系)のオープニングテーマとして書き下ろされた楽曲で、アニメの世界観を新たな表現で描写したミュージックビデオ(MV)も公開された。今回、Tasuku(Dr)、hiroto(Gt)、Moto(Vo)、Lumel(Ba/Vo)のメンバー4人と、MVに出演し、海外からも一目置かれる女優・スタントパフォーマー・伊澤彩織に話を聞いた。

CROWN HEADのメンバー4人とMVに参加した伊澤彩織 (左から)Moto(Vo)、Tasuku(Dr)、伊澤彩織、hiroto(Gt)、Lumel(Ba/Vo) 撮影:田中達晃(パッシュ)

CROWN HEADのメンバー4人とMVに参加した伊澤彩織 (左から)Moto(Vo)、Tasuku(Dr)、伊澤彩織、hiroto(Gt)、Lumel(Ba/Vo) 撮影:田中達晃(パッシュ)

――まず4人のメンバーが集まった経緯を教えてください。

Tasuku(Dr)CROWN HEADは今年3月に結成したんですが、元々、今年の2月まで僕とhiroto、Lumelでバンドを組んでまして。Lumelがベース&ボーカルなんですけど、「メインのボーカルを入れた方がいいんじゃないか?」という話になって、hirotoがMotoを紹介してくれたんです。

hiroto(Gt)Motoは自分の幼馴染なんです。

Tasukuその時、Motoは茨城でサラリーマンをしていたんですけど、僕が「本気でやるなら、すぐに今の生活をやめて東京に来てほしい」と電話しました。そしたら、即答で「(サラリーマンを)辞めます」って。それでMotoが加入してくれることになって、急ピッチで1ヶ月に12曲を作り、4月に「Hidden」(テレビ朝日系テレビドラマ『天久鷹央の推理カルテ』オープニングテーマ)でデビューしました。

――Motoさんには、そんな究極の人生の選択があったわけですね。

Tasukuもちろん、まずMotoの歌声が僕の好みで、一緒にやりたいと思って。それで実際に会って歌を聴いて、この人しかいないと思ったので、彼に決断してもらいました。

hiroto「Hidden」を作った頃は、まだ茨城に住んでたよね。特急に乗って東京まで出て来て。

Moto(Vo)2日おきの頻度で東京に通った期間が3週間くらいありました。

Tasuku最初は「週1くらいで」って言ってたんですけど、制作が間に合わなくなって、「明日も来れる?」みたいな感じになって(笑)。

Motoそういうスパンで東京に通って、それこそ「Hidden」のレコーディングが引っ越しの日だったんですよ。午前中に東京に引っ越しをして、午後にレコーディング(笑)。だからすごくバタバタで。今回の新曲の「鬼灯(ほおずき)」も、そんな感じで東京に呼ばれて、深夜にLumelの家に集まって曲を作って。

Tasuku朝の5時半までずっと作業して、始発で帰るっていう(笑)。

Motoでも、「寝る間も惜しい」っていう、それまでの僕の人生になかった楽しさを感じていて。だから、Tasukuさんに電話をもらった時に「やります」って即答できてよかったって、本当に思っています。

Tasuku(Dr) 撮影:田中達晃(パッシュ)

Tasuku(Dr) 撮影:田中達晃(パッシュ)

――今、話にも出ました新曲「鬼灯」は、テレビアニメ『転生宗主の覇道譚 〜すべてを呑み込むサカナと這い上がる〜』のオープニングテーマですが、曲はどのように作っていったのですか?

hiroto「鬼灯」は、実はデビューさせていただくにあたってたくさん曲を作っていたストックの1曲なんです。Tasukuさんの歌詞とか、Lumelがメロディをつけて自分がギターを弾いて、そしてMotoが歌を入れたりと、歌詞のニュアンスや全体の曲調、イメージが出来上がっている状態で、タイアップのお話をいただきまして。そうしたらアニメの制作チームの方から「この曲がアニメの世界観にぴったりだ」と言っていただけて。そこからニュアンスを微調整して、自分たちの演奏をブラッシュアップさせつつ、CROWN HEADの魅力を凝縮させて仕上げました。さらにミュージックビデオ(MV)に伊澤彩織さんに出演していただけたことで、よりアニメの世界観にもリンクする作品が作れたと思っています。

Lumel(Ba/Vo)曲を作るにあたって、歌詞にもあるように「憎しみ」とか、そういった感情を表現したいという部分と、どのくらいのBPMにするとライブでどんな疾走感が出せるかといったことを考えて作っていきました。歌に関しても、Motoと僕の声の違いを表現できるように考えて、ハモリにも力を入れて。

MVに出演した女優・スタントパフォーマー・伊澤彩織 撮影:田中達晃(パッシュ)

MVに出演した女優・スタントパフォーマー・伊澤彩織 撮影:田中達晃(パッシュ)

――MVに出演されている伊澤さんは、曲を聴いてどんな印象を受けましたか?

伊澤歌詞にある「嘘」や「偽り」、あとタイトルの「鬼灯」やアニメの「サカナ」など、キーワードがたくさんありつつ、私自身アクションという、ある意味、嘘で塗り固められた世界で生きている人間ですので、そこはすごく共感しました。同時に、かなり疾走感のある曲だったので、そういった部分からアクションイメージをどんどん膨らませていけました。MVの監督さんから打ち合わせで、テーマとして「自分の中の“弱さ”の化身を切っていくうちに強くなっていくことを、アクションと衣装とで表現してほしい」と言われて、そこから先輩のアクションコーディネーター・石井靖見さんに加わってもらって、アクションの表現を練っていったんです。

TasukuMVに彩織さんのアクションシーンが入ることで、歌詞とか曲の深い部分を表現してもらえて、曲がとても立体的になりました。

伊澤めちゃくちゃ嬉しいです。

Tasuku僕が出演のオファーをしたんですけど、本当に彩織さんに出てもらえてよかったです。

――元々お知り合いだったんですか?

Tasukuはい。1年くらい前から。

伊澤でも、実際に会ったのは撮影現場が「初めまして」で。お互いにSNSで認識はあったんですけど、同じ東京にいるということも知らなくて。

Tasuku僕はもう、彩織さんと言えば「暗殺者だ!」って感じで(※伊澤はドラマ&映画『ベイビーわるきゅーれ』シリーズで、殺し屋「まひろ」を演じている)。

伊澤私は、英語を話しながらドラムを叩いている人っていうイメージでした(※Tasukuは“たすまる。”として、OMETVという海外の方と繋がるトークアプリで、知らない外国人と英語のトークをするコンテンツを発信している)。

TasukuとにかくMVでアクションとなった時に、最初に彩織さんが頭に浮かんで。スケジュールとかの問題もあるので、きっと断られると思ってたら「ぜひ!」と言っていただけて、嬉しくて泣きそうになりました。メンバーに伝えたら、同じように「ええっ!」って、みんな驚いて。

hiroto感激しました。撮影の時も、「うわっ、まひろじゃん!」って(笑)

Moto(Vo) 撮影:田中達晃(パッシュ)

Moto(Vo) 撮影:田中達晃(パッシュ)

――そのMVですが、冒頭、かなりショッキングなシーンから始まりますよね。

伊澤ああ、踏みつけられるシーンですよね。あれは現場で監督さんが「撮りたい」っていうことになって。

hirotoあのシーンは、僕らの構想にはなかったんです。

Lumel僕らは「可哀そう! 助けたい!」って言っていて。

伊澤スタントの方々が上手く踏んでくれたので、痛くなかったです。そういうアクションシーケンスで自分も“やられたい”っていう欲があったので、監督は申し訳なさそうでしたけど、私は「ガンガン踏んでください」って言って(笑)

Motoでも、あのシーンがあるとないとで大違い。パンチがありますよね。

Lumelそういう意味で、本当にいいシーンだと思います。

伊澤私は、単純に刀で無双していくっていう物語にはしたくなかったので、最初のシーンで観る人の心が掴まれるような、いいシーンになったなって思っています。

Tasuku続きが観たくなるし、あのシーンで始まるっていうのは、本当に素晴らしいMVになりました。

MVに出演した女優・スタントパフォーマー・伊澤彩織 撮影:田中達晃(パッシュ)

MVに出演した女優・スタントパフォーマー・伊澤彩織 撮影:田中達晃(パッシュ)

――伊澤さんのアクションもそうですが、加えて曲タイトル「鬼灯」の漢字表記、これも絶大なインパクトですよね。

伊澤「ほおずき」の漢字が「鬼灯」って、初めて知りました。

Tasuku最初に「鬼灯」っていうタイトルが浮かんで、そこから歌詞を書いていきました。僕は花の名前を歌詞にすることが多くて。その花をどうやって育てるかとか、花言葉も全部調べて、そこからワードを拾っていきながら、花に例えて歌詞を書くのが好きなんです。「鬼灯」も、花言葉に「偽り」っていう意味があることを知ったうえで、それをチョイスしたんです。

Moto最初に歌詞をもらった時に、言葉だけでイメージが湧いてくる、音楽が聴こえてくるような感覚があって。人の気持ちの中にある淀みが動くような、そういう印象を歌詞から受けたので、実際にそういうイメージで歌っています。

CROWN HEAD 2nd Single「鬼灯」(2025年7月3日リリース)

CROWN HEAD 2nd Single「鬼灯」(2025年7月3日リリース)

――もう一人のボーカル、Lumelさんはどのようなイメージで?

Lumel純粋で人が好きな人こそ、人を信じて、裏切られて、憎しみを持ってしまうように思っていて。そういう歌詞を表現しようとする時に、Motoの声は暖かくて優しいので、純粋さはMotoに表現してもらって、逆に僕は直線的な感情をワイルドなトーンで出したいと思って、普段は使わないようなハイトーンも地声で出したりといったトライをしました。

TasukuLumelって、本当はきれいな声で、元々はR&Bを歌っていたんですよ。チルな感じで。それを今回、あえてがなったりして、新しい挑戦をしてくれたんです。

hirotoギターに関しても、歌詞のイメージから「憎しみ」の感情であったり、あとは曲のテンポ感だとか、マイナー調な楽曲にロックなサウンドということで、ギターのフレーズや音作りも攻撃的なニュアンスを表現しようと考えました。

hiroto(Gt) 撮影:田中達晃(パッシュ)

hiroto(Gt) 撮影:田中達晃(パッシュ)

――作詞・作曲を手がけたTasukuさんは、自身のドラム・プレイも含めて、現状でたどり着いたCROWN HEADのバンドアンサンブルをどのように感じていますか?

Tasuku曲はいっぱい作っているんですけど、この「鬼灯」が一番、今の自分たちらしい曲なんじゃないかなと思っていて。Lumelの歌もそうですけど、結成3ヶ月で個々のメンバーそれぞれが自身の限界、新しいことに挑戦していて。メンバーが頑張ってる姿を見ると、ちょっと泣いちゃいそうになる瞬間もあったりして。今回、みんな限界を超えて頑張って、本当に今の形がCROWN HEADのすべてだし、それをもっと超えていけるような楽曲をこれからも作っていけたらいいなって思っています。そんな僕らの最高傑作を、彩織さんが、より最高なものにしてくれて。

伊澤私自身も、アクション撮影に入る前に、みなさんの演奏シーンの撮影をスタジオで観ていて、そこで4人で走り出してるエネルギーを感じてアクションに臨めたので、すごい力になりました。監督のイメージも、自分の弱さと戦っていくことがテーマとなっていて、黒い部分を切っていくことで白く浄化して、自己対峙の葛藤をアクションで描くというものでした。アクションチームと動きを作っていくなかで、私が強くなって戦っていけばいくほど、ちょっと悪者に見えるようにしたいと相談させてもらいました。もちろん、自分の弱さに打ち勝っていくことが成長とも言えるんですけど、その弱さが自分を守ってくれることもあるから。ですから、1回パッと見ると、カッコよく駆け抜けていく疾走感あるMVなんですけど、2回目は、私は悪役で、周りの黒い人たちが自分の弱くてもいい部分なんだと思って見てもらえると、実は黒い人たちがめっちゃいい人に見えてくるんですよ。

Tasukuああ、なるほどね。

伊澤そう。私の暴走を止めてくれているように見えてくる。そういう風に、歌詞を噛み砕いて、私たちなりに解釈した立ち回りにできたかなと思っています。ですから、例えば金魚のメタファーって何だろうとか、見てくれた方には、自分の生活とか、日頃の人間関係と照らし合わせて見てもらえると、より面白いMVになるんじゃないかなって思います。

Lumel(Ba/Vo) 撮影:田中達晃(パッシュ)

Lumel(Ba/Vo) 撮影:田中達晃(パッシュ)

――そんなMV含めて、まさに2作目にしてCROWN HEADの最高傑作を携えて、10月に韓国で開催される大型音楽フェス『SEJONG BOHEMIAN MUSIC FESTIVAL』へ出演されます。このフェスはどのようなステージにしたいですか?

Lumel韓国に住んでいた頃って、こういう大きなフェスには縁がなかったんですが、みんなのおかげで出演できることになったので、ライブではブチ上がりたいですし、これまでで一番楽しい時間にしたいなって思っています。

hiroto韓国へ行くのは初めてなんですけど、日韓混合バンドとして、こういう形で縁のある国でライブができて、多くの方に観てもらえるというのはすごく嬉しいことですし、シンプルに、こんなに大きな野外フェスに出られるということも楽しみで。バンドの経験値としても、大きく成長できる貴重な機会だと思っているので、とても楽しみにしています。

Moto僕は海外に行くこと自体が初めてなので、まずパスポートを取りにいかないといけませんが(笑)、hirotoも言ってたように、自分たちの仲間、Lumelが生まれ育った国のエナジーを感じたいと思っています。それに、英語ができない僕らも海外の曲を「いい!」と思って聴いていたように、韓国のみなさんにも、僕らの曲が「いいな」と思ってくれたら盛り上がってくれるはずだと思うので、それを目指して頑張ります。

Tasuku僕はずっと、人生で一度は韓国人とバンドをやりたいと思って、それで組んだのがこのバンドだったので、やっぱり韓国でライブをやるというのはひとつの夢でしたし、自分たち史上最大キャパでのステージになりますから、CROWN HEADの音楽が韓国でも羽ばたけるように頑張っていきたいと思っています。

伊澤MVも、もうたくさんの韓国の方が見てくださっていますしね。

Lumelそうなんです。日本の曲を紹介する韓国のYouTubeチャンネルが取り上げてくれて、そうしたらたくさんのコメントをもらって。

伊澤私も韓国アクション大好きですし、嬉しいです! 韓国にも4回行ったことがあるくらい本当に韓国大好きなので、メンバーのみなさん、フェスでも頑張ってきてください!

取材・文:布施雄一郎

CROWN HEADのメンバー4人とMVに参加した伊澤彩織 撮影:田中達晃(パッシュ)

CROWN HEADのメンバー4人とMVに参加した伊澤彩織 撮影:田中達晃(パッシュ)

■CROWN HEAD Official site(外部サイト)
■CROWN HEAD「鬼灯」Music Video(外部サイト)
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