まふまふ、2年ぶり新作は“攻め”の20曲「僕が今出せるすべて」

 2010年、ニコニコ動画で“歌ってみた”動画の投稿者としてキャリアをスタートさせ、高低差のある歌声、繊細で難解な歌詞などで若年層を中心に絶大な支持を得ているマルチクリエイター“まふまふ”。いまやYouTubeのチャンネル登録者数は200万人以上、ツイッターのフォロワー数は160万以上を擁する。歌唱、作詞、作曲、編曲、エンジニアリングまでを行う自称「何でも屋」は、来年3月25日には自身最大規模となる東京ドーム単独公演を行うことも決定。怒涛の進撃を続けるまふまふが2年ぶりに発表するアルバム『神楽色アーティファクト』(10月16日発売)の20曲に込めた想いを聞く。

異常で過剰ともいえる多種多様な20曲を収録

  • アルバム『神楽色アーティファクト』(10月16日発売)通常盤のジャケット写真

    アルバム『神楽色アーティファクト』(10月16日発売)通常盤のジャケット写真

 10月16日、まふまふの5枚目のオリジナルアルバム『神楽色アーティファクト』がリリースされる。前作がオリコン週間アルバムランキングで初登場2位を獲得、それから2年の間に、彼はメットライフドームのステージに立ち、ソロライブとフェス「ひきこもりたちでもフェスがしたい!」を含めて、7万人ものオーディエンスを動員してみせた。

 そんな怒涛のような、しかし着実に歩みを進めてきた充実の季節を経て、ついにリリースされるのがこのアルバムである。まふまふの名をいよいよオーバーグラウンドへと押し上げるための決定打となる、あまりに重要なアルバムだと言っていいだろう。

 このアルバムは、まふまふという表現者のなんたるかが大胆に追求された、極めてアーティスト性の高い作品になっている。

 20曲というボリュームは今、このインスタントな時代において、はっきりと異常で過剰だ。そして、そのすべてに溢れかえっている、ピュアで貪欲で無邪気なまでの音楽的な実験精神は、そのボリューム以上に、リスナーにとってのインパクトになるだろう。

 まふまふの代名詞とも言える性急なギターカッティングが疾走するストレートなロックナンバーから、とても新鮮なチップチューン、おどろおどろしいまでの和の世界を深堀りしたクラシカルなポップソングもあれば、むき出しの世界観が叫ばれる超絶的なハイトーンナンバーまで、「多彩」という言葉で語るなら、これ以上に多種多様な作品はそうそう生まれてこないだろう。

「アルバムが出た翌日に死んだとして、それでも問題ない20曲」

  • アルバム『神楽色アーティファクト』(10月16日発売)初回限定盤Aのジャケット写真

    アルバム『神楽色アーティファクト』(10月16日発売)初回限定盤Aのジャケット写真

  • アルバム『神楽色アーティファクト』(10月16日発売)初回限定盤Bのジャケット写真

    アルバム『神楽色アーティファクト』(10月16日発売)初回限定盤Bのジャケット写真

 なぜ今、この時代に、これほど重く、多く、そして「すべてが異なった」曲が揃ったアルバムを作らなくてはいけなかったのだろうか。まふまふ自身はアルバムが生まれてきた背景について、こう語る。

「こんなとぼけた名前のアーティストが、作詞作曲、編曲、ミックス、マスタリングまでほぼ自分でやって、曲数も多いのにCDの価格は安いって、できる限りの“攻め”だと思うんです。CDが売れない時代って言われますけど、聴き手側に原因を求めるのではなくて、アーティスト側も変われることはやっていくべきなのかなと……。また、自分のことや出したい音をできるだけそのまま音源にしたくて、自分のできることは自分でやってみようと勉強してきました。

 あとこの20曲は、今自分が出せる最高の20曲なんです。もしかしたら、次のアルバムはないかもしれないし……もちろんどうなるかはわからないですけど、この20曲は、僕が今出せるすべて。たとえば僕が、このアルバムが出た翌日に死んだとして、それでも問題ない20曲です。人生はいつ何が起こるかわからないから、出すなら自分のすべてを詰め込んだものにしたいといつも思っていて。実は、ここにも入っていない曲が他に3曲あったりもして……もっと入れたい曲があったくらいなんです。厳選して、厳選して、これなんですよね。CDに収録できる分数ギリギリまで入れたら、こうなったという感じです」

人間・まふまふの20通りの輪郭であり、20通りの答え

 あまりに多種多様、多彩を極めた20曲のアルバムである。しかし、だ。このめくるめく世界観を浴びながら、僕たちリスナーはひとつの大きな共通点に気づいていくことになる。

 ここにあるのは、まふまふ自身による、まふまふという人間への言及――もっと言うなら、世界を生きているひとりの人間として抱えている喜怒哀楽、二面性、淡く儚い願望や、通奏低音のような絶望感――そういった、とてもリアルで生々しい、人間としてのまふまふ、その20通りの輪郭なのだと思う。

「匿名」な存在による曖昧な訴え、ではない。

 まふまふがまふまふという存在を通して模索し続きてきた、人としての思想や考え方や戸惑いや苦悩や人生観の、20通りの答え、である。

 ひとつの「作品」である以前に、まふまふというひとりの人間が音楽を作り、音楽を歌い続けることの「必然性」を自ら見つめ、その理由を20通りの宣言として詰め込んだような、シリアスで抜き差しならない決死の表現物であると、筆者は思う。

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