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デビュー25周年のChara、唯一無二の歌声誕生の秘話を語る

Charaボイスの誕生は、夜中にヘッドホンをつけて歌っていたから

――ご自身の声を客観的にはどう捉えていますか?
Chara 好きか嫌いかっていったら嫌いもありますよ。でも好きな方が上になるようにしている。嫌いなところもたくさんあるけど、そこまで考え過ぎないほうがいいかなと。

――そもそも、Charaボイスはどうやって誕生したんですか?
Chara 最初は誰かの歌をカバーして歌うとかじゃなく、自分で作った曲が先にあって。で、誰も歌ったことがないから、まず自分で声を入れてデモテープを作っていたんです。そのときは、夜中にヘッドホンをつけて歌っていたので「(小声で)はぁー」とか、ウィスパーが多くなったっていう。

――独りで夜中にコソッと歌っていたので、自然にウィスパーになったと。
Chara しかも、最初の曲なんて泣きながら歌っていたと思いますよ。失恋して朝方帰ってきて、鍵盤でも弾こうかってなって感じで曲ができたから。

――さすがアーティスト!
Chara だからひと筆書きなんです。でも、それがいいって言われてデビューのきっかけになったんですよね。

――今でも歌いながら泣いてしまうことはあります?
Chara レコーディングでうまく歌えなくて泣くことはよくあるし、曲を作ってるときも泣きますよ。だから、今はもう慣れちゃったけど、最初の頃はデモを聴かせるのも恥ずかしかった。自分の内側の秘密をお話するみたいなものだから、ボーカルブースに入って歌うところを見られるのも嫌で、カーテンを締めて歌ってた。今は「あれ、見てたぁ?」って、全然平気ですけどね(笑)。

――ちなみに最近は声の出し方を変えていて、中声を中心に使っているとか。
Chara (中くらいの声で)「いー!」ってこれ、中声。あと「(掠れ声で)やー」ってこれがウィスパー。地声は複式呼吸で「(力強く)おー!」ってこうだから、結構、違うでしょ? だから1曲の中でも、ウィスパーから中声になってさらに地声に変わるとか、身体の中ではいろんな道があって大変なことになってる(笑)。自分でもビックリしますよ。

――本当に楽器ですね。
Chara そのぶん、体調やケアは大事。ヴィンテージですからね(笑)。

精神的にはバランスが崩れた時期も歌い続けた

――振り返りに戻りますが、25年の中で一番、辛かった時期を挙げるなら?
Chara 前の事務所を辞めたのと離婚が重なった時期かな。どっちも突然、終わりになったわけではなかったけど、別れが重なって精神的にはバランスが崩れました。でもそのときも歌い続けたんですよ。そこは自分でもがんばり屋だなと思う(笑)。しかも、その頃、レコード会社に所属せず自宅でレコーディングしていたんだけど、インディーズってものに憧れまして。今ならできるじゃん、合間に曲を出しちゃえ、みたいな。元気のないときだったけど、それはそれで雰囲気が出ていて、悲しげ〜なアルバムを1枚作りました(笑)。歌っていたら元気が出てきたし、辛いときでも笑っているとそういう気持ちになってくる。口角上げて、無理やり笑って行こうみたいな気分になってくるから、どんなときも歌っていたのは間違いじゃなかったんだなと思います。

――Charaさんはよく履歴書に「女」って書きたいとおっしゃっていますが、こうして歴史を辿っていると本当に女性ならではの逞しさやしなやかさを感じます。
Chara お母さんになってから、それはあったかも。守らなきゃいけないって存在があると、しゃんとできるからね、ありがたいことですよ。

――最近は長女でモデルのSUMIREさんと一緒にメディアに出る機会も増えましたが。親御さんとして娘さんがこの世界に入ることをどう思っていますか?
Chara 彼女はまだ大学生だから、芸能界に入りたいって感じじゃないんです。しかも、本人は意外とマジメでシャイなわけ。ただ、子供のからファッションには興味があって今もそういう大学に行ってブレていないから、モデルのお仕事もファッションが好きだからってことじゃないかな。だから、それが芸能界ってなると、本人は「違う」って思うかもしれない。

――CharaさんとSUMIREさんの関係は理想の親子、憧れの母娘に見えます。
Chara いや、フツーのお母ちゃんと娘ですよ。ただ、お母さん、コンサバじゃないんでね。娘が中学校の頃、父兄会にフランスのお母さん風にヴィンテージのワンピースで行こうとしたら、「それやめて」って言われたことがあるんですよ。それで、「○○ちゃんのママみたいな服がいい」って言うから、○○ちゃんのママをチェックしたら、コンサバだよ! (洋服が)ないな〜みたいな(笑)。

――ははは(笑)。子供ってお母さんがお洒落で個性的だとイヤだったりしますもんね。
Chara そそ。でも、それは子供から「ママは私のことを愛しているのか?」って試されている気がしたので、「愛してるよー」ってコンサバを着ました。

――Charaさんのコンサバ、想像がつきません(笑)。
Chara 娘からも「ママはやっぱりママでいいや」って言われました(笑)。考えてみたら娘がもっと幼い頃に、金髪をやめて髪を茶色くしたら「ママじゃない」って泣かれたこともあったので、「結局、ママっぽくていいのね」って納得したんですよね。

何を言われようがまずは自分からさらけ出していくことが第一

――Charaさんはビジュアルを含め音楽スタイルもクリエイティブな立ち位置もまったく色褪せない希有な存在です。それをリスペクとしている後輩アーティストも多いですが。ご自身は25年間、“Chara”で居続けていられる理由は何だと思いますか?
Chara あまり深く考えずにやりたいタイプなんです。この先もいろんなチャンスがあると思うんだけど、とにかくそのとき与えられた波に乗るっていうか。波を作るって方法っもあるんだけど年を取ってくるとね、それはすごく体力がいるから波に乗るほうがいいと思うし、その方が好きなんです。ただ、「あれカッコイイ」「あの人と一緒にやりたい」ってことはつねに言っているし、スタッフさんにも「こんな音楽やろうよ」っていろいろ音を送ったりもしている。音楽以外の部分もでそういうコミュニケーション能力は必要だと思っていて、だから若い頃よりは今のほうがマイルドになっていますよ。若い頃はインタビューでも「しゃべってください」とか言われると、「しゃべらないと思われてるんだ、じゃあしゃべらない」とかね、そんな感じだったから(笑)。

――インタビュアーは大変だったでしょうね(笑)。
Chara 大変だったと思います(笑)。でもインタビュー慣れしていないから、わからないことは考え込んじゃうわけですよ。基本、マジメなので。それで、後から記事が出て「あれ、こんな風になっちゃうんだ」って失敗もあったりして、これはしゃべらなきゃいけないぞって思うようになったっていう。結局、ソロだと誰も守ってくれないから、自分を信じるしかない。マイケル・ジャクソンも「自分ぐらい信じてあげないと」みたいなことを言っていて、本当にそうだと思います。だから、何を言われようがまずは自分からさらけ出していくことが第一だなと。

――今後の夢や目標は?
Chara 最近、意外と人生って短いんだなって半分ぐらい折り返しているので実感するんですよ。私は、幸せになるために歌い始めたので、健康だったら、たいがいのことはできるんじゃないかなと。子供たちも自分も元気でとりあえず淡々と、その上で自分は進化系なのでいろんな人とコラボして影響を受けたり、若い人たちに、何かヒントを与えられる役割があればいいなと思う。音楽を通じてそれをやっていきたいから、すべて惜しみなく出す、みたいな。そういう意味でこれからも“ネイキッド”だなと思いますね。
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