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デビュー25周年のChara、唯一無二の歌声誕生の秘話を語る

 ミュージシャンとしてもシンガーとしても、常に唯一無二の存在とし輝き続けているCharaが、25年の音楽人生を網羅した初のオールタイムベスト『Naked&Sweet』を発売。その軌跡を通して改めて語られるCharaボイス誕生秘話や様々な出会いと別れ、そして母としての想いなど、貴重な話を語ってくれました。

子供を生んで家族を持つっていうのが夢だった

  • 初のオールタイムベスト『Naked&Sweet』【初回生産限定盤】

    初のオールタイムベスト『Naked&Sweet』【初回生産限定盤】

――アルバムタイトルを『Naked&Sweet』にした経緯は?
Chara 英語5文字の言葉って好きなんですよ。デビューアルバムの「Sweet」もそうだし、“Chara”も5文字じゃないですか。あと「Naked」は、私がひと筆書きアーティストってことでつけました。

――“ひと筆書きアーティスト”?(笑)。余計なものを加えず、ありのままということ?
Chara そんな感じです。ひと筆で曲を書くし、ライブも観に来てくれた人から「ひと筆書きだった」って言われて、すごいわかるわって(笑)。それで、自分らしいワードはないかなって考えたら「Naked」かなと。

――勝手なイメージですけど、すごくCharaさんらしいワードだと思いました。
Chara そういう何となくな感じがいい。その先はイメージしてくださいって、それぐらいの感覚。そのとき明確な答えが出なくても、どこかで点と点が繋がるみたいな、そんな感じが私らしいかなと思ったんですよね。

――内容はシングルもアルバム曲も入って3枚組みとかなりボリューミーですが。25年分ともなると曲数も膨大ですから選曲は大変だったのでは?
Chara 基本、進化していきたいタイプだから昔の曲はあまり聴かないんですよ。でも、ベストだしお祝いだから、25周年を振り返ってどんなものがあったっけ?って、改めて曲を聴いたり歌詞を見るチャンスが与えられたのは楽しかった。この仕事じゃなくても、例えばライターさんでも、ちょっと見直してみたら意外と新鮮だねとか、あるじゃないですか。

――そうですね(笑)
Chara 私の場合だと声が残るから、その進化がよりわかるっていうか。例えば、ディスク1の曲を出した時期はまだ独身だったんだけど、私は子供の頃から大人の女性に憧れていて、その中のひとつとして子供を生んで家族を持つっていうのが夢だったんですね。それでディスク1の最後、14曲目の「Tiny Tiny Tiny」は臨月ぐらいのときに歌入れをしまして。旦那さまの影響とか、長女・すみれちゃん誕生でお母さんになるっていう新たな出発の曲になっている。それがディスク2になると映画の経験とか、音楽とお母さん業の両立で体力的にも一番元気があった時期で。

「歌、下手だなー」って思うことはある

  • 『Naked&Sweet』【通常盤】

    『Naked&Sweet』【通常盤】

――映画『スワロウテイル』ではYEN TOWN BANDの名曲「Swallowtail Batterfly〜あいのうた〜」も生まれましたが。ソロとバンドの活動は違いましたか?
Chara まったく違いました。バンドのときも自分の意見を言うし、曲も書いたりしているけど、YEN TOWN BANDは小林武史さんっていうサウンドプロデューサーがいて作詞作曲もしてくれますからね。そんなのが2人いると楽しいですよ、やっぱり。

――このときは映画にも出演して強烈な存在感を放っていましたが、女優業の印象は?
Chara 昔すぎてあまり覚えてないけど、本当の女優さんならあんなとぼけたセリフの言い方はしないんだろうなと(笑)。でも、愛を歌うっていう意味で共通点は十分あったのと、ライブとはまた違うチーム感を体験してすごくパワーをもらいました。だからこの頃は無敵感があったのを覚えている。その分、ここぞとばかりに働かせられたって記憶もあるけど(笑)。そんな状況の中で、第2子を授かり「大切をきずくもの」が生まれたんだけど、これは長男へ向けた遺書として書いたんです。

――遺書?
Chara 大切なものができると“もし私がいなくなっちゃたらどうしよう”ってそこまで考える。そういう意味での“遺書”だったんですよね。それで、この後もまたいろいろな出会いと別れを経験してディスク3の時期になると、子供達も思春期を迎えて。そこからまた影響を受けて今に至る。そう思って全曲を振り返ると、1曲1曲がChara監督の映画みたいだなと。無償の愛なんてわからなかった自分がそれを初めて感じたり、子供たちの変化に驚いたり、忘れていた感情や想いをタイムシーンに乗って追体験した不思議な感覚があって。そう考えると、人間の成長ってすごいクリエイティブだなと思いましたね。

――ベスト盤ってリスナーも自分の人生を追体験できるツールですよね。切なくなったり熱くなったり様々な感情が蘇る。
Chara わかります。私がミュージシャンとして昔からすごい興味があったのが“切ない”って感情で。何だかわかんないけどそういう気持ちになって誰かに何かを伝えたいと思って楽器に向かうと「こんな感じ」ってものが出てくる。その「こんな感じ」に惹き付けられて25年たったんだけど、未だにそこはブレていないんです。楽器が進化したり、いろんな人と一緒にお仕事をしたり、アウトラインの変化はあっても、個人的には元々持っていた「すごく切ないよね、でも何かいいよね」ってそういうものを信じるところは変わっていない。それはベストの曲を聴いて改めて実感しました。

――音楽を辞めたいと思ったことはないんですか?
Chara 辞めたいはないけど、「歌、下手だなー」って思うことはある。「あれ、ちょっとおかしいゾ、待って」みたいな(笑)。元々、私は歌うたいになるためじゃなく、曲を作るのが好きで音楽を始めたんです。どっちかというと裏方というか。楽器の演奏とか作曲することが好きで、サウンドプロデューサーに憧れていたから、自分が真ん中で歌うと思っていなかった。それが19歳ぐらいから歌手になるって決断してやりだしたんですけど、今でもときどき「うわ、歌、下手!」ってびっくりする(笑)。ただ、私は声も楽器と捉えていて、最近は自分がヴィンテージの楽器だなって思っているんですよ。

――なんかカッコいい(笑)。
Chara 30年以上歌ったら、もうヴィンテージじゃないですか。なのでメンテとか、マイクとの相性とか、機材のことを知るとか、メンバーとのやりとりとか、いろんなこと擦り合わせていく必要がある。その上で、自分の耳は一応、信じているので「じゃあ、こういう音にしたいです」ってCharaプロとして考えるわけです。例えば一輪挿しのお花でも、花瓶の選び方とか挿し方で、まったく見せ方は変わるでしょ。それと同じでどんな状況で歌います?みたいな、そういう意味でのプロデュース力、全部をひっくるめてCharaプロとしては助けてあげることが大事だと思うし、そのために声をいろいろ使っていくって感じなんです。

――Charaさんの声だけは未だに唯一無二。似ている人も出てこないですからね。
Chara いやいや、それはさっきも言ったようにうまくないからです。ただ、作曲力はあるから、このメロディ、このラインがいいってところが優先で、そこを歌うために本当に必死っていう(笑)。
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