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今どきの理想は“マリア系女子”? ラブソングマスター、ななみが歌う愛の形
音楽への衝動につながった“暗黒時代”
ななみ そうですね。中2のときに親の離婚で学校に行けなくなり引きこもりになったのが始まりで、自分にとって当たり前だった世界がすべて壊れた気がして、外に出られなくなってしまったんですよ。で、1日中、YouTubeとかでいろんな曲を聴いていたら、胸に穴が空いていた分、すごく響いてきて、音楽がないと生きていけないようになった。特に誰かの曲に救われたというわけじゃなく、音楽というもの自体に救われて、自分でも歌いたいって思うようになったんです。
――ななみさんの声は聴いた瞬間、ダイレクトに伝わってくる不思議な伝達力というか。“粒子”の細かい“沁みる歌声”だと思うんですが、歌唱は独学で学んだもの?
ななみ 特に習ったことはないんだけど、話すのが得意じゃないから歌で表現するというか。しゃべっているつもりで歌っているから、そんな風に伝わるのかもしれない。作詞作曲をはじめたのも、中3のときにすっごくイヤなことがあって、泣きながらギターを弾いて歌ったのが最初なんです。
――すっごくイヤなこととは?
ななみ よく覚えてないけど、引きこもり時代は辛いことばっかりだったんです。「学校にも来ないくせに歌手になれるわけない」って、夢を否定されることもいっぱい言われたし。その度に今に見てろって、悔しさをバネにして、オーディションを受けまくったんですけどね(笑)。
実は元ヤンなんです
ななみ プロになるのは無理かなって思ったことはあったけど、音楽を続ける気持ちが揺らいだことはありません。実際、オーディションに受かるまではそろそろ就活をしようと思っていて。とりあえずちゃんと働いて、プライベートで土日とかに地元の大分のライブハウスで歌おうかなって思っていたんですよ。
――どんな環境であれ音楽ができればいいと。
ななみ そう。だからこの先、有名になったとしても、音楽以外の何かをさせられそうになったら“歌手”はやめると思う。それで、自分のことを好きって言ってくれる人たちの前でだけ歌っていたい。その立ち位置は今後も変わらないと思います。
――そんなななみさんが17歳の頃は“ヤンキー”だったっていうのは本当?
ななみ はい、元ヤンです(笑)。高校にも行ってなかったので、平日に誰かと遊ぶとなると相手はオタクかヤンキーになるわけですよ。で、私はヤンキーにいってしまった。でも、その頃は引きこもり時代よりもっと残酷でしたね。
――周りが?
ななみ 周りも自分自身も。毎晩毎晩、20人ぐらいでつるんでコンビニの前とかでたむろしていたけど、独りで引きこもってたときのほうが幸せだったなって思うぐらい孤独だったし、自分が嫌いだった。他の子も家で嫌なことがあったり、学校をドロップアウトした子ばっかりだったから、同じ気持ちだったんじゃないかな。そんな環境の中でも音楽だけは続けていたけど、あのままだったら今、私はここにいないですよ。
「I live for love」は私が思う最終的な愛の形
ななみ 体調を崩して入院したおかげです。最初は“私の陣地に入らないで!”って感じでつねにカーテンを閉め切っていたんだけど、同じ部屋のおばあちゃんたちがとにかくうるさくて。デパートの話からCO2の話になって、最後は宇宙の話題までいくって、展開がすごいんですよ(笑)。
――ガールズトークだ(笑)。
ななみ それを聞いていたら、だんだん私もカーテンを開けて話すようになって。あと病院って命が出入りする場所じゃないですか。毎日、サイレンの音がして心が傷むこともたくさんある。そういうものを見ていたら、自分がどれだけ体と心をムダにしていたかってことに気づいて。退院したときは派手なメイクもエクステも全部いらなくなってゼロになってました。で、そのあと受けたのが“Music Revolution”で、初めてグランプリをいただけたんです。
――1stアルバム『ななみ』には自己否の葛藤から再生まで、さまざまな“愛”を歌った曲が収録されていますが、すべて実体験なんですね。その中のリード曲「I live for love」は、相手にすべてを捧げ“尽くす愛”を歌った曲。これも自身の恋愛から生まれたもの?
ななみ この曲は今の私が思う最終的な愛の形で、実際にこういう恋愛も経験しました。でもこれは尽くしたいっていう想いにしてくれた相手がすごかったんですよ。その人に出会うまでは傷つくのが怖くて、ただ怯えていた。そんな自分でも好きだって言ってくれた人がそばにいてくれたから、私もまた愛を信じてみようって気になったんです。
――それまでは辛い恋愛も?
ななみ ヤンキーの頃は浮気されたりとか、最低な男にも引っかかりました(笑)。それもすべて歌にしているので、今はいい曲を作らせてくれてありがとうって思っているし、そういう恋愛を経たからこそ、「I live〜」のような気持ちにもなれた。
――ななみさんは基本的に逞しいですよね。転んでもただでは起きないというか。
ななみ いや、普通の人よりネガティブで弱いだけ。だから強くなれたんです。でも今はそういう生きづらい自分が好き。愛について歌っているのは本当に愛をわかっていないからで、わかってしまったらきっと歌っていないし、悲しみがないと曲が生まれない人間なので、音楽を続けているうちは幸せになりたくない。だからこれからも悲しみウェルカムですよ(笑)。
(文/若松正子)
今どきの尽くす女子“マリア系女子”の実態
まずは「あなたは好きな人に尽くすタイプですか?」という質問に対して、【あてはまる】【ややあてはまる】と回答した人が68.8%と、約7割の人が“尽くす系女子”の傾向があることがわかった。そこで、恋愛に対する考えや行動について【あてはまる】【ややあてはまる】【あまりあてはまらない】【あてはまらない】の4つの選択肢で聞いてみたところ、【あてはまる】【ややあてはまる】の合計が最も多かったのが、<好きな人が喜ぶ顔を見ると嬉しい>(95.0%)。相手が喜んでくれるなら、多少の努力は厭わないと考えている女性が多いようだ。
では実際、どんな関係性が理想なのだろうか。そのヒントとなるのが、【女性は好きな男性を立てるものだと思う】という項目。“男性化”している女性にとっては、「平等でいたい」と考えている人が多数を占めているのかと思いきや、【あてはまる】【ややあてはまる】の合計が61.8%と、意外な高値を示した。
20代のほうがその傾向が強かったが、昭和の女性のように“3歩下がって男性についていく…”というよりは、「家の外では亭主関白のような感じで、家の中では対等な関係でいたい」(東京都/20代)、「平等だけど、女が一歩下がったところで男性をサポートし、立てるのが理想。そうできるような女になりたいし、そうさせてくれる頭が良くてしっかりした男性が自分には合うと思う」(愛知県/20代)など、平成の尽くす女子は基本的には尽くしながらも平等な関係性でいたい、という考え方に進化しているようだ。対等な目線で男性を優しく見守りながら、時には厳しくも接する、その姿はまるで聖母のよう。いわば“マリア系女子”に憧れを持つ女性が大いことがわかった。
今回のインタビューでななみは「I live for love」のような経験を経て、「ひとりの人間として優しくなった」と語っている。相手に尽くすことができるのも、相手から思いやりや大きな愛情をもらったからこそ。この曲には、今どきの“マリア系女子”の想いが詰め込まれている。リアルな恋愛の経験を歌詞に込め、歌い続けるななみの歌が若い女性から支持を集めるのも必然と言えそうだ。
【調査概要】
調査対象:全国10代〜20代女性
サンプル数:600名
調査期間:2015年5月28日(木)〜6月2日(火)
調査手法:インターネット調査
調査機関:オリコン・モニターリサーチ(外部サイト)
⇒ななみ オフィシャルHP(外部サイト)