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多様化する女性アイドルサウンド “職業作家”に再び脚光
現在のトレンドは“アイドル×轟音”
こうしたなか、ここ最近、急速に増えてきたのがロックやメタルなどのサウンドを取り入れたグループだ。その筆頭が、「アイドルとメタルの融合」を目指して活動し、海外でも熱狂的なファンを増やしているBABYMETALだろう。キュートなルックスからは想像もつかないゴリゴリの重低音とメインボーカルを務めるSU-METALの圧倒的な歌唱力には誰もが驚かされるが、メタルとアイドルポップスが起こす化学反応から生み出される斬新なサウンドは、メタルファンやロックファンをも魅了。実際の現場でも、有名メタルバンドのTシャツを着用してライブに参戦するファンや、アイドルにはつきもののサイリウムを持たず、ロックバンドのライブのように拳を突き上げ楽しむファンが目立っている。
他にも、「旅」をテーマに活動しているPASSPO☆はデビュー当時から“ガールズロックユニット”であることを掲げ、メタルやパンクの大物アーティストを迎えた楽曲を制作。最新曲「元気種☆」でウィークリーシングルランキング1位(オリコン調べ)を獲得した仮面女子も、その音楽性からロックやメタルファンからも注目を集めており、2014年は日本最大級のメタルフェス『ラウドパーク14』に出演し話題を呼んだ。愛媛のご当地アイドル・ひめキュンフルーツ缶は、本格的なロックサウンド、パワフルなライブパフォーマンスが注目を集め、ご当地アイドルながら多数の大型ロックフェスに出演。“女性アイドル×轟音”というギャップが、アイドルファン以外の音楽リスナーにも訴求し、新規ファンを増やしているのだ。
アニソン同様、よりジャンルレスになっていく
こうした流れは、現在の女性アイドルグループにも言えることだ。例えば、AKB48の作品を手掛けたことをきっかけに、生田真心(「フライングゲット」「ポニーテールとシュシュ」編曲など)、板垣祐介(「ギンガムチェック」作曲・編曲など)らは様々なジャンルへと活躍の場を広げたほか、織田哲郎、後藤康二(ck510)といったベテラン・クリエイターが生み出すメロディも改めて評価を受けている。また、ブレイク前から“専属作家”的に楽曲提供をしてきたことで注目を集めるクリエイターや、シンガー・ソングライターの清 竜人のように、自分も参加した女性アイドルグループを作ってしまう事例も。才能溢れるクリエイターが集まってきているのだ。
アニメソング同様、アイドルソングにも明確な定義はなく、グループのコンセプトに合ってさえいれば、比較的冒険しやすい分野だ。今後、パンクやヒップホップ、EDMなど、よりジャンルが多様化し、これまでのグループとは一線を画す尖った音楽性を明確に打ち出したグループが増えてくると考えられる。また、優秀なクリエイターが集まってくることで、さらに作家への注目が高まっていくことだろう。もしかしたら70年代、80年代の音楽シーン同様、“職業作家”として後世まで影響を与えるカリスマも登場するかもしれない。