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飽和状態の国内アイドル市場、“海外輸出”が更に活発に!?
世界に浸透した“OTAKU”と更なる密な関係を構築するのが狙い
また、そのような動きとリンクする形で『国内最大のアイドルによる国際音楽見本市』と謳ったイベント『@JAM EXPO 2014』が、先ごろ神奈川・横浜アリーナで開催。100組のアイドルが参加し、業界関係者向けのセミナーも開かれ、でんぱ組.incプロデューサーの“もふくちゃん”こと福嶋麻衣子氏が、「秋葉原発、世界へ」と題する講演を行った。
2008年に結成、2011年にメジャーデビューしたでんぱ組.incは、もともと福嶋氏が秋葉原に開いたライブ&バー「ディアステージ」を拠点に活動していたが、人気が急速に広がり、今年5月には初の日本武道館公演で1万人を集めた。福嶋氏によれば、デビュー当初から「海外向けのアイドルユニットにしようと、日本的なものを意識して取り入れてきた」とのこと。“SAMURAI,FUJIYAMA,CUPNOODLE”の「日清カップヌードル 現代のサムライ篇」CMソングになった最新シングル「ちゅるりちゅるりら」(7月30日発売)は象徴的。戦国時代をテーマに、アレンジでも和楽器をフィーチャーした。
日本のアイドル文化の核は秋葉原に凝縮されている。そのアキバカルチャーを世界に発信したいと、以前より考えていた福嶋氏。「秋葉原は世界一のヘンタイな街。おかしなこともここでなら許されて、趣味に没頭する人たちをバカにしない。唯一無二の文化があります」。オタクにはネガティブなイメージがあったが、近年はポップカルチャーと結びついて裾野が広がっている。同時に、海外でも“OTAKUフェス”が活況を示すように、シンガポールの『AFA(Anime Festival Asia)』は8万人、でんぱ組.incも出演したフランスの『JAPAN EXPO』は23万人を動員。台湾の『漫画博覧会』には60万人と、日本のコミックマーケット(55万人)も上回った。「子どもの頃から(海外のテレビで流れる)日本のアニメを観て育って、自然にオタクになった人が多いようですが、ここ数年でアイドルの“輸出”が増えました。アニメ、ゲームと3本柱になっています」と福嶋さんは言う。ネット戦略が功を奏し、でんぱ組.incも動画サイトを観てファンになったケースがほとんどとか。
JKT48やBELLRING少女ハートら、異国混合ユニットに注目
『@JAM EXPO』にジャカルタから駆けつけて出演したJKT48が、まさにこのスタイル。AKB48の海外の姉妹グループとして誕生したJKTは、オーディションでメンバーを集め、劇場公演を基盤にし、今年3月には日本と同様の「選抜総選挙」も実施。ファンの応援スタイルも日本と変わらず、インドネシアのアイドル・リテラシーを高めている。きれいな顔立ちとスタイルで、日本人にとっては程よくエキゾチックに感じるメンバーも多く、今後“逆輸入”されて人気を呼ぶ可能性もある。
K-POPに習う!? 海外進出で重要なのは、“コンセプト”と“語学習得”
また、アメリカでは歌唱力が重視され、ウクライナではスポーツ選手がアイドル視されるなど、各国で求められる偶像観も異なる。「清純なイメージと可愛い衣装という日本のアイドルらしさに加えて、国ごとの独自性を取り入れるのが重要では」と助野さんは展望している。
飽和状態の日本のアイドル市場で少ないパイを奪い合うより、海外に展開していくことがビジネス的にも求められつつある――もちろんそれは、イベント出演やライブ開催に止まらない形で。今後は日本とは異なる価値観に乗り、意外なアイドルグループが海外で火がつくこともあるかもしれない。
(文:斉藤貴志)
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