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紅白効果で出演歌手がランキング上位に再浮上〜ダークフォースの誕生いまだ健在
紅白効果で出演歌手がランキング上位に再浮上〜ダークフォースの誕生いまだ健在
「紅白効果」で初のTOP10入りしたアーティストも
そして、そんな高い視聴率を背景に、今年の年頭のシングルランキング(2014/01/13付)においても、さまざまな「紅白効果」が確認できる。筆頭は、福田こうへいの「南部蝉しぐれ」。12年10月にリリースされたこの曲は、じわじわと支持が広がり、ロングセラー化していたが、『紅白』での歌唱などが手伝い、63週目にして初のTOP10入り(9位)を果たした。大島優子の“卒業宣言”が話題となったAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」も21位→15位へと再浮上。NMB48の「カモネギックス」も24位→19位へと躍進している。そして、どのようなステージを見せるのかに衆目が集まったLinked Horizonも、「自由への進撃(紅蓮の弓矢/自由の翼/もしこの壁の中が一軒の家だとしたら)」が28位→17位を記録した。
このほかにも、水樹奈々×T.M.Revolution「革命デュアリズム」が54位→31位、EXILE「EXILE PRIDE〜こんな世界を愛するため〜」が81位→34位、E-girls「ごめんなさいのKissing You」が50位→38位、西野カナ「さよなら」が85位→39位と、『紅白』で歌われた曲が高位へと浮上した。
『あまちゃん』関連作品が大幅ランクアップ
だが、「紅白効果」の極めつけは、やはり楽曲のロングセールス化に伴って、それを歌っているアーティストが“全国区”へと知名度を拡大させていく過程を見ることだろう。近年で言えば、植村花菜の「トイレの神様」、秋元順子の「愛のままで…」、すぎもとまさとの「吾亦紅」、秋川雅史の「千の風になって」などがそれにあたる。なかでも、「愛のままで…」は紅白歌唱翌年の2009年の年間4位を記録し、「千の風になって」も紅白翌年2007年の年間1位を記録する大ヒットとなった。もともと楽曲に秘められていたポテンシャルの高さが、『紅白』出場によって引き出され、全国へと拡大していく。加えて、曲が浸透していく過程で、『紅白』を見逃していた層にも作品力が認められ、その効果は放送後当初の数倍にまで膨れ上がるというものだ。「紅白効果」はヒット曲のみならず、歌い継がれる「名曲」をも生み出す。今回の『紅白』にそれを求めるなら、福田こうへいの「南部蝉しぐれ」がその最右翼と言えるだろう。
『紅白』を通して音楽との新たな“出会い”や“発見”を――
幅広い年代が視聴する『紅白』においては、常日ごろ音楽を購入していない高齢者の割合も高い。配信ではなく、パッケージメディアに慣れ親しんだ世代にとって、そうした「気になる作品」は、耳に馴染みやすいフレーズや、誰もがすぐに口ずさめるサビなど、(妥当な表現とは言えないかもしれないが)“手軽”に楽しめる要素――演歌や歌謡曲的要素を残したポップスが対象となるケースが多いことだろう。これに対して、メッセージ色豊かな作品やフェス系で高反響を呼びそうなアーティストの楽曲については、「もっと深く知りたい」とばかりにアルバムへと流れる傾向が強いのかもしれない。「紅白効果」によって生まれるヒットにおいて、演歌や歌謡曲系の作品が中心となるのは、そうした『紅白』独自の音楽ファンが大きく関わっていることも忘れてはならない。
(文:田井裕規)
関連リンク
・2013年 年間ランキング 特集
・第64回 NHK紅白歌合戦 特集