韓国は今、“空前のバンドブーム”といわれている。多くのバンドが登場する中、音楽の名門事務所・アンテナから2024年9月にデビューした4人組バンド・Dragon Pony(ドラゴン・ポニー)が、6月にEP『Run to Run』で日本デビューを果たした。シンガー・ソングライターのユ・ヒヨル(TOY)が代表を務めるアンテナ期待の新鋭は、日本でどのような未来を描いているのか。テギュ(Vo)、ソンヒョン(Ba)、セヒョク(Gt)、ガンフン(Dr)の4人に、日本デビューへの思いとこれからの展望を聞いた。
■「音楽が人生を変えた」 4人それぞれの原点とDragon Pony結成秘話
――日本デビューおめでとうございます! まずは自己紹介代わりに、どういう音楽に影響されて今に至っているのかという“音楽遍歴”を教えてください。
【ソンヒョン】僕は子どものころからジャンルにとらわれることなく、本当にいろんな音楽を聴いてきました。難しいテーマを扱った音楽よりも、ストレートに訴えかける音楽に影響を受けていますし、僕も今、そういう音楽を作っています。
――自分の音楽感を決定づけたきっかけはありますか。
【ソンヒョン】歌詞が好きなアーティストのライブを見に行って、生で音楽を聴いて、その曲にどんな想いが込められているのかを本人の言葉で聞いたんです。それでまた改めて歌詞を見たときに、「僕もこういう音楽がやりたい」と思えたんです。そのアーティストはもともとは音楽をやっていた人ではなくて、何かを忘れるために自分の想いを歌詞にして曲にしたそうです。自分の中にある苦痛や痛みを忘れる手段として音楽をやっているという話を聞いたときに、すごく心を打たれました。
【ガンフン】僕も子どものころからロックが好きで、たくさん聴いていました。特にライブ動画をよく見ていたのですが、見ていると、自分の内側から何かが湧き上がってくるんですよね…。その衝動が僕をドラムへ向かわせて、今、仲間たちと一緒にロックをやっています。
――なぜ、ドラムだったんでしょう。
【ガンフン】「ぶっ飛ばせーー!」という感じがして(笑)。ドラムは、心の中に積もり積もっているわだかまりみたいなものを吹き飛ばすには、最高の方法です。僕の音楽感は、「自分が聴きたい音、自分が楽しめる音楽をやろう」というもの。当たり前かもしれないけれど、だから、自分の好きな音、聴きたい音を追い求めているところです。
【テギュ】僕は子どものころから人前で愛嬌を見せたり、自分の特技を見せるのが好きだったんです。祖母の前で得意なことを見せると、お小遣いがもらえるのが嬉しかったというのもあるんだけれど(笑)。だんだん自分自身を表現して生きていきたいと思うようになって、その手段として音楽を選んで、今、歌っています。
――自分の音楽感に影響を与えたアーティストは?
【テギュ】韓国のロックバンドYBのユン・ドヒョンさんです。ユン・ドヒョンさんの持っているエネルギーや感情、表現や音楽が好きで、ずっと聴いて育って影響をたくさんもらいました。
【セヒョク】僕が音楽を始めたのは、9歳のころ。友達のお母さんがチェリストで、学校で演奏してくれた姿に心を奪われて、チェロを習い始めました。誰かの音楽を聴いて涙を流したり、感動したり…、僕には音楽に心打たれた瞬間というのがいくつもあります。その中でも一番大きな力を与えてくれたのが、Dragon Ponyの初単独公演。そういった記憶たちが、「僕がどんな人間になりたいのか」という部分に影響を与えているんだと思います。
――なぜチェロからギターに?
【セヒョク】中学生のとき、クラスでギターが流行ったんです。友だちもみんなギターをやり始めたので、流行を追いかけるという意味でもギターに興味を持ちました。
【ソンヒョン】当時、人気者になるにはギターを弾くのが1番だったんです。
――そんな4人が集まってDragon Ponyになりましたが、結成までの経緯を教えてください。
【テギュ】僕たちは、アンテナという事務所に所属して、バンドを組むことになりました。実は、僕を除いた3人は、同じ芸術高校の同級生なんです。でも、それぞれがアンテナのオーディションを受けたことは知らずに、合格して事務所に来てみたらびっくり(笑)。そんな3人がまず事務所の練習生になり、後から僕が合流。そして、Dragon Ponyが結成されました。
【ソンヒョン、セヒョク、ガンフン】そうそう、事務所で会って「あーーーーっ!」ってなった(笑)。
【ソンヒョン】しかもガンフンとセヒョクは親友だったのに、知らなかったんですよ。
――日本だと、高校時代に友だち同士でバンドを組んでプロになるというパターンが多くて、事務所に集められたメンバーでバンドを組むというのは滅多にないんですよ。
【ソンヒョン】アンテナという素晴らしい音楽レーベルと出会えたからこそ、こうしてバンドを結成できて、デビューすることができました。友だちが自然と集まってできたバンドではないけれど、練習生という期間の中で、みんなと気持ちを通い合わせて同じ夢を見るようになった。早くデビューしたいという強い思いがずっとあって、それが僕たちの「いい音楽を作りたい」という原動力になった気がします。
――日本デビューを機にDragon Ponyを知った人も多いと思います。日本のリスナーに届けたいDragon Ponyらしさとはどんなものだと思いますか。
【セヒョク】僕たちの魅力を知ってもらうには、ライブを見ていただくのが一番の近道じゃないかな。僕たち一人ひとりの中にあるエネルギーと情熱を感じていただけると思います。
【ソンヒョン】僕らのイケメンぶりも、ライブを見ていただくとわかると思いますよ(笑)。
■「走り続ける」がDragon Ponyらしさ 『Run to Run』に込めた青春と情熱
――とにかく、ライブを体感してほしいということですね。Japan 1st EP『Run to Run』のコンセプトを教えてください。
【テギュ】タイトルが、すべてです(笑)。これまで僕たちはずっと走ってきて、これからも走り続けるという強い意志を込めたアルバム。韓国でも僕たちは自分たちが感じてきたことを音楽を通じて表現してきましたが、それを土台に、新たに悩んだり考えたりしたことを日本に向けて表現しています。
――3月に韓国でリリースしたEPのタイトルは、『RUN RUN RUN』でした。“走る”というのはDragon Ponyのテーマなのでしょうか。
【セヒョク】僕たち、MVでもいつも走っているんですよ(笑)。
【テギュ】「青春」といえば、「走る」というイメージが強いからかな? でも僕たちが伝えたい感情って、行動にすると「走る」イメージなんですよね。
――日本だと「夕日に向かって走る」というのが青春なんですよ。
【ソンヒョン】いいですね。
【テギュ】初々しさとか、青春のイメージがあります。走ることには。
――では、リード曲の「Run to Win」を紹介してください。
【ソンヒョン】僕たちの一番の情熱的な話、伝えたい熱さが込められている曲。1番聴いてほしい曲です。
【ガンフン】特に、ギターソロがカッコいいんですよ。
【セヒョク】ギターソロのレコーディング、楽しかったなぁ…。聴いている方たちにも、その喜びが伝わってほしいです。ギターソロだけでなく、この曲全般に漂うムードというのは、風を切って走るような疾走感。それを感じてもらえたら嬉しいです。
【ソンヒョン】サウンドでいえば、今はテクノロジーが発達した時代だから、デジタルの機材もたくさんあるじゃないですか。でも、リード曲の「Run to Win」は、野生そのもの。ベーシックなバンドサウンドに忠実に作った、最もロックらしいストレートな曲です。メッセージ面でいえば、僕たちは生きていく中で、生計のため、あるいは愛する何か、または自分の癒しなど…、何かのために走っていると思うんです。ただ単に勝利するために走っているわけじゃない。どこに向かっているかわからなくても、何かのためにみんな走っているのであれば、「その方向はきっと正しいよ」とエールを送ったり、「僕も走っているから一緒に走ろう」という癒しを届けられていたら嬉しいです。
――「Stand Together」はどうでしょう。
【テギュ】一緒に立っている人たちを想像しながら作った曲です。歌詞は、逃げないで踏ん張っている状態を表現したかった。1人じゃなくて誰かと一緒に持ちこたえているところを想像しながら聴いてほしい曲です。
――テギュさんは、日本語で答えてくださっていますが、どうしてそんなに日本語が上手なんですか。
【テギュ】日本のアニメが好きで(笑)。最初はアニメで勉強して、今は先生について勉強しています。
――そうなんですね! では、「One Light, One Time」は?
【ガンフン】ある瞬間…、失いたくない、忘れたくない刹那の瞬間を表現してみたかった曲です。この曲は、日本のプロデューサーさんと一緒に制作し、そのデモを韓国に持ち帰って、僕たちがアレンジを加えて仕上げた曲です。初めての日本での活動の曲として、僕たちのカラーが最もよく表現されている曲だと思います。
――日本のプロデューサーさんと一緒に作業したことで、バンドとして新しい扉が開いたと感じたことはありましたか。
【セヒョク】いつもレコーディングをするときは、自分の機材を使うのですが、今回は僕たちをサポートしてくださった方たちの機材を使わせてもらったんです。すごくたくさんのアンプを使ってレコーディングをしたのですが、新しい領域に入った感じがしました。想像を超えた機材が本当にたくさんあって、幸せでした。
――「Break the Chain」はどうでしょう。
【ソンヒョン】この曲は、練習生時代に書いた曲を発展させた曲です。テーマとしては、解放。「何かから解き放たれ、自由になろう」という気持ちを表現しています。皆さんの心の中に自分を閉じ込めている何か、息苦しくさせる何かがあれば、この曲を聴いて少しでも楽になってほしい。この曲を世に出せて、本当に嬉しいです。
【セヒョク】昔の曲を今の僕たちの曲にディベロップしていく過程の中で、どこをどう変えるかをみんなで一番話し合った曲かもしれません。
――「Look Back」は?
【セヒョク】タイトルのように、相手の背中を見ながら歌っているような曲。相手が振り向いてくれなくても、愛を返してくれなくても、僕はずっと愛し続けるという誓いを込めた曲です。
■ONE OK ROCKへの憧れが導いた夢 TAKAとの出会いと日本で描く未来
――日本デビューを果たし、これから本格的な日本での活動が始まります。日本での活動はDragon Ponyにとってどのような意味があるのでしょう。
【ガンフン】世界に出ていく大きな第一歩…、かな。
【ソンヒョン】僕は小学生のころにバンドを始めて、そのころONE OK ROCKさんの「完全感覚Dreamer」のライブ映像に衝撃を受けたんです。日本のオーディエンスがONE OK ROCKに夢中になって、熱狂して、歓声を上げている姿が本当にカッコよかったし、衝撃でした。僕も「こういう音楽を作りたい!」とずっと思ってきて、今、その夢に少しずつ近づいているのかな…。僕が衝撃を受けた音楽を生み出した国で、Dragon Ponyというバンドで音楽ができることに本当に感謝しています。日本で活動することで、自分の頭の中にある、あの美しいシーンに少しずつ近づいていっているような気がして、ワクワクしています。
――そういえば皆さん、ONE OK ROCKの韓国公演を見に行っていましたよね。
【ガンフン】はい、ONE OK ROCKさん、天才でした(笑)。
【セヒョク】(テギュに)泣いてたよね?
【テギュ】はい、泣いちゃいました(笑)。「Tropical Therapy」を歌う前に、TAKAさんが言った言葉…、世界に向かって伝えたいメッセージ、考えがすごくエモかったし、そんな想いを込めた歌詞がすごく耳に入ってきて、聴きながら泣いちゃったんですよ。本気で歌う気持ちが伝わったというか…。とにかく、すごかったです。
――SNSに一緒に撮った写真が上がっていましたが、実際に会ったTAKAさんはどういう人でしたか。
【ガンフン】カッコよかった〜。
【テギュ】そのときも泣いちゃった(笑)。
【ソンヒョン】夢みたいな気分ですよね。今でも夢を見ているような感覚だと思います。
【テギュ】TAKAさんは、すごく優しい方だったし、思ったより落ち着いた話し方だったなぁ。
【セヒョク】そうだ、あれ言ったじゃん!
【テギュ】あっ、そうだ! 僕、「TAKAさんを超えるから、待っていてください」と言ったんです。そうしたらTAKAさんは「オッケー」と言って、インスタをフォローしてくださったんです。
――もう、マブダチですね!
【テギュ】そうかな(笑)。嬉しいです。
【ソンヒョン】本当に言ったの? その言葉、守ってね。
【テギュ】うん。守るために頑張るよ。頑張らないと!
――YouTubeの企画では、Mrs. GREEN APPLEのギタリスト・若井滉斗さんと共演されたこともありますよね。
【テギュ】はい。若井さんには、「バンド活動のために1番大事なことは何ですか?」と質問したのですが、「仲間たちと一緒に集まることが大事だ」とアドバイスしてくださいました。
【セヒョク】そのとき、僕たちはMrs. GREEN APPLEさんの「青と夏」を演奏したのですが、「ギターカポを使うといいよ」とギタリストとしてのアドバイスをしてくださいました。
――Mrs. GREEN APPLEはバンドだけれど、ダンスもできるんですよ。皆さんはどうですか?
【ガンフン】できます!
【ソンヒョン】「やれ」と言われたらやりますけど、皆さんのためにもやらない方がいいと思います(笑)。
――これから皆さん日本での活動が始まりますが、5年後、10年後はどうなっていると思いますか。
【セヒョク】またオリコンの取材を受けて「デビューのころはこうだったね」という思い出話をしたり、「この前出演した、日本のフェスでこんなことがあって」という話ができたらいいな。僕たち、日本のフェスに出ることが夢なんです。
――最近は韓国でもロックフェスが増えましたね。
【テギュ】はい。韓国は今、“バンドブーム”なんです。バンドが注目されていて、シーンが熱くなっているのは、嬉しいことですよね。
――皆さんが所属するワーナーミュージックには、FTISLAND、CNBLUEという日本での活動を長くしている先輩バンドがいますが、彼らがデビューしたころは韓国のロックフェスは少なかったし、音楽番組に出るバンドはアイドルとみなされてフェスに呼ばれることはなくて、フェスに出演できるまでにすごく時間がかかったので、新人時代からフェスに出られる皆さんは幸せですね。
【テギュ】はい。先輩たちが道を作ってくださったおかげです。FTISLAND先輩も、CNBLUE先輩も、今は韓国のフェスで夜のメインの時間に出演されるすごいバンドです。日本でも大きな会場でツアーをされていますよね。すごく尊敬しています。僕たちも日本で、「韓国のバンド、いいじゃん!」といわれるようになりたいですし、5年後、10年後には、もっと多くの人たちに僕たちの音楽を伝えられるようになっていたいです。
【ガンフン】僕は、演奏し続けていたいな。10年経っても変わらずに、僕たちがいいなと思える音を探し求めながら、その音に酔い知れながら、そしてオーディエンスとその気持ちを分かち合いながら生きているんじゃないかと思います。そして、その規模も今より大きくなっているんじゃないかな。
【ソンヒョン】5年、10年後か…、そこまで先のことは分からないというのが正直なところです。この瞬間に愛したり、自分たちの温かさを分かち合ったりすることも大変なことなので、僕は何よりも今日を大切にしています。なので、一日一日を精一杯生きた先に、5年、10年後があると考えています。
取材・文:坂本ゆかり
撮影:田中達晃(パッシュ)
<作品情報>
Dragon Pony Japan 1st EP『Run to Run』
リリース日:2026.6.10
【初回限定盤】
品番:WPCL-13763/価格:5500円(税込)
封入特典
・Japan Debut Message Card(通常・初回限定盤 共通1種)
・応募シリアルコード1枚
・フォトカード(全4種1セット)
・B3サイズポスター
・ロゴステッカーセット
【通常盤】
品番:WPCL-13762/価格:2500円(税込)
封入特典(初回プレス分のみ)
・Japan Debut Message Card(通常・初回限定盤 共通1種)
・応募シリアルコード1枚
・アーティスト ロゴステッカー
収録曲(共通)
1. Run to Win
2. Stand Together
3. One Light, One Time
4. Break the Chain
5. Look Back
■「音楽が人生を変えた」 4人それぞれの原点とDragon Pony結成秘話
――日本デビューおめでとうございます! まずは自己紹介代わりに、どういう音楽に影響されて今に至っているのかという“音楽遍歴”を教えてください。
【ソンヒョン】僕は子どものころからジャンルにとらわれることなく、本当にいろんな音楽を聴いてきました。難しいテーマを扱った音楽よりも、ストレートに訴えかける音楽に影響を受けていますし、僕も今、そういう音楽を作っています。
――自分の音楽感を決定づけたきっかけはありますか。
【ソンヒョン】歌詞が好きなアーティストのライブを見に行って、生で音楽を聴いて、その曲にどんな想いが込められているのかを本人の言葉で聞いたんです。それでまた改めて歌詞を見たときに、「僕もこういう音楽がやりたい」と思えたんです。そのアーティストはもともとは音楽をやっていた人ではなくて、何かを忘れるために自分の想いを歌詞にして曲にしたそうです。自分の中にある苦痛や痛みを忘れる手段として音楽をやっているという話を聞いたときに、すごく心を打たれました。
【ガンフン】僕も子どものころからロックが好きで、たくさん聴いていました。特にライブ動画をよく見ていたのですが、見ていると、自分の内側から何かが湧き上がってくるんですよね…。その衝動が僕をドラムへ向かわせて、今、仲間たちと一緒にロックをやっています。
【ガンフン】「ぶっ飛ばせーー!」という感じがして(笑)。ドラムは、心の中に積もり積もっているわだかまりみたいなものを吹き飛ばすには、最高の方法です。僕の音楽感は、「自分が聴きたい音、自分が楽しめる音楽をやろう」というもの。当たり前かもしれないけれど、だから、自分の好きな音、聴きたい音を追い求めているところです。
【テギュ】僕は子どものころから人前で愛嬌を見せたり、自分の特技を見せるのが好きだったんです。祖母の前で得意なことを見せると、お小遣いがもらえるのが嬉しかったというのもあるんだけれど(笑)。だんだん自分自身を表現して生きていきたいと思うようになって、その手段として音楽を選んで、今、歌っています。
――自分の音楽感に影響を与えたアーティストは?
【テギュ】韓国のロックバンドYBのユン・ドヒョンさんです。ユン・ドヒョンさんの持っているエネルギーや感情、表現や音楽が好きで、ずっと聴いて育って影響をたくさんもらいました。
【セヒョク】僕が音楽を始めたのは、9歳のころ。友達のお母さんがチェリストで、学校で演奏してくれた姿に心を奪われて、チェロを習い始めました。誰かの音楽を聴いて涙を流したり、感動したり…、僕には音楽に心打たれた瞬間というのがいくつもあります。その中でも一番大きな力を与えてくれたのが、Dragon Ponyの初単独公演。そういった記憶たちが、「僕がどんな人間になりたいのか」という部分に影響を与えているんだと思います。
――なぜチェロからギターに?
【セヒョク】中学生のとき、クラスでギターが流行ったんです。友だちもみんなギターをやり始めたので、流行を追いかけるという意味でもギターに興味を持ちました。
【ソンヒョン】当時、人気者になるにはギターを弾くのが1番だったんです。
――そんな4人が集まってDragon Ponyになりましたが、結成までの経緯を教えてください。
【テギュ】僕たちは、アンテナという事務所に所属して、バンドを組むことになりました。実は、僕を除いた3人は、同じ芸術高校の同級生なんです。でも、それぞれがアンテナのオーディションを受けたことは知らずに、合格して事務所に来てみたらびっくり(笑)。そんな3人がまず事務所の練習生になり、後から僕が合流。そして、Dragon Ponyが結成されました。
【ソンヒョン、セヒョク、ガンフン】そうそう、事務所で会って「あーーーーっ!」ってなった(笑)。
【ソンヒョン】しかもガンフンとセヒョクは親友だったのに、知らなかったんですよ。
――日本だと、高校時代に友だち同士でバンドを組んでプロになるというパターンが多くて、事務所に集められたメンバーでバンドを組むというのは滅多にないんですよ。
【ソンヒョン】アンテナという素晴らしい音楽レーベルと出会えたからこそ、こうしてバンドを結成できて、デビューすることができました。友だちが自然と集まってできたバンドではないけれど、練習生という期間の中で、みんなと気持ちを通い合わせて同じ夢を見るようになった。早くデビューしたいという強い思いがずっとあって、それが僕たちの「いい音楽を作りたい」という原動力になった気がします。
――日本デビューを機にDragon Ponyを知った人も多いと思います。日本のリスナーに届けたいDragon Ponyらしさとはどんなものだと思いますか。
【セヒョク】僕たちの魅力を知ってもらうには、ライブを見ていただくのが一番の近道じゃないかな。僕たち一人ひとりの中にあるエネルギーと情熱を感じていただけると思います。
【ソンヒョン】僕らのイケメンぶりも、ライブを見ていただくとわかると思いますよ(笑)。
■「走り続ける」がDragon Ponyらしさ 『Run to Run』に込めた青春と情熱
――とにかく、ライブを体感してほしいということですね。Japan 1st EP『Run to Run』のコンセプトを教えてください。
【テギュ】タイトルが、すべてです(笑)。これまで僕たちはずっと走ってきて、これからも走り続けるという強い意志を込めたアルバム。韓国でも僕たちは自分たちが感じてきたことを音楽を通じて表現してきましたが、それを土台に、新たに悩んだり考えたりしたことを日本に向けて表現しています。
――3月に韓国でリリースしたEPのタイトルは、『RUN RUN RUN』でした。“走る”というのはDragon Ponyのテーマなのでしょうか。
【セヒョク】僕たち、MVでもいつも走っているんですよ(笑)。
【テギュ】「青春」といえば、「走る」というイメージが強いからかな? でも僕たちが伝えたい感情って、行動にすると「走る」イメージなんですよね。
――日本だと「夕日に向かって走る」というのが青春なんですよ。
【ソンヒョン】いいですね。
【テギュ】初々しさとか、青春のイメージがあります。走ることには。
――では、リード曲の「Run to Win」を紹介してください。
【ソンヒョン】僕たちの一番の情熱的な話、伝えたい熱さが込められている曲。1番聴いてほしい曲です。
【ガンフン】特に、ギターソロがカッコいいんですよ。
【セヒョク】ギターソロのレコーディング、楽しかったなぁ…。聴いている方たちにも、その喜びが伝わってほしいです。ギターソロだけでなく、この曲全般に漂うムードというのは、風を切って走るような疾走感。それを感じてもらえたら嬉しいです。
【ソンヒョン】サウンドでいえば、今はテクノロジーが発達した時代だから、デジタルの機材もたくさんあるじゃないですか。でも、リード曲の「Run to Win」は、野生そのもの。ベーシックなバンドサウンドに忠実に作った、最もロックらしいストレートな曲です。メッセージ面でいえば、僕たちは生きていく中で、生計のため、あるいは愛する何か、または自分の癒しなど…、何かのために走っていると思うんです。ただ単に勝利するために走っているわけじゃない。どこに向かっているかわからなくても、何かのためにみんな走っているのであれば、「その方向はきっと正しいよ」とエールを送ったり、「僕も走っているから一緒に走ろう」という癒しを届けられていたら嬉しいです。
――「Stand Together」はどうでしょう。
【テギュ】一緒に立っている人たちを想像しながら作った曲です。歌詞は、逃げないで踏ん張っている状態を表現したかった。1人じゃなくて誰かと一緒に持ちこたえているところを想像しながら聴いてほしい曲です。
――テギュさんは、日本語で答えてくださっていますが、どうしてそんなに日本語が上手なんですか。
【テギュ】日本のアニメが好きで(笑)。最初はアニメで勉強して、今は先生について勉強しています。
――そうなんですね! では、「One Light, One Time」は?
【ガンフン】ある瞬間…、失いたくない、忘れたくない刹那の瞬間を表現してみたかった曲です。この曲は、日本のプロデューサーさんと一緒に制作し、そのデモを韓国に持ち帰って、僕たちがアレンジを加えて仕上げた曲です。初めての日本での活動の曲として、僕たちのカラーが最もよく表現されている曲だと思います。
――日本のプロデューサーさんと一緒に作業したことで、バンドとして新しい扉が開いたと感じたことはありましたか。
【セヒョク】いつもレコーディングをするときは、自分の機材を使うのですが、今回は僕たちをサポートしてくださった方たちの機材を使わせてもらったんです。すごくたくさんのアンプを使ってレコーディングをしたのですが、新しい領域に入った感じがしました。想像を超えた機材が本当にたくさんあって、幸せでした。
――「Break the Chain」はどうでしょう。
【ソンヒョン】この曲は、練習生時代に書いた曲を発展させた曲です。テーマとしては、解放。「何かから解き放たれ、自由になろう」という気持ちを表現しています。皆さんの心の中に自分を閉じ込めている何か、息苦しくさせる何かがあれば、この曲を聴いて少しでも楽になってほしい。この曲を世に出せて、本当に嬉しいです。
【セヒョク】昔の曲を今の僕たちの曲にディベロップしていく過程の中で、どこをどう変えるかをみんなで一番話し合った曲かもしれません。
――「Look Back」は?
【セヒョク】タイトルのように、相手の背中を見ながら歌っているような曲。相手が振り向いてくれなくても、愛を返してくれなくても、僕はずっと愛し続けるという誓いを込めた曲です。
■ONE OK ROCKへの憧れが導いた夢 TAKAとの出会いと日本で描く未来
――日本デビューを果たし、これから本格的な日本での活動が始まります。日本での活動はDragon Ponyにとってどのような意味があるのでしょう。
【ガンフン】世界に出ていく大きな第一歩…、かな。
【ソンヒョン】僕は小学生のころにバンドを始めて、そのころONE OK ROCKさんの「完全感覚Dreamer」のライブ映像に衝撃を受けたんです。日本のオーディエンスがONE OK ROCKに夢中になって、熱狂して、歓声を上げている姿が本当にカッコよかったし、衝撃でした。僕も「こういう音楽を作りたい!」とずっと思ってきて、今、その夢に少しずつ近づいているのかな…。僕が衝撃を受けた音楽を生み出した国で、Dragon Ponyというバンドで音楽ができることに本当に感謝しています。日本で活動することで、自分の頭の中にある、あの美しいシーンに少しずつ近づいていっているような気がして、ワクワクしています。
――そういえば皆さん、ONE OK ROCKの韓国公演を見に行っていましたよね。
【ガンフン】はい、ONE OK ROCKさん、天才でした(笑)。
【セヒョク】(テギュに)泣いてたよね?
【テギュ】はい、泣いちゃいました(笑)。「Tropical Therapy」を歌う前に、TAKAさんが言った言葉…、世界に向かって伝えたいメッセージ、考えがすごくエモかったし、そんな想いを込めた歌詞がすごく耳に入ってきて、聴きながら泣いちゃったんですよ。本気で歌う気持ちが伝わったというか…。とにかく、すごかったです。
――SNSに一緒に撮った写真が上がっていましたが、実際に会ったTAKAさんはどういう人でしたか。
【ガンフン】カッコよかった〜。
【テギュ】そのときも泣いちゃった(笑)。
【ソンヒョン】夢みたいな気分ですよね。今でも夢を見ているような感覚だと思います。
【テギュ】TAKAさんは、すごく優しい方だったし、思ったより落ち着いた話し方だったなぁ。
【セヒョク】そうだ、あれ言ったじゃん!
【テギュ】あっ、そうだ! 僕、「TAKAさんを超えるから、待っていてください」と言ったんです。そうしたらTAKAさんは「オッケー」と言って、インスタをフォローしてくださったんです。
――もう、マブダチですね!
【テギュ】そうかな(笑)。嬉しいです。
【ソンヒョン】本当に言ったの? その言葉、守ってね。
【テギュ】うん。守るために頑張るよ。頑張らないと!
――YouTubeの企画では、Mrs. GREEN APPLEのギタリスト・若井滉斗さんと共演されたこともありますよね。
【テギュ】はい。若井さんには、「バンド活動のために1番大事なことは何ですか?」と質問したのですが、「仲間たちと一緒に集まることが大事だ」とアドバイスしてくださいました。
【セヒョク】そのとき、僕たちはMrs. GREEN APPLEさんの「青と夏」を演奏したのですが、「ギターカポを使うといいよ」とギタリストとしてのアドバイスをしてくださいました。
――Mrs. GREEN APPLEはバンドだけれど、ダンスもできるんですよ。皆さんはどうですか?
【ガンフン】できます!
【ソンヒョン】「やれ」と言われたらやりますけど、皆さんのためにもやらない方がいいと思います(笑)。
――これから皆さん日本での活動が始まりますが、5年後、10年後はどうなっていると思いますか。
【セヒョク】またオリコンの取材を受けて「デビューのころはこうだったね」という思い出話をしたり、「この前出演した、日本のフェスでこんなことがあって」という話ができたらいいな。僕たち、日本のフェスに出ることが夢なんです。
――最近は韓国でもロックフェスが増えましたね。
【テギュ】はい。韓国は今、“バンドブーム”なんです。バンドが注目されていて、シーンが熱くなっているのは、嬉しいことですよね。
――皆さんが所属するワーナーミュージックには、FTISLAND、CNBLUEという日本での活動を長くしている先輩バンドがいますが、彼らがデビューしたころは韓国のロックフェスは少なかったし、音楽番組に出るバンドはアイドルとみなされてフェスに呼ばれることはなくて、フェスに出演できるまでにすごく時間がかかったので、新人時代からフェスに出られる皆さんは幸せですね。
【テギュ】はい。先輩たちが道を作ってくださったおかげです。FTISLAND先輩も、CNBLUE先輩も、今は韓国のフェスで夜のメインの時間に出演されるすごいバンドです。日本でも大きな会場でツアーをされていますよね。すごく尊敬しています。僕たちも日本で、「韓国のバンド、いいじゃん!」といわれるようになりたいですし、5年後、10年後には、もっと多くの人たちに僕たちの音楽を伝えられるようになっていたいです。
【ガンフン】僕は、演奏し続けていたいな。10年経っても変わらずに、僕たちがいいなと思える音を探し求めながら、その音に酔い知れながら、そしてオーディエンスとその気持ちを分かち合いながら生きているんじゃないかと思います。そして、その規模も今より大きくなっているんじゃないかな。
【ソンヒョン】5年、10年後か…、そこまで先のことは分からないというのが正直なところです。この瞬間に愛したり、自分たちの温かさを分かち合ったりすることも大変なことなので、僕は何よりも今日を大切にしています。なので、一日一日を精一杯生きた先に、5年、10年後があると考えています。
取材・文:坂本ゆかり
撮影:田中達晃(パッシュ)
<作品情報>
Dragon Pony Japan 1st EP『Run to Run』
リリース日:2026.6.10
【初回限定盤】
品番:WPCL-13763/価格:5500円(税込)
封入特典
・Japan Debut Message Card(通常・初回限定盤 共通1種)
・応募シリアルコード1枚
・フォトカード(全4種1セット)
・B3サイズポスター
・ロゴステッカーセット
【通常盤】
品番:WPCL-13762/価格:2500円(税込)
封入特典(初回プレス分のみ)
・Japan Debut Message Card(通常・初回限定盤 共通1種)
・応募シリアルコード1枚
・アーティスト ロゴステッカー
収録曲(共通)
1. Run to Win
2. Stand Together
3. One Light, One Time
4. Break the Chain
5. Look Back
2026/08/12





