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ヤマハ、AI歌唱楽曲の新たな価値に挑戦 歌声合成×音楽クリエイターの実証実験に専用ボイス新開発

 ヤマハは7日、プロ音楽クリエイターを中心に構成されるAI生成ツール研究会「ARS」が行う音楽制作実証実験に協力したことを報告。同社「VOCALOID B-STUDIO」(B=ベータ)が開発する、AIを活用した歌声合成の試作プラグイン『VX-B(ブイエックス ベータ)』を提供したと伝えた。

AI生成ツール研究会「ARS」

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 「VOCALOID B-STUDIO」は、合成音声の常識を打ち破ることを目的とする研究スタジオとして誕生。昨年8月には音楽制作ソフト(Digital Audio Workstation:DAW)上で歌声合成を可能にする、AIを活用した試作プラグイン『VX-B』を一般公開(抽選制)し、従来の音楽制作の枠にとらわれない音楽作品の創出のあり方を模索している。今回提供した『VX-B』には、本実証実験のために特別に開発された専用のボイスバンクが搭載された。

 今回の実証実験には、CharaやCrystal Kay、玉置成美、CHEMISTRY、織田裕二、キマグレンなどのプロデュースを手がけたU-SKEこと浅田祐介氏、02年と04年に『日本レコード大賞金賞』を編曲家として受賞した田辺恵二氏、Da-iCE「CITRUS」の楽曲提供などで知られる中山翔吾氏ら約40人が参加した。

 『VX-B』を用いて楽曲を制作し、AI歌唱がもたらす楽曲や制作プロセスの新たな価値を検証。同時に、制作された楽曲のパラデータやMIDIデータ、セッションデータも公開することで、これらデータを用いた二次創作の可能性を探求するとともに、新たなビジネスの展望についても考察する。

 ヤマハはこの実証実験に賛同し、ストレートな声質が魅力のシンガーソングライター・Elleyの歌声をベースにした、プロ音楽クリエイター向けのVX-B専用ボイスバンク「L(エル)」を新たに開発・提供した(一般配布予定はなし)。

 「L」は特にポップスのジャンルに強みを持ち、メインボーカルからコーラスまで幅広くこなせる“プロの音楽制作現場で使える”ことを目指して開発されたもので、「音楽制作を生業とするプロの音楽家に『VX-B』を提供することで、特定のジャンルに限らない幅広い音楽ジャンルで従来の歌声合成の常識を覆すような楽曲が生み出されることを期待している」とした。

 「ARS」は、4月6日から7日にかけて、実証実験に参加したクリエイターを対象に『VX-B』を用いた音楽制作ハッカソンイベント『ARS presents VX-B 作家ソン(作家×ハッカソン) supported by Yamaha VOCALOID B-STUDIO』を開催する。当日までに制作された楽曲の紹介はもちろん、プロ音楽クリエイター同士が短時間で音楽を共同制作する試みも行い、AI歌声合成技術とプロ音楽クリエイターの自由な発想がかけ合わさった“未来のヒット曲”の創出に挑戦する。

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