4人組ロックバンド・Ken Yokoyamaが29日、今年5月からスタートさせたシングルシリーズの第3弾であり、最終章となるシングル「These Magic Words」をリリースした。
同バンドは、5月8日にレーベル直販の完全受注生産シングル「Better Left Unsaid」を発表し、そこから21年5月以来となるアルバムの制作を明言しつつ、3作の“シングルシリーズ”を展開していった。同時に、各作品に紐づいたライブとして初の日比谷野外大音楽堂公演や初のホールツアーも実施。結成20年の節目を目前に、バンドにとって様々な“初の試み”を形にした。
そんな試みの最終である本作「These Magic Words」には、Ken Yokoyama節が響く表題曲をはじめ、過去2作と同様にバラエティーに富んだ3曲が収録されている。そこで今回は、横山健(Vo&Gt)と南英紀(Gt)に本作のギターサウンドと今年の歩み、そして期待が集まるアルバムについて語ってもらうことにした。
■まだ見ぬ出会いを求めて決断したシングル連続リリース
――今回のシングルシリーズは、2年ほど前から構想があったそうですね。
【横山】実はすごくネガティブな発想から始まりました。アルバムに向けて曲を作っていたときに、ふと「これは“アルバム用の曲”だな。でも、これって聞かれるのかな」と思って、アルバムの存在意義を見失いかけたんですよ。僕は自分らのことを“アルバムアーティスト”だと思っているんです。ただ、リードトラック以外の曲は聞いてもらえるんだろうかって、すごく素朴な疑問を持ったんですね。で、「アルバムアーティストだからアルバムを作るんだ」って思考停止みたいに考えている自分がイヤになったんです。
――結果、アルバムの前にシングルを切ろうと?
【横山】今はみんな、それぞれ好きな曲をサブスクで見つけてプレイリストを作るじゃないですか。結局のところ見方が違うだけのことなんですが、1人で考えていると「何でこんな世の中になったんだろう」って思うし、抗えるものでもない。例えばシングルを出せば、その分だけ世の中に出る回数が増えますよね。こうやって取材をしてくれる人が出てきたり、ニュースが流れたり。そういう方がよっぽど有益だと思ったんです。
――Ken Yokoyamaというバンドに出会う可能性が高まりますね。
【横山】僕らのことをずっと好きでいてくれる人たちは聞いてくれると思うけど、未だに「今まで僕たちのことを知らなかった人に聞いてもらいたい」っていう欲がすごくあるんですよ。で、そういう人たちの目に触れるようにするにはどうすればいいか考えた結果が、今回のシングルシリーズでした。
【南】僕自身、そういったサービスを利用する人間じゃないので、未知の世界というか…正解がまだわからない。ただ、今までやったことがないことをやるしかないっていうバンドとしての姿勢は、全員共通していたと思うんです。
――今回シングル化された曲たちは、アルバムを視野に入れて作られた楽曲から選んだのですか?
【横山】そうです。シングル3作で計8曲入れているんですけど、それよりちょっと多いくらいの曲数はもう作っていたんですよ。ちょうどその頃に「シングルシリーズをやってみよう」ということになったので、リードトラックになりうる、自分たちの“色”がよく出ている曲を柱として選んで、ほかの曲をパズル的に並べていきました。
■アルバムの候補曲から選び抜かれた傑作たち 様々な思惑を度外視させた3作目の手応え
――今回の3作で、それぞれの作品のカラーやキャラクターは意識して変えていたのでしょうか?
【横山】最終的にキャラの立った3曲を選べたと思うんですけど、さほど意識はしていなかったですね。第1弾の「Better Left Unsaid」は、新曲の中で最初にできた曲だったんですよ。当時はちょうどミッドテンポの曲がやりたくて、第2弾の「My One Wish」は「ミッドテンポの次はこれだよね」ということで、疾走感のある曲を選んだんです。でも第3弾の「These Magic Words」に関しては、ほかの曲とのバランス云々よりも「なんかすげえいい曲ができちゃった!」って(笑)。
――それほどの手応えだったんですね。
【横山】「Better Left Unsaid」と「My One Wish」は、アルバムとの関係性が見えないシングルだったんですが、「These Magic Words」はもう“アルバムの先行シングル”として成立させたかったんです。
――収録された3曲について、ギター面での聞きどころを挙げると?
【南】3曲目「Sorry Darling」で、珍しく僕がギターソロを弾いていることくらいですかね…?
――16小節分たっぷり弾いているソロですね。
【南】もう…本当に困りましたよ(笑)。僕は健さんほど引き出しの多いギタリストじゃないので、「この曲を任されたか…」って(笑)。 尺も長かったし、普段自分が弾くような音色でもなくて。録っている最中は楽しかったですし、普段やらないことを形にできたのはすごくいい経験になったと思いますけど…大変でした(笑)。
――この曲で使用したギターは?
【南】テレキャスターですね。KEMURI時代はよく使っていたんですけど、Ken Bandではほぼ使っていなかったので新鮮でした。
――音色に関して、健さんからリクエストはあったんですか?
【南】何となく…ですよね?
【横山】うん。この曲自体、わりと正解がわからない中でやっていた気がします(笑)。何か違うことがやりたいけど、Ken Bandらしさも残したい…みたいなところで。曲に対する解釈もメンバーそれぞれで違ったんですよ。僕は「フォーキーなイメージで作ったけど、やっぱりある程度歪んだギターも欲しい」という感じだったんですが、ベーシストのJun(Gray)ちゃんは「ちょっとブリティッシュロックっぽい曲」と捉えたみたい。で、南ちゃんは…。
【南】アメリカンロックとかブルースとか…そういった曲かなと。
【横山】EKKUN(松本"EKKUN"英二)は、今までこういった曲のドラムを叩いたことがなかったので、イメージを持つ以前に「どうすりゃいいんだ」って(笑)。
――録り始めてからはスムーズに?
【横山】いえ、エンジニアの方からも「こっちの方がいいんじゃないですか?」みたいな意見が出てきて(笑)。かなり迷走した曲でしたね。
■アルバムのイメージを一転させた“挫折” 前作との違いを魅せるための挑戦とは
――そんな「Sorry Darling」と対極的な曲調になっているのが、2曲目「Bitter Truth」です。
【横山】「Bitter Truth」は比較的早い時期にできた曲で、「速くてハードなマイナーキーの曲がやりたい」っていうところから作っていたんです。当時は「次のアルバムはこういう色にしたいな」とも思っていたんですよ。
――その考え自体はどういったところから?
【横山】前作『4Wheels 9Lives』(21年5月リリース)が、結構BPMの速いメジャーキーの曲が多いアルバムだったんです。で、明るくて速いものはできたから、次はミドルテンポの曲とマイナーの速い曲に特化したものを作りたいなって。…まぁ、途中で頓挫するんですが(笑)。
――頓挫?
【横山】思った以上に曲が書けなかったんですよ(笑)。何曲か持って行って試しても何かイマイチだなって。僕はつくづくマイナーな曲を作るのが下手だなと思います。
――「Bitter Truth」のギターに関しては、左右のチャンネルでお二人のキャラクターが明確になっているところも聞きどころでした。
【南】僕はE-IIのSTスタイルを使っていて、健さんはSkate(Navigator N-LP-320CTM)とかだったと思う。
――STスタイルは今回持ち込んでいただいたギターですね。いつ頃から使われているんですか?
【南】東京スカパラダイスオーケストラと健さんがコラボした「さよならホテル」をライブでやるときに、シングルコイル(ピックアップ)のギターが欲しくて導入しました。…まぁ、結局ハムバッカーも載せちゃったんですけど(笑)。ライブだと使う機会があまりないんですが、レコーディングのバリエーションの一つとして用意しています。
――「Bitter Truth」のギターソロは、音数や奏法なども含めてテクニカルなアプローチになっています。
【横山】前半のクセの強いフレーズが僕で、後半のオクターブが南ちゃん。僕は何を弾くか決めずにレコーディングブースに入ったんですよ。「こんな感じのものを弾きたいな」くらいは考えていたんですけど、BPMが速すぎてハマらなくて(笑)。
――フレーズを決め込まずにブースへ向かうことが多いんですか?
【横山】南ちゃんは決め込むタイプだけど、僕は基本的に決め込まないですね。ニュアンスや弾き方に関して、レコーディング中にあれこれやっちゃうので。「Bitter Truth」に関しては、言うほど速い2ビートじゃないんですが、ギターを入れようとするとすごく速くて…。ブース内でずっと「ああでもない、こうでもない」ってやっていたような気がします。
■シリーズの最終章にして次作への序章 表題曲が示す現在の“モード”
――表題曲「These Magic Words」は、純粋にいい曲だと思えたからこそシングル化したとのことでしたが、曲の展開などもデモ段階からこの形だったんですか?
【横山】そうですね。Aメロとサビしかないんですが、歌とギターから始まって、サビでドーンっていうイメージでした。
――ギターは基本的にコードストロークを軸にしながら、フックになるフレーズやテクニックが随所に散りばめられていますね。
【横山】僕、こういうコード数が多い曲になると意外と細かいんですよ。だから「俺はこう行くから、南ちゃんはこう行って」っていうリクエストは結構あったと思います。
【南】ディミニッシュとかオシャレなコードが出てくるから、音色面でもそれがちゃんと出せるように意識しました。クランチ気味な音だとコード感が潰れやすいので、そこの加減を調整しながら。
――今回のシングルシリーズを聞いていて、ギターサウンドがよりクリアになった印象も受けたんですが、音作りのやり方を変えた部分はありましたか?
【南】自分たちではそんなに意識していないんですけど、“バカ歪み”みたいのは徐々に避けるようになってきたのかな(笑)。ただ、それは結果論で、そもそもは興味半分というか実験というか。STスタイルを使ったのもそうなんですよ。「今まではずっとハムバッカーのLPスタイルを使っていたけど、シングルコイルを使ったらどんな風に録れるんだろう?」みたいな。「These Magic Words」は全部テレキャスターで弾いているんですけど、これも目的があったわけじゃなくて、「今までKen Bandではやったことがないな」という純粋な興味だったんです。
――12月からは本作を引っ提げたツアー『These Magic Words Tour』がスタートします。バンド初のホールツアー『My One Wish Tour』を終え、今度はライブハウスツアーですね。
【横山】ホールツアーがすごく面白かったんですよ。「コロナ禍や条件付きのライブでも得るものはあったはずだ」ってことを自分たちで確認したくてホールツアーを組んだんですけど、そうしたらライブハウスでもない、条件付きのライブでもない独特の空気があったんですよ。
【南】バンドとして試される部分もあったし、やりがいは感じましたね。
――次回のツアーにはどんな意気込みで臨まれるんでしょうか?
【横山】しばらく行けていなかったエリアだから待ってくれていた人も多いだろうし、「待っている間に俺たちはこんなにいい曲をたくさん作ったんだぜ」っていうのをいっぱい披露したいですね。大きい街を避けてツアーを組むのも、シングルを3枚出したからできることなんですよ。思い切ったツアーは、きっとアルバムのときにバーンとできるから。シングルの1枚目では日比谷野外音楽堂、2枚目はホールツアー、3枚目は小さなライブハウス。そういうバリエーションがめちゃくちゃ刺激的。「この歳になってもこんなに楽しみ方があるのか」っていうぐらい刺激を受けていますね。
――今回のシングルと次のツアーを通じて、ファンのアルバムへの期待はさらに高まると思います。そんな期待感をあおる“Magic Words”をください。
【横山】大喜利じゃないですよね?(笑)そうだなぁ…「貴重品は横山に預けた方がいい」ですかね。気持ちにせよ、金品にせよ、みんな横山に預けておいた方がいい。
【南】今年はみんなに何かしら情報を与え続けられて、 飽きさせない年になったと思うんですが、来年もそういう1年になる気がしています。ちょいちょい話題を提供できると思うので、期待していてください。
【横山】オトナだわ。
――南さんは「飽きさせない1年にしてくれる」と。そして、健さんは「気持ちと金品を預けろ」でいいんですね…?(笑)
【横山】…もうちょっとマジメに言うわ(笑)。待ってくれている方を絶対に裏切らない楽曲ができたと思うので、 本当に楽しみにしていてほしい。あと、何より今まで聞いたことないよっていう人に聞いてもらいたいですね。そういった人たちに届かせたいがための3部作なので。
★YouTube公式チャンネル「ORICON NEWS」
同バンドは、5月8日にレーベル直販の完全受注生産シングル「Better Left Unsaid」を発表し、そこから21年5月以来となるアルバムの制作を明言しつつ、3作の“シングルシリーズ”を展開していった。同時に、各作品に紐づいたライブとして初の日比谷野外大音楽堂公演や初のホールツアーも実施。結成20年の節目を目前に、バンドにとって様々な“初の試み”を形にした。
そんな試みの最終である本作「These Magic Words」には、Ken Yokoyama節が響く表題曲をはじめ、過去2作と同様にバラエティーに富んだ3曲が収録されている。そこで今回は、横山健(Vo&Gt)と南英紀(Gt)に本作のギターサウンドと今年の歩み、そして期待が集まるアルバムについて語ってもらうことにした。
――今回のシングルシリーズは、2年ほど前から構想があったそうですね。
【横山】実はすごくネガティブな発想から始まりました。アルバムに向けて曲を作っていたときに、ふと「これは“アルバム用の曲”だな。でも、これって聞かれるのかな」と思って、アルバムの存在意義を見失いかけたんですよ。僕は自分らのことを“アルバムアーティスト”だと思っているんです。ただ、リードトラック以外の曲は聞いてもらえるんだろうかって、すごく素朴な疑問を持ったんですね。で、「アルバムアーティストだからアルバムを作るんだ」って思考停止みたいに考えている自分がイヤになったんです。
――結果、アルバムの前にシングルを切ろうと?
【横山】今はみんな、それぞれ好きな曲をサブスクで見つけてプレイリストを作るじゃないですか。結局のところ見方が違うだけのことなんですが、1人で考えていると「何でこんな世の中になったんだろう」って思うし、抗えるものでもない。例えばシングルを出せば、その分だけ世の中に出る回数が増えますよね。こうやって取材をしてくれる人が出てきたり、ニュースが流れたり。そういう方がよっぽど有益だと思ったんです。
――Ken Yokoyamaというバンドに出会う可能性が高まりますね。
【横山】僕らのことをずっと好きでいてくれる人たちは聞いてくれると思うけど、未だに「今まで僕たちのことを知らなかった人に聞いてもらいたい」っていう欲がすごくあるんですよ。で、そういう人たちの目に触れるようにするにはどうすればいいか考えた結果が、今回のシングルシリーズでした。
【南】僕自身、そういったサービスを利用する人間じゃないので、未知の世界というか…正解がまだわからない。ただ、今までやったことがないことをやるしかないっていうバンドとしての姿勢は、全員共通していたと思うんです。
――今回シングル化された曲たちは、アルバムを視野に入れて作られた楽曲から選んだのですか?
【横山】そうです。シングル3作で計8曲入れているんですけど、それよりちょっと多いくらいの曲数はもう作っていたんですよ。ちょうどその頃に「シングルシリーズをやってみよう」ということになったので、リードトラックになりうる、自分たちの“色”がよく出ている曲を柱として選んで、ほかの曲をパズル的に並べていきました。
■アルバムの候補曲から選び抜かれた傑作たち 様々な思惑を度外視させた3作目の手応え
――今回の3作で、それぞれの作品のカラーやキャラクターは意識して変えていたのでしょうか?
【横山】最終的にキャラの立った3曲を選べたと思うんですけど、さほど意識はしていなかったですね。第1弾の「Better Left Unsaid」は、新曲の中で最初にできた曲だったんですよ。当時はちょうどミッドテンポの曲がやりたくて、第2弾の「My One Wish」は「ミッドテンポの次はこれだよね」ということで、疾走感のある曲を選んだんです。でも第3弾の「These Magic Words」に関しては、ほかの曲とのバランス云々よりも「なんかすげえいい曲ができちゃった!」って(笑)。
――それほどの手応えだったんですね。
【横山】「Better Left Unsaid」と「My One Wish」は、アルバムとの関係性が見えないシングルだったんですが、「These Magic Words」はもう“アルバムの先行シングル”として成立させたかったんです。
――収録された3曲について、ギター面での聞きどころを挙げると?
【南】3曲目「Sorry Darling」で、珍しく僕がギターソロを弾いていることくらいですかね…?
――16小節分たっぷり弾いているソロですね。
【南】もう…本当に困りましたよ(笑)。僕は健さんほど引き出しの多いギタリストじゃないので、「この曲を任されたか…」って(笑)。 尺も長かったし、普段自分が弾くような音色でもなくて。録っている最中は楽しかったですし、普段やらないことを形にできたのはすごくいい経験になったと思いますけど…大変でした(笑)。
――この曲で使用したギターは?
【南】テレキャスターですね。KEMURI時代はよく使っていたんですけど、Ken Bandではほぼ使っていなかったので新鮮でした。
――音色に関して、健さんからリクエストはあったんですか?
【南】何となく…ですよね?
【横山】うん。この曲自体、わりと正解がわからない中でやっていた気がします(笑)。何か違うことがやりたいけど、Ken Bandらしさも残したい…みたいなところで。曲に対する解釈もメンバーそれぞれで違ったんですよ。僕は「フォーキーなイメージで作ったけど、やっぱりある程度歪んだギターも欲しい」という感じだったんですが、ベーシストのJun(Gray)ちゃんは「ちょっとブリティッシュロックっぽい曲」と捉えたみたい。で、南ちゃんは…。
【南】アメリカンロックとかブルースとか…そういった曲かなと。
【横山】EKKUN(松本"EKKUN"英二)は、今までこういった曲のドラムを叩いたことがなかったので、イメージを持つ以前に「どうすりゃいいんだ」って(笑)。
――録り始めてからはスムーズに?
【横山】いえ、エンジニアの方からも「こっちの方がいいんじゃないですか?」みたいな意見が出てきて(笑)。かなり迷走した曲でしたね。
■アルバムのイメージを一転させた“挫折” 前作との違いを魅せるための挑戦とは
――そんな「Sorry Darling」と対極的な曲調になっているのが、2曲目「Bitter Truth」です。
【横山】「Bitter Truth」は比較的早い時期にできた曲で、「速くてハードなマイナーキーの曲がやりたい」っていうところから作っていたんです。当時は「次のアルバムはこういう色にしたいな」とも思っていたんですよ。
――その考え自体はどういったところから?
【横山】前作『4Wheels 9Lives』(21年5月リリース)が、結構BPMの速いメジャーキーの曲が多いアルバムだったんです。で、明るくて速いものはできたから、次はミドルテンポの曲とマイナーの速い曲に特化したものを作りたいなって。…まぁ、途中で頓挫するんですが(笑)。
――頓挫?
【横山】思った以上に曲が書けなかったんですよ(笑)。何曲か持って行って試しても何かイマイチだなって。僕はつくづくマイナーな曲を作るのが下手だなと思います。
――「Bitter Truth」のギターに関しては、左右のチャンネルでお二人のキャラクターが明確になっているところも聞きどころでした。
【南】僕はE-IIのSTスタイルを使っていて、健さんはSkate(Navigator N-LP-320CTM)とかだったと思う。
――STスタイルは今回持ち込んでいただいたギターですね。いつ頃から使われているんですか?
【南】東京スカパラダイスオーケストラと健さんがコラボした「さよならホテル」をライブでやるときに、シングルコイル(ピックアップ)のギターが欲しくて導入しました。…まぁ、結局ハムバッカーも載せちゃったんですけど(笑)。ライブだと使う機会があまりないんですが、レコーディングのバリエーションの一つとして用意しています。
――「Bitter Truth」のギターソロは、音数や奏法なども含めてテクニカルなアプローチになっています。
【横山】前半のクセの強いフレーズが僕で、後半のオクターブが南ちゃん。僕は何を弾くか決めずにレコーディングブースに入ったんですよ。「こんな感じのものを弾きたいな」くらいは考えていたんですけど、BPMが速すぎてハマらなくて(笑)。
――フレーズを決め込まずにブースへ向かうことが多いんですか?
【横山】南ちゃんは決め込むタイプだけど、僕は基本的に決め込まないですね。ニュアンスや弾き方に関して、レコーディング中にあれこれやっちゃうので。「Bitter Truth」に関しては、言うほど速い2ビートじゃないんですが、ギターを入れようとするとすごく速くて…。ブース内でずっと「ああでもない、こうでもない」ってやっていたような気がします。
■シリーズの最終章にして次作への序章 表題曲が示す現在の“モード”
――表題曲「These Magic Words」は、純粋にいい曲だと思えたからこそシングル化したとのことでしたが、曲の展開などもデモ段階からこの形だったんですか?
【横山】そうですね。Aメロとサビしかないんですが、歌とギターから始まって、サビでドーンっていうイメージでした。
――ギターは基本的にコードストロークを軸にしながら、フックになるフレーズやテクニックが随所に散りばめられていますね。
【横山】僕、こういうコード数が多い曲になると意外と細かいんですよ。だから「俺はこう行くから、南ちゃんはこう行って」っていうリクエストは結構あったと思います。
【南】ディミニッシュとかオシャレなコードが出てくるから、音色面でもそれがちゃんと出せるように意識しました。クランチ気味な音だとコード感が潰れやすいので、そこの加減を調整しながら。
――今回のシングルシリーズを聞いていて、ギターサウンドがよりクリアになった印象も受けたんですが、音作りのやり方を変えた部分はありましたか?
【南】自分たちではそんなに意識していないんですけど、“バカ歪み”みたいのは徐々に避けるようになってきたのかな(笑)。ただ、それは結果論で、そもそもは興味半分というか実験というか。STスタイルを使ったのもそうなんですよ。「今まではずっとハムバッカーのLPスタイルを使っていたけど、シングルコイルを使ったらどんな風に録れるんだろう?」みたいな。「These Magic Words」は全部テレキャスターで弾いているんですけど、これも目的があったわけじゃなくて、「今までKen Bandではやったことがないな」という純粋な興味だったんです。
――12月からは本作を引っ提げたツアー『These Magic Words Tour』がスタートします。バンド初のホールツアー『My One Wish Tour』を終え、今度はライブハウスツアーですね。
【横山】ホールツアーがすごく面白かったんですよ。「コロナ禍や条件付きのライブでも得るものはあったはずだ」ってことを自分たちで確認したくてホールツアーを組んだんですけど、そうしたらライブハウスでもない、条件付きのライブでもない独特の空気があったんですよ。
【南】バンドとして試される部分もあったし、やりがいは感じましたね。
――次回のツアーにはどんな意気込みで臨まれるんでしょうか?
【横山】しばらく行けていなかったエリアだから待ってくれていた人も多いだろうし、「待っている間に俺たちはこんなにいい曲をたくさん作ったんだぜ」っていうのをいっぱい披露したいですね。大きい街を避けてツアーを組むのも、シングルを3枚出したからできることなんですよ。思い切ったツアーは、きっとアルバムのときにバーンとできるから。シングルの1枚目では日比谷野外音楽堂、2枚目はホールツアー、3枚目は小さなライブハウス。そういうバリエーションがめちゃくちゃ刺激的。「この歳になってもこんなに楽しみ方があるのか」っていうぐらい刺激を受けていますね。
――今回のシングルと次のツアーを通じて、ファンのアルバムへの期待はさらに高まると思います。そんな期待感をあおる“Magic Words”をください。
【横山】大喜利じゃないですよね?(笑)そうだなぁ…「貴重品は横山に預けた方がいい」ですかね。気持ちにせよ、金品にせよ、みんな横山に預けておいた方がいい。
【南】今年はみんなに何かしら情報を与え続けられて、 飽きさせない年になったと思うんですが、来年もそういう1年になる気がしています。ちょいちょい話題を提供できると思うので、期待していてください。
【横山】オトナだわ。
――南さんは「飽きさせない1年にしてくれる」と。そして、健さんは「気持ちと金品を預けろ」でいいんですね…?(笑)
【横山】…もうちょっとマジメに言うわ(笑)。待ってくれている方を絶対に裏切らない楽曲ができたと思うので、 本当に楽しみにしていてほしい。あと、何より今まで聞いたことないよっていう人に聞いてもらいたいですね。そういった人たちに届かせたいがための3部作なので。
★YouTube公式チャンネル「ORICON NEWS」
2023/11/29




