歌手の近藤真彦が3日、ライブツアー『Masahiko Kondo Live Tour「M5K8 Final-Episode」』の東京公演を中野サンプラザホールで開催した。近藤にとっては、今年7月に閉館する同所での最後の単独公演となった。

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　同ツアーは、昨年9月から11月にかけて行われた全国ツアー『Masahiko Kondo 2022 Live Tour「M5K8」Fifty-Eight』の第2弾として開催。前回のツアーに続き、“オールタイムベスト”とも呼べるセットリストでファンを魅了した。

　「Made in Japan」でライブの幕開けを告げた近藤は、マスク着用ながらも聴こえてくる久しぶりの歓声に感謝した。そして、「きょうはみなさんを10代に戻します」と宣言し、ソロデビュー曲「スニーカーぶる〜す」をはじめ、自身の代表曲を次々に披露。

　ストリングスやブラス、コーラスも携えたバンド陣の演奏を背に、近藤は圧倒的な歌唱力を見せつける。ステージ上を縦横無尽に駆けてファンとの距離も詰めながら、ときにパワフルなシャウトや繊細なウィスパーといった多彩さで、ボーカリストとしての振り幅も提示した。

　また、観客に着席を促した中盤セクションでは、徐々にラテン調の激しいビートへと展開するコントラストでも魅せた「アンダルシアに憧れて」や、オレンジ色のサイリウムが揺れる中でしっとりと歌い上げた「夕焼けの歌」、軽やかなグルーヴで客席を踊らせた「永遠に秘密さ」など、“表現者”としての魅力も打ち出した。


■圧倒的な歌唱力と表現力を見せつけつつ、トークではファンとの和やかな“対話”

　MCでは、「たのきんトリオ」時代やソロデビュー時のエピソードなども語るが、「あと半年で60歳にもなりますし、大人らしく…」と言いながらも自虐ネタや観客イジりなどを交え、トークでもファンを楽しませた。そして「調子に乗ってしゃべりすぎちゃった」と笑いながら、和やかな空気でライブを進めていった。

　一方で、「60歳をすぎても歌える曲を20代の頃から作っていただいてきた。この歳になって、歌詞の意味や奥深さがわかるようになってきた」としみじみ語り、照れ隠しのように笑いを浮かべつつ「歌詞にも曲にも恵まれ、ファンの皆様にも恵まれた」と心の内を伝える場面もあった。

　場内換気タイムを経てライブを再開させると、近藤は「思い出がありすぎて。87年からきょうまで、ステージとしては50回以上。忘れられないホールになりました」と、同所への思いを吐露。「インタビューでも言ったんですが、どういう形でも俺はまた中野サンプラザに戻ってくるぜ、と」と、リニューアル後の再訪を約束した。

　その後、「30代の頃、『僕はマッチじゃなくて近藤真彦です』『“ギンギラギン”も忘れました』と言っていた」とし、ヒット曲を歌うことに抵抗があったと告白。しかし今は、「どこのホールに行っても、ヒット曲を歌うと喜んでもらえる。だからなるべく原曲に忠実なアレンジでやるようにしていて」といい、「これは僕の武器です」と胸を張る。

　「みんな楽しくやるようになっていいなと思う」と、田原俊彦や野村義男、川崎麻世など盟友たちの名前も挙げながら、「僕も自分のペースで。10代の頃はダッシュだった。そろそろ歩く…までいかないけど、ジョギングくらいのペースでコンサートをさせていただいているので、これからもお付き合いいただければ」と思いを伝えた。

　本編の後半では「ヨイショッ！」や「―MOTTO―」「ハイティーン・ブギ」などでたたみかけた。さらに、アンコールでは「ギンギラギンにさりげなく」で会場の熱気をさらに高めた上で、自らの思いをしっかりと重ね合わせるように「また明日」をパフォーマンス。最後に「どうもありがとう」と心からの感謝を告げ、ライブの幕を下ろした。

■『Masahiko Kondo Live Tour「M5K8 Final-Episode」』中野サンプラザ公演セットリスト
01. Made in Japan
02. スニーカーぶる〜す
03. ヨコハマ・チーク
04. ブルージーンズメモリー
05. ふられてBANZAI
06. ためいきロ・カ・ビ・リー
07. ケジメなさい
08. 大将
09. 純情物語
10. 一番野郎
11. アンダルシアに憧れて
12. 夕焼けの歌
13. 永遠に秘密さ
14. 目覚めろ！野生
15. Ho Ho Ho…
16. あぁ、グッと
17. ヨイショッ！
18. ―MOTTO―
19. MOMOKO
20. ハイティーン・ブギ
21. 愚か者
22. ミッドナイト・シャッフル
23. Baby Rose
En1. ギンギラギンにさりげなく
En2. また明日