今年9月にミニアルバム『日の名残り』をリリースしたばかりのSARD UNDERGROUNDが、10月10日の大阪・Zepp Namba(OSAKA)に続き、23日に東京・Zepp Haneda(TOKYO)で『SARD UNDERGROUND LIVE TOUR 2022 [in the twilight]』を開催した。ZARDのトリビュートバンドとして19年にデビュー、昨年からはオリジナル作品作りにも意欲的に取り組み、これまで表現してこなかったカラーも盛り込んだ『日の名残り』を携えてのステージは、バンドとして成長を遂げた3人の姿を披露する場となった。
■オリジナルだけでなくカバーにもSARD UNDERGROUNDらしさ加わる
アルバム『日の名残り』のリリースに際して、「こんな曲もやるんだって私たちも驚いてしまうくらい初めてづくしのアルバムでした。今までとは違ったカラーを見せることができたので、ファンの皆さんの前で披露するのが楽しみですし、どんな反応をしてくれるのかワクワクしています」と目を輝かせていたSARD UNDERGROND。
ライブはその1曲目に収録されているロックチューン「花火よ燃え尽きて海に舞い上がれ!」からスタート。照明が落ちた途端、イントロなしでトップギアの神野友亜(Vo)の歌声が響き渡る。その姿がステージに照らし出されると拍手が沸き起こり、満員の観客は一斉に立ち上がった。疾走感のあるメロディーに乗せて、初めて表現したという“怒りの感情”をパワフルに歌い上げ、続けざまに2曲目収録のビートの効いたナンバー「擦り傷だらけの純情」で、会場のボルテージも一気に上昇した。
2曲が終わり一息ついた3人は、ほんの少し緊張の面持ちで「皆さんにお会いできて本当に嬉しいです。今日は楽しんでいってください」(神野)と短く挨拶し、「世界はきっと未来の中」「IN MY ARMS TONIGHT」「もう少し あと少し…」「揺れる想い」と立て続けにZARDの楽曲を披露した。ZARDのトリビュートバンドとしてデビューして早3年。「坂井泉水さんの歌への思いと世界観を大切にしている」と常々語っているだけあり、楽曲の解釈にいっそう深みが増しているようだ。観客も同様に感じているのか、拍手の音がいっそう高まる。
「あっという間でした」と4曲歌い終えた神野は、デビューからの道のりを振り返り、一言一言かみしめるようにファンに語りかけた。「いつも応援してくださっている皆さんのおかげだと思っています。心から幸せです」。そして、大事にしているZARDの楽曲について、「活動を続けるにつれ、どんどん好きになっています」とその魅力にいっそうハマっていく思いを打ち明け、2ndシングル「これからの君に乾杯」、1stシングル「少しづつ 少しづつ」(ともに坂井泉水の未公開詞)を丁寧に歌い上げた。3rdシングル「ブラックコーヒー」(神野作詞)、ZARD「永遠」と続けて聴いているうちに、オリジナルはもちろんだが、カバー曲にもSARD UNDERGROUNDらしさが加わってきていることを実感する。
緊張がほどけてきたのか、3度目のMCあたりからメンバーはリラックスした笑顔を浮かべ、ほんわかとした空気が会場を包みこむ。「オールシーズン聴けるようなアルバムに仕上がった」と神野が今作を表現した後、話題はいきなり食べ物の話に。「秋といえば?」のお題に、坂本ひろ美(key)は「梨、柿、イチジクなどの果物」、杉岡泉美(Ba)は「お芋」、「オレンジが好きなので、紅葉を一人旅とかで見に行きたい」と神野が続けると、すかさず杉岡が「写真撮るのがめっちゃ上手いですよね」と、時折SNSにアップする神野の写真をしきりにほめあげる。照れた神野は「皆さん、そういうのが嫌じゃなければ(これからも)載せてもいいですか?」と尋ね、観客は拍手でそれに応える場面も。今年、念願だったリリースイベントツアーやファンクラブイベントを通じて、「ファンとの距離が縮まり、ライブのMCでも自分を出しやすくなった」と語っていた光景が目の前に広がった瞬間だった。
そんな和気あいあいとしたムードの中、神野は次に歌う「恋が待ち伏せしていた午後」を紹介。コロナ禍で、さまざまな行動制限が為される中、「起きていることすべてに意味があると信じて明日を前向きに見つめられるような、心のそばにいられるような楽曲になればいいなと思って作詞しました。皆さんの人生が愛に満ちた物語であるように願いを込めて歌います」と、本作に込めた想いを語った。アルバム収録曲の中でも、もっとも作詞に苦労した楽曲だったというが、出来上がってみれば、「アルバムの中で一番好き」(坂本)、「友亜ちゃんの声がいい」(杉岡)と、今やメンバーのお気に入りの曲となっている。同曲のサビでは、観客が神野に合わせて腕を大きく左右に手を振り、場内はライブならではの温かい一体感に包まれた。
■成長を実感させる安定感あるボーカル、堂々としたパフォーマンス
「君には敵わない」の心地よい3人の美しいハーモニー、神野がステージを左右に移動しながら観客と交流し、メンバーに近づいて肩を寄せたり、見つめ合ったりして絡んだ「イチゴジャム」、そして、アニメ『名探偵コナン』エンディングテーマに起用された「空っぽの心」は、バンドの今の到達点を表しているかのような気迫が感じられる出色のパフォーマンスだった。
ライブの終盤には思わぬサプライズプレゼントも発表された。「テンションが上がって会場は暑いですが、外はすっかり寒くなりましたよね」、神野はそう前置きして、『日の名残り』に収録されたクリスマスソング「クリスマス ケーキ」(神野作詞)と「クリスマス タイム」(坂井泉水作詞)の2曲にふれ、「大好きなので今日披露したいと思ったのですが、まだ早いかなと思って」と、12月25日に配信する予定であることを発表。杉岡が「クリスマスだけど(予定は)空いてますよね?」と呼びかけると、笑いと拍手が沸き起こった。「まだ元気が残ってますか?」、そこからはZARDの楽曲をたたみかけるように演奏し、最後の「負けないで」まで一気に駆け抜けた。
アンコールではお揃いのオリジナルTシャツに着替えステージに登場。坂本のキーボードのソロや杉岡のベースにスポットライトを当てた演出を盛り込んで、ZARDの「遠い日のNostalgia」「Don’t you see!」が披露された。笑顔に溢れた観客とともに、サポートメンバーの車谷啓介(Dr)、岩井勇一郎(Gr)を見送った後、3人は手を振りながらステージを後退し、最後は客席に向かって深く一礼して、約2時間のライブを締めくくった。
ライブ前に、「ファンの皆さんとの仲が深まったので、安心して自分たちのできる限りの実力を全部出せる」と語っていた3人。その言葉通り、神野は最初から最後まで安定感のあるボーカルで観客を魅了し、杉岡と坂本は、ベースとキーボードで堂々としたパフォーマンスを披露。手拍子をしながら、MCにうなずきながら、3人のパフォーマンスに聴き入る観客との魂の交流を得て、SARD UNDERGROUNDは着実に、確実に自分たちの色を確立し始めている、そんなスペシャルなステージであった。
文・河上いつ子
『SARD UNDERGROUND LIVE TOUR 2022 [in the twilight]』
2022年10月23日(日)
会場:Zepp Haneda(TOKYO)
【セットリスト】
01. 花火よ燃え尽きて海に舞い上がれ!
02. 擦り傷だらけの純情
03. 世界はきっと未来の中★
04. IN MY ARMS TONIGHT★
05. もう少し あと少し…★
06. 揺れる想い★
07. これからの君に乾杯
08. 少しづつ 少しづつ
09. ブラックコーヒー
10. 永遠★
11. 恋が待ち伏せしてた午後
12. 君には適わない
13. イチゴジャム
14. 空っぽの心
15. こんなにそばに居るのに★
16. I’m in love★
17. 愛が見えない★
18. マイ フレンド★
19. 負けないで★
■ENCORE
01. 遠い日のNostalgia★
02. Don't you see! ★
★ZARDカバー
■オリジナルだけでなくカバーにもSARD UNDERGROUNDらしさ加わる
アルバム『日の名残り』のリリースに際して、「こんな曲もやるんだって私たちも驚いてしまうくらい初めてづくしのアルバムでした。今までとは違ったカラーを見せることができたので、ファンの皆さんの前で披露するのが楽しみですし、どんな反応をしてくれるのかワクワクしています」と目を輝かせていたSARD UNDERGROND。
ライブはその1曲目に収録されているロックチューン「花火よ燃え尽きて海に舞い上がれ!」からスタート。照明が落ちた途端、イントロなしでトップギアの神野友亜(Vo)の歌声が響き渡る。その姿がステージに照らし出されると拍手が沸き起こり、満員の観客は一斉に立ち上がった。疾走感のあるメロディーに乗せて、初めて表現したという“怒りの感情”をパワフルに歌い上げ、続けざまに2曲目収録のビートの効いたナンバー「擦り傷だらけの純情」で、会場のボルテージも一気に上昇した。
2曲が終わり一息ついた3人は、ほんの少し緊張の面持ちで「皆さんにお会いできて本当に嬉しいです。今日は楽しんでいってください」(神野)と短く挨拶し、「世界はきっと未来の中」「IN MY ARMS TONIGHT」「もう少し あと少し…」「揺れる想い」と立て続けにZARDの楽曲を披露した。ZARDのトリビュートバンドとしてデビューして早3年。「坂井泉水さんの歌への思いと世界観を大切にしている」と常々語っているだけあり、楽曲の解釈にいっそう深みが増しているようだ。観客も同様に感じているのか、拍手の音がいっそう高まる。
緊張がほどけてきたのか、3度目のMCあたりからメンバーはリラックスした笑顔を浮かべ、ほんわかとした空気が会場を包みこむ。「オールシーズン聴けるようなアルバムに仕上がった」と神野が今作を表現した後、話題はいきなり食べ物の話に。「秋といえば?」のお題に、坂本ひろ美(key)は「梨、柿、イチジクなどの果物」、杉岡泉美(Ba)は「お芋」、「オレンジが好きなので、紅葉を一人旅とかで見に行きたい」と神野が続けると、すかさず杉岡が「写真撮るのがめっちゃ上手いですよね」と、時折SNSにアップする神野の写真をしきりにほめあげる。照れた神野は「皆さん、そういうのが嫌じゃなければ(これからも)載せてもいいですか?」と尋ね、観客は拍手でそれに応える場面も。今年、念願だったリリースイベントツアーやファンクラブイベントを通じて、「ファンとの距離が縮まり、ライブのMCでも自分を出しやすくなった」と語っていた光景が目の前に広がった瞬間だった。
そんな和気あいあいとしたムードの中、神野は次に歌う「恋が待ち伏せしていた午後」を紹介。コロナ禍で、さまざまな行動制限が為される中、「起きていることすべてに意味があると信じて明日を前向きに見つめられるような、心のそばにいられるような楽曲になればいいなと思って作詞しました。皆さんの人生が愛に満ちた物語であるように願いを込めて歌います」と、本作に込めた想いを語った。アルバム収録曲の中でも、もっとも作詞に苦労した楽曲だったというが、出来上がってみれば、「アルバムの中で一番好き」(坂本)、「友亜ちゃんの声がいい」(杉岡)と、今やメンバーのお気に入りの曲となっている。同曲のサビでは、観客が神野に合わせて腕を大きく左右に手を振り、場内はライブならではの温かい一体感に包まれた。
■成長を実感させる安定感あるボーカル、堂々としたパフォーマンス
「君には敵わない」の心地よい3人の美しいハーモニー、神野がステージを左右に移動しながら観客と交流し、メンバーに近づいて肩を寄せたり、見つめ合ったりして絡んだ「イチゴジャム」、そして、アニメ『名探偵コナン』エンディングテーマに起用された「空っぽの心」は、バンドの今の到達点を表しているかのような気迫が感じられる出色のパフォーマンスだった。
ライブの終盤には思わぬサプライズプレゼントも発表された。「テンションが上がって会場は暑いですが、外はすっかり寒くなりましたよね」、神野はそう前置きして、『日の名残り』に収録されたクリスマスソング「クリスマス ケーキ」(神野作詞)と「クリスマス タイム」(坂井泉水作詞)の2曲にふれ、「大好きなので今日披露したいと思ったのですが、まだ早いかなと思って」と、12月25日に配信する予定であることを発表。杉岡が「クリスマスだけど(予定は)空いてますよね?」と呼びかけると、笑いと拍手が沸き起こった。「まだ元気が残ってますか?」、そこからはZARDの楽曲をたたみかけるように演奏し、最後の「負けないで」まで一気に駆け抜けた。
アンコールではお揃いのオリジナルTシャツに着替えステージに登場。坂本のキーボードのソロや杉岡のベースにスポットライトを当てた演出を盛り込んで、ZARDの「遠い日のNostalgia」「Don’t you see!」が披露された。笑顔に溢れた観客とともに、サポートメンバーの車谷啓介(Dr)、岩井勇一郎(Gr)を見送った後、3人は手を振りながらステージを後退し、最後は客席に向かって深く一礼して、約2時間のライブを締めくくった。
ライブ前に、「ファンの皆さんとの仲が深まったので、安心して自分たちのできる限りの実力を全部出せる」と語っていた3人。その言葉通り、神野は最初から最後まで安定感のあるボーカルで観客を魅了し、杉岡と坂本は、ベースとキーボードで堂々としたパフォーマンスを披露。手拍子をしながら、MCにうなずきながら、3人のパフォーマンスに聴き入る観客との魂の交流を得て、SARD UNDERGROUNDは着実に、確実に自分たちの色を確立し始めている、そんなスペシャルなステージであった。
文・河上いつ子
『SARD UNDERGROUND LIVE TOUR 2022 [in the twilight]』
2022年10月23日(日)
会場:Zepp Haneda(TOKYO)
【セットリスト】
01. 花火よ燃え尽きて海に舞い上がれ!
02. 擦り傷だらけの純情
03. 世界はきっと未来の中★
04. IN MY ARMS TONIGHT★
05. もう少し あと少し…★
06. 揺れる想い★
07. これからの君に乾杯
08. 少しづつ 少しづつ
09. ブラックコーヒー
10. 永遠★
11. 恋が待ち伏せしてた午後
12. 君には適わない
13. イチゴジャム
14. 空っぽの心
15. こんなにそばに居るのに★
16. I’m in love★
17. 愛が見えない★
18. マイ フレンド★
19. 負けないで★
■ENCORE
01. 遠い日のNostalgia★
02. Don't you see! ★
★ZARDカバー
2022/11/07



