『RISING SUN ROCK FESTIVAL2022 in EZO』(以下RSR)が3年ぶりに帰ってきた。悪天候で2日目のみ開催となった2019年、コロナ禍で中止を余儀なくされた、2020年、2021年を経て、8月12日(金)13日(土)の2日間、総入場者数4万8100人、総出演数43アクト(主催者発表)が行われた。
今年で22回目を数えるRSRは、収容人数やステージ数を減らし、感染症対策のためにさまざまな策を講じた「特別な形でのRSR2022」として、安心、安全を顧慮したウィズ・コロナ時代のフェスの新しい形を示した。
体調不良により、BiSH、カネコアヤノ、King Gnu、Vaundyが出演キャンセルとなったが、代わりにフジファブリック、ワタナベシンゴ(THE BOYS&GIRLS)、レキシ、藤井風がステージを務めた。
会場はお馴染みの「SUN STAGE」に加え、換気対策を考慮した「EARTH STAGE」、デンマーク語で「居心地がいい空間」「楽しい時間」を表すHygge(ヒュッゲ)を冠した「Hygge STAGE」この3つのステージでさまざまなパフォーマンスが繰り広げられた。
初日のSUN STAGEに登場したのはSUPER BEAVER。フェスの再開を祝し、トップバッターにふさわしい熱いパフォーマンスを披露。Hygge STAGEにはワタナベシンゴ(THE BOYS&GIRLS)が初登場。ギター1本でライジングへの思い、カネコアヤノに寄せる気持ちをストレートにぶつけ、観客の支持を得ていた。
この日はクリープハイプ、羊文学、YOASOBI、ずっと真夜中でいいのに。、岸田繁(くるり)、ASIAN KUNG-FU GENERATION、Creepy Nutsら16組がそれぞれの音を響かせ、3年ぶりのフェスを渇望していた来場者に、たくさんの音楽が降り注いだ。
翌13日、東京スカパラダイスオーケストラのステージで始まったのはドラムバトル。そこには茂木欣一(Dr.)と並んで、地元出身の少女ドラマーYOYOKA(12)がシークレットゲストとして登場し、ドラムバトルのほかにスカパラと3曲を一緒に演奏した。これには観客も大いに盛り上がった。
EARTH STAGEに登場した緑黄色社会は、緑の衣装でテンション高く飛び跳ね、楽しさあふれて爽快。このあと、怒髪天、the pillowsがそれぞれのサウンドをぶち上げれば、miletが透明感あふれる歌声を響かせる。SUN STAGEにはマカロニえんぴつ、フジファブリックらが気炎を上げた。
第1回から出演し、2019年に17年ぶりの再結成第1弾としてRSRのステージを踏むはずだったNUMBER GIRLは、3年越しの思いをかなえ、同時に解散発表もして観客を驚かせたが、吹っ切れたかのような力強いプレイを見せた。
暮れなずむころ、Hygge Stageにあらわれた田島貴男は、(ひとりソウルショウ)と題された大人の雰囲気たっぷりのパフォーマンスで、あたりの空間をひときわ味わい深く染め上げる。
King Gnu の代わりにSUN STAGEに登場したレキシは、King Gnuを名乗ったり、「白日」を替え歌にしたりと、会場を沸かせに沸かせ、大いに楽しませてくれた。
夜も深まり、「SATURDAY MIDNIGHT SESSION〜明日に架ける歌〜菌滅の音楽会」が始まる。ゲストプレイヤーの上原ひろみが、ピアノが生き物のように音を跳ね回らせるプレイで会場をうならせると、甲本ヒロト、中村佳穂、岸田繁(くるり)、奥田民生、渋谷龍太(SUPER BEAVER)TOSHI-LOW(BRAHMAN/OAU)らが登場した。
このあと、Vaundyの代打としてステージに現れた藤井風。いきなりVaundyの曲を立て続けに4曲カバーし、自身の曲を2曲挟むと、King Gnu、カネコアヤノ、BiSHのカバーも披露。時にはピアノの弾き語りで、時にはアカペラでと急きょの出演とは思えないパフォーマンスに舌を巻く。アンコールでは音源を流してスタンドマイクの前でフリまで説明する活躍ぶり。アーティストへのリスペクトと音楽への愛情あふれるステージパフォーマンスは、会場のみならず生配信で見ていた人々の心までも動かしたに違いない。
今年のトリはBEGIN。温かく、胸にしみる歌声が石狩の大地に行き渡り、ともに夜明けを迎え入れながら、音楽の力を信じる心に等しく届いた。
今回、初めてコロナ禍のフェスに参戦してみて強く感じたのは、アーティスト同士のつながりやリスペクト、音楽を愛し、信じる心がパフォーマンスのそこかしこにあふれていたことだ。フジファブリックはBiSHの未来に祝福を送り、藤井風は4アーティストをカバーするなど、出演できなかったアーティストの無念を晴らすだけでなく、リスペクトや愛情は待ち望んだ観客やスタッフ、主催者にも注がれていたように思う。
来場者もコロナ禍の新しいルールを概ね受け入れ、大歓声や一緒に歌うことはかなわないまでも、パフォーマンスには声援の代わりに拍手を送り、タオルやグッズ、携帯のライトなど精一杯のリアクションで応えた。
ウィズ・コロナの新しい形が受け入れられ、いつかまた何の心配もなく、声を上げ、笑いあい、歌い、踊り、全身に渾身のパフォーマンスを浴びて、最高の音楽体験を積み重ねたいということを痛感した今年のRSRだった。
音楽ジャーナリスト 内記章
今年で22回目を数えるRSRは、収容人数やステージ数を減らし、感染症対策のためにさまざまな策を講じた「特別な形でのRSR2022」として、安心、安全を顧慮したウィズ・コロナ時代のフェスの新しい形を示した。
体調不良により、BiSH、カネコアヤノ、King Gnu、Vaundyが出演キャンセルとなったが、代わりにフジファブリック、ワタナベシンゴ(THE BOYS&GIRLS)、レキシ、藤井風がステージを務めた。
会場はお馴染みの「SUN STAGE」に加え、換気対策を考慮した「EARTH STAGE」、デンマーク語で「居心地がいい空間」「楽しい時間」を表すHygge(ヒュッゲ)を冠した「Hygge STAGE」この3つのステージでさまざまなパフォーマンスが繰り広げられた。
初日のSUN STAGEに登場したのはSUPER BEAVER。フェスの再開を祝し、トップバッターにふさわしい熱いパフォーマンスを披露。Hygge STAGEにはワタナベシンゴ(THE BOYS&GIRLS)が初登場。ギター1本でライジングへの思い、カネコアヤノに寄せる気持ちをストレートにぶつけ、観客の支持を得ていた。
この日はクリープハイプ、羊文学、YOASOBI、ずっと真夜中でいいのに。、岸田繁(くるり)、ASIAN KUNG-FU GENERATION、Creepy Nutsら16組がそれぞれの音を響かせ、3年ぶりのフェスを渇望していた来場者に、たくさんの音楽が降り注いだ。
翌13日、東京スカパラダイスオーケストラのステージで始まったのはドラムバトル。そこには茂木欣一(Dr.)と並んで、地元出身の少女ドラマーYOYOKA(12)がシークレットゲストとして登場し、ドラムバトルのほかにスカパラと3曲を一緒に演奏した。これには観客も大いに盛り上がった。
EARTH STAGEに登場した緑黄色社会は、緑の衣装でテンション高く飛び跳ね、楽しさあふれて爽快。このあと、怒髪天、the pillowsがそれぞれのサウンドをぶち上げれば、miletが透明感あふれる歌声を響かせる。SUN STAGEにはマカロニえんぴつ、フジファブリックらが気炎を上げた。
第1回から出演し、2019年に17年ぶりの再結成第1弾としてRSRのステージを踏むはずだったNUMBER GIRLは、3年越しの思いをかなえ、同時に解散発表もして観客を驚かせたが、吹っ切れたかのような力強いプレイを見せた。
暮れなずむころ、Hygge Stageにあらわれた田島貴男は、(ひとりソウルショウ)と題された大人の雰囲気たっぷりのパフォーマンスで、あたりの空間をひときわ味わい深く染め上げる。
King Gnu の代わりにSUN STAGEに登場したレキシは、King Gnuを名乗ったり、「白日」を替え歌にしたりと、会場を沸かせに沸かせ、大いに楽しませてくれた。
夜も深まり、「SATURDAY MIDNIGHT SESSION〜明日に架ける歌〜菌滅の音楽会」が始まる。ゲストプレイヤーの上原ひろみが、ピアノが生き物のように音を跳ね回らせるプレイで会場をうならせると、甲本ヒロト、中村佳穂、岸田繁(くるり)、奥田民生、渋谷龍太(SUPER BEAVER)TOSHI-LOW(BRAHMAN/OAU)らが登場した。
このあと、Vaundyの代打としてステージに現れた藤井風。いきなりVaundyの曲を立て続けに4曲カバーし、自身の曲を2曲挟むと、King Gnu、カネコアヤノ、BiSHのカバーも披露。時にはピアノの弾き語りで、時にはアカペラでと急きょの出演とは思えないパフォーマンスに舌を巻く。アンコールでは音源を流してスタンドマイクの前でフリまで説明する活躍ぶり。アーティストへのリスペクトと音楽への愛情あふれるステージパフォーマンスは、会場のみならず生配信で見ていた人々の心までも動かしたに違いない。
今年のトリはBEGIN。温かく、胸にしみる歌声が石狩の大地に行き渡り、ともに夜明けを迎え入れながら、音楽の力を信じる心に等しく届いた。
今回、初めてコロナ禍のフェスに参戦してみて強く感じたのは、アーティスト同士のつながりやリスペクト、音楽を愛し、信じる心がパフォーマンスのそこかしこにあふれていたことだ。フジファブリックはBiSHの未来に祝福を送り、藤井風は4アーティストをカバーするなど、出演できなかったアーティストの無念を晴らすだけでなく、リスペクトや愛情は待ち望んだ観客やスタッフ、主催者にも注がれていたように思う。
来場者もコロナ禍の新しいルールを概ね受け入れ、大歓声や一緒に歌うことはかなわないまでも、パフォーマンスには声援の代わりに拍手を送り、タオルやグッズ、携帯のライトなど精一杯のリアクションで応えた。
ウィズ・コロナの新しい形が受け入れられ、いつかまた何の心配もなく、声を上げ、笑いあい、歌い、踊り、全身に渾身のパフォーマンスを浴びて、最高の音楽体験を積み重ねたいということを痛感した今年のRSRだった。
音楽ジャーナリスト 内記章
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2022/08/18