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アニソン界のパイオニア JAM Project、待望の有観客ライブ映像リリース「120%の力で臨んだ」

 2000年の結成以来、日本はもちろんのこと、海外でもパワフルでハイクオリティなライブを届け、アニソン界のパイオニアとしてブームを牽引してきたJAM Project。20周年イヤーを迎えた一昨年、新型コロナ禍の影響で予定していた記念ツアーをすべて中止せざるを得なかった彼らが、昨年9月、2年ぶりに全国5公演有観客ライブ『GET OVER -JAM PROJECT THE LIVE-』を敢行。配信したその映像をさらにブラッシュアップした映像作品を、1月28日に販路限定で発売する。待ち望んでいた有観客ライブに託した思いや、コロナ禍に考えたこと、そして次なる野望を、メンバーの影山ヒロノブ遠藤正明に聞いた。

「アニソン界」を代表する実力派シンガーによるスーパーユニットJAM Project

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■コロナ禍、アニソン界のレジェンドたちと無観客配信ライブに初挑戦

影山「一昨年の4月から20周年の記念ツアーを始めるつもりが、ちょうどコロナ禍に見舞われて次々と延期になりました。それでも、最初は2〜3ヶ月経てばできるだろうと軽く思っていたら、最終的には全てがキャンセル。配信ライブがなかったら、20周年イヤーは本当に“何もナシ”の状態でしたよ」

 結成20周年という記念すべき年に企画していたツアーがすべて中止になってしまったJAM Project。しかし、そこで決して歩みを止めないのが、アニソン界を牽引してきたパイオニアたるゆえん。同年9月には、20周年記念アルバム『The Age of Dragon Knights』に楽曲を提供してくれたALI PROJECTangelaFLOWGRANRODEOらアニソン界のレジェンド級アーティストを迎え、自身初となる無観客でのオンラインアニソンフェス『JAM Project 20th Anniversary Special JAM FES.』を開催するなど、新たな試みにも積極的に挑戦してきた。

 しかし、JAM Projectのライブといえば、観客総立ちで、掛け声に大合唱と、会場全体で盛り上がるのが最大の特長。無観客ライブという初の体験に違和感はなかったのだろうか。

2年ぶりに開催した有観客ライブ『GET OVER -JAM PROJECT THE LIVE-』

2年ぶりに開催した有観客ライブ『GET OVER -JAM PROJECT THE LIVE-』

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影山「『どこを見て、誰に対して歌うんだ?』っていう戸惑いがやはり最初はありました。「JAM FES.」のときも、みんなコロナ禍だから仕方がないよなと思いながらも、なんでこんなことになってしまったんだろうって、俺たちはもちろん、配信を観てくれたファンのみんなもあったと思いますね」

 それでも「自分たちの歌を待っている人がいるなら届けたい」。その思いがキャリアを積み重ねてきたレジェンドたちならではの活動の大きな原動力となっていた。

遠藤「東日本大震災のときも、今は歌っている場合じゃないとか、今、歌う必要があるのかと言われて考えましたけど、今回も、自粛して家にこもりながら『自分たちにできることは何なのか』を考えると、やっぱり俺たちには音楽しかなかった。俺たちの音楽に元気をもらえると、みんなが思ってくれているのなら、俺たちの出番かなって思いました」

■考える時間を持てたからこそ、久しぶりの有観客ではこだわり抜いたライブを実現

 そして、この思いを原動力に、昨年9月、2年ぶりに全国5公演で有観客ライブ「GET OVER-JAM PROJECT THE LIVE-」を実現。「GET OVER」とは「乗り越える」の意味。その名の通り、困難の多いコロナ禍を音楽の力で乗り越えようというメンバーの熱い思いの表れだ。

影山「今回のライブは、企画の段階で、普段はそんなに自分の考えを前に出さないメンバーも案を出すなど、みんなが積極的に参加した気がします。コロナ禍で考える時間が各々いっぱいできましたからね。ただ走り続けているだけでは見えていないことも見えてくるし、普段は与えられた仕事をちゃんとやろうと考えている人も、自分にとってベストな道は何かともっと深く追求するようになる。その意味では、コロナ禍は、すごくいろいろなことを考えるきっかけになったと思います」

 その上で最もこだわったのが“ファンが一番喜んでくれることは何か”だった。

影山「以前からファンのことを一番に考えてきたけれど、コロナ禍でより一層考えるようになりました。例えばセットリストを組む場合でも、今だったらこの曲を歌ったら、絶対みんなわかってくれるし、盛り上がるだろう、といった一歩踏み込んだセルフプロデュースができたと思います」

2年ぶりに開催した有観客ライブ『GET OVER -JAM PROJECT THE LIVE-』

2年ぶりに開催した有観客ライブ『GET OVER -JAM PROJECT THE LIVE-』

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 さらに、コロナ禍ということもあり、歌うことそのものに対する熱も増したようだ。

影山「30年も40年もアーティストをやっていると、『及第点が取れれば良し』と考えがちにもなるのですが、今回のライブでは『120点取れるようになってからじゃないとステージに立ってはいけない』みたいな気持ちが今まで以上にみんなの中にあった気がします。コロナ禍によって、今まで当たり前にできていたことが当たり前じゃないという有難みを感じたからだと思います。お客さんがいてくれることも、スタッフがいてくれることも、自分がJAMのメンバーであることも当たり前じゃない。自分がすごくラッキーであり、いろいろなことを乗り越えてここにいるんだなって、ならば120%の力で臨むべきだろうって、自然とみんな思えたんじゃないかな」

 その思いはライブに昇華し、観客にもしっかり届いた様子。着席、マスク着用、声出しNGと、観客は感染予防対策のための制限を守りながらも、場内はそれを感じさせないくらいの熱気で満ち溢れた。2人も言う。

遠藤「お客さんが座っていることも、マスクをして声が出せないことも、まったく気になりませんでした。お客さんの前でライブができていること自体がうれしかったし、お客さんも生で観ることができて、音の圧を直に感じることができてうれしかったと思う。その熱気をすごく感じました」

影山「お互いのその気持ちが相乗効果になって、むしろすごいパワーが生まれた気がします。ライブでは空気っていうのが生きもののように存在していて、今回も僕らが歌い出した瞬間、お客さんが前のめりになって、その圧がグッとこちらに届いて、それを受け取ったメンバーのテンションがさらに上がった。場内の張りつめていた空気が一挙に解き放たれるような、そのパワーは映像にも表れていると思います」

 ライブの模様を収めたBlu-ray Discでは、20年間を振り返るメドレーや初めて挑戦したアカペラも見どころ、楽しみにしてほしい点だと言う。

影山「アカペラは、中止になってしまった20周年記念ツアーで挑戦しようと企画していたことで、配信では披露したんですけど、どうしても生のお客さんの前でも歌いたかったんです。今回実現できて、すごい新鮮でした」

2年ぶりに開催した有観客ライブ『GET OVER -JAM PROJECT THE LIVE-』

2年ぶりに開催した有観客ライブ『GET OVER -JAM PROJECT THE LIVE-』

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■JAMにしかできない壮大なスケールの試みを今後はもっと追求していきたい

 2年ぶりの有観客ライブでさらなる高みへの一歩を踏み出したJAM Project。新型コロナ感染拡大がいつ収束するかは、未だ不透明だが、これからについてはどんな先を見据えているのだろう。

影山「コロナ禍で立ち止まらざるを得なくなって、時間ができたからこそ、今までやっていないことをしたいなと考えています。例えば、自分たちはシンガーであるだけでなく、詞も曲も書いているので、混とんとする邪悪なものから、最後は自分たちがもう一度光を取り戻すようなストーリー性と起承転結がある映画『ロード・オブ・ザ・リング』のような壮大なスケールのアルバムを作ってライブをするとかね。JAMはアニソン界で唯一、そういうことができるユニット。俺たちにしかできないことを追求して、実現させていきたいですね」

遠藤「世界のステージもそうだけど、自分1人では見られない夢をJAMでは叶えてきたので、これからももっともっと1人では見られない違う景色をJAMで見たいですね。あと、結成した20年前から、アニソン界を取り巻く環境はだいぶ変わり、“アニソンシンガーになりたい”という夢を持ってくれている若者も今はたくさんいるので、そういう中で、胸を張って『アニソンシンガーです』と言えるよう、そして、この道に入ってくる後輩たちに何かを残してあげられるよう、もっと頑張らなきゃいけないなと思っています。俺は今54歳ですけど、まだアニソン界では若獅子、若い部類なので」

影山「それでいえば、俺はプリンス!」

遠藤「プリンスと若獅子なので(笑)、俺らがアニソン界をもっとカッコいい世界にして、いろいろな子が次に続いてくれたらいいなって思います」

 コロナ禍も歩みを止めずにアニソン界に勇気を与え続けているJAM Project。今後もまだまだ伝説を築き上げてくれそうなその熱いパワーを、まずは2年ぶりのライブ映像で確かめてほしい。

文・河上いつ子

■JAM Projectプロフィール
 メンバーは影山ヒロノブ、遠藤正明、きただにひろし奥井雅美福山芳樹。世界に誇れる日本のアニメーションに見合う主題歌を作り歌っていきたいとの思いから、アニソン界を代表する実力派シンガーにより2000年に結成。以降、08年には初のワールドツアーを、台北・サンパウロ・ボルチモア・ソウル・北京・上海・香港・メキシコシティ・パリ・バルセロナの10都市で開催。その後も世界各国のアニメイベントや万博などに出演したほか12年には南米ツアー(ブラジル・ペルー・アルゼンチン・チリ)も行った。結成20周年を迎えた20年には、新型コロナウイルス感染拡大により予定していた全国ツアー全公演が中止となったが、アニソン界を牽引する同志らとオンラインアニソンフェス「20th Anniversary Special JAM FES.」を開催するなど積極的に活動し、昨年は2月にキャリア初のドキュメンタリー映画「GET OVER -JAM Project THE MOVIE-」の公開をはじめ、シングル3作をリリースしたほか、9月には2年半ぶりの有観客ライブツアーを開催。なお、メンバーの遠藤正明は、バンド活動と並行して8月に行ったソロライブ「遠藤正明 2021 生誕祭」のライブBlu-ray Discを、12月24日に同じく販路限定にて発売。

ライブBlu-ray Disc『GET OVER -JAM PROJECT THE LIVE-』

ライブBlu-ray Disc『GET OVER -JAM PROJECT THE LIVE-』

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■作品情報
ライブBlu-ray Disc『GET OVER -JAM PROJECT THE LIVE-』
※JAM Project オフィシャルファンアプリ/アニメイト(店舗、海外ECサイト)/A!SMARTでの限定販売
2022年1月28日(金)発売
定価:7150円(税抜価格:6500円)

遠藤正明ライブBlu-ray Disc『遠藤正明 2021 生誕祭』

遠藤正明ライブBlu-ray Disc『遠藤正明 2021 生誕祭』

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■追加作品情報
遠藤正明ライブBlu-ray Disc
『遠藤正明 2021 生誕祭』
2021年12月24日発売
定価:6050円(税抜価格:5500円)

関連写真

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  • 遠藤正明ライブBlu-ray Disc『遠藤正明 2021 生誕祭』

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