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映画ヒットでサントラ&過去楽曲も好調 SNS時代の“クイーンブーム”が音楽シーンに与える影響は

 イギリスのロックバンド・クイーンを題材にした映画『ボヘミアン・ラプソディ』が11月9日の公開以降、着実に興行収入を伸ばし、同時にクイーンの楽曲に対する興味関心も高まっている。タイトルにもなった「ボヘミアン・ラプソディ」をはじめ、クイーンの代表曲ばかりを収めた“ベスト盤”的な本作のサントラ『Bohemian Rhapsody(The Original Soundtrack)』は、10月19日の発売以降売上を伸ばし、映画公開タイミングを集計した11/19付ランキングでCDアルバム・デジタルアルバムともに初TOP10入り。最新12/3付で自己最高位をマークし、デジタルアルバムにおいては初の首位を獲得した。売上枚数も週を追うごとに増加し、映画公開後はCDアルバムが0.9万枚→1.7万枚→2.6万枚。デジタルアルバムが0.2万DL→0.5万DL→0.6万DLと推移している。

12/3付オリコン週間デジタルアルバムランキングで初の1位を獲得した、クイーン『Bohemian Rhapsody (The Original Soundtrack)』

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◆公開3週目で動員166万人、興収23億円を突破 『グレイテスト・ショーマン』と肩を並べるヒット

 公開中の映画は、1991年にこの世を去ったリードボーカルのフレディ・マーキュリーを中心に、数々の名曲誕生のエピソード等をバンドの軌跡とともにドラマチックに描いた作品。フレディ役を務めるのは、映画『ナイト ミュージアム』シリーズ等で知られるラミ・マレック。クイーンのブライアン・メイ(G)とロジャー・テイラー(Ds)が音楽総指揮を務め(サントラ含む)、劇中では主にフレディ自身の歌声が使われている。

 11月9日に封切られると、3日間で動員33万8000人、興収4億8700万円を記録。ロングヒットの記憶も新しい映画『グレイテスト・ショーマン』(18年2月16日公開/最終興収53億円)との興収対比96%という好調なスタートを切った。公開3週目で映画動員ランキングの順位を2位に落としたが、前週を上回る好調な興行を続け、11月25日時点で累計動員166万人、興収は23億円を突破。音楽映画としては破格のヒットとなっている。

◆月9ドラマ主題歌、CM曲などへの起用でたびたび起こる“クイーンブーム”

 映画のヒットに伴い前出のサントラ以外にも、クイーンの過去の楽曲が売上を伸ばしており、最新12/3付CDアルバムランキングには、『グレイテスト・ヒッツ』(前週34位→18位/11年1月12日発売)、『ジュエルズ』(前週49位→22位/13年12月4日発売)と、クイーンの楽曲がTOP100内に計3作。デジタルアルバムランキングにいたっては、『Queen Jewels』(前週4位→2位/14年8月13日配信)、『Greatest Hits』(前週6位→6位/16年9月15日配信)、『The Platinum Collection』(前週23位→21位/12年2月3日配信)など、TOP100内に計9作もランクインしている。

 もともと、日本から人気に火が付いたと言われるクイーン。フレディ亡き後も日本ではテレビCMなどでクイーンの楽曲が起用されるケースが多く、たびたび“クイーンブーム”を巻き起こしてきた。なかでも印象的なのは、04年1月期に放送された木村拓哉主演の月9ドラマ『プライド』(フジテレビ系)での起用。「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」が主題歌に使用されたほか、劇中にはクイーンの楽曲が多数使用され、同時期に発売されたベスト盤『クイーン ジュエルズ〜ヴェリー・ベスト・オブ・クイーン〜 』(04年1月発売)は、初週売上16万枚、累積売上134万枚以上の好セールスを記録。ドラマやCMのタイアップも味方に付けながら、いつの時代も彼らは新規ファンを獲得することに成功してきた。

◆これまでのブーム時には見られなかった「SNS」と「定額制音楽配信サービス」の存在

 そして今まさに何度目かのブームが到来しつつある状況にあるが、ここで注目したい点が2つある。

 1つは、今回の映画がテーマ曲への起用という形ではなく、バンドのストーリーを追いながらダイレクトに楽曲のパワーを感じることができる伝記的な作品であること。Twitterなどで綴られている感想には、「思わず泣いた」「感動した」との投稿が目立つが、これはバンドの人生とともに楽曲を味わうことで、その魅力がリスナーの芯に響いている証拠とも言えるだろう。

 そして2つ目は、ネットの時代を迎え、SNSそして「Spotify」や「LINE MUSIC」など、定額制音楽配信サービスという“最強ツール”を携えているという点だ。今年ヒットした映画『カメラを止めるな!』のように、現在“口コミ”によって従来のクイーンファンだけでなく、これまでクイーンを知らなかった層へと映画の人気が広まりつつある。

 そうしたなかで、定額制音楽配信サービスという“新しい音楽の聴き方”が加わったことで、クイーンの楽曲はもちろんのこと、劇中にも登場する伝説的なライブ『ライブエイド』にも出演した、ザ・フースティングレッド・ツェッペリンなど、同年代に活躍した洋楽アーティストたちへの興味関心へとつながり、そこからカタログ作品が盛り上がっていく可能性も十分に考えられる。

 映画は年をまたいだヒットも予想される。平成最後のクイーンブームがどのような波及効果を生んでいくのか、次週以降も注視したい。

(『コンフィデンス』12/3号より)

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  • クイーン
  • クイーン『Bohemian Rhapsody( The Original Soundtrack)』の売上推移

提供元:CONFIDENCE

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