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坂本龍一、病み上がりで挑んだ映画音楽「死ぬ覚悟だった」

 音楽家の坂本龍一(65)が29日、デジタルガレージ『ファーストペンギンアワード 2017』を受賞し、都内で行われた授賞式に出席。賞の理念にちなみ、これまで「リスクを冒して挑戦したこと」を問われると、2014年の咽頭がん手術直後に取り組んだ映画『レヴェナント:蘇えりし者』(アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督)の音楽への思いを改めて振り返った。

デジタルガレージ『ファーストペンギンアワード 2017』授賞式に出席した坂本龍一 (C)ORICON NewS inc.

デジタルガレージ『ファーストペンギンアワード 2017』授賞式に出席した坂本龍一 (C)ORICON NewS inc.

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 賞の名の由来になった「ファーストペンギン」とは、天敵の危険を顧みず群れから一番最初に海へ飛び込むペンギンのことを言い表しており「リスクを恐れぬ挑戦」の例え。同賞では科学技術・芸術・スポーツといった分野で世界を舞台に独創的な挑戦を続ける人物を表彰しており、昨年はサッカー日本代表の本田圭佑選手(31)が受賞している。

 自身がこれまでのキャリアで「リスクを冒した挑戦」を問われると、『第59回グラミー賞』にもノミネートされた『レヴェナント』のサウンドトラック制作に向き合った日々を振り返った。「3年前にがんになったでしょ。仕事休んで、治療して、ゆっくり回復して仕事に戻ろうと思っていたら、監督が音楽をやってほしいとうちに電話してきて。手術したばかりで難しいと言ったんですが『やれ』と」。

 「大変な仕事になるのはわかっていたので、引き受けたら再発してしまうんじゃないかと考えましたね」と不安も感じたという。それでも「デビューから注目していた監督、しかもアカデミー賞を獲った次の作品の音楽。世界中の音楽家が望んでも手が出ないしできない仕事ですから、文字通り死ぬ覚悟で、自分の命と引き換えにという思いでした」と病み上がりで大仕事を引き受けた心境を明かした。

 命を危険にさらして挑戦した理由を聞かれると「僕はわりとコラボレーションの仕事が多いんだけれども、それは自分一人では出会えない、まだ自分から出てきていない新しいものを見たい、聴きたいと望んでいるから。それが僕にとっては生きるということだし、それで終わってしまうなら本望。いつもそういう精神でやってます」とアーティストとしての矜持(きょうじ)を示した。

 授賞式ではデジタルガレージ林郁CEOからトロフィーが授与されたほか、賞金・副賞の「香炉」が贈られた。受賞を記念しピアノの生演奏も行い「美貌の青空」「The Sheltering Sky」「Merry Christmas Mr. Lawrence」など代表曲を披露した。

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  • デジタルガレージ『ファーストペンギンアワード 2017』授賞式に出席した坂本龍一 (C)ORICON NewS inc.
  • トークショーを行った坂本龍一(右端)=デジタルガレージ『ファーストペンギンアワード 2017』授賞式 (C)ORICON NewS inc.
  • (左から)四代徳田八十吉氏、林郁CEO、伊藤穰一取締役、坂本龍一=デジタルガレージ『ファーストペンギンアワード 2017』授賞式 (C)ORICON NewS inc.
  • (左から)伊藤穰一取締役、坂本龍一、林郁CEO=デジタルガレージ『ファーストペンギンアワード 2017』授賞式 (C)ORICON NewS inc.
  • ピアノ演奏を披露した坂本龍一=デジタルガレージ『ファーストペンギンアワード 2017』授賞式
  • デジタルガレージ『ファーストペンギンアワード 2017』授賞式に出席した坂本龍一(右)
  • デジタルガレージ『ファーストペンギンアワード 2017』授賞式に出席した坂本龍一(右)
  • デジタルガレージ『ファーストペンギンアワード 2017』授賞式に出席した坂本龍一(右)
  • デジタルガレージ『ファーストペンギンアワード 2017』授賞式に出席した坂本龍一

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