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木村カエラ、“自分らしさ”を見失ってしまった時期「自分ができることを探し続けた」

 木村カエラが、10月19日に1年10ヶ月ぶりとなるニューアルバム『PUNKY』を発売した。豚の耳と鼻をつけた『naive』(クラシエ)CM出演やサッポロ『麦とホップ プラチナクリア』CM出演、日本テレビ系『世界の果てまでイッテQ!』への“ガチ応募”による楽曲提供など、精力的な活動が続く中、その勢いを象徴するかのような印象的な“パンク”なジャケットとともに届けられた『PUNKY』。“ありのままの自分でいたい”というテーマで挑んだ本作で、「自分をようやく取り戻せた感覚がある」と話す。

ORICON STYLEのインタビューに応じた木村カエラ

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■大好きな『イッテQ』に出演した心境「まったく後悔してない」

――最近は『世界の果てまでイッテQ!』で披露された自作のテーマソングが話題になりました。あの曲はガチ応募で送ったそうですね。
【木村カエラ】 私、日曜日の夜にソファーに座って『イッテQ』を観ながらお菓子を食べるというのが、1週間の最後を締めくくる至福の時間なんです。ちなみにお菓子は“とうがらしの種”っていうおせんべいと決まっているんですけど(笑)。それで、ある日、いつものごとく番組を観ていたら、テーマソングを募集していたので、これはもう応募しなきゃって思いまして。ちょうどその頃、アルバムの制作中だったので、レコーディングの合間に制作をして送ったんです。

――番組では半被を着てノリノリで歌う姿も衝撃でした。「あの木村カエラがここまで!」と驚いた方も多かったみたいですよ。
【木村カエラ】 あれは自然のノリです。私はいつも基本、ふざけていますからね(笑)。でも曲は作家の方と綿密に作ったので音もカッコいいし、大好きな番組だし、これは本気でやらないといけないなって真剣な気持ちでした。実際の収録も予想通りふざけていてすごく楽しくて、「ロッカーから出てきてください」って言われた瞬間、「さすがイッテQ、喜んで!」みたいな(笑)。この曲を作るのに時間がかかってしまって、アルバム制作のほうがギリギリになってしまったけど、番組に出たのはまったく後悔していないです。

――前作『MIETA』は視界が開けていく世界観の大きい作品でした。でも今作はその真逆で一点に向かって絞り、鋭角に尖らせていくようなイメージになっていますね。
【木村カエラ】 そう、まさにそのとおりです。『MIETA』のときはデビュー10周年を迎えて、この先もずっと歌をうたい続けていたいというところですごく視野が広がって、それが届けばいいな、人の助けになればいいなって思っていたんですね。でも、あるときあまのじゃくというか極端というか…私はないものねだりが激しい人間なので、広げたら今度は閉じたくなってしまった。人はどういうものを好んでいるのかなって考えて広げ過ぎたせいで、本当にやりたいことを探すのを忘れてしまい、自分のアートというものを見失ってしまったんですよ。それで、ちょっとこれは閉じないとダメだなと。そう思って一緒にやっていたバンドメンバーとも離れて、修行の旅に出ました。そこから「これは私らしい」「これは違う」って、今の自分ができることを探し続けて作品に向かっていった。その中で「私はパンクだ」という最終的な答えが出たんですよね。

■“自分らしさ”を見つけるためには闇を越えないといけない

――カエラさんはデビュー時から音楽もファッションもすべて、既成概念を壊していく立ち位置にいて、パンク精神をつねに持っていた印象がありますけど。
【木村カエラ】 意外に自分ではそこに気づいていなかったんです。私、自分のジャンルがわかっていなくて、それこそ自由。そのとき好きだったものをそのまま表現しちゃうので、「Jasper」みたいな打ち込みの曲をやったり、インディーズのバンドっぽくなったり、ポップになったり、クラシックになったり、ジャンルを決め込んで自分を当てはめてこなかった。でも、思い返してみると、モヒカンにしたりとか、そういうスタイルも大好きだったから、結局パンクだったねっていう。開いたものを閉じていったら原点に戻ったみたいな、自分でもなんで今までそこに気づかなかったんだろうという感じだったんです。

――顔にスタッズつけたらみんなが引くかもとか、そういう躊躇もハナからないですもんね(笑)。
【木村カエラ】 パンクだから、もう、いっちゃえってね(笑)。でも自分の中で一線はあるんですよ。実は私、坊主にしたいんだけど、さすがにそれは引かれると思うからできない。

――似合いそうですけど(笑)。
【木村カエラ】 似合うと思う(笑)。でもスタッズぐらいなら全然、平気だけど、坊主までいったらダメだなっていう怖さはある。私はどこまでもいけちゃう分、どこまでもいってしまうから、自分で線を決める必要があるというか、“抜け”を作らないといけない。スタッズはつけるけど、メイクは目の周りを真っ黒にしないで、あえてナチュラルにするとかね。そういう抜けは気にしてます。

――では改めて、そんな渾身作のアルバムが出来上がった今の心境は?
【木村カエラ】 闇から完全に抜けたかと言ったら、実はまだ完全ではなくて。自分らしさを見失ってしまったあの時期の衝撃が強烈だったので、未だにちょっとトラウマみたいなものを引きずっているんですよ。だからツアーを回ってやっと自分の中で答え合わせができるかなと思っています。ただその反面、自分をようやく取り戻せた感覚もあって、心の持ちようはすごく大事だなって改めて感じています。自分らしくいることはすべての自信に繋がるけど、その“自分らしさ”を見つけるためには闇を越えないといけない。そういう意味ではやっとここまで辿り着けたありがたみを感じているし、もっともっと“木村カエラ”を知りたい、個性を出していきたいとも思います。そして、そんな自分の中の光を見つけるきっかけになった『PUNKY』を完成できたことが今は単純に嬉しい。それをいろんな人に聴いてもらいたいって心から思いますね。

(文/若松正子)

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