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音楽演出における「ドローン」 ライブ市場で熱視線

 自治体が公園などでの飛行規制を検討するなど、その使用方法を巡り議論が進んでいる無人航空機「ドローン」。本来、正しく使用すれば幅広い分野で効果を発揮する便利なものだ。ここ1年ほど、人が近づけない危険地帯での災害救助やビジネスの現場、または映像表現の一環など、様々な分野で活用しようという動きが広がっている。音楽では、Perfumeが昨年末の『NHK紅白歌合戦』で演出として取り入れ話題に。今後、ライブやミュージックビデオなど、音楽演出手法のひとつとして定着していくことが予想される。

ドローンでライブ演出の幅が広がる可能性

ドローンでライブ演出の幅が広がる可能性

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■ドローンで新たな音楽体験創出

 ライブエンタテインメント市場が急成長するなか、各アーティストが趣向を凝らして様々な最先端技術を使ったライブ演出にトライしている。例えばサカナクションは、コンピュータ制御により吊るされたLEDライトが立体的な造形を作り出す“ニンジャーライト”をいち早く取り入れ、今では様々なアーティストのライブ演出で使われるようになっている。また、最近では無線制御により観客が持つLEDライトのカラーや点灯をコントロールできる無線コントロールライトも定着。最先端技術が音楽リスナーのライブ体験を豊かなものにしている。

 そしてこれに続く新たなライブ体験を創出できる可能性がある技術として注目を集めているのがドローンだ。軍用偵察機としてのドローンの歴史自体は古いが、ここ数年で低価格化や小型化によって一般人にも比較的入手しやすくなり、その使用の幅も飛躍的に広がった。日本で音楽分野におけるドローンが注目を集めたきっかけは、昨年10月に発表されたアメリカのロックバンド、OK Goの「I Won’t Let You Down」のミュージックビデオだ。PerfumeのMVで知られる関和亮監督といった日本のクリエイターとコラボし日本で撮影された同曲のMVは、何と全編ドローンで一発撮り。空中からの見事な映像は国内外で話題を集めた。

■衝撃を与えたPerfumeの『紅白』パフォーマンス

 その後、『NHK紅白歌合戦』の大きな舞台でドローンを演出の一環として取り入れ、幅広い層へと認知が広がるきっかけを作ったのが「I Won’t Let You Down」にカメオ出演も果たしていたPerfumeだった。「Cling Cling」をパフォーマンスするPerfumeの周囲をふわふわと飛び交う、カラフルに点滅する7つの提灯。三角のような形になったり、波のようにうねったり、円を描きくるくる回ったり、様々に陣形を変えていく。その革新的な映像に驚いた人も多いのではないだろうか。

 この演出を手掛けたのは、Perfumeとのタッグで海外からも注目が高いRhizomatiksの真鍋大度氏。実は真鍋氏はすでに昨年5月にMac30周年サイトでダンサーとドローンがコラボするパフォーマンス動画を発表しており、今年2月のCAPSULEの楽曲「Another World」では関監督とタッグを組んで“ドローンレース”をテーマにしたMVを作成。ダンスミュージック×ドローンの演出という新たな形を提示している。

■ライブ演出の幅が飛躍的に広がる可能性

 これまで音楽ライブにおけるドローンは、パフォーマンスの模様を空中撮影することが主だった。先日、筆者が出向いたガールズバンド・Gacharic Spinのライブでも、ステージ上を縦横無尽に駆け回るメンバーをふわふわと漂うドローンが撮影していた。しかし、実はドローンはニンジャーライト同様、あらかじめ想定した動きをプログラミングできるため、複数機を組み合わせた利用にも適している。手法さえ確率してしまえば、ライブ演出の幅が飛躍的に増大する可能性があるのだ。

 どんなに便利な道具でも、使い方次第で画期的な効果を発揮するものもあれば、悪となってしまうこともある。今後、ドローンがエンタテインメントをさらに面白いものにしていくか、挑戦はまだ始まったばかりだ。

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