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AKB48姉妹グループ超え!?乃木坂46の躍進と人気の理由

 アイドルグループ・乃木坂46が、シングル「夏のFree&Easy」を7月9日に発売した。乃木坂46は、2012年2月発売のデビューシングル「ぐるぐるカーテン」の初週売り上げ13.6万枚から右肩上がりで上昇を続け、「夏のFree&Easy」では初週42.2万枚を売り上げ、7/21付週間シングルランキング首位に初登場した。デビュー以来初となる2作連続40万枚を突破した乃木坂46が、躍進を遂げた秘密に迫ってみた。

◆レベルの高いビジュアルに個性豊かなキャラクター、握手会でのファン対応も抜群

 前作「気づいたら片想い」は、AKB48と嵐がTOP5を独占した『2014年上半期シングルランキング』で、それに次ぐ6位。AKB48の“公式ライバル”として結成された乃木坂46が、AKB48姉妹グループであるSKE48(7位)、NMB48(9位)、HKT48(11位)より上位に来た。

 徐々に上昇したセールスが象徴する通り、乃木坂46は特別な“仕掛け”をしたわけでなく、階段を地道に登ってきた。まず、全国オーディションで選ばれたメンバーたち。個々のビジュアルのレベルの高さは、現在のアイドルグループで屈指だ。選抜常連組だけでなく、アンダーのメンバーに至るまで。AKB48がクラスで可愛いい子を集めたとしたら、乃木坂46は学年で一番揃い。しかも、握手会でのファン対応が抜群ときている。

 アイドルは可愛いから売れるものではない。むしろ、磨かれ可愛くなっていく姿を楽しむ風潮がある。AKB48を始め“会いにいける”グループの場合はなおさら親近感がポイントで、美少女ばかり集めても壁を感じさせる結果になることが少なくない。だが、乃木坂46のメンバーは握手会で目をキラキラさせて自ら手を差し出し、自分のファンを本当に好きな気持ちが伝わってくる。

山口百恵松田聖子ら、ソニーアイドルの“遺伝子”を感じる楽曲群

 乃木坂46にはどちらかというと、控えめなメンバーが多い。ここ2作でセンターを務める西野七瀬が象徴的で、あれだけ美人なのに取材で「私なんかを好きになってくれる人はいません。良いところが何もないから」と小声で自信なさげに語っていた。それだけに「握手会にファンの方が並んでくれるのは本当にうれしい」とも言い、そんな気持ちが出ているのだと思う。AKB48の“公式ライバル”という微妙な立ち位置で、当初すでに48グループで飽和状態のメディア露出が限られていたなか、“きれいな女の子たちがやさしく接してくれる”握手会から、着実にファンの心をつかんでいった。

 また、乃木坂46は48グループと違い専用劇場を持たないが、CDデビュー前から冠番組『乃木坂って、どこ?』(テレビ東京系)が始まり、テレビベースで育てられてきた。そこで、各メンバーのユニークな個性も明らかに。秋田出身の生駒里奈がなまり混じりで純朴とも変人ともつかぬトークをしたり、ドイツ生まれの生田絵梨花が印象通りのハイレベルなピアノ演奏を聞かせたり。メンバーいちの美形と言われる白石麻衣も“黒石さん”という切れキャラを見せる。ただ美少女を集めただけのグループではないことも知られていった。同時に、メンバーたちのテレビ画面を通じたアピール力も磨かれていく。

 そして肝心な楽曲も、AKB48グループとは一線を画す。清涼感のあるサウンドに青春の一場面を切り取った歌詞で、何よりメロディーがどこかノスタルジック。そこには所属するソニーレコーズの“遺伝子”が息づいていると、スタッフが言う。CBSソニー時代、70年代の山口百恵、80年代の松田聖子とアイドルの保守本流を歩んできたレーベルの伝統。90年代から安室奈美恵などダンス系に主流が移り、それは現在のアイドルグループにも影響を及ぼしているが、乃木坂46はアイドル音楽史的には保守本流の流れを汲んでいる。

◆AKB48は都市部の公立高校、乃木坂46は郊外の名門私立女子高のイメージ!?

 さらに、乃木坂46の楽曲は9thシングルでの「ここにいる理由」など、カップリング曲やアンダー曲もクオリティが高く、毎回人気を呼ぶ。シングルは4種発売され、3曲目が異なる形だが、付属DVDには各曲のレベルの高いMVやメンバーの個人PVが10数人分ずつ収録され、複数買いへのハードルを下げている。劇場公演で一度に何曲も披露する機会が少ない分、CDではシングル1作で計6曲の楽曲と映像を存分に楽しめる。

 メンバーたちのたたずまい、楽曲、ミニスカートのアイドルが多い中での膝丈の清楚な制服衣装。乃木坂46から漂うのは明るい清楚感だ。AKB48が都市部の公立高校なら、乃木坂46は郊外の名門私立女子高のイメージ。その美しい世界そのものに惹かれ、乃木坂46にはグループ全体を支持する“ハコ推し”のファンが多い。

(文:斉藤貴志)

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