miwa を筆頭に、ギター弾き語り系の女性ソロアーティスト、“ギターガールズ”が活況を呈し始めている。ここ数年でもコンスタントに新人のデビューが続き、ひとつのシーンを形成しつつある。実際、去る5月25日には、東京・六本木のEX THEATER ROPPONGIで、ギターガールズ6組による企画イベント『n・g・g・f 〜 new guitar girls fes. 〜』も開催された。

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■ムーブメントが起きる時は、3組以上のアーティストが同時に頭角を現す

　活況を呈し始めている女性シンガー・ソングライターシーン。10年にデビューしたmiwa を筆頭に、片平里菜、住岡梨奈、山崎あおい、新山詩織、見田村千晴などデビューが相次ぎ、さらに彼女達が、その後の活動を通じて、着実にライブ動員を増やし、実力を蓄えたことで、“ギターガールズ”シーンとして存在感を高めるかたちとなった。

　5月25日に開催されたライブ『n・g・g・f 〜 new guitar girls fes. 〜』を企画した、佐藤信也氏（テレビ朝日 事業局 EX シアター運営部 企画開発担当部長）は、「今年2月には『ミュージックステーション』でも同シーンの特集が組まれ、注目していました」と企画の背景を語る。

　これまでも、特定のジャンルや特定の地域から、まとまって人気アーティストが出てくるケースあった。例えばキマグレンやDef Tech、BENNIE KといったHIPHOP／レゲエ系ユニットのブレイクが重なった05年が、それに当たるだろう。

　今回も住岡梨奈、山崎あおい、新山詩織、見田村千晴といった期待されるアーティストが3組以上揃ったことで、企画が実現したという。

■楽器店や専門学校、オーディションでもギターガールズが増加

　同シーンの広がりを感じているのは、楽器店も同様だ。銀座山野楽器 本店のギターフロア担当者は、「女性のギター購入者は年々少しずつ増えています。また、売場ではテイラー・スウィフトの名前もよく聞かれますね」と語る。

　一方、今年で8回目となる新人発掘コンテスト『Music Revolution』の本部事務局、担当者は、「今の10代後半の女性の“空気をつくる力”は凄い。正直、仲間とバンドをやっている男の子たちにとっては、突出した個性、表現力という面で太刀打ちできないところがあります」と、オーディションでのギターガールズの実力の高さを証言する。

　さらに、次世代を担うアーティストを育成している専門学校ESPミュージカルアカデミーでも、近年の学生の傾向として、弾き語りをしたい、という女子が増えているという。なお、同校では、来年度から「ギターヴォーカルコース」が設立され、現在、説明会や体験入学を行っているが、そこでも圧倒的に女子の参加が多い状況だという。

■多様性こそがギターガールズの魅力

　これまで、音楽業界関係者からの証言を基に、“ギターガールズ”シーンの盛り上がりをみてきた。各氏の言葉からは、一定の実力を持った弾き語り系の女性シンガー・ソングライターが、一つのシーンとしてまとまりつつあることを窺い知ることができた。

　一方で、各所でも聞かれたが、ひと口に“ギターガールズ”といっても千差万別。例えば、業界関係者の間でしばしば耳にする「○○の席が空いたから、そこを狙う」とか、「○○のフォロワー」といった見方を安易にしてしまうと、画一化され、同シーンをシュリンクさせてしまう可能性もある。

　現在は、バンド編成でのライブパフォーマンスや、フォーク風、ダンスミュージック風、さらには、歌謡曲テイストを盛り込んでみたり、様々なアプローチが見られる。この多様性こそが、同シーンの魅力とも言える。

　さらに、育成の現場から同シーンを見てきた音楽プロデューサー、近藤ひさし氏は、「女性シンガー・ソングライターが好き、アコースティックギターのサウンドが好き、という声は本当によく聞きます。一方で、ガールズバンドの時代が到来しつつあるという実感もあります。一時はダンスに目が向いていた子が、楽器を持つようになったのかな、と思わせるようなグループもいますね」とも語る。

　先般の企画イベントのような、シーンの多様性を見せられる『オムニバスライブ』に加え、『ガールズバンドシーンとの連携』、このあたりに今後の同シーンの発展のカギがありそうだ。

(ORIGINAL CONFIDENCE　14年6月30日号掲載)