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EDMはもう古い!?ダフト・パンクを筆頭に“オールドスクール回帰”へ

 今年の『第56回グラミー賞』で主要部門を独占したダフト・パンクの再ブレイクを筆頭に、ビヨンセエミネムといった人気アーティストも、自身のルーツを感じさせる作品を発表。世界の音楽シーンではいま、クラシカルな音楽要素を取り込んだ「オールドスクール回帰」現象が起こっている。

『第56回グラミー賞』で5部門の最優秀賞を獲得したダフト・パンク

『第56回グラミー賞』で5部門の最優秀賞を獲得したダフト・パンク

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◆1DやEDMの先をいく「オールドスクール」ミュージックの現在

 ワン・ダイレクションに代表されるボーイズグループ人気のほかに、EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)と呼ばれるシーンも台頭。安室奈美恵にも楽曲を提供したゼッドや、『FUJI ROCK FESTIVAL』に出演し熱狂をさらったスクリレックスをはじめとするアーティストのブレイク、さらに今年9月には世界最大規模と呼ばれるダンスフェス『Ultra Music Festival』が日本初上陸を果たすなど、例年以上に熱い盛り上がりをみせている洋楽シーン。実は世界の動向を探ってみると、また別のムーブメントも盛り上がっているのだ。

 それが「オールドスクール回帰」現象である。オールドスクールとはつまり、その音楽ジャンルの原点を感じさせるサウンドを追求するスタイルということ。なかでも、その大きな流れを作ったと言えるのが、フランス発のエレクトロユニット、ダフト・パンク。1990年代から活躍、現在でもCMソングに多数起用される名曲「ワン・モア・タイム」などを筆頭に、次々と時代の先をいく音を作り出している彼ら。昨年発表したアルバム『ランダム・アクセス・メモリーズ』では、80年代のディスコミュージック界を飾ったナイル・ロジャースジョルジオ・モロダーといったレジェンドたちをフィーチャーするなど、ダンス音楽のルーツを感じさせるサウンドを展開。今年の『第56回グラミー賞』では5部門の最優秀賞を獲得するなど、世界的評価を集めた。

 また、「ブラード・ラインズ〜今夜はヘイ・ヘイ・ヘイ♪」のヒットで知られるロビン・シックや、来日公演が話題となったマックルモア&ライアン・ルイスといったアーティストも、往年のダンスミュージックを彷彿とさせるサウンドで全米No.1を獲得。さらに、ジャスティン・ティンバーレイクカニエ・ウェスト、ビヨンセ、エミネムといった人気アーティストも、自身のルーツを感じさせる作品を発表し、どれも高セールスを記録している。

◆シーンの最前線を走るのは、ファッション界でも注目される「男」

 そんな「オールドスクール回帰」現象が高まっている状況において、いま最も注目されているのが、ファレル・ウィリアムスである。90年代よりプロデューサーユニット、ザ・ネプチューンズのメンバーとして、これまで多数の世界No1ヒットを輩出。さらには自身でファッションブランドを立ち上げるなど、カルチャーアイコンとしての存在感をすでに放っていた彼ではあったが、昨年のダフト・パンクやロビン・シックらとの競演をきっかけに、再びシーンの最前線に復活し、今年に入って8年ぶりのソロ活動を本格スタート。アルバム『G I R L』(輸入盤は3月7日、国内盤は4月30日発売)をリリース。収録されたシングル「ハッピー」は全米チャートで5週連続1位を獲得し、その他楽曲もテレビCMソングに続々起用され話題を呼ぶなど、すでに来年の『グラミー賞』の最有力候補に挙げられているほどの人気ぶり。

 「わかる人にだけ心地よい」ポイントを探る音楽が増え、細分化されてきた最近の音楽シーン。そのなかで彼らの作る音楽は(時代を知っている人でもそうでない人にとっても)とても耳障りがよく、心躍る世界にあふれている。さまざまな情報があふれる現代のなかで、これらの放つ「簡潔さ」が、逆に新鮮でかつ音楽が本来持つ「楽しさ」を再確認させ、現在のヒットに結びついていっているのであろう。今後、このムーブメントはさらに広がりを見せていきそうだ。

(文:松永尚久)

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  • 『第56回グラミー賞』で5部門の最優秀賞を獲得したダフト・パンク
  • 『第56回グラミー賞』授賞式にダフト・パンクと共に出席したファレル

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